障がいについて理解することで見えた人材採用のあり方

▲株式会社USEN-NEXT HOLDINGSコーポレートブランディング室長 藤島紫織

USEN-NEXT GROUPは、24のグループ会社が融合し、全国各地に拠点を有しております。そのため職種や業務内容だけでなく、各現場からあがってくる求人票の内容もさまざまです。

2014年に営業部から人事部に異動し、新卒・中途・派遣・障がい者採用全般を行うことになった藤島は、当時のことをこう振り返ります。

藤島 「営業をしていた頃、同じ支店に障がいを持っていても健常者と変わらず活躍している先輩がいました。そうした先輩の姿を見ていたのにも関わらず、いざ自分が障がい者採用をする立場になると、どのように採用活動をすればいいのか最初は戸惑いました。面接前に、応募者の方が『どういった障がいを持っていて、どんな業務ができるのか』といったところまで知ることは難しいです。そのことからミスマッチや早期離職が起こってしまうケースもありました」

こうした問題を解決するために、藤島は障がいを持つ方のことをもっと深く理解する必要があると考えます。

そこで、障がい者が有益な情報を交換できる「場」と、社会参加のための「枠組み」を提供するコミュニティサイト「Open Gate」を運営している株式会社アクティベートラボの増本裕司と意見交換の機会を設けました。藤島は意見交換によって意識に大きな変化があったといいます。

藤島 「採用活動を続ける中で、障がい者と健常者の区別があること自体おかしいと感じていたんです。アクティベートラボの増本さんと意見交換ができたことで、障がいを持った方が求人に応募する際に抱えている悩みを知ることができました。また、障がいについての知識を身につけることができ、私自身の成長にもつながったのではないかと思っています」

意見交換をする中で、従来の障がい者採用の常識を壊し、すべての人がすべての求人に挑戦できる革新的なシステムを構築したいという想いが一致。そうして、すべての人を区別しない「Career Opportunity」を創出することで、誰もが活躍できる社会を実現する新たなプロジェクト「Career Opportunity For DIVERSITY」が立ち上がりました。

新たな取り組みとして特許取得アルゴリズム「ブイくん」導入

▲株式会社アクティベートラボ 代表取締役 増本 裕司(右から2番目)と想いを共にする仲間

全国各地に勤務先がある中で、人事部が現場の仕事内容をすべて把握することは困難です。そこで藤島がまず取り組んだのは、膨大な情報の中から、「車椅子が通れる通路の有無」「バリアフリートイレの有無」「社屋の段差の有無」など、障がい者採用に必要なグループ全体の情報整理でした。

藤島 「より正確な情報を集めるために、メールでの依頼だけでなく、電話をしたり、ヒアリングの時間をもらったりして情報収集しました。集まった情報は、みんなで共有できるようエクセルシートにまとめましたが、なかなか大変な作業でした。しかし、そのおかげでいろいろな部署や事業所の方とお話ができ、事業部の方々もバリアフリーを意識するよいきっかけとなりました。各事業所の方々には本当に感謝しています」

さらに人事部では、障がい者自身が「不自由な部位」と「知りたいこと」を入力するだけで、あらゆる情報が手に入る特許取得アルゴリズム「ブイくん」を導入。アクティベートラボが開発した「ブイくん」を取り入れたことで、理想の実現に向けて、大きな手応えを感じたといいます。

藤島 「障がいを持った方が最も重要視しているのは仕事内容・条件など採用情報の詳細です。そこで障がいを気にすることなく、自身のキャリアやスキルを発揮できる求人を選ぶサポートをするため、チームメンバーからも意見があがっていた『ブイくん』を導入することにしました。この取り組みは、私たちが目指す理想を実現するための革新的なシステムになると感じました」

すべての求人に応募できる新システムの開発へ

▲「Career Opportunity For DIVERSITY」内の情報入力画面

藤島らが目指しているのは、従来の障がい者採用の常識を壊し、すべての人がすべての求人に挑戦できる社会です。しかし、新システムの開発を進めていく中で、さまざまな問題に直面します。

藤島 「障がい者採用に特化した革新的なシステムの開発は、過去にも前例がありません。そのため『障がいがあっても希望の求人を選べるようにしたい』『法定雇用率に左右されない仕組みを作りたい』など、プロジェクト会議でもたくさんのディスカッションを重ねました。私たちが目指しているのは、すべての求人情報がすべての人に開かれた状態です。それには国が定めた障がい者区分より、さらに細かい区分が必要だと感じました」

自身も障がいを持つアクティベートラボの増本も、障がい者採用の課題について次のように話します。

増本 「当事者である私も、実際に職業安定所に行くと、障がい者向けの求人票しか出してもらえず、再就職に苦労した経験があります。現在の障がい者求人における障がい者区分は国が決めたものですが、すべての方に当てはまるわけではありません。

今回のプロジェクトでは、従来の障がい者区分に医療的知見やリハビリ的知見、障がい者とのディスカッションなどで得た知見、そして私自身の経験値を取り入れることで、障がい者区分のデータ精度を上げていきました」


障がい者採用の幅を広げるためには、採用担当者が事前に応募者の情報を把握しておく必要があります。この課題を解決すべく開発されたのが、「ブイくん」の機能をより発展させた「障がい者翻訳システムShare Ability」です。

そうして、このシステムを取り入れた採用サイト「Career Opportunity For DIVERSITY」が誕生します。

藤島 「応募者はフォーマットを使って、自身の障がいの状態や必要情報を簡単に入力できます。すると応募者には、USEN-NEXT GROUPから個々に合わせたオーダーメイドのおすすめ求人が提示され、人事側には採用に必要な配慮情報が提示されます。

面接では障がいの種類や配慮に関する質問が不要となり、応募者のキャリアやスキルに集中して採用を検討することができます。また応募者側も、やりたい業務に絞って自己アピールができます。健常者と同じように適材適所での配属が可能になり、業務の効率化、離職率の低下などにもつながっています」


採用サイト「Career Opportunity For DIVERSITY」の誕生によって、USEN-NEXT GROUPでは、求人が限られてしまう従来の障がい者採用ではなく、すべての人がすべての求人に応募することが可能になったのです。

正しい理解が障がい者採用の常識を変える

▲メンバーで想いを込めてつけたプロジェクト名とロゴ

採用サイト「Career Opportunity For DIVERSITY」により、これまでは障がい者と健常者で求人が分かれていましたが、今では自社のすべての求人がすべての人に開かれるようになりました。藤島は今後の目標について、次のように語ります。

藤島 「本システムを使った人材採用は、これから本格的に進んでいきます。『今後どのように障がい者採用を広げていくか』『どんな職場環境を提供できるのか』といった課題もまだあります。これらの課題を一つひとつ解決し、本プロジェクトを通して、誰かの人生を開くきっかけになればと思っています。また、システムを使って入社してくださる方々との新たな出会いが広がることも期待しています」

USEN-NEXT GROUPでは、すべての人が輝きながら働けるように、オフィス環境の整備や受け入れ側のトレーニングを今後も進めていきます。その中で増本が大事にしたいのは、障がいについての正しい知識です。

増本 「USEN-NEXT GROUPは、以前より障がい者を受け入れる企業文化があったからこそ、今回のプロジェクトが進み『障がい者翻訳システムShare Ability』が完成しました。今後は、もっとたくさんの方に障がいのことを正しく理解していただくため、私たちの取り組みを発信していく必要があると考えています」

本プロジェクト「Career Opportunity For DIVERSITY」を多くの人々に知ってもらい、「障がい者翻訳システムShare Ability」を活用してもらうことで、障がい者採用はさらに広がっていくと藤島らは信じています。

すべての人がすべての求人に挑戦し、輝ける社会を実現するために、USEN-NEXT GROUPの活動は今後も続いていきます。