子どもに英語を教えるより、英語が自然に飛び交う英語環境を作ることが大切

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▲Global MOM to MOM代表のレイノルズ 容子と外国人ママたち

海外で数年間柔道を教えていた私の父には、外国人の友達がたくさんいました。そのため、私は幼い頃から外国人とふれあう機会が多くあり、英語は身近な存在でした。海外の文化や国際交流が大好きで、25歳の頃には姉と国際交流イベントやツアーの会社を立ち上げ10年以上運営していました。

その中で、さまざまな国籍の外国人と出会いましたが、ほとんどの方が「英語の先生」で生計を立てていました。エンジニアやアスリート、アーティスト、シェフ、ダンスなど、すばらしいスキルを持っているにも関わらずです。

原因は、日本企業で働くには「日本語が必須」という壁があることでした。日本社会では、英語でビジネスに対応できる日本人がまだまだ少ない。この言語の壁で、外国人の方が本来持っている多彩なスキルを活かせず、「英語の先生」にならざるを得ない現状があります。これは日本社会にとって、非常にもったいないことだと思います。

これによって、「外国人=先生、日本人=生徒」という上下関係が、潜在意識としてあることが日本人と外国人の間に見えない壁を作っているように感じます。

また、日本の英語教育にも疑問を感じていました。日本の英語教育は、どちらかというと、読み書きの知識をインプットすることに力を入れています。

そのため、英語でコミュニケーションをとる機会が少なく、英語を人に聞かれるのを恥ずかしがったり、英語の先生以外の普通の外国人の前で頭が真っ白になったり思うように英語が話せなかったり、実際に使える英会話力を身に付けるのは、なかなか難しいと感じました。

このように英語を長年学んでも実際に思うように英語が話せない日本の大人が多い中、これからグローバル社会で生きていく子どもたちに同じ道を歩んで欲しくないという思いで、Global MOM to MOMを立ち上げました。

外国人ママと日本人ママが繋がり、子どもたちのために英語環境を作る

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▲大阪のカフェでの交流会の様子

Global MOM to MOMは、日本在住の外国人ママと日本人ママが繋がる英語育児コミュニティで2019年10月に発足しました。2022年2月現在の会員数は、外国人ママが約100名(30ヶ国籍)、日本人ママが約150名で、子どもやパパを合わせた家族メンバー数は1000人以上になります。北海道から九州まで日本全国にメンバーがいます。

子育て中のママという共通点があるので、話し出すと止まらないくらいに楽しく、話題が豊富にあり、英語初心者のママでも言語の壁を感じないぐらい会話が盛り上がります。

ここでは、「外国人=先生、日本人=生徒」ではなく、「全員がママ友というフラットな関係」で、世界各国のママたちが繋がり、協力して、子どもたちのためにグローバルな環境を作っています。

このコミュニティのメリットは日本人親子だけではなく、外国人ママにもあります。

日本で子育てをする外国人ママたちにとって、異国の地での子育ては大変です。特にコロナ禍で母国にも帰れず、孤独に感じている方も多くいます。シングルマザーもたくさんいます。

日本人にとっては幼稚園や小学校、地域の情報を得るのは簡単なことですが、外国人ママにとっては難しく、特に日本語の読み書きができない方にとっては、ハードルが高いです。ワクチン接種券も漢字が読めずに、それだと気づかず破棄してしまった、という話も耳にしました。

Global MOM to MOMに入会された外国人ママからは「日本で友達ができずに親子で寂しい生活を送っていたけれど、このコミュニティに入ったことで、たくさんの友達ができた!英語でコミュニケーションできる日本人、外国人ママの仲間がいることが心の拠り所で、支えになっている」と嬉しい声が届き、口コミで外国人メンバーがどんどん増えてきています。

このように、国籍や言語に関係なく、ママ同士が情報をシェアしたり、助け合いの場にもなっています。

オンライン交流とリアル交流が月に100回以上!

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▲オンライン飲み会の様子

Global MOM to MOMのコミュニティ内での活動は、オンライン交流が月に60回(1日2回ペース)、ピクニックなどのリアル交流が月に50回以上と合計で月に100回以上の交流の機会があります。

外国人ママ達は、自分の趣味やスキルを活かしたダンス、ヨガ、飲み会、カラオケ、母国のお料理を教えるクッキングレッスンなど、多種多様なイベントを自由にホストできます。

リアルの交流では、外国人ママがホストとなり、公園ピクニック、川遊び、動物園など日本全国で交流会が企画され、地域ごとに集まりがあります。

このようにオンラインとリアルでの交流を重ねることで、同じ趣味で繋がったり、近くに住む人と繋がったり、プライベートで家族ぐるみの交流にも繋がっています。

子どもは楽しいことが大好きです。「英語を勉強する」のではなく、ダンスやクッキング、ピクニックなど「楽しいことを英語でする」ことで、無意識で英語を吸収していきます。

教材やスクールに任せるのではなく、ママ主導型で日常的に外国人とフラットな関係で交流することが、「新時代のグローバル育児」だと思います。

このような環境で育つ子どもたちは、英語を恥ずかしいと感じたり、抵抗したりせず、当たり前のようにコミュニケーションツールとして英語が使えるようになります。

実際に「子どもが英語で寝言を言っていた!」「姉妹の会話が英語になった!」など、効果を感じられるうれしい声も届いています。

英語力だけでなく、異文化を理解し、国際感覚が身についたグローバルシティズンの育成を

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▲国際交流ピクニックの様子

世界には文化、見た目、考え方、価値観が違う人がたくさんいます。しかし、島国の日本では、それを肌で感じることが難しく、意識して外国人と接点を持たない限り、交友関係が日本人限定になりがちです。

日本人は考え方や見た目が似ているので、同調意識が生まれ、周囲の多くの人と同じように考え行動することに安心感を覚えてしまうことも多いです。

しかし、グローバル社会で生きていく日本の子どもたちには、「多種多様な人々が世界にいる」ことを知ってほしい。

わざわざ海外に住まなくても、幼い頃から日本に住む様々な国籍の外国人と日常的に交流することで、異民族、異文化の存在を知り、それを理解し、「みんな違う、違ってて良い」と子ども自身が感じることができます。

このような「異文化理解力」「国際感覚」は、「英語力」より大切なスキルだと思っています。

「世界が広い」ことを知っている子どもたちは、小さなことにクヨクヨせず、のびのびと個性的に自分らしく生きることができると思います。と幼い頃からさまざまな国籍の方と交流することでこれからもGlobal MOM to MOMの活動を通して、世界の人々と協力、共生する国際感覚をもった、グローバルシティズンの育成を目指していきます。