働きがいを感じ、社員が成長・変化し続ける組織づくりへ

▲ホワイトプラスのビジョンとバリュー

ホワイトプラスでは事業の拡大とともに、ベンチャー出身者にとどまらず、クリーニング業界、物流、大手Slerなど、様々な業界で働いていた方を社員として迎え入れてきました。

しかし、社員数が50名を超えてくると、社員同士の価値観の違いによるコミュニケーションエラーや、仕事の進め方の違いによる問題を引き起こすリスクが生じてきます。

高見の所属するHRグループでは、これらのリスクを抑えるために、共通の価値観や考え方の軸を決める必要があると考えていました。また、子育て中の社員が多く、社員のライフステージやライフスタイルに合わせた、柔軟な働き方に対応する必要も感じていました。

高見 「当社が属するIT業界では今後、IT人材不足が予想されています。またIT人材は流動性が比較的高いのが現状です。そのような中で、今いる社員の働きやすさを追求するのはもちろんのこと、いかに“その会社で働くことの意義=働きがい”を感じ、生産性高く働いてもらうか、そして新たな人材を確保しつつ成長できるかは重要な経営課題でした」

そうした課題は、バリュー策定プロジェクト始動前の2017年に取得したエンゲージメントサーベイのスコアにも表れていました。エンゲージメントサーベイのスコアが導入企業の平均よりも低く、働きがいのある会社と社員が胸を張って言える状態ではなかったのです。

バリュー策定前は、共通の価値観や考え方の軸として2013年に制定した“人材理念“がありました。しかし、人材理念は抽象的なあるべき姿を示していても、今日明日をどう動けば良いのかという具体的な行動の指針にはなっていませんでした。

高見 「人材理念の項目は8つありますが、社員からは数が多すぎて覚えられないという意見も多く挙がりました。また、理念に沿った行動をした社員を毎月表彰していましたが、選ばれる基準が不透明で社員の納得感も薄い取り組みになっていました。結果的に理念浸透には至らず、人材理念が形骸化していたのです」

これらの状況を改善するため、バリュー策定プロジェクトが立ち上がりました。

社員全員で創る〜社員みんなが愛着を持てるバリューとは〜

▲バリュー策定のワークショップの様子

バリューを経営陣とHR部門のみで決めると、見えていない課題が出てくる可能性がありました。そこで、高見たちはバリュー策定プロジェクトを進めるにあたり、バリュー策定方針として“社員みんなが愛着を持てるバリューをつくる”という方向性を定めました。

高見 「バリューは浸透“させる”ものではなく、浸透“する”ように作られているかどうかが肝。その9割は設計の段階で決まります。そのため、全社員が段階的に理解できるようなプロセスを意識し、なぜ、バリューが必要なのか“Why”を伝え続け、プロジェクトの進捗は毎月行われる全体会議の場で共有しました」

さらに、バリュー策定を社員全員で進めるために、組織課題の整理と並行して、全社ワークショップも開催。

ワークショップの冒頭には、「個人の価値観は違っていて当然で、誰が正しい・間違っているということではない。個々の価値観を尊重、受容することが多様性や仕事の質向上につながる」ということが伝えられました。

高見 「その上で自分たちはどんな世界を目指しているのか、どういう会社にしたいのか、その結果会社としてどこをバリューと決めるのかを丁寧に説明していきました。円滑にワークショップを進めるために、一人ひとりが意見を言えるように進行やグループ分けなどの工夫もしましたね。

ワークショップが始まってすぐに意見を出すのは難しいと考え、まずはじめに個人ワークの時間を取り、自分の意見を考えて、それを踏まえてグループで意見を出し合い、グループとしての意見を発表してもらう形式にしました」

グループディスカッションが進まない場合はHRメンバーがサポートに入り、意見を言いやすい環境づくり・ワークショップ運営を心がけていた高見たち。その結果、1グループは5〜6人でしたが、少人数でもグループで意見をまとめるのは大変だということに気づいてもらえたと、高見は当時を振り返ります。

そして、ワークショップを通して、“100人いれば100通りの価値観がある”ということに気づきました。

高見 「多様な価値観があるので、全員の価値観を統一することは難しいものの、社員が同じ方向を向いて会社を発展させながら、働きがいがある会社にするためには、バリューが必要なのだと感じてもらいたいという想いもありました。バリューこそ、みんなが共感する共通の価値基準(行動の判断基準)であるからです」

実際に参加した社員からは「会社の良いところや課題を考えるいいきっかけになった」「他の人や他のグループの発表を聞く中で、表現は違えど背景や考え方に共通点があり、興味深かった」などの感想が出ました。参加者もワークショップを通して“気づき”を得られる結果となりました。

バリュー策定プロジェクトに隠されたもう1つの想いと浸透させる工夫

▲バリューを中心とした組織づくりで複数のアワードを受賞

ワークショップ後はバリュー策定の進捗を社員にも共有しながら、プロジェクトが進んでいきました。

高見 「ワークショップで出たメンバーの意見は、そのままの表現で使われるわけではないため、なぜその意見が使われなかったのか、バリューの決定基準や決定プロセスを丁寧に説明する必要があります。ワークショップでは、たくさんの意見が出てくるので、その情報を整理して、全社会議で共有する際にわかりやすく、納得してもらえる説明をするのが大変でした」

しかし、ワークショップやその後の進捗を共有することで、バリュー策定の納得度を上げ、一緒に創っているというムードを醸成することに繋がったと、高見は感じています。

高見 「そんな風に、社員と一緒に創ったからこそ、バリューを浸透・体現する組織にしたいと強く感じました。そして、そのような文化は細かなルールから作られると考え、最初から人事制度に組み込むことを前提としていました。

とはいえ、評価基準や採用基準、表彰に組み込むためには決定したバリュー行動を要素分解する必要があり、20〜30個あるコンピテンシーと掛け合わせながら要素分解する作業には、苦労しました」

策定したバリューを人事制度に取り込むとともに、フレックスタイム制や子連れ出勤可能など柔軟な働き方を実現するためのルール(制度)も生まれました。

高見 「当社は、子育てしている社員が多いので、社員に寄り添った働き方にアップデートできたと感じています。また、制度をしっかり活用してもらうために、管理職が率先して制度を活用し柔軟な働き方を示してくれました。その結果、社員が制度を活用しやすい風土を醸成し、浸透を図ることができました」

バリュー浸透を体現する組織が目指す未来

▲半期に一度の全社イベントでバリュー体現者を表彰

バリュー策定前は、エンゲージメントスコアが平均以下でしたが、2018年後半以降は平均を超えるようになりました。その後も、平均スコアを大きく上回る結果を継続しています。

高見 「エンゲージメントスコアを改善できたのは、バリューを単体として考えるのではなく、人事制度や表彰と紐付け浸透できたこと、さらにバリューを採用に活かしたことが大きな要因だと考えています。

面接時の評価項目にバリューを取り入れているため、各面接官の試験をパスした人は、バリューに共感し、体現できる人だと想像されます。そのため、大きなギャップを感じることなく仕事や環境に馴染んでくれます」

バリューに共感した方が入社することで、離職率も改善することができたのです。しかしバリュー策定から2年──今後は、策定したバリューや様々な制度のマンネリ化が懸念されます。

高見 「バリューを発表する際に、2つのことを社員に繰り返し伝えました。1つは、バリューは現在の組織や事業において最もふさわしい判断・行動基準、つまり“一番最適なもの”であり、“完璧なもの”ではないということ。もう1つは、その事業・組織の状態を見ながら適当な時期にバリューの見直しをかけるということ。

時間をかけてみんなでつくったバリューは、永久不滅のものではなく、一番いい状態に変化させていくのだということを常に伝えています。バリューを体現した先に何があるのかを社員に提示することも重要だと考えているので、今後は、組織ビジョンも示していきたいと考えています」

コロナ禍をきっかけに、オンライン化やリモートワークが進み、働く環境が大きく変わっています。そうした変化の時だからこそ、バリューのような共通言語があることで、社員同士の絆を強くし、仕事を円滑に進めることにつながっています。

これからも、ホワイトプラスでは社員が働きがいを感じられる取り組みや、柔軟な働き方による働きやすさの追求をしていきます。