社内副業という新しい仕組みを取り入れて、社員のスキマ時間を有効活用

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▲GRiD事業部長 野口 佳絵(左)、労務担当 中枝 有(右)

2018年、GRiD事業部では大きな課題を抱えていました。イベントスペースを外部に貸し出すにあたり、スタッフが必要でしたが、慢性的な人材不足が起こっていたのです。

「夜間のイベント時のみ」「短時間勤務」という特殊な条件では、アルバイトの集まりが悪く、採用コストが膨らむばかりで解決にいたりませんでした。

野口 「社員のスキマ時間・業務外の時間に手伝ってもらうことで、事業部の課題を解決しようと考えました。しかし社内からは、『他部署の仕事を手伝うのは当たり前。別途報酬など必要ない』『他部署の仕事を手伝っても、所属部署での業務評価に直結せず、報酬にも反映されづらい』という、後ろ向きな意見が多くあがってきました。社員をアルバイトとして雇用するということも考えましたが……」

中枝 「アルバイト扱いにすると、勤務時間の管理や煩雑な給与計算が必要になる上、給与を複数の部署で負担するため経費処理が複雑になってしまいます。人員不足とはいえ、避けたい選択でした」

どのようにしたら「仕事を依頼する人」「仕事を受ける人」「労務・経理メンバー」がWin-Win-Winになる仕組みができるのか。考えた末にたどり着いたのが「社内副業」でした。

野口 「それから『どのような仕組みであれば、社内副業が実現し、無理なく運用できるのか?』と、頭を悩ませました。特に、報酬の支払い、契約、労働管理の仕組み作りが大変だったので、社員からの要望を反映することにしました。その要望とは、シンプル・イズ・ベスト。“業務を依頼する部署が、業務を受ける本人に直接支払う”という、社員と業務委託契約を締結するアイデアでした」

運用するにあたっては、長時間労働に配慮が必要だったと中枝はいいます。

中枝 「社員の過重労働を防ぐのはもちろんですが、社内副業が残業管理の回避や過重労働を隠す手法として、悪用されたり批判を受けたりするリスクを回避するために、社労士に相談し、労基署に見解を求めました。その結果、『社外で過度な副業をするより、社内なら稼働状況も見えやすくなる』と評価をいただきました」

このようにして、社内副業の道が開きました。

社内副業スタート〜個人の強みを活かしたキャリア選択〜

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▲社内副業をきっかけに採用担当からオンラインイベント配信事業部へ

社内副業をスタートするためには、準備も必要でした。

労務面では、過度な労働が発生しないように、社内副業ルールの作成が必要です。また税務面では、給与と報酬の適正な処理ができるよう調整が行われました。自部署だけでは解決できなかったため、労務と経理のメンバーに協力してもらい、GRiD事業部は社内副業をスタートさせました。

社内募集をした結果、なんと社員の14%に当たるメンバーが応募。社外メンバー1名と社内副業者15名の体制で運用できるようになりました。

野口 「社内副業スタートの際、他部署のマネージャーから『私の部署のメンバーには社内副業を禁止してください』という声もありました。メイン業務に支障が出るのではないか、せっかく育てたメンバーを他部署に取られるのではないか、という懸念をマネージャーが持っていたからです」

しかし、この懸念は取り組みの広がりとともに払拭されることになります。

野口 「当初はスモールスタートでしたが、取り組みは拡大していき、自部署のメンバーには社内副業を禁止していた部署も、他部署の副業メンバーの力を借り始めるようになりました。すると、力を借りるだけではなく、力を貸すことも許容されるという連鎖が生まれました。

このように、他部署が実践できているのを見て、懸念が払拭されたことも社内副業が加速した要因だったと考えています」

社内副業にチャレンジしたことで、部署を異動した社員もいたといいます。

野口 「ほとんど人と話すことのない、ビルの保守運営の仕事を担っていた社員は、社内のさまざまな人と出会いを作っていくコミュニケーターの副業に取り組みました。実は、この社員は演技経験者で、コミュニケーション能力や司会進行能力が高く、その取り組みはとても好評でした。

結果的にその社員は両部署合意のもと、本人の能力が活かせる部署へと異動し、今では社員総会の司会を務めるコミュニケーターとして活躍しています」

この他にも社員のスキルを活かした副業は、新入社員、中途社員にも広がり、ガイアックスでは多くの社員が副業で活躍しています。

副次的な効果として、社内副業を通して、仕事の相談ができるメンターが他部署にいる環境(クロスメンター状態)が生まれることで、成長しやすい環境も生み出すことができています。

社内副業の成果〜コストの削減と低リスクで新規事業の立ち上げ〜

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▲社内副業を活用し立ち上がった新規事業の取り組みの様子

社内副業の取り組みは、社内に大きな風穴を開けることとなりました。

導入当初の「社員の空き時間を活かす取り組み」という考え方が、取り組みが社内に広がっていくと「社員一人ひとりの独自スキルをうちでも活かしてほしい、という他部署からのニーズが生まれる取り組み」へと変化。そうしてガイアックスでは、自身のスキルを活かして、社外ではなく社内で副業することが浸透していきました。

また、社内副業に切り替えてすぐ、外部スタッフの採用コスト(500万円)や育成コスト、業務委託に関するコミュニケーションコスト(50万円)など、コスト削減という大きな成果を得ることができました。

さらには、社内副業を活用し新規事業立ち上げも行われました。それぞれの強みを活かし、1年経たずして年商1億円超えの事業に成長しています。

野口 「2020年から本格化したコロナ禍で、自社イベントのオンライン化が迫られたとき、動画撮影やビデオ編集ができる人材のニーズがありました。しかし当時は、一切ノウハウがない上に、スタッフを雇用するほどの業務量かどうかの見通しも立たなければ、外部への発注先を見つける知見もありません。どのように進めていくべきか悩みました。

そんな中、マーケティング事業部に所属しているビデオ撮影と編集が趣味の若手社員に、社内副業として仕事の依頼をしました。若手社員のもつ専門性の高いノウハウやアドバイスに加え、プライベートでDJをしている採用担当や、多数のオンラインイベントを開催してきた広報担当も、社内副業で参画してくれることになりました。

その結果、自社イベントのオンライン化にとどまらず、外部へのオンラインイベント配信の新規事業へと発展しました。部署異動しなければ立ち上げできないという状況であれば、新規事業の立ち上げはもっと遅れていたか、事業自体が生まれなかったかもしれません。社内副業だからこそ、短期間で実現できた成果だと感じています」

社内副業で見えてきた、個人の強みを活かす新しい働き方

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▲社内副業によって他部署との交流もより実りあるものになっています

社内副業の取り組みには目に見える成果もありますが、「本当に大切なのは目に見えない成果だ」と、野口は語ります。

野口 「副業をしに行くことで、他部署の状況やメンバーへの関心が高まります。そうすると、部署を超えて、社員のコミュニケーションが活発になります。コミュニケーションの活性化を目的とした社員合宿を行っていますが、それ以上の効果を感じていますね」

社内副業を通して、他部署の人材スキルに敏感になり関心が高まることで、強みを活かす協力の文化も広がっています。

野口 「副業解禁がうたわれていますし、社外副業で活躍するのも悪くないと思います。しかし、社内副業なら、よりオープンでお互いの状況が見えやすい上に、コミュニケーションが取りやすいです。

また、メイン業務がうまくいかなかったり、失敗して落ち込んでしまったときなど、自部署のメンバーには相談できなくても、他部署のメンバーに気軽に相談できる関係性が築けるため、メンタル面においてもケアがしやすくなります」

個々のスキルを活かせる社内副業は、活躍する場を増やすだけでなく、さまざまな可能性を広げます。

また、「社外副業」「転職」「独立」でしか自身のスキルを活かせないという考えから、「他部署で自身のスキルを活かせないか?」という発想の転換にもつながります。さらには、社内副業は自ら積極的にスキルアップに取り組めるため、各部署や本人にとってもWin−Winの関係となります。

これからは社員みんなで、適材適所の人材配置を作っていく働き方にシフトしていく──社内副業の仕組みをバージョンアップし、さらなる発展と多様な働き方をガイアックスは実現していきます。