社員増とコロナ禍による関係性の希薄に危機感──社内広報チーム発足

▲社内広報チーム小野寺と須田

ソニックガーデンは、コロナ禍になる前から物理的なオフィスを持たず、全社員がリモートで働く会社です。それだけでなく、上司や部下という上下関係がなく、社員一人ひとりのセルフマネジメントを重視した「管理をしない」経営を行っています。

そんな当社だからこそ、社内のコミュニケーションを大切にする風土がありました。しかし、社員が増えるにつれ、少しずつ状況が変わっていきました。

須田 「ソフトウェア開発を通して新しい価値を生み出す仕事なので、リモートでもチームで相談して協力しながら成果を出すことが求められます。そのためには、気軽に話しかけたり、相談したりできる“心理的安全性”が高い関係性を築くことが重要ですから、社内のコミュニケーションを大切にしていました。

ですが、社員が増えるにつれ、会社のカルチャーや価値観の浸透が不十分になったり、社員の人となりや仕事の状況が把握しきれなかったりと、経営陣と社員間だけでなく社員同士もコミュニケーションが希薄になっていったんです」

さらにコロナ禍が追い討ちをかけるように、物理的なコミュニケーションの機会を奪うことに。

小野寺 「会社のビジョンを共有する『ビジョン合宿』や、ハッカソンとバケーションを同時に行う『ハッケーション』イベントなどで、物理的に会ってコミュニケーションを取る機会も大切にしていました。

そこで会社のカルチャーを浸透させ、社員の考えを発表することで、お互いを知るきっかけをつくっていたんです。しかし、コロナ禍で難しくなり、どうにかしないとと考えていました」

社員数の増加による関係性の希薄化と、リアルでのイベント開催もなくなる中、チームとして生産性が下がることに危機感を持っていました。

そこで、代表取締役社長の倉貫 義人を中心として、小野寺、須田がメンバーとして加わり「社内広報チーム」を発足。社内コミュニケーションの促進に向けて本格的に活動することになりました。

元祖は「社長ラジオ」──経験をもとに「ソニックガーデンTV」へ

▲身近に感じることでコミュニケーションの誘発となる「SGTV」

社長の倉貫は以前から社内広報を大切にしています。実際、2014年には倉貫が毎朝5分、社員に向けて会社の価値観や仕事の動機づけになる話などを録音し配信する、「社長ラジオ」を始めました。

小野寺 「社員は好きなタイミングで聴くことができるため、社員と社長のコミュニケーションを深めるコンテンツでした」

その後「社長ラジオ」は形を変え、名前を新たに「ソニックガーデンTV(以下、SGTV)」として活動しましたが、社員同士のコミュニケーションを促進するものにはなっていませんでした。そこで、小野寺と須田も加わった社内広報チームの手により、SGTVはカタチを変えていくことに。

SGTVは毎週金曜日のお昼の1時間、社内用YouTubeでリアルタイムに放送しています。そうした中、須田は番組をつくる上で意識したことがありました。

須田 「当社は社員一人ひとりのセルフマネジメントを重視するので、SGTVについても視聴の強制はしていなかったんです。なので、『どうしたら社員の皆さんが見たくなる番組になるか』を意識してつくっていきました」

強制をしないからこそ重要な“自主的に見たくなる”番組づくり──そこで、毎週違う社員をゲストに呼び、テーマに沿ったプレゼンをしてもらうことで、人となりを知ってもらえるコンテンツを用意することに。この新たなコンテンツを小野寺はこう振り返ります。

小野寺 「社員自身が話したくなり、その人柄も伝わるようなテーマであるかを常に考えていて。テーマ決めには私たちも苦心しました……。

また、当初は考えたテーマと人選のミスマッチが起こったこともありました。ミスマッチがあるとプレゼンをする社員は気持ちが乗らないんですよね。結果、その人らしさが引き出せないままプレゼンが終わり、時間が余ってしまうこともありました」

そこでさらに、テーマを複数用意して、ゲスト社員に選んでもらう形式に変更。改善を重ねた結果、今では時間が足りなくなるほど話やコメント欄が盛り上がるまでになりました。その反響は、社員から「SGTVはおもしろい」という声が上がるほど。

須田 「アンケートでも、視聴者の約95%がほぼすべての回を視聴しており、理由も半数以上が『ただ純粋におもしろいから』と、当初イメージしていた“自主的に見たい番組”になっているかなと思っています」

小野寺 「当社は全国に社員がいて、かつリモートなので、実際に対面で会ったことがある人は少ないんです。ですが、SGTVを通してどういう人かがわかるので、以前よりも社員同士のコミュニケーションを促進するだけでなく、当社のカルチャーである『ザッソウ(雑談+相談)』の浸透にも良い影響を与えています」

社長と副社長に普段聞けないことを匿名質問できる「人生相談ラジオ」

▲社員と経営陣の距離を縮める「人生相談ラジオ」

SGTVにより、社員同士のコミュニケーションが活性化する一方で、社員と経営陣のコミュニケーションの課題は依然として残っていました。

そこで、社員と経営陣のコミュニケーションを促進するために企画したのが、月に一度、社長と副社長に対して普段聞けないことを質問できる「人生相談ラジオ」でした。

それは、リアルタイムのラジオ形式で、社員から事前に募集した質問に対し社長の倉貫と副社長の藤原 士朗が回答するもの。質問をあえて匿名で募集したことで、思わぬ効果があったと小野寺はいいます。

小野寺 「匿名なので、まじめな内容だけでなく、『おすすめの漫画を教えて』や『こんなとき倉貫さんならどうしますか?』などの気軽なものまでさまざまな質問が集まりました。

普段は面と向かって聞きづらい質問ができたり、社員が今抱えている不安を打ち明けたりできる場となったことで、潜在的な離職リスクに対応できたと経営陣も喜んでいます」

須田 「社員にとっても、普段はなかなか聞けないような質問ができることで、会社の哲学や経営陣の考えに理解が深まり、会社への信頼感が増したとの声を多くもらいました」

経営陣にとっては、社員の悩みや不安をキャッチアップする機会に。社員にとっては、社長や副社長の考えをより深く理解することで、会社への信頼に。そうして、「人生相談ラジオ」はSGTVとはまた違った魅せ方や方法を取ることで、社員と経営陣をつなぐものになっていきました。

大事な姿勢は社内広報でなく、社内コミュニケーションであること

▲全社発信するSGTV予告はみんなが見たくなるように工夫

全社員リモートワークだからこそ、以前から大切にしていた社内広報。社内広報をする上で大事なあり方を、須田はこう話します。

須田 「ソニックガーデンの社内広報は『社内コミュニケーション』と考えて運営しているんです。広報と社員の境界をわざと曖昧にし、社員に出てきてもらうことで相互にコミュニケーションが取れるので、こうしたカタチの運営を常に心がけています。
そうすることで、社内広報を通して社内のコミュニケーションが活性化できると考えています」

社内広報ではなく、社内コミュニケーション──それこそが、広報から社員への一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションが生まれるあり方の鍵でした。そうした一方で、小野寺は社内広報を通じて、ソニックガーデンらしさを感じています。

小野寺 「今までやってきたからそのまま続けようではなく、常に新しいアイデアがあればとりあえずやってみて、ダメだったら運営ややり方を変えてみよう!という社風なので、企画する側も楽しみながら取り組んでいます。それがソニックガーデンらしい広報かなと思いますね」

今後もソニックガーデンの社内広報は、社内コミュニケーションとして、常にその時々のベストを模索し変化し続けていきます。