中高生の研究をサポート。生まれたのは二人三脚で学び、吸収し合える関係性

アサヒ飲料は、『健康』『環境』『地域共創』をマテリアリティ(重点課題領域)として設定し、それぞれの社会課題への貢献を目指し取り組んでいます。

その活動の一環として、『健康』『環境』『地域共創』の分野において「社会課題に役立ち、未来のワクワクや笑顔を生み出す研究や開発」をテーマに、全国の中高生から研究テーマを募り未来を担う研究者の卵たちをサポートする研究助成プログラム「サイエンスキャッスル研究費」に参加し、「アサヒ飲料賞」を設定しています(企画主催:リバネス社)。

この取り組みは2019年からスタートしており、これまで12チームを採択し助成をしてきました。2020年の「アサヒ飲料賞」では、採択した5チームの中高生を助成しています。

私たちが研究費を支援することに加え、中高生にとっては先輩研究者にあたる、当社研究所で働く社員が、「研究アドバイザー」として各チームに1名ずつ付いて研究をサポートしています。

そんな研究アドバイザーとなった社員が心がけているのは、研究そのもののノウハウというよりも、未知なる事象に取り組む「研究そのものの楽しさ」を伝えることです。答えを教えるのではなく、生徒とともに考え、引き出すことで生徒自身の探求力向上を図っています。

また、中高生は、実際に仕事として研究に取り組んでいる社員から、研究テーマにとどまらないアドバイスを受けられるため、この活動からはキャリア教育の要素も生まれているんです。

私が研究アドバイザーに応募した理由は大きく二つあります。一つ目は、そもそも私自身、研究が好きなので、研究を通じて知らないことを解き明かす楽しさやワクワクする気持ちを、生徒さんたちにも体感してもらいたかったからです。

二つ目は、通常業務では得られない刺激が得られると思ったからです。生徒さんたちは自分が考えてもみなかったアイデアを出してくれるんです。お互いに刺激を得ることができるため、相互啓発になっていると感じます。

私たち研究アドバイザーの専門分野について取り組むわけではないので、生徒さんたちと一緒に未知の分野を考え、取り組んでいけるところも魅力ですね。

私が、研究アドバイザーとしてついているチームは、『健康』への貢献をテーマに、ピーマンの苦み成分を抑えて、子どもたちに美味しいピーマン料理を食べてもらうためにはどうしたらいいかということを研究しています。

生徒さんたちには「研究の筋道の立て方」をお伝えしています。研究をする中で何か情報を調べたいときにどうやって調べるのが最適か、研究結果をもとにどう検討していくべきか、次のステップが見えるよう、研究の筋道を立てるお手伝いをしています。

ロマンから海の研究に没頭。健康機能に意識を向けた研究で価値を届けたい

▲大学時代のサッカー部の仲間と。前列右から3人目

私自身の学生生活を振り返ると、運動ばかりしていました。小学校から2020年の現在に至るまでずっとサッカーを続けているのですが、大学で本格的に研究に携わるまで、サッカー以上に研究にのめり込むとは思っていませんでした。

もともと理系で、海というフィールドにロマンを感じていて、ロマンを求めて大学や研究室を決めたところがあります(笑)。それで、海中の微生物の発酵能力を使って次世代エネルギーをつくる研究をしていました。

研究を進める中で、微生物の力を使って、我々の生活の役に立つ新しいものを生みだすことに魅力を感じるようになりました。ただ、次世代エネルギーという大きな分野ではなく、もっと身近で生活に根ざした部分で価値があるものを届けたかったんです。そのため、就職活動では食品や飲料会社を中心に検討していました。

そこで、基礎研究を自社でしっかり行っていて、その基礎研究が世の中に出ている商品と直接結びついていることを軸に企業の検討を進めていった結果、カルピス社と出会いました。長年にわたり乳酸菌研究を熱心にしていて、その結果が「カルピス」という商品に結びついていたため、私の軸とぴったり合っていると感じ、入社を決めました。

入社してから最初は「カルピス」ブランドなどの嗜好系の飲料を担当していたのですが、だんだんと健康機能素材を活用した商品開発を担当するようになりました。

就職活動時のエントリーシートで「どういった商品を作りたいか?」という質問に対して、「脳の機能を改善する飲料をつくりたい」と書くほど、健康の分野に意識が向いていたので、今はより自分が目指したいと考えていた開発に携われていると感じています。

世の中では健康ニーズが高まっていますので、お客さんが求めているものにアプローチができるような研究開発に取り組めることは、やりがいがありますね。

お客様の視点に立って。未来を見据えつつ、機能とおいしさを両立する

私は研究開発を進める上で、お客様が手に取ったときや飲んだときを想像し、考えをめぐらすようにしています。より詳しく言うと、お客様が店頭に並んでいる商品をみたときにどう感じるのか?口にしたときにどう思うのか?飽きずに飲み続けられるか?など広く考えることが大事だと思っています。

飲みものという性質上、健康ニーズに応えることを目指す上でも、機能とおいしさを両立させるという観点は欠かせません。また継続的に飲んでもらうために、どういう味なら飽きずに飲んでもらえるか、といった要素も重要だと感じています。経験が浅い頃にはまだそういった観点が欠けていて、「機能性が期待できる素材を活用し素晴らしい商品ができた!」と思ったものの、おいしさが充分でなくて困ったことがあります(笑)。

そういったときにグループのメンバーや他の部門の社員の方との試飲は欠かせません。いろいろな視点でアドバイスをもらえるので、非常にありがたいと思っています。また、飲料に限らず世の中に出ている様々な商品を試飲・試食することで、新しい発見があることもあります。そういったことを繰り返しながら試作改良を重ねて、おいしさや飲みやすさを常に追求し続けています。

今後も機能をしっかりと届けつつ、おいしさのバランスをとることで、お客様に継続的に手にとってもらえる商品を生みだしていきたいですね。そのためには、やはりお客様の視点をいつも意識することが重要だと考えています。

また、飲みものを通じた健康を届けるためには、今後の情勢を注意深く見ていく必要があります。

例えば日本では、今後、高齢化がいっそう進んでいく中で、平均寿命と健康寿命の差をどう埋めていくかという課題があると思います。

3〜5年先の未来を見据えた上で、今のお客様がどんな状態になっていることが幸せなのか、未来のお客様からはどんなことが求められているのかを見極め、開発を行っていくことが大切です。

将来を見据えて、日々研究開発を行っているからこそ、プロジェクトの中で未来の研究者たちと関わることにも大きな可能性を感じているのかもしれません。

若き研究者たちと共に見据える将来図。つながりを通じて幅広い視点を養う

▲若き研究者である生徒さんへ定期的にオンランで研究アドバイスを行う

未来を担う若き研究者に対して、興味のあることに関しては突き詰めて考えて、様々な視点で物事を見ることができるようになって欲しいと思っています。

私自身はそうした幅広い視点を持ち続けるためには、新たな視点に気づかせてくれる人とのつながりが大切だと思っています。

私は2年連続で中高生の研究アドバイザーをしているのですが、昨年生徒さんたちの発表が終わった後、誰が指示するわけでもなく、生徒さん同士で研究に対するアドバイスや意見交換を始めたときに、素晴らしいと感じたんです。

興味と熱量をもって、お互いの研究に対して話している姿が本当に楽しそうで、ワクワクしましたね。

こうしたプロジェクトの中で、社会人とのつながりであったり、生徒同士のつながりであったり、ネットワークが生まれていくことで、様々な視点を持つことができ、研究の進め方が変わっていくと思っているんです。

主観的な視点では気づいてなかったような事象が、別の視点で見たときには新発見になっていき、ネットワークが増えることで価値が増えていくと感じています。

また、私個人としては、仕事以外のつながりやコミュニティも大事にしています。学生時代と変わらずサッカーをやっているのですが、サッカーのチームに行けば年齢も環境も違う人たちと話す機会が生まれ、そうした中で気づきやアイデアが生まれることもあるんです。

仕事から離れた場所でのちょっとした雑談が、新たな発想にもつながっていくので面白いですね。こうした経験もあり、全然違うコミュニティに飛び込むことも、新たな気づきを得られるチャンスだと思っています。

もちろん研究はすぐに結果が出るものではないため、うまくいかないことがあっても、そこで心が折れることなく、楽しめるような心持ちも大切です。

様々な視点と楽しむ気持ちを軸に、将来、研究開発を通じて次世代の研究者たちと一緒に社会に価値を提供できるようになっていけたら嬉しいです。