憧れからアサヒ飲料へ。学んだのは相手のニーズを聞くことの大切さ

2020年現在は富士宮市にある富士山工場の総務部長として、総務部門の統括や人事関係の業務に加えて、安全衛生・防災等場内環境整備やCSV活動にも携わっています。

そんな私がアサヒ飲料の前身であるアサヒビール飲料に入社したきっかけは、営業への憧れでした。

昔から飲料を運ぶボトルカーに乗っているお兄さんに憧れを持っていて、自分も「三ツ矢サイダー」や「バヤリース」オレンジなどを自動販売機に投入したり、酒屋さんに商品を卸したりする仕事がしたいなと思っていました。

入社して、仕事をする中で学んだのは、まず相手のニーズを聞くことです。どの職種でも社内外問わず共通する部分ですが、意見の押しつけ合いばかりでは良い話し合いができません。

以前、ルートセールスをしていたときに、自動販売機は売れ筋の商品に入れ替えた方が売り上げが上がるため、その自動販売機を置いている酒屋さんの社長に事前に確認せずに中身を入れ替えたことがありました。

しかし、酒屋さんからするとよく売れる「三ツ矢サイダー」や「十六茶」だけではなく、週に2本3本しか売れないものでも、お客様に必要とされているものも置いておきたいという想いがあったんです。そんな考えを知らないまま、こちらが勝手に入れ替えたものですから、それを後でお伝えしたとき酒屋さんの社長にはひどく怒られましたね。

そこで事前の確認や、ニーズを踏まえての対応が大切だと気付きました。

なので、今も地元地域の人に何を必要としてどんな情報が欲しいのかなどを事前にお聞きすることを意識しています。それによって、我々が提案する内容も変わりますし、取り組みもスムーズに進めることができるんです。また、直に話を聞くことを大切にしています。環境保全などさまざまな活動をしていくと、その活動自体が課題や悩みを聞く機会になるので、なるべく足を運んでいます。

ルートセールスを経験後、支社総務、量販営業、人事総務、経営企画等を経て、2017年9月より富士山工場総務部に異動しました。

正直、内示を受けた時は驚きましたが、その一方でやりがいも感じました。約1年半、経営企画部で仕事をしていて、実現の可否に関する意思決定を身近で見ていたので、物事を実現させることの難しさを感じていました。そういう意味では、富士山工場でのCSV活動にしても人材活動にしても、どう事業として実現させるかを試すいいチャンスだなと思ったんです。

社員の“健康”と“安全”のために──社内から環境を整える

▲富士山工場の社員インストラクターによる「昼トレ!・17時トレ!」で健康増進

総務部の主要業務の中には、安全衛生の活動があります。私たちの工場は人が多く、その動きも活発です。そのため、工場のルールや基準を知ってもらって、すべての人に安全に怪我なく仕事をしてもらえるよう、定期的に表現を工夫しながら伝えるようにしています。

工場内の設備としても怪我につながるような突起物をつくらない構造にしたり、危険の可能性が少しでもある箇所には表示をして視認性を上げ、初めて来た人でも怪我をしない環境づくりを追求し続けています。

また、工場は気温の高いエリアが多いので熱中症への取り組みにも力を入れています。

工場内で毎年5月に熱中症勉強会を実施したり、工場内ではマスクを外せないので、熱中症にならないよう、暑さに配慮されたマスクの配布をしたり。さらに、夏場は社員の適切な水分補給のため、工場内の冷蔵庫に、飲料水を用意しています。

そういった環境づくりにおいては、実際に現場で仕事をしていないとわからないことが多いので、まずは現場の意見を聞くように心がけています。そして自分の足でも現場に出向いて確認します。何かあったら情報を提供してもらえるように、日頃から現場社員との会話を大切にして、関係性づくりをしています。

これらの取り組みは、官民共同プロジェクトである「熱中症予防声かけプロジェクト」が主宰する「ひと涼みアワード」で2018年から、2020年まで3年連続で職場啓発部門の優秀賞を受賞することができました。

このような安全衛生に関する取り組みに加えて、総務として私が推進しているのがアサヒ飲料のCSV活動のひとつである「健康」です。

アサヒ飲料の重点課題領域の「健康」マテリアリティでは「自分も、会社も、世の中も健康に!」というスローガンを掲げているのですが、身近で何かできることがないかなと考案されたのが昼休みや夕方の時間に体を動かすことを目的にした「昼トレ!・17時トレ!」です。

保健師さんと相談をして、“身近で手軽に”をキーワードにしながら短時間でできるものを考えていきました。そこでヨガマットを購入し、大ホールでやったら社員も参加してくれるのではないか?ということでヨガやダンスをする時間を設けました。

現在はコロナ禍で休止中なのですが、体重が減ったとか運動する楽しさを知って富士登山に参加した人もいました。また、登山やランニングが趣味な現場の社員にインストラクターを依頼することで、現場の活性化にもつながったと感じています。

出前授業とイベントの協賛。活動を通じ安全と健康の輪を社外にも広げていく

“安全”や“健康”への取り組みは社内に留まりません。

もともとアサヒ飲料では水や環境の授業を工場見学と合わせてやったり、社員が出向く出前授業をしたりしています。そういった中で、昨今、地元地域の学校から「出前授業をして欲しい」という声が増えているんです。

私たちの工場では近隣の小学校へ工場社員と伺う出前授業を行っています。子どもたちにとっても、水が飲み物になることをわかりやすく親近感を持って知ることができる内容です。

現場の社員が授業に行くと、喜んで帰ってくるんです。「子どもたちがあんなに喜ぶと思わなかった」とか「工場見学のスタッフの気持ちがわかった」とか。みんなに感謝してもらえる仕事をしていると自信を持てるので、多くの社員に参加してもらいたいと思っています。

他にも、地元の工業高校で工場の安全活動についてお話をしています。工場が多くすばらしい企業がたくさんある富士宮市の中で、当社にお声がけいただいているのはありがたいですし、期待も感じています。

私たちは自然の恵みや富士山の地を生かし、豊富な資源を使って飲料を生産しているからこそ、環境保全の取り組みも行っています。一方、水の適切な処理方法やお茶を製造した後の茶カスの処理に疑問を抱く人もいるはずです。

そういった疑問に対して、言葉だけでお伝えするよりも実際に工場に来て、機械が動く様子を見ていただいた方が伝わりやすいですし、学校で教えるのとは違う観点で知ってもらうことができるんです。

一方、『健康』サポートという面では富士宮市で開催されるイベントへの協賛があります。

富士宮市はスポーツが盛んで、スポーツイベントが頻繁に開催されています。そこで、飲料水の提供という形で協賛し、地域貢献に取り組んでいます。

富士山工場で主に製造している「アサヒ 十六茶」や「アサヒ おいしい水」、最近では「ウィルキンソン タンサン」などを提供することがあります。また熱中症対策に適した「アサヒ スーパーH2O」も製造しているので、こういった飲料はスポーツ大会の協賛にちょうどいいんです。

こうした活動以外にも富士山麓の環境保全活動や、静岡支店の営業チームと協力した上で、「企業版ふるさと納税」を通して富士宮市の子育て支援を行うNPO法人と協業し、子育て中のお母さんを工場見学にお呼びする活動もしています。

『地域共創』活動にはメンバーが一生懸命取り組んでいますが、会社としてもCSV活動に対して積極的に取り組んでいるので、私たちも発信しやすいんです。そういった点では、これまで取り組んできたことが今につながっていますし、価値がある活動ができていると思います。

参加意欲を高めるためには、繰り返し活動の重要性や必要性を発信することを意識しています。また、ただ文書を発信しただけでは多くの工場社員の心に残りにくいので、視覚的にも情報がわかるようにしています。このような取り組みも徐々にマンネリ化してきてしまうので、毎年変化させながら伝え方を工夫しています。

工場での取り組みで感じる難しさと喜び。活動を通じて幅広く商品を届ける

さまざまな取り組みをする上で難しさを感じるのは、工場ならではともいえる勤務時間の違いです。

富士山工場にはアサヒ飲料の社員は200人ほど、倉庫・物流業務を担うグループ会社を合わせると300人ほどの人が働いています。そして、工場にはオペレーターと事務所スタッフのように3交代で働いている社員と日勤の社員がいるので、情報発信の仕方や提出期限の決め方など、そうした部分の配慮の仕方には難しさを感じています。

そうした難しさがある一方で、嬉しい出来事もあります。2019年に富士宮市の市長さんが行ったスピーチの中で、当社の積極的な環境保全活動への参加と、飲料提供について話題に出して感謝の意を述べてくださったことがあったんです。これまでの積み重ねがこのようなスピーチにもつながり、アサヒ飲料を皆さんに知ってもらうきっかけになったと思うと嬉しくなりましたね。

飲料水を扱っている特権かもしれませんが、なるべくさまざまな活動に参加して、幅広く様々な方に商品をお届けすると、喜んでもらえることがひとつのやりがいにつながるパラメーターにもなります。

この仕事をしている醍醐味をよく聞かれますが、やはり自分たちが一生懸命つくっている商品を飲んでいる姿を目にしたり、「あの商品おいしいよね」と言ってもらえたりすると、頑張って取り組んできて良かったなという気持ちになります。自分たちの工場でつくって、自信と愛着を持っている商品ですので、お客様の手に届き、おいしいと喜んでもらえるのは本当に嬉しいですね。

今後の目標としては、工場の中でも総務の主幹業務は安全衛生と、環境保全、人材育成、物流などがありますから、これまでの活動を継続しながら、ひとつひとつのステージを上げていきたいです。

そして、CSV活動は現場社員も含めてより参加できるようにしていきたいです。ただ、闇雲に参加回数を増やすのではなく、みんなが何かしらに参加したことがあり、その意義を実感してもらえるような工場にしていきたいですね。

そのためにも、現場社員も参加しやすい活動の提示や今までやっていない活動にも取り組み、富士山工場のCSV活動を広げていきたいと思っています。