エンジニア一人ひとりの成長を願いながらタスクをアサイン

▲エンジニアとして八面六臂の活躍をしてきた溝内 崇。4年連続で社内アワードを受賞

昨年リリースした「自律支援型ネットワーク運用自動化サービス」。このサービスをPMとして支えている溝内崇は、お客様との窓口としてサービス内容の説明から要望のヒアリングや要件定義までを担い、サービス提供に向けてタスクをメンバーに振り、全体のスケジュールを管理します。

共に働くチームメンバーは6人。昨年新卒で入社した若手からテクニカルエバンジェリストまで、スキルもキャラクターもさまざまな幅広いメンバー構成。PM歴は9カ月とまだ新米ですが、15年のエンジニア歴で培った経験や知見を生かし、チームの要としてメンバーからもあつい信頼を寄せられています。

そして、PMとして短いながらも濃い9カ月を経て、今、溝内が心掛けていることは、「メンバーが手持ち無沙汰を感じたり、どう動けばいいか迷ったりしないよう、メンバー一人ひとりに合わせてタスクを割り振ること」です。

溝内 「私が新人だったときのことなんですが、抽象的なタスクを振られても自分なりに解釈してどんどん進めていく同期のメンバーがいました。でも自分はそれができなくて、タスクは進まないし自信を無くすし……と、とても悩んだ時期があったんです。

このチームは若手からスペシャリストまで幅広いメンバー構成なので、画一的な指示の出し方をすると昔の自分のような想いをするメンバーも出てくるかもしれない。逆に、細かすぎてうるさいと感じる人も出てくるかもしれない。

なので、エンジニア一人ひとりの理解度や解釈する力を見極めて、それぞれのメンバーが一番力を発揮できるような指示が出せるように心がけているんです」

この根底には、一緒に働いているエンジニアに対するこんな想いがあります。

溝内 「一緒に働いているエンジニアには、いち技術者としてできるだけ成長してもらいたいんです。できることだけをやっていたのでは成長はありません。

なので、とくに若手エンジニアには本人が経験したことのないタスクをどんどん振るようにしています。おのおのに合わせた背伸びしたタスクを振るので、振られた方は楽ではないと思いますけどね」

悩んでいる様子を察すれば、放置せずに声をかける。そうした細やかなサポートは、コロナ禍によるリモートワークになってからも健在です。

溝内 「みんなでいろいろ試した結果、今はメンバー全員でGoogle Meetsをつなぎっぱなしにするところに落ち着いています。雑談もできてコミュニケーション量が増えましたし、若手にとってもチャットで質問するよりもハードルが下がるようで、今のところうまくいっています」

今もベースになっている、上長からの貴重な教え

溝内がITに触れ始めたのは大学に入ってからでした。

溝内 「大学では知能情報システム学科で、主にプログラムやコンパイラ(人間が書いたプログラムを、機械が実行できる形式に変換するソフトウェア)などを学びました。

この学科を選んだのは『プログラミングをしたい!』『ITに携わりたい!』という前向きな興味などではなく、『手に職を付けたい』という保守的な想いからでした」

大学卒業後、無事にSIerへ就職。案件割合がアプリ開発8割、ITインフラ2割というこの会社で、プログラムを学んできた溝内はアプリ開発ではなくITインフラを選択しました。

溝内 「入社後の研修でITインフラの重要性を知り、興味を持ち始めたのがきっかけです。その会社ではITインフラエンジニアの数が多くなかったので、マジョリティのアプリ開発よりもマイノリティのITインフラの方が、出世しやすいんじゃないかと思ったんです(笑)」

 ※ITインフラとエンジニアの仕事についてはこちらをご覧ください
 INSIDE APC:ITインフラとITインフラエンジニアの仕事

溝内の最初の配属先はインターネット回線のコールセンターで、電話対応や契約業務、障害対応などの定型的なオペレーションを担当。とくに障害対応では「チーム全体のバランスを見ることの重要性」を学びました。

溝内 「障害には“みんながやりたがるテッキーな花形の障害”とそうでない“地味な障害”があったんですよね。どちらもきちんと対応しなければならないことですが、私も最初のころは、経験値の付く花形の障害をやりたがっていました」

そんなとき、上長が『自分のやりたいことばかりやっていたら、仕事はうまく回らない。全体がうまく回るようにバランスを取りなさい』と溝内を諭します。

溝内 「ハッとしました。その後、シフトリーダーを担当し、全体を見る立場になったんですが、とくにこの言葉の重要性を感じて。今でも胆に銘じています」

判断基準は自分のやりたいことではなく、チームにとって必要なこと

▲Japan Container Days v18.04での登壇の様子。100名の定員が満席となり立ち見も出るほど

当時、業務を続けている中で、将来に対する危機感を覚え始めた溝内。その危機感から自主的に勉強したり資格を取ったりするようになりました。こうした姿勢が認められ、運用業務を担うチームに異動。

運用業務での経験を積むうちに、徐々に芽生えてきたのは「上流工程(設計・構築)も経験してみたい」という気持ち。しかし、異動願を出すもなかなかかなわず、これを機に他の会社も見てみようと転職を決意しました。

APCへの入社後は、マイクロサービスの検証や監視システムの構築、AWSによる開発環境の設計構築などを経験。この間も常に危機感を持ち、自己研さんを欠かしませんでした。

溝内 「入社後、とくに危機感を覚えたのは、ある案件でAPCの他チームのメンバーと一緒に仕事をしたときでした。エンジニアとしての圧倒的なレベルの差を見せつけられ、『このままじゃやばいっ!』と思ったんです。

それからは、社内大学「APアカデミー」を活用したり社外の勉強会に参加したりして、手当たり次第に勉強しました。これによって技術力が付いただけではなく、社内外のエンジニアとのつながりという副産物も得ることができたんです」

こうしてスキルを磨いた溝内は、2018年に総合職からプロフェッショナル職(以下、プロ職)へ職種を変更。「Developers Summit 2018」や「Japan Container Days v18.04」といったITエンジニア向けのイベントで100~300人を前に登壇を果たし、社内外で活躍していました。

そして今年、溝内は「自律支援型ネットワーク運用自動化サービス」を担当するチームへの配属を機に、職種をプロ職からプロジェクトマネージメント職(以下、PM職)へと変更。「技術を極めたい人はプロ職、案件管理を強みとする人はPM職」というイメージがあるため、この変更を意外だという声もありました。

溝内 「私自身がどんな役割を担うかはあまり重要じゃなくて、それよりもチームや案件がうまく回ることが大事なんです。そのために自分がどのポジションを担うべきかを決めています。

前回プロ職になったときは、実は管理職を目指していました。ただ、メンバーのいないひとりチームだったので管理職は不要。であれば、技術をけん引できるようになった方が今後のチーム拡大に有用だろうと考えて、プロ職を選んだんです。

今のチームには管理職もテクニカルエバンジェリストやプロ職メンバーもすでにいたので、今自分が担うべきはPMだと考えて職種の変更申請をしました。もしこのチームにプロ職がいなくてPM職がいたならばプロ職のままだったし、管理職が足りなければ管理職になっていたと思います。

コールセンター時代に刷り込まれた『チーム全体のバランスを見ることの重要性』という教えが、今も生きているんでしょうね」

それぞれの役職を思いやる、溝内が見つめるこれから

▲PM職が集まりAPCとしてのPMの在り方を議論したり、業務の悩みを共有する場も

溝内にはもうひとつ心に刻まれている言葉があります。

溝内 「『PMの気持ちがわからないプロ職は有害でしかない』これは以前プロ職の同僚が言っていた言葉です。彼曰く『技術は対価をいただけるようにしないと価値がない。対価をいただくには案件をうまく進める必要がある。

もしプロ職がチーム全体のことを考えずに技術のことだけを考えて暴走すれば、チームはうまくいかない。だからプロ職といえどもPMの勉強をしないわけにはいかない』と。逆もまた然り。私は常にこの言葉を心に留めています。

管理職・エンジニア・PM、それぞれの職種が自分の守備範囲だけしか見てないと、案件はうまく回りません。三位一体になってこそスムーズに進む。管理職でもPMでも「技術はエンジニアに任せておけばいい」というのは違うと思うんです。だからこそ、PM職になった今も技術の勉強は続けています」

担当しているサービスの性質上、お客様も技術的な知見を持った方が多いため、ヒアリングや提案を行うにもエンジニアと同等の技術的な知識が必要になります。しかし、エンジニアとは違い、自ら手を動かす機会は減ってしまうため、溝内は積極的な情報収集を心掛けています。

溝内 「最新の情報を正確にキャッチアップするには、海外からの情報は必要不可欠です。しかし、日本語に翻訳されるころには最新ではなくなっています。

なので、情報収集のために英語を勉強しています。後は、PMとしてはまだまだ駆け出しなので、そちらのスキルもレベルアップさせていく必要があると思っています」

溝内には、いずれは自分でプロジェクトや事業部をつくりたいという想いがありました。

溝内  「これまではお客様のシステムの運用や設計構築をやってきました。そしてこのチームでは、自分たちのサービスをゼロからつくりあげるという仕事をやらせてもらっています。

今は徐々に膨らませていくフェーズに入りましたが、これから先のフェーズもすべてが初めて尽くしです。こういった一連の経験が、将来の夢を実現するためのアクションになっていると感じています」

溝内のように、必要に応じて役割をスイッチするというのは、誰にでもできることではありません。ただ、お互いの役割に想いをはせることは誰にでもできることではないでしょうか。普段忘れがちなこの「お互いの役割に想いをはせる」を、あらためて心掛けてみませんか。