大きなトンネルを設計図に相違なく作り進めていくのが最大のミッション
私は今、アーキ・ジャパンから大手ゼネコンに配属されていて、大規模トンネル工事の施工管理の仕事をしています。
このトンネルは、現場全体の中でも難所と言われており、私が配属される4年ほど前から工事がスタートしました。開通まで今後5~6年ほどかかる長期にわたる工事です。
そのトンネル工事の中でも、私が携わっているのは主に覆工(ふっこう)コンクリート施工の部分。これは、掘り込んだトンネルの表面が崩れないようにコンクリートで覆う作業工程です。移動式の型枠であるセントルを使って生コンクリートを流し込み、トンネルに沿ったアーチ状のコンクリート構造を作り出します。
1ブロックずつ掘り進めては覆工コンクリートで固めながら工事を進めていくため、現在は全長約2,900mあるトンネルの、約700mの付近。まだ4分の1ほどの進捗なので、あと100ブロック近くは必要という状況です。それでも、1ブロックが完成していくたびに達成感があります。
この工事現場の中での私の仕事は、施工管理職として、作業員さんとコミュニケーションを取りながら施工状況を逐一確認し、測量や立ち合い試験をもとに、設計図通りに作られているかをチェックすること。
トンネルという大きな構造物でも、少しの施工誤差が重なれば大きな失敗につながりかねません。私に求められているのは、設計値通りに十分な品質で施工して、しっかりとしたトンネルを完成させることです。
私が配属されている大手ゼネコンでは、10~15人程度の社員が現場に常駐しています。この現場には若い世代も多いので、話しやすくて働きやすい環境です。一緒に働く作業員さんとも、隙間時間にはプライベートな話が弾むこともあって、トンネル工事という緊張感のある現場の中でも和やかな雰囲気があります。
また、非常に規模の大きな工事なので、現場には常に、建設会社の社員と作業員さんたちを含め、100~200人程度の人員がいます。今は工事の状況が一度落ち着いて、若干人数も減っていますが、今後また佳境に近づくと、現場の中も人が増えて慌ただしい雰囲気になります。
父の言葉が土木への道を開き、ゼミでの学びが社会人への自信につながる
私は、小さなころからレゴブロックなどで何かを作り上げることが好きでした。それを見ていた父は、私によく大きな橋の写真などを見せて詳しい話を聞かせてくれました。父は建設系の仕事についていたわけではありませんでしたが、土木系の分野の知識量が豊富だったんです。
大学は土木工学科に進学しましたが、子どものころの父との出来事が進路を選んだきっかけの一つです。大学では、構造力学や水理学など、土木全般に関わる基礎を学びました。
4年生になるとゼミに入るのですが、正直に言うと、所属することになったコンクリート学のゼミはたまたま行きついた先でした。しかし、試験などを行いながらコンクリートの性質について1年間学んだことは、現在の仕事に活かされているので、結果的に非常に良かったと感じています。
また、ゼミ活動は自信を持つこと、そして相手の視点で考える意識にもつながりました。ゼミではゼミ生や先生の前で発表する機会が数回あったんですが、初めはパワーポイントの資料を見やすく作ることもできない上、わかりやすく伝える対応力もありませんでした。
そんな中で、先輩から資料作成のコツを、ゼミの先生からは話し方を教わり、少しずつ自分の未熟な点を改善していきました。その結果、発表で先生や大学院生から高評価を得ることができたんです。発表を通じて「どう伝えれば相手に伝わるか」という術を学び、できないものができるようになった経験からは自信を得ました。
その後就職活動をスタートしましたが、初めは建設業界を中心に見ていました。ただ、怪我をしたことで、就職活動に出遅れてしまって……、内定を得ることができず、他に興味のあったクルマに関連する仕事も見るように。しかし、そこでも条件に合うところが見つかりませんでした。
そんな経緯から就職先が決まらず悩んでいたときに、エージェントが紹介してくれたのが、アーキ・ジャパン。第一印象としては、これまでの学びを活かせる仕事ができることと、将来のキャリアの広がりに魅力を感じました。
というのも、大学で学んだと言っても、卒業してすぐ実際に施工管理として働くスキルはありません。その点、アーキ・ジャパンは研修制度が充実しているので、一旦学んでから現場に出られるところに興味を惹かれたんです。
また、面接も印象に残っていることの一つ。かたい雰囲気での面接を想像して臨んだのですが、いざ行ってみると話しやすく、プライベートや自分の人柄に関することも聞いてくれるような面接でした。こうした点が、入社を決めた理由でしたね。
実際入ってからも、入社前の印象は変わっていません。研修の時も「施工管理として、どんな知識を身につけたらいいのか」をイチから丁寧に教えてくれましたし、研修での学びは現場で生きています。本当にわかりやすい講義だったので、あらためて振り返っても本当にアーキ・ジャパンを選んで良かったなと思っています。
先輩に助けてもらったからこそ、次からは「ミスしたくない」気持ちが強まる
今の現場に来てから、印象に残っていることがあります。それは、現場の方や共に働く人の優しさです。
最近、いつも私をフォローしてくださっていた先輩が夜勤になってしまい、自分が一人で対処することになったのですが、経験したことのない作業内容が出てきて立ち止まってしまいました。そこで悩んだ末に先輩に電話したら、「今から行く」と言って駆け付けてくれ、すぐに助けてくれたんです。本当に嬉しかったですし、感動しましたね。
先輩自身も忙しいのに来て教えてくださったからこそ、その場でしっかりと学んで、次は自分一人でできるようにしたいという気持ちが強まりました。一度ミスをしたとしても、次は絶対にミスをしないという気持ちを大切にして、日々働いています。そのために、先輩の話していることを録音させてもらうこともあります。手書きのメモでは聞き逃してしまうこともありますが、動画や音声があればあとで見返せるんです。
こうした先輩からの指導や研修によって技術や知識は身につきますが、それらが実際に身についたと感じたのは、先輩が夜勤になり、1人での仕事が増えてからです。それ以前は先輩の指示のもと動くことが多かったんですが、それが1人になり、自分で判断する必要が生まれたことで、自分1人では解決できない事態に陥る場面も出てきたんです。
先ほどもお伝えしたとおり、先輩は優しいので、聞けば答えてくれますし頼ることも多いのですが、いつまでも先輩頼りではいけないという想いも同時にありました。とはいえ、わからないまま進めれば、失敗してしまいます。
そこで、「当たって砕けろ」の精神で、作業員や社員の人たちに自分から聞きに行くようにしたんです。それまで先輩の指示で動くだけだったところから、自分でだんだん流れがわかるようになってきたのは、こうしてより能動的に動くようになってからです。
「次はこうなるはず」と予測できるようになってきて、今は徐々に乗り越えられるようになったと思います。人に頼ることも大事ですが、頼らずに初めて自分だけで動かせた週は達成感が大きかったです。
いつかは、自分の専門をさらに活かせる都心のシールドトンネルに携わるのが夢
今の工事に携わって感じているのは、トンネルのような大きな構造物の一部として実際に作ったものが、図面の数値と寸分たがわずに一致した時の達成感は本当に大きいということ。それが建設業の醍醐味ですね。
もちろん入社する前は、いわゆる3Kと呼ばれる「汚い・きつい・危険」という建設業のマイナスのイメージもあって不安に思うこともありました。しかし、現場に入ってみると、それよりも大きな達成感と、現場での楽しいコミュニケーションがあるので、自分が思い描いていた建設業のイメージは今では払拭されています。
実際、今の現場にいる人は幅広い年齢層ですが、ノリの合うような人が多くて、仕事終わりに食事に行くこともあるくらい、コミュニケーションがとりやすいです。関係を築くために仕事の話はもちろん、プライベートな話も含めて、意識的にコミュニケーションの機会をとりに行っているんですが、おもしろい話をしてくれる人ばかりです。現場が楽しいからこそ、仕事も楽しく感じます。
実を言うと、私は配属先を決める際に、初めは都心のシールドトンネルや都内の工事で、大きな現場を希望していたんです。結果として都内ではありませんでしたが、運よく大手ゼネコンに配属され大きな現場を経験できたことは貴重な機会でした。何より、後悔もなく、前向きな気持ちでいられるのは、現場の雰囲気が良かったからだと思っています。
約半年ほど働いてきて、アーキ・ジャパンの魅力として感じているのは、一人ひとりになんでも相談できる担当者がついてくれること。何かあったら相談しやすい環境がある点は、働く上での安心感そのものです。担当者が現場に何回か訪問してくれて、現在の状況などを把握していてくれるので、本当に信頼しています。最初のころは不安も多く、何回か相談したのですが、毎回とても丁寧に対応してくれました。
現在は山岳トンネルを担当していますが、将来的には都心でのシールドトンネルの現場を経験してみたいです。これは掘削する機械を使って地中を掘り進めていく工法で、地上にすでに多くの建物がある都市部のトンネルに多く用いられています。大学のゼミの内容はシールドトンネルを想定したものだったので、より自分の専門が活かせるはずです。いくつもの経験を重ねることで、トンネル施工なら篠崎と言っていただける存在になりたいと考えています。
そしてこれからのキャリアを考えると、土木施工管理技士の資格を2級、1級と取得していって、大きな現場全体を管理できるようになりたいですね。建設業はこの先も必要とされる仕事です。その中で、人に頼られる技術者として成長していきたいと思っています。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです