未来の防災事業の創出がミッション。復興デザイン研究にも意欲的に参加

▲復興デザイン会議全国大会にて(コメンテーター対応)

自社航空機を保有し、航空測量や土地測量を通して、環境保全や防災などのコンサルティングサービスを提供するアジア航測株式会社。

牧は、同社の経営本部・西日本企画室の室長として、主要株主様との連携、技術企画・開発、西日本支社の事業継続対応などに取り組んでいます。

牧 「西日本企画室は、西日本地域における社内外の企画対応を行っています。社外については、お客様のご要望に対して、その背景にあるものや当社の持つ技術をどう活用できるかを探りながら、社内のどの部署の誰が適任かを検討して、企画・提案を進めていきます。社内を横断して段取りを整えるので、人と人をつなぐ場面が多いですね。

また、当社は以前から災害対応にも力を入れてきましたが、復興を意識した災害対応が重要であることから、復興デザイン研究にも取り組んでいます」

復興デザイン研究とは、大学のさまざまな分野の研究者と民間会社が参画するプロジェクトのこと。災害に備えながら、次世代の都市・地域・国土像について考えています。同社からは、2014年から牧らが研究員として参加し始めました。

牧 「プロジェクトの中心となる大学の報告会に参加し、コンサルタントとしての取り組みを紹介したり、被災経験がある地域に学生や教授をご案内して、被災者も交えながらディスカッションするツアーを企画・実施したり、試行錯誤しながら色々な取り組みをしています」

復興デザイン研究に対して、よりいっそう貢献したいと考えた牧。アジア航測の得意分野である火山をテーマにした復興デザインプロジェクトを立ち上げました。

牧 「災害からの復興を経験された方を大学側に紹介するなど、西日本企画室の仕事と同様、復興デザイン研究においても、人と人をつなぐ仕事が多い気がします。最終的には、行政も交えながら復興を意識した防災のあり方について考えていきたいですね」

「会社の得意分野を活かして、復興デザインにどう貢献できるかを考えるのがミッション」という牧。防災の未来を切り拓くべく、日々の業務に取り組んでいます。

災害現場を目の当たりにしたことを機に、防災システムの開発に関わるように

▲湖での調査(学生時代)

高校のときに興味を持った地学を大学でも専攻した牧。情報処理やプログラミングを学びつつ、太陽の黒点観測や湖の環流要因調査、地質調査などを行いました。学生時代はアジア航測の社名すら知らなかったと振り返ります。

牧 「姉に『こんな会社があるよ』と教えてもらって。さっそく就職博覧会に出かけ、アジア航測のブースに押しかけました。かねてより興味があった遺跡調査もやっている会社だと知り、『この会社に入りたい』と思ったのが入社のきっかけです」

入社後、防災地質課に配属された牧。仕事をしながら防災のいろはを学び、スキルを身に着けていきました。

牧 「砂防の部署で、国や県から発注された案件を担当しながら、資料収集、分析、解析、報告書作成などの基礎を学びました。その後、先輩と現場調査に行くようになり、渓流や斜面を調査したり、雨量計の配置計画などを担当したりしていました」

そんな中、入社5年目に転機となる出来事が起こります。平成11年の広島県豪雨災害です。

牧 「初めて発生直後に被災地に行きました。土砂や大きな石が残り、壊れた家がある中で住民の方にヒアリングをすると、『まさかこんなことが起きるとは』『川の増水を見ていたら後ろから土砂が来た』など、過去の災害でも聞かれた話が多く、これまでの事例が活かされていないと痛感したんです。

同じことを繰り返さないためには、住民の方が事前に避難できるように、必要な情報を必要なタイミングで届けなくてはいけない。この経験を機に、雨量や災害情報を一画面で集約できるシステムやハザードマップ作成に携わるようになりました」

このとき感じた想いが、現在の復興デザイン研究にもつながっているという牧。 過去の経験を活かす防災の取り組みにも手を広げていきたいと意欲を見せます。

牧 「日本の国土は南北に長く、気候や地形条件も様々なので、災害のリスクは地域ごとに異なります。また、土砂災害は毎年のように発生していますが、火山は噴火から次の噴火までのスパンが非常に長く、同じ火山で同じ噴火現象や災害が発生するとは限りません。土砂災害も火山災害も、過去の災害事例を防災につなげるのは簡単ではありませんが、だからこそ、当社として復興デザインに関わることに意義があると考えています。

当社は、もともと戦後復興時に地図を作る仕事から始めた会社ですが、私の経験した砂防分野での災害対応は、応急・復旧が主体でした。今後は当社がこれまでに培ってきた知見と経験を活かし、復興を意識した防災にも積極的に貢献していきたいと思っています」

管理職に戸惑いながらも、力強い同志の存在がモチベーションに

▲渓流調査中の牧

雨量・災害情報伝達システムの設計や渓流・斜面調査に奔走し、2011年からは外部へ3年間出向。専門業者へ発注する立場として、プロジェクトを立ち上げる経験を積みました。さらにその3年後、管理職へ昇進すると同時にライン管理職となりました。

牧 「出世することに無頓着だったので、管理職になることに戸惑いはありましたが、『これからは、会社の方針を自分の部署の業務にどう落とし込んでいくのか、部下にどう伝えどう実現するかを考える立場に変わるんだ』と自分なりに認識しました。昇進を機に、様々な場面で『会社としてどうすべきか』ということをこれまで以上に意識するようになったと思います」

管理職として会社全体を見渡すことを意識するようになったことで、改めて会社の底力を実感したと話す牧。中でも印象的だったのが、平成30年の西日本豪雨災害でのことでした。

牧 「被災現場が岡山県、広島県、愛媛県など広範囲だったため、上空からの写真撮影、レーザー計測などの依頼が各所から殺到しました。航空機を何度も飛ばす必要があるなど、対応に追われましたが、航空部が急な依頼にも『行けます!』といってくれて。その言葉がとても頼もしく、心強かったことを覚えています」

牧が携わった災害対応のプロセスは、被災地を上空からレーザー計測し、被災前の地形と比較することで復旧に必要な撤去土砂量を算出するというとても時間のかかる作業です。ところが、復旧工事を1日も早く開始したいと考えるお客様は、非常に短い納期を希望していました。

牧 「当初は不可能と思われましたが、各部門が連携した結果、3日間でやり遂げられたことに驚きました。航空機で計測したデータを営業担当が受け取って新幹線で会社に持ち帰り、24時間体制でデータを処理した後、技術部門に引き継いで土砂量を算出して……。アジア航測は本当にすごい会社だなと思いました。私自身は調整しかできませんでしたが、関わって下さったすべての人達に対して、今でも敬意の念に堪えません」

この経験は、牧のモチベーションの源泉にもなっているといいます。

牧 「人は自然の力に敵いません。それでも、災害に直面するお客様のニーズに対して、アジア航測として、個人として、全力で応えたいという想いが私の根底にあります。平成30年の災害対応では、志を同じくする仲間が社内に多くいることを実感できました。そんな頼もしい同志と任務を遂行することが、今の私のやりがいです」

コミュニケーション力を武器に、これからもコンサルタントであり続けたい

▲休暇で訪れたペトラ遺跡の前で

入社以来、がむしゃらに駆け抜けながら、気がつけば今日という日を迎えていたという牧。「出会う人に恵まれた」と振り返ります。

牧 「アジア航測ってどんな会社?と聞かれたら、『嫌な人がいない』と即座に私は答えます。良き上司や後輩に恵まれ、各分野のスペシャリストから多くを学びながら成長できたと思っています。とくに私がお仕事を一緒にしている方はフットワークが軽く、前向きな方ばかり。皆さんのおかげで仕事を遂行できているし、復興デザインの活動もどんどん広がっています」

また、風通しの良さ、女性が活躍しやすい環境があるのもアジア航測の魅力だという牧。

牧 「若いうちから自分の裁量で仕事をさせてくれる自由度があるし、どんなことでも気軽に上司に相談できる風土があります。外部出向など、いろいろなことに挑戦させてくれる会社です。女性登用についても、昔から女性管理職がいましたし、私自身、仕事をする中で性別を意識したことがありません」

そんな牧が仕事をする上で大切にしているのは、コミュニケーションだと語ります。

牧 「日頃からコミュニケーションをきちんと取ることをとても大切にしています。対面することが減った最近は、誤解が生じないよう、とくに丁寧なやりとりを心がけるようになりました。

他方で、ここぞというときは大胆に行動するときもあります。以前、どうしても協力を仰ぎたい方が東北に長期滞在していると聞いて、面識もないのに、突然電話でアポを取って押しかけたことがありました(笑)。課題解決は、絶対にひとりではできないので、多くの専門家を入れて議論するのが近道です。そのためのつながりを作ることは大事にしたいと思っています」

そうやって人との縁を紡いできた牧が理想とする自身の未来像は、コンサルタントであり続けること。

牧 「社外に対してだけでなく、社内においても、人と人をつなぐコンサルタントでありたいと思っています。どの部署のどの人が何が得意で何を考えているかを把握し、それぞれが力を発揮するために、どうしたらいいかを考え続けていきたいですね」

柔和な笑顔のすきまから垣間見える信念。牧はこれからも今の場所で、人と人とをつなぎながら、防災の未来を拓いていきます。