「犬と人間では快適な温度が異なる」ペットを飼う女性が抱えていた悩み

article image 1
▲2匹の愛犬とともに暮らす松浦利恵子さん

埼玉県さいたま市にあるマンションで2匹の愛犬と暮らしている松浦利恵子さん。日中は茨城県古河市の実家近くにあるクリニックで勤務しているため、ご両親に愛犬たちを預けています。もともと実家で飼っている2匹と合わせて4匹のワンちゃんが、松浦さんの実家で多くの時間を過ごしているのです。

そんな松浦さんが、実家に地中熱システムを導入したのは2016年12月のこと。「実家で暮らす両親も愛犬も、みんなが快適に過ごせる環境を整えたい」という思いからでした。

地中熱システムを取り入れてからは、愛犬とともに満足のいく空間で過ごすことができていると話す松浦さん。しかし以前は、部屋の温度調整に対して、大きな悩みを抱えていたといいます。

松浦さん 「1番の悩みは、人と犬は快適と感じる温度が違うので、どちらに合わせたらいいんだろうということでした。犬のほうが人よりも低めの温度を好むので、犬に合わせると私を含む家族が寒いと感じていましたし、涼しいからとエアコンを消すと、犬は暑さでぐったりとしてしまっていたんです」

子どものころから動物が好きでペットと暮らしてきた松浦さんにとって、愛犬も大切な家族の一員です。

なかでも生後2ヶ月のころから共に過ごしてきたマルチーズの女の子は、2017年現在14歳で、人間にたとえると72歳くらい。ちょっとした環境の変化でも体調を崩す恐れがあり、少しでも適切な温度にしてあげたいと考えていたのです。

松浦さん 「とはいえ、何かいい方法が見つかるわけでもありませんでした。一般的なエアコンや扇風機、ストーブといった手段では解決することが難しく、不便さを感じつつもどうすればいいのかわからないという状況が続いて……。ずっとモヤモヤしていました」

温度の問題に加えて、松浦さんの心配の種になっていたのが、“電気代”です。

愛犬のことを考えると、夏は留守中でもエアコンと扇風機を24時間つけっぱなしにしておく必要があり、どうしても電気代が高くなってしまいがち。とはいえ、エアコンを消してしまっては、愛犬が暑さで苦しんでしまいます。

そんな問題に頭を悩ませていた松浦さんに訪れた転機が、勤務先のクリニックに導入した地中熱システムとの出会いだったのです。

「クリニックに行くと気分が良くなる」患者さんたちに起こった変化

article image 2
▲松浦さんが勤務する「おかもと腎クリニック」(茨城県古河市の分院)

松浦さんが勤務するのは、埼玉県桶川市と茨城県古河市にある『おかもと腎クリニック』です。このクリニックでは、慢性腎不全という腎臓の病気を患っている患者さんに対して、透析治療を行なっています。ちなみに、この病気の患者さんは、1回約4時間の治療を週に3回受けなければいけません。

患者さんにとって週に12時間となる治療は、食事と同じように生きていくうえでは避けられないもの。だからこそ、このクリニックでは、患者さんに少しでも快適に過ごしてもらいたいと、ビデオオンデマンドサービスの導入をはじめ、さまざまな工夫をしていました。

しかし、患者さんから寄せられる要望のなかで、「空調」に関するものだけは、なかなか解決に向かうことができていなかったのです。

松浦さん 「寒い、暑いといった温度の問題に加え、風が当たるので改善してほしいという声が寄せられていました。というのも患者さんが寝ていらっしゃる頭のうえに、エアコンの吹き出し口があったため、風が直接当たってしまっていて......。特に冷たい風は、ずっと当たっていると、寒く、不快に感じるという人が多かったんです」

そんなとき、松浦さんが出会ったのが、アグリクラスターの「地中熱」を活用した空調システムでした。

地中熱とは、地表からおよそ地下200メートルの深さまでの地中にある熱のことをいいます。

このうち、深さ10メートルより深い地中の温度は、季節や時間帯を問わずほぼ安定しているため、夏は外気温に比べて冷たく、冬は暖かい性質があるのです。

松浦さん 「地熱発電は聞いたことがありましたが、地中熱についてはまったく知りませんでした。ですが信頼している方に紹介していただいたことと、補助金がでて導入コストも抑えられるということで、患者さんがより快適にすごせるようになるなら、試してみようと。
2015年4月に茨城県古河市に分院がオープンすることになっていたので、まずはそこで導入しました」

あらかじめ説明を受けていたとはいえ「体験するまでは半信半疑だった」という松浦さん。しかし、クリニックに導入後、患者さんたちの反応に驚いたといいます。

松浦さん 「通院された患者さんたちが『クリニックにくると気分が良くなる』と嬉しそうに話してくれました。温度や風の問題が解消されたことに加えて、空気がきれいになるので、花粉が除去されて花粉症の方も喜んでくださったんです」

わずかな温度差で目を覚ましていた愛犬が、地中熱でぐっすりと眠るように

article image 3

松浦さん 「患者さんにもすごく好評でしたし、私自身もはじめて体験したとき、冷たい風を感じることもなく、涼しい森のなかにいるような感覚になりました。あまりにも快適で、職場に住みたいと思ったほどだったので、両親と相談して愛犬のためにも実家に導入することを決めたんです」

もともとクリニックで地中熱システムを導入した目的は、患者さんにとって快適な環境を作るため。しかし実は、コストの削減という面でも大きな効果があり、それも決め手のひとつになったといいます。

松浦さん 「クリニックには24時間365日エアコンを入れている部屋があるのですが、地中熱システムに切り替えてから電気代が半分以下になりました。以前から両親は、温度に加えて電気代のこともだいぶ気にしていたようでして......。

エアコンのスイッチを入れっぱなしにしていることが原因でケンカをすることもあったみたいです。そこで、快適な温度を保てるうえ、電気代も抑えられるならうれしいと導入に賛成してくれました」

過去にクリニックで導入経験があったこともあり、大きな不安はなかったと話す松浦さん。実際に活用すると、すぐに愛犬の様子に変化が見られたそうです。

松浦さん「愛犬たちがすごくリラックスするようになりました。犬は温度に敏感で、以前は眠っていても、少し温度が変わると起きて動き出すことがよくあったんです。でも地中熱システムを導入してから、ぐっすりと眠っていますね」

変化が起こったのは、愛犬たちだけではありません。以前は愛犬にとって快適な温度にすると、ご両親が何らかの我慢を強いられていましたが、今回は違いました。

松浦さん「部屋が乾燥してしまうことが原因で出ていた咳やタンなどの症状がなくなりました。導入前はそれを防ぐために、冬はこまめに換気をしていたので、せっかく温まった部屋が寒くなってしまうことも多かったんです。でも、導入してからは、愛犬も両親も快適に過ごせるようになりました」

ペットも人間も、双方にとって快適な環境が当たり前に

article image 4
▲松浦さんの実家で暮らすご両親と愛犬たち

地中熱システムを導入してから約半年が経った2017年6月、例年だとクーラーを使い始めていた時期に差し掛かって、より大きな効果を感じていると松浦さんは話します。

松浦さん 「愛犬たちが、私が迎えにいっても気づかないほど、リラックスして眠っているんですよ。普段生活しているマンションのエアコンでは部屋が冷えすぎてしまうのか、今では喜んで実家に行くようになりました」

以前は、実家だと暑くて起きてしまうことが多かった一方で、松浦さんの自宅マンションでは、エアコンの風を冷たく感じ、愛犬が自らタオルにくるまって眠ることもあったのだとか。それだけ夏はイヌにとっての温度調節が難しかったので、導入後の様子には驚いているそうです。

松浦さん 「何も心配することなく過ごせるようになったことが一番です。愛犬もぐっすり眠れるようになりましたし、以前は冷房で冷えすぎて足が痛いと言っていた父も、何も言わなくなりました。みんなが安心して暮らせる環境が当たり前になったことがうれしいです」

ペットを大切にしている方であれば、ペットも人も快適に暮らせる環境を作りたいという願いは、誰しも持っているものです。それと同時に体質の異なるペットと人の双方が過ごしやすい場所を作ることは簡単なことではなく、多くの人を悩ませてきました。

アグリクラスターとしてはそのような悩みを「地中熱」という大きな可能性を秘めたエネルギーを活用することで、少しでも解決していきたいと強く思っています。

ペットにも人にもやさしい快適な環境を目指して――私たちは今後も挑戦し続けます。