システム管理部長として最も大切なことはメンバーと目的意識の共有
2023年3月現在、株式会社アビストのシステム管理部長として社内のITシステムの責任者を務めている星野。その仕事内容は多岐にわたります。
星野 「全社・全拠点のシステムの運用管理の責任者を務めています。数年前には全社のデジタル化にともなって売上管理、人事システム、顧客の契約管理システムを一新しました。
また各拠点で保有しているCADの保守メンテナンスも行っています。 今期は社内のデータサーバーを一新する予定で、調査・選定から実際の運用まで計画を立てて実行していかなくてはいけません。システム管理部は全員で7人と少人数のため、メーカーや外注先などと協力して行っています」
少数精鋭のシステム管理部で力を発揮する星野が、仕事をする上で大切にしていることは、目的意識の共有だと語ります。
星野 「メンバーが一つの目的に目を向けていくことが必要です。一つのシステムを取ってみてもメンバーごとにいろいろな考え方がありますし、全員の意見を取り入れられないこともあります。そのため意思の疎通や物事を決める際のメリットデメリットの整理と共有を大切にしています。説明だけではメンバーに納得してもらえない場合、先に実行した結果をもとに、考えていくようにしています。
ときにはメンバーに難易度が高い業務を依頼することもありますが、“何のために実施するのか”という目的をメンバー全員が理解することで、乗り越えられると思います」
勤務時間の半分ほどをチーム、もしくは個別のメンバーとの話し合いに充てると言う星野。週ごとに行うミーティングでも、メンバー間の情報共有に努めています。
新入社員一期生として、会社の発展と共に成長してきた星野
1999年に新卒第一期生としてアビストに入社した星野。同期の新卒社員が顧客企業を担当していく一方、アビスト社内SEとしてCADと情報システムの管理を任された星野は、前例がない中、手探りで仕事を進めていったと当時を振り返ります。
星野 「基礎を身につけるために、ベンダーの会社で1~2カ月間勉強させてもらい、社内で導入するCADの運用管理を約3年間担当しました。その後、CADの保守ができる人材に来てほしいと顧客企業から声がかかり、大手企業でCADの保守管理業務に約6年従事しました。
2009年3月に東京支店の技術管理部門へ異動となり、社員の技術的なフォローと今までに経験のない新たな分野へトライしました。ここでは、CADの使い方のアドバイスのほか、派遣先で上手くスキルアップしていくためにどうしたら良いかなど社員との対話を通して、より良い技術者となる方向性の模索に注力し、営業を担当されていた職員と一緒に考える時間を多く持ちました。
2014年6月には、入社当時に従事していた社内SE担当がより大きな人員体制に拡張されたシステム管理課に異動となり所属長であるシステム管理課長を拝命しました。約11年ぶりに戻った形となりましたが、運用されている各種システムやその規模も様変わりしており、まずはその構造を理解することに時間をかけ、全容を把握するまで1年程度かかったと記憶しています。
その後、会社の成長に合わせシステム管理に係る人員も増強され、2020年4月には社内システムの業務効率化および生産性向上を目指した社内DXプロジェクトが発足しました。
そのプロジェクトを担う部署として、2021年10月にプロジェクト責任者を部長に迎え、システム管理課が部に昇格しました。その後、3カ月と間もない時期の2021年12月に現部長が前所属の部署に急遽戻ることになり、後任の部長として打診を受けました。
最初は家庭の都合で育児休業を取る時期と重なるため、迷うところもありましたが、その状況を理解した上での話だったので、不安もありましたが、思い切って新しいチャレンジに挑戦する決意で快く引き受け現在に至ります」
結婚後、夫婦で子どもを持ちたいと話し合い、育児休業の取得を考えていた星野。当時は課長でしたが、社内での責任がある以上、制度があるからといって簡単に育児休業を取得しても良いのだろうかとも考えていました。そのため、早くから上司に話し、スムーズに進むように段取りを整えていたと言います。
星野 「高齢でやっと授かった命を2人で育てていきたいと思い、出産予定日の半年前には育児休業を取得したいと上司に伝えていました。大切な子どもなので、自分も育児を担うのは当たり前だと思っていたからです。
当時は課長としての責任もありました。そのためプロジェクトの調整をしたり、引継ぎを進めたりして、自分が抜けても仕事が回るように努めました。最初はチームメンバーの負担が増えるので申し訳なく思っていたのですが、温かく受け入れてもらい多くの協力を得られたことを深く感謝しています。
また、会社としても働き方改革の流れや、サポート体制が手厚かったこともあり安心して育児が行える環境下にあるなと感じます」
育児の大変さは想像以上。その中でやっていけるのは命の尊さを知ったから
自ら進んで子どもの世話も家事も積極的に行っていたと言う星野。実際の育児は聞いていた以上に大変だったと語ります。
星野 「赤ちゃんは数時間おきに起きるので寝不足の中、ミルク、おむつ替え、抱っこなど次から次へと出てくる要求に応えなくてはいけません。その上、家の掃除や洗濯もあるため、ヘトヘトなのに休む時間もありませんでした。 おむつの変え方やお風呂の入れ方、哺乳瓶の洗い方など事前に学んでいたので、少しは効率良くできたように思います。
またおむつやミルクなどの育児グッズの保管場所も決めていたので、生まれてすぐにスムーズに進めることができました。 育児は想定通り進まないことがほとんどで、眠れない日が続くため体力的にも精神的にも辛いということを実感しました」
育児休業の1カ月はあっという間に過ぎ、すぐに復職の時期に。職場に復帰すると、仕事の意識を変えなくてはいけないとあらためて感じたと言います。
星野 「結婚する前までは、会社でいかに成果を出し評価を上げるか、実力をつけるかが人生の目的で、帰宅後や休日も勉強をしたり、問題を考えたりしていました。けれども子どもが生まれてからは、家に帰ると家族中心の時間で自分が休む時間なんて取れないので、業務時間内に仕事を終わらせ、家には持ち帰らないようになりました。
今まで家に帰ってじっくり考えてから決断していたことができなくなり、業務時間内に整理し、決断するようになりました」
最近、印象的だった出来事は手をたたいて喜ぶようになったこと。日々の成長を通して、子どもへの愛情を深めていく星野。
星野 「ニコッと笑って手をたたく、その動作がとても愛おしいんです。どうして手をたたくようになったのかなと考えると、自分たちが子どもをほめるときにいつも手をたたいていたんです。それを見て、嬉しいとき、喜ばしいときに手をたたくといいんだと、学習したんですね。
だから子どもの前で出す言葉や動作の一つひとつがとても大切で、日々の努力の積み重ねがこういったところに現れるんだと気がつきました」
仕事も家庭も主体的に
部長として、また夫・父としての役割も担うようになった星野は、仕事と家庭の両立を大切にしていると話します。
星野 「今大切なのは、仕事と家庭が成り立つ優先度を見きわめることです。仕事は目的の理解が大切と考え、自ら発信し、チームメンバーとコミュニケーションを取ることに注力しています。目的を正しく伝えれば、メンバーが主体的に業務調整していただけるので心強いかぎりです。
一方、家では妻だけに任せるのではなく、ある程度自分から先んじて家事も育児も行っています。妻に頼まれてから取り組むのではなく、自分でも考えて動くことが仕事も家庭も両立していくことなのかなと考えています」
今後の目標に、社内のデジタル化を進めてシステムとしてできることの具現化を掲げる星野。
星野 「全社的な方向性を定め、利便性の高いシステムを構築し、より効率良く仕事を行っていける体制をめざします。またセキュリティの意識も高まっているので、社員教育も含めて体制を整えていきたいと思います。
アビストは働き方改革にいち早く取り組み、社外で仕事ができるリモートワークのしくみは2020年に入る前には整っていました。このため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で緊急事態宣言が発令された際にも、スムーズに全社員が在宅勤務へ移行することができました。これは他社からどのようにしているのか聞かれるほどでした。
稼働しているシステムを安定稼働させつつ、時代に合わせたシステムを導入していくことは難しいのですが、時代に合わせて必要となるシステムを導入していくことも大切です。このように仕事だけではなくて、家庭も含めて主体性を持って取り組んでいきたいと考えています」
責任のある立場で仕事を行いながら、家庭でも主体的に育児を進めていく星野。アビストも仕事と家庭の両立は可能だということを証明しながら、男性も育児休業を取得することが当たり前となるような環境を整えています。