今やロートの文化のひとつ。「社員がみんなで健康に」なる取り組み

ロート製薬での一日は毎朝、日替わりの体操で始まります。これは1970年代に始まりました。さらには1980年代から続く運動会も、2020年現在でも定期的に行われるイベントのひとつとして、また社員の手で企画・運営をするロートの文化のひとつとして根付いている取り組みです。

今や、よく耳にするようになった「健康経営」。

ロート製薬はこの言葉が世の中に広がる前から、健康をつくる私たちだからこそ、みんなでコミュニケーションを取りながら、社員自らが健康になる取り組みをさまざま行ってきました。

その中でも、喫煙習慣からの卒業である「卒煙」。

直近では2020年4月1日に「改正健康増進法」が全面施行され、社会的にも注目を集めていますが、ロート製薬が卒煙の動きをスタートしたのは1996年にさかのぼります。

1996年当時はタバコを吸う人は3割を超え、社内での喫煙は当たり前。今回の卒煙を推進してきた、ロート製薬人事総務部健康経営推進グループの西脇 純子は、「当時、社内はタバコの煙で常時モクモクしていた」と話します。

当時副社長だった現会長の山田 邦雄の強い想いもあり、社内での分煙をスタート。2007年には受動喫煙対策および卒煙のきっかけづくりを目的として、事業所内喫煙所の廃止および事業場内全面禁煙としました。

2018年4月には、健康を考えたとき、みんなで喫煙習慣を卒業しようとの想いから「2020年4月までに従業員の喫煙率ゼロを達成する」ことを全社的な目標に掲げます。その目標達成に向けて、全社横断での有志メンバーを集めたプロジェクトを立ち上げることに。当時の喫煙率は11.6%。喫煙者も含めて全国からプロジェクトメンバーが集まりました。

「みんなで一緒に、楽しみながら」がすべてのきっかけに

ロート製薬の考える「卒煙」では、一人ひとりが害を理解し自らの意思で卒煙することを大切にしています。まずは、意思表示を行うことで卒煙に向けた活動がスタート。

そして3カ月間禁煙継続できた人を卒煙者として認定しています。

各拠点での状況も異なるがゆえ、喫煙者同士や周りの方が励まし合うなどの取り組みが多く行われていました。そのような中、一番喫煙率の高かったロートのマザー工場である三重県上野テクノセンターでは、卒煙プロジェクトメンバーである喫煙者自らが「卒煙ダービー」を企画しました。

卒煙ダービーとは、喫煙者10人が出走馬となって卒煙へのチャレンジを行います。そのほか周りのメンバーは10人の中から応援する人を決め、3カ月間一緒に伴走。声を掛けたり、一緒に気分転換を行ったり、差し入れをしたり。最終的に卒煙を達成したメンバーを応援していたメンバーには、食堂で使用できるコーヒーやパンの引換券などがもらえるというイベントです。

出走馬になった10人もみんなで定期的に進捗の確認や励まし合うミーティングなどを行っていました。自分なりの気晴らしや工夫していることを話したり、呼気中の一酸化炭素の度合いをチェックしあったり。「みんなで」卒煙に取り組む3カ月。

その後見事に3カ月間のダービーをへて全員が卒煙を達成。第一回目が好評だったことから2回目も行われ、参加したメンバー20人全員が卒煙することになりました。

また出走馬になったメンバーに感化されて、卒煙ダービーに出ずとも、卒煙を行うメンバーも現れました。

中には、子供がイチゴを欲しがっても高いからと買わないのに自分は煙草を買っていることに心が痛んで禁煙を始めたり、卒煙達成後に子供から「お父さん、死んじゃうかと思ってた」と言われるなど、自分自身の命だけでなく家族の想いや存在の大切さを実感したりする出来事となったのです。

一人ひとりのチャレンジの裏側にあるもの

2018年のスタート時も「会社から言われたこと」と捉える喫煙者が大半を占めていました。

それでも企業理念など会社が持つ想いや周りのメンバーから支えがあったことをきっかけとなり、喫煙者の間で少しずつ卒煙の輪が広がっていきました。

当初「禁煙をすることは辛いことである」と感じていた社員も多かったそう。もちろん禁煙外来のサポートを受けながら卒煙を達成する社員もいれば、その他の趣味を見つけたり、中にはじっと耐える方法で卒煙を達成したりする社員も。

「いざやってみると思っているほどしんどくはなかった」との声もありました。

また卒煙後は「肌がきれいになった」、「禁煙中のストレスを発散させるべく身体を動かしていたら、運動習慣も付いた」と話す社員もおり、チャレンジした社員には一人ひとりの気付きがありました。

西脇 「今回約2年間の取り組みで99.9%の社員が卒煙となった背景には、これまで長年取り組んできた土台があったからこそであると考えています」

1996年には30%を超えていた喫煙率も、本格的にゼロを目指した2018年には11.6%に。

西脇 「ロート製薬が喫煙率ゼロを目指すと宣言をしていることから、たくさんの方々に方法などを聞かれます。しかし、私たちは、社内での状態やその時代の流れに応じて、取り組むべきことや課題となることも異なると考えています。

今回は宣言をした2018年喫煙率11.6%の中で、トップからの声掛けだけでなく現場からの企画など、さまざまな形で卒煙を盛り上げる動きもあり、ここまで来ることができました。

2020年現在も3カ月間の卒煙チャレンジを行っているメンバーがおり、一人ひとりにサポート役のメンバーが付くかたちで伴走をしながら、取り組んでいます」

一人ひとりが社会でイキイキと活躍するために。きっかけづくりを

健康への挑戦を行う私たちだからこそ、自分自身の健康をつくっていこうとの想いでさまざまな取り組みをしています。「卒煙」はあくまでも手段のひとつ。そして終わりはありません。

2017年からは一日8000歩、20分の早歩き達成率を部署ごとなどチームになって全社で競い合う「とこチャレ」を定期的に実施。世代を超えたメンバーが互いに声を掛け合いながら、「今日何歩歩いている?」「歩くために外にランチをしに行こう」など日常のコミュニケーション促進にもつながっています。

さらに2019年から始まった「ARUCO(アルコ)」は、一日8,000歩、20分の早歩きや週2日30分以上の運動をした場合など健康にまつわる取り組みをしたら貯まる社内健康通貨です。卒煙に成功した社員には1万コイン、タバコを吸わない社員にも月500コインが支給されます。さらにこれらは、社員食堂や健康にまつわるグッズ、さらには特別休暇などに交換でき、一人ひとりがより健康になるためのサイクルにつながっている取り組みです。

西脇 「ロートが考える健康は、単に病気でないというわけではありません。心身の健康を土台として、日々の仕事にもイキイキと取り組み、挑戦し続けることができる状態こそが、真の健康であると考えています。そういった社員が世の中の健康を支えていく、『健康人財』が多く在籍をする会社を目指しています。

健康経営推進グループとして、私たちはあくまでも、その健康であり続けようとする『きっかけづくり』に注力をしているのです。

最初は「会社が言ったから」かもしれません。それでも一人ひとりがその意味や目的を自分の中で考えて行動できるよう、私たちも取り組んでいきます」