チームでつくりあげる喜びと数字が合う快感を求め、エンタメ業界の経理に

▲経営本部経理部アシスタントマネージャー・斎藤 瞬 「仕事は楽しく、そして楽にするもの!」

斎藤 瞬をポニーキャニオン入社にいざなったのは、学生時代に見つけた二つの柱です。一つは「お祭り好きな精神」。もう一つは「数字がもたらす爽快感」でした。

斎藤 「エンタメ業界に興味を抱いたきっかけは、高校や大学の学園祭です。お客さんを呼ぶための企画をして、仲間と創意工夫しながらひとつの場をつくりあげることがとても楽しくて。リーダーシップを発揮しながら仲間と協力し、お客さんを笑顔にする。心満たされる経験でした。

一方で、僕は大学時代を数学科で過ごしており、税理士事務所でバイトをしていたんです。このバイト経験がきっかけで、数字がぴったりハマるときの気持ちよさを知りました。ひとつの企業に深く関わりたいという思いから、税理士ではなく、経理としてのキャリアを選びました」

とはいえ、経理を新卒採用する企業はそう多くありません。斎藤は中途採用のページをチェックし、エンタメ業界で経理を担当できる企業に応募しました。それまでのバイト経験を武器に経理担当として1社目への入社を叶え、基礎を学んだ後、社会人2年目でポニーキャニオンに転職します。

斎藤 「エンタメ業界で働きたいと思いつつも、デザインスキルやセンスが皆無で……自分の強みを活かした職種で業界に関わりたいと考え、たどりついた結論がこのキャリアに結びつきました。

でも、僕みたいな理系出身の経理って、実は少ないんです。総合職の一つでもある経理は、文系や経済学部出身の人が大部分を占めます。だから純粋に数字が合うことに喜びを感じて経理に臨む私は、少し珍しいかもしれません」

過去の経験と強みの交点から導き出した、ポニーキャニオンという選択肢。望んで飛び込んだエンタメ業界の経理業務は奥深く、斎藤をさまざまな課題が待ち受けていました。

仕組みから企業をより良くする、経理のクリエイティブを発揮

▲すごおく真面目な話をしているようですが、実は「スポーツ得意そうですが……」の問いに、「卓球やってました!家ではゲーム三昧!来年出るゲームが楽しみで……」(笑)

斎藤 「僕は経理もクリエイティブだと思っています。数字には明確な答えがありますが、それに至るまでの基準をつくる部分に答えはありません。“ハマる”基準ができたときは、まるで作品が完成したような達成感がありますね」

ポニーキャニオンで扱う事業は幅広く、ひとつのコンテンツから複数の商品が派生することも珍しくありません。経理というポジションから見て、難易度の高い業態ともいえます。

斎藤 「原価を売上とどのように紐づけるかは、エンタメ業界では難しい課題です。音楽コンテンツは発売日から短期間で売上が落ちるので、原価を2~3ヵ月で償却する必要があります。一方、映像コンテンツは1年後まで配信したり、ライセンス収入があったりするので、原価を長期で償却したほうが望ましいんです」

ヒット予測がつかない商品、多岐にわたる商品カテゴリ、臨機応変に変わるルール……そうしたハードルを越えていく原動力は、斎藤が楽しいと感じる“経理業のクリエイティブ”です。斎藤は社内全体に関わる仕組みの観点から、創意工夫を凝らしています。

斎藤 「僕の仕事は、現場のメンバーが楽しく、気持ちよく仕事ができる仕組みを作ることだと思います。ですから、現場ではあまり聞きたくないはずの法律関連の課題を私たち経理部がクリアし、さらに業務効率化につながるルールを提案するんです」

ポニーキャニオン入社当時、斎藤がまず感じたのは“無駄の多さ”。形骸化した申請書のやりとりや、現場が手間取りそうな経費処理のプロセスにメスを入れました。

斎藤 「入社1年後のある日、人事的な事情で子会社の経理を兼任することになりました。そこでの経理は僕一人だったので、仕組みを作るところから任されていたんです。この経験をきっかけに、ポニーキャニオン本社でも仕組み改善の提案を始めました。おもいきって『これ、要らないんじゃないですか?』と部長に進言してみると、意外とすんなりルールが変わることも。

小さなところから業務改善を進めつつ、経費については社員がスマホからでも入力できる外部ツールを新規導入しました。会計関連の事務作業の一番のハードルは、面倒くさがられてしまうこと。だから感覚的に扱えるツールを選び、できる限り簡単に、を心がけています。その裏のシステムは、経理の私たちが頑張って作りますから」

経理もプロジェクトの一部として活躍する──広い視野で企業を見る

▲エンタメ好きになる影響を与えた兄の結婚式にて

チームの一部である自分が、どんな役割を担うのか。斎藤の仕事観の根底にあるのは、個人の美学ではなくチームワークへの貢献です。

斎藤 「映像制作、学園祭の出店……振り返れば、チームで何かを作り上げることが学生時代から大好きでした。ビジネスもまた、一人で完成できないことです。だからチーム全員が得意なことを活かしながら、役割分担して進んでいくプロセスを楽しめます。

経理という立場は、他部署から見れば結果の報告先でしかないかもしれません。でも僕は、現場のメンバーと共にプロジェクトやビジネスを考え、経理の立場からできるフォローをしたいと考えています。

『サラリーマン金太郎』というマンガが、僕のバイブルでして。作品内の会社では、ちゃんと経理の人もチームの一員として描かれているんです。もちろん、業界が違うので同じようにはいきませんが、僕もそういった心意気で働いています」

チームの一員としてひとつの目標に向かいたい。そんな斎藤の意欲に呼応するように、最近社内で始まった新たなプロジェクトがあります。

斎藤 「社内の新しい基幹システムをつくるプロジェクトの一員になりました。そこでは経理担当ではなくPMOとして、全体を見る役割を担っています。これまで経理の領域では見られなかった部分にも、まだ改善の余地が残されています。現場の業務には、受け継がれてきたから続けている習慣的な業務が珍しくありません。それをまっさらな視点で見直し、経理的にも問題ないから改善しよう、とアドバイスする立場です」

チームワークを仕事の中心軸としてきた斎藤だからこそ、見える改善点がある。その目を活かし、今後会社の柱となる基幹システムをつくっていく時間は、まさに斎藤が愛してやまない“チームで何かをつくりあげていく”時間そのものです。

社外にネットワークを広げ、エンタメ業界の経理業務を超効率化したい

▲「将来的にはエンタメ企業各社が連携し、企業を越えて無駄や利点を共有することで効率化を図るのが理想です」

仲間がより働きやすい環境を目指し、改善点を模索する日々。しかし、たとえその改善点が見えたとしても、思うように進まないこともあります。

斎藤 「例えば、ペーパーレス化は社内だけで解決できる問題ではありません。コロナ禍でリモートワークが推奨されていますが、取引先が紙を選べば、私たちはそれを確認するために出社しなければなりません。また、ペーパーレス化によってアップロードやデータ化の手間が増えると感じる立場の人もいるかもしれません。

そういった各所の負担も考えながら進めていくとなると、なかなか難しいものです。加えて、そこにかけられる予算の問題もあります。課題は山積みですが、一歩ずつ前進していくほかありません」

そうした課題意識の中で、近年斎藤が考え始めたのは、社外に経理同士のネットワークをつくることです。

斎藤 「経理として抱える課題を他社の人に聞いてみると、意外と同じことで悩んでいることが多くて。各企業で同じことをバラバラやっているのは無駄だな、と思いました。だからエンタメ業界の各社の経理が一同に集まってひとつのシステムを作り上げれば、各社の知見をシェアしながらコスト削減もできて、最高なんじゃないか、と。

これから労働人口が減ってきて、はじめに削られるのは我々のようなコーポレートスタッフだと思います。時代がやってくる前に、超効率化を進めなければなりません。そういう課題意識もあって、エンタメ企業各社の経理担当者の連携が必要だと感じました。今すぐに実現するのは難しいかもしれませんが、将来的には自らプロジェクトを発足したいです」

働きやすさとチームワークに注がれてきた想いは、これから社外ネットワークへと広がろうとしています。社内外のチームで描いていく未来は、今までつくりあげてきたものの中で、一番大きな何かを生み出すのかもしれません。