採用市場の変化から考えるようになった通年採用の必要性

ポニーキャニオンは、2020年から一般的な就職活動スケジュールに則らない「秋採用」を新設すると決めました。この意思決定の理由はいくつかありますが、市場の変化はそのひとつです。

2018年6月から人事総務部マネージャーで採用責任者を務める森は、異動後しばらくは変化の激しい就職活動市場に対応することに必死でした。経団連のルール改定や、新型コロナウイルス感染症の流行前後で、売り手市場から買い手市場への変化へと切り替わったことなど、新卒採用市場は常に変化しているのです。

そんな中でも、森はどんな時代にあっても「ポニーキャニオンらしい採用」が大切だと考えるようになっていったのでした。

森 「当社では現場のメンバーが候補者と向き合う選考フローがあります。現場目線を入れることで本当に現場が求めている人材を採用し、ポニーキャニオンらしい人材の採用ができていると思います。

また学生向けのセミナーでは、内定者や入社1年目の社員に登壇してもらうことがありますが、台本をつくり込まずとも、周囲を巻き込む力が備わっているとわかる方が多いんですよね。

エンタメ業界では、人を巻き込む力や発信力を持っていることが大事だと常々思っているので、そういう人をきちんと採用できているんだと実感します」

とはいえ、採用活動をする中で学生の価値観の多様性が広がっていると感じるのも事実です。

森 「選考開始の時期が早まることで、早く動こうと意識している学生が多いです。それ自体は良いことですが、業界や会社について深掘りできないままの学生が多い印象を受けます。仕事とはどういうことなのかを考えきれていない学生も、増えてきたように思います」

学生は勉強や課外活動などに注力できる環境にいるため、就職活動に意識が向きすぎて、それらがおろそかになってしまうのはもったいない。それなら、通年採用にすれば学生はさらに勉強や課外活動に励むことができて、会社もいろいろな人に出会えるのではないだろうか。

そう漠然と考えたことが、秋採用の新設につながっているのです。

面接官全員を虜にした新卒候補者との出会いが、秋採用新設の決定打に

人事総務部へ異動してから2度の新卒採用に携わった森は通年採用のしくみが必要だと考えていましたが、ぼんやりとしたイメージがあるのみでした。そんなとき、第二新卒と契約社員の募集に応募してきた新卒の大貫と出会います。

森 「大貫は募集要件を満たしていなかったんですが、現場の社員が『おもしろそうだから選考してみよう』となり、書類選考後面接をすることになりました。学生時代の活動に本当に没頭してきたと伝わる反面、学生らしい不器用さもあって、すごく良いなと感じましたね。これまでの活動や今後やりたいことの方向性が当社に合致しているとも思いました」

大貫のように、正規の就職活動スケジュールに乗り遅れてしまうほど何かに打ち込んだ人ほど、エンタメ業界では芽が出る可能性がある。そんな人を見つけ出すためにも秋採用は必要だと、採用チームのメンバーは強く感じました。

さらに、出会うタイミングによって採用の可否が変わる学生がいると感じたことも、秋採用の新設につながっています。

森 「私は採用担当として仕事をする中で、選考フローを重ねるうちにどんどん成長していく学生がいると知りました。早い段階で出会った学生が当社にご縁がないと感じても、自分と向き合い、思考を深めることで新たなご縁が生まれるかもしれないと感じることもあるんです。そういった意味でも、採用の時期が1点に決まっていないほうがおもしろいと思ったんです」

ポニーキャニオンが秋採用を新設するきっかけとなった大貫は、学生時代に熱中していた活動を優先させるために、就職活動を後回しにしていました。

大貫 「2019年11月の東京モーターショーの運営に携わっていて、なんとしてでも成功させたくて頭が一杯になっていました(笑)。就職活動は1年後でもできるけど、せっかく任せていただいたイベントの仕事は今しかできないという思いで目の前のことに没頭していました」

生み出す人をサポートしたい──純粋な想いで活動に没頭してから社会人へ

正規のスケジュール通りの就職活動よりも大貫が全力を注ぎたかったのは、卒業間近の11月のイベント運営でした。

大学1年生のころからプレゼンテーションイベントの運営団体に所属していた大貫は、交通事故で友人を亡くしたことがきっかけで、自動運転に関心を抱きます。大学3年生からはイベント運営で培った経験を生かし、自動運転を普及させるための活動に携わりました。

大貫がイベント運営やモビリティ領域の活動に熱中したのは、何かを生み出す人の手伝いをしたいという強い想いを抱いていたからでした。

大貫 「イベント運営を通じて、登壇者の魅力を最大限に引き出す形でコンテンツをつくる過程に魅了されました。自分はクリエイターではないので、すばらしい才能、作品の魅力を、どうすれば多くの人に伝わるかを考えるのが好きなんです」

キラキラしている人や作品の魅力を、多くの人に伝えたい。生み出す人が力を発揮することに集中できるよう、受け手にとっても一番良い形に整えることで活動に貢献したい。そんな想いで、活動に熱中していました。

そしてイベントが一段落して就職活動ができるようになったタイミングで、採用を行っている会社を探しはじめます。そこで出会ったのが、ポニーキャニオンでした。

大貫 「コンテンツづくりを仕事にしたいと強く思うようになりました。とくに、ポニーキャニオンは総合エンターテインメント企業として扱う領域が広いのが、ジャンルを問わずエンタメが大好きな自分にとって魅力的でした。

そして何より、面接を担当してくださった方々がすてきだったんです。この方々のチームの一員にしていただけたらどんなに楽しいだろうと思いました。そして、新卒採用ではなかったのに受け入れていただいて、本当にうれしかったです」

そうしてポニーキャニオンへ入社した大貫は、2020年6月にアニメクリエイティヴ本部制作3部プランニング戦略グループへと配属され、宣伝業務を身につけるべく奮闘しています。

働いてから、大貫はポニーキャニオンの魅力は人だと改めて感じているそうです。

大貫 「仕事が想像以上に楽しいだけでなく、真正面から向き合ってくださる方ばかりで、居心地が良く安心して働けます。

お願いすればチャンスを頂けるし、指導してくれる先輩がフォローしてくださったり、隣のグループの人が気遣って声をかけてくださったり、一つひとつの心のこもったコミュニケーションが心に沁みます」

また、好奇心が強い社員ばかりなことも、大貫が思うポニーキャニオンの魅力です。

大貫 「皆さん興味の幅が本当に広くて、いろいろなことに詳しいんです。私も好奇心の強い方だと思って生きてきましたが、皆さんの引き出しの多さに圧倒されました。自分もこんな先輩方になりたいと憧れますし、そう思える方が周りにたくさんいる環境が最高だと感じています」

だからといって部門任せにはしない。秋採用新設にともなう課題と実践している対策

ポニーキャニオンでの大貫の仕事は、まだはじまったばかりです。今は目先の業務に全力を尽くし早く宣伝担当としてひとり立ちすることを目指しつつ、日常を明るくする作品に携わることを長期的な大目標に掲げています。

大貫 「高尚な芸術もすてきですが、お茶の間から日常をちょっと明るくするようなエンタメも尊いと考えているので、幅広い年代の方に楽しんでもらえる作品を担当できればと思います。

今はサブ担当として多くのことを教えていただいています。いつかは、メイン担当としてイチから企画した作品が多くの人に愛されるのが夢です」

学生時代の活動も入社後の仕事も、熱意を持って取り組んでいる大貫。そんな大貫の面接を担当した人事総務部長の古宇田は、秋採用を新設することになったのは自然な流れだったと語ります。

古宇田 「大貫との面接では、本当にのめり込んできたことや人となりがすごく伝わってきて、ぜひ当社に入社してほしいと思いました。

大貫のように、何かに打ち込んだ結果就職活動に乗り遅れてしまう人はたくさんいると思うんです。そういった原石となる方々と出会うためにも、通年につなげていく採用のスタイルをつくりたいという考えは自然と生まれました」

魅力的な人と一緒に働くのは、ワクワクする。さらに、魅力的な人が集まって楽しいものが生まれると、会社ももっと魅力的になる。秋採用には、さまざまなベクトルで期待感が高まっているのです。

そして、秋採用新設にともなう今後の課題としては、社員の育成が挙げられます。

古宇田 「一人ひとりの個性を把握した上で、個人に向き合った育成をすることが必要だと思います。指導を部門に丸投げするのではなく、部門ごとの方針に沿いながら人事が常にフォローしていく体制を取りたいんですよね。

まだうまく形にできていないので課題ではありますが、部門と連携しながら人事も細かいフォローをすることで、みんなの成長をきちんと見られる状態をつくりたいと思います」

そのために、入社1〜2年目の社員と人事総務部の社員が直接面談する機会を積極的に設けています。

古宇田 「新型コロナウイルスの影響もあってなかなか対面で話すのは難しいですが、オンラインでも一人ひとりと話をして、今どんな状況で何を考え、どのような不安を抱いているのか聞くようにしています。

社員それぞれの考えを聞きつつ部門の上長とすり合わせをしながら、成長を見守っていきたいですね」

これまで出会う機会のなかった魅力的な人材と出会える可能性に、期待は高まります。