大好きなアニメを仕事にするために選んだ日本での就職

▲左:コンシューマビジネス本部1部1Gマネージャー・折原 和弘 右:同本部1部2G・杜 浩亮 取材は5月1日リモートワークで行った。ふたりの信頼関係が垣間見えるこの写真は杜のアイディアだ。

高校時代に出会ったアニメは、杜 浩亮を出身地中国から日本へ導きました。大学院時代に日本留学を選択し、そのまま日本での就職を志します。就職先は、アニメに関わることのできるエンタメ業界に絞りました。

杜 「私はいわゆるアニメオタクです。そして、愛する作品の多くはポニーキャニオンが関わったものでした。アニメに関わる就職先は幅広くありましたが、その中でもアニメや声優の魅力を伝えられるポニーキャニオンで働くことを決めました」

2017年、ポニーキャニオン入社後の研修期間中、ひょんなことから杜は通訳の仕事をすることになりました。新規事業開発の一環として取り組んでいたHADO(※)の海外進出に関連し、中国からメディア取材が来ることになったのです。ライブ配信の生中継で、杜は同時通訳を任されました。その姿を見ていたのは、のちの上司となる 折原 和弘です。

折原 「まだ配属先も決まっていないタイミングで生中継の通訳という大役を任されたにも関わらず、杜は物怖じせず、しっかりと対応していました。『こいつ、できるな』と印象に残ったんです」
杜 「現在ポニーキャニオンのチームで、中国出身のメンバーは私だけです。自分にしかできないことをしたい、自分の価値を高めたい。そんなモチベーションが入社直後からありました」

すでに社員に一目置かれる活躍を見せた杜ですが、言い渡された配属先は営業部署でした。

杜 「コンテンツ製作に携わりたいと願っていたので、希望部署ではなかったことには正直落ち込みました。けれども、製作を目指して入社して、別の部署に行くということは決して珍しいことではありません。それは自分の夢をあきらめる理由にはなりません」

杜はその後も、中国語に関わる依頼は部署を越えて応じ、着々と信頼を重ねていきました。そして、2018年末ごろ、ポニーキャニオンの中では新たな取り組みが始まります。それはアニメ関連商品を直接海外に届け販売する、“越境EC”への挑戦でした。

折原 「海外進出の話は数年前から出ていましたが、具体的なアクションに落とし込むにはさまざまな障壁がありました。部長から『本格的に取り組んでいきたいが、誰とやりたい?』と言われたとき、私は杜の名を挙げました。彼とならできる、と思ったんです」

長年ポニーキャニオンでキャリアを積んだ折原と、中国との懸け橋となれる杜の二人三脚が始まりました。

商品を国外へ届けるために最短の道を探して走った一年

▲上海でのアニメイベントにて。写真中央左が声優・安齋由香里 右が杜。上海の声優ファンの笑顔に苦労も吹っ飛ぶ。折原はこのとき裏方で……
折原 「海外には多くのアニメファンが存在します。とくに、中国では日本アニメに対するニーズが急増しています。彼らに対して直接私たちの商品を卸すことができないか、という問いから私たちは歩み始めました。まずは『最短で商品を流通させるためにはどうしたらいいか』という命題を立て、あらゆるビジネスの可能性や将来性を整理することに。その命題に対して、杜は具体案を提示し、行動を起こす役割を担ってくれました」
杜 「くまなく中国の市場調査をしました。インターネットを利用した調査だけでなく、現地の知人やアニメ仲間の情報も最大限に生かしました。その輪は広がり、やがてアニメ業界に関わる中国企業などに紹介してもらうようになったんです。最終的には、物流関連の中国企業ともコネクションをつくりました」
折原 「ファンとして作品の目利きができること、中国という市場を理解し、コミュニケーションを取れること。このふたつが、杜の強みです。その強みを生かして杜が着々と働きかけてくれることで、その先にある目標を、私はより明確にしていくことができました」

ふたりのチームワークは、海外イベント進出という形でも実を結びました。上海で毎年行われる大規模なアニメイベントにて、ポニーキャニオンは声優(※安齋由香里、ポニーキャニオン声優事務所スワロウ所属)を交えたステージを展開。ふたりはそのステージ運営を分担し、成功を収めました。

杜 「私は全体の司会としてステージに立ち、折原はバックステージのほとんどの進行を担いました。折原は当時ちょっと腰を痛めていて心配だったんですが……平気な顔をしてすべてをやってくれましたよ」

上司と部下それぞれの持つ強みや立場を生かした連携は、国境を越えたEC戦略を進めるための具体的な一歩を築きました。その事実は、杜自身の実績にもなります。

杜 「このプロジェクトの声がかかったときは、チャンスだと思いました。自分にしかできない活躍ができる、と。他の人よりもうまくできる仕事は、自分の自信につながります」
折原 「研修時代の杜に抱いた直感は、実際に仕事を一緒にしてみて確信に変わりました。依頼したことをどんどんと進めてくれるスピード感や物怖じしない姿勢。目利きは当たっていましたね」

自分の強みを自覚し努力を重ねてつかみとったコンテンツ製作の仕事

▲リモート取材にあたり折原から提供してもらった画像の中の1枚。明るい?雰囲気のものをチョイス。画像タイトルは「ばくはつ!」です。

アニメコンテンツの海外進出という未踏の領域への挑戦を経て、2019年春、杜は営業部署内の製作部へ異動しました。入社当時に夢見たコンテンツ製作に、入社3年というスピードでたどり着いたのです。

杜 「アニメ作品と連動したオリジナル・コンテンツを発信する、ポニーキャニオンのアニメ通販サイト『きゃにめ』のコンテンツ製作をしています。先輩方のつくったコンテンツの引継ぎはもちろん、自身が提案してゼロから生み出したコンテンツも公開されました。

YouTubeで公開された後のコンテンツに対しては、アニメ好きの友人や、海外の関連業者の方々からたくさんのコメントをもらいます。自分のつくり上げたものが声優番組の魅力を届ける一端になっていることは、とてもやりがいを感じます」

『きゃにめ』はアニメファンと製作者の懸け橋となるプラットフォームであり、アニメや声優コンテンツの海外展開や新規ファン獲得のための発信源としても拡張性のある場です。

コロナ禍でオフラインのイベント展開が難しい一方、オンラインコンテンツやECの注目が高まっています。高まる需要を肌身で感じながら、杜は新しいフィールドでの歩みを進めています。

杜 「製作サイドになることで社内外に新しい人脈や仕事が増えました。スケジュールやバランス調整など、先輩方から教えてもらいながら日々学んでいます。ECに関わる仕事では味わえなかったことを学び、エンタメ業界の渦中で成長を実感しています」
折原 「オタクという出自からエンタメ業界に入ると、どうしても『あいつは消費者目線で入ってきた、ただのマニアだ』と思われがちです。しかし、杜は作品への情熱に加えて、自分ができる仕事に全力で挑む姿勢で本気を見せてきました。彼が社内で頼まれた仕事は幅広いものです。

海外進出プロジェクトのほか、声優アーティストのブログの中国語翻訳や、映像のテロップ入れもありました。その一つひとつに真摯に取り組み、信頼を積み重ねたからこそ、今の杜のポジションや活躍があるのだと思います」

2020年は飛躍の年──日本から世界にアニメ作品の魅力を直接届けたい

▲最初の画像から……オチは☝こうなるwww
折原 「わたしたちは2019年、海外に商品を出すためにどんな課題があるのか、どんな方法が適切なのかを模索してきました。2020年は、そこで得た知見をもとにどんな商品を開発するのかというフェーズに進みます。そのプロジェクトも杜と共に歩めれば、と考えています」

ポニーキャニオンではこれまでも海外に向けた情報発信を行ってきましたが、商品やイベントなどアニメから派生するコンテンツを"直接"届けるための具体的なアクションはありませんでした。折原と杜が築いた第一歩は、そうした新たな事業の礎になるものです。

杜 「コンテンツ製作に携わりたいという私の夢は、今の部署でかないました。次のステップは、自身のプロデュースした番組をより多くの人に届けることです。どの番組よりも人気の番組をつくりたいというのが、今の私の野望です。

その延長であり、かつ入社当時から抱き続けている目標でもあるのは、海外にそのコンテンツを発信すること。中国だけでなく、各国のアニメファンの方々に日本のアニメの魅力を届けたい。そのために、自分ができることをやり続けます。自分の好きな仕事をつかみ取れるかどうかは、努力次第です。自分にできることに真摯に取り組むことは、必ずその先の目標につながっています」

アニメへの“好き”を芯に自分の強みを最大限に生かしてきた杜は、世界に自分の“好き”を届けるきっかけを手に入れました。

アニメ関連コンテンツの魅力を伝えるプロフェッショナルとしての彼の歩みは、まだ始まったばかりです。

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※HADO:ポニーキャニオンが出資しているテクノスポーツ