商品やサービスを宣伝する上で重要となるキャッチコピー。

世の中にはCMや交通広告、web広告などたくさんの広告でキャッチコピーが溢れており、売れている商品やサービスには上手いキャッチコピーが使われていますよね。

ですが、いざ自身のサービスや商品のキャッチコピーを考えようとすると「なかなか良いコピーが思いつかない!」なんてことも多いと思います。

そこで今回は当社の現役コピーライターにキャッチコピーの作り方や考え方、また実際に事例を元に解説してもらいます。今、キャッチコピー作りに悩んでいる人やこれからキャッチコピーを作りたいと考えている人にはとても参考になる内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください!

現役コピーライターに聞いたキャッチコピーを作るコツと考え方

キャッチコピーのことを知るならコピーライターに聞くのが一番早い!ということで当社で働くコピーライターの浦野 健さんにインタビューをしていきます。

浦野さんがキャッチコピーを作るときはどうやって作っていますか?

私がキャッチコピーを考えるときは、

①ターゲットの明確化
②ターゲットの悩みを洗い出す
③商品、サービスの強みを考える
④その悩みに対して解決できる強みをキャッチコピーに使う要素として決定
⑤キャッチコピーへ落とし込む

という順番で決めています。
これらはコピーライティングの基本的な作り方の流れですが、この基本こそが売れるキャッチコピーを考える上で一番大切なことだと思います。

プロでも基本が大事ということですね。

そうですね。恐らくプロの方ほど基本を大切にされていると思いますよ。

それぞれの項目を順に解説していくと、まずはお客様(ターゲット)がどんな人でどんな悩みを持っているかを分析します。

分析ではトゥエンティーフォーセブンが持っている膨大な顧客データや過去に実施した企画の売り上げなどを用いて、お客様の年齢、性別、トレーニング歴などの傾向を調べています。

そして、そのお客様の傾向をある程度掴んだら、次にどんなことで悩んでいるかを推測します。

たとえば「太っている」という悩みを持った方でも、その原因はさまざまです。

・コロナで外出が減り、運動不足になった
・おいしいものを食べすぎて太った
・太りやすい体質で子供のころから痩せられない
・自己流でダイエットを頑張っているがなかなか痩せられない

と、このようにターゲットを分け、さらにアンケートなどを参考にそれぞれのインサイトを深堀していくことで何を訴求すればいいかが見えてきます。単純な想像ではなく、データに基づいてお客様像を紐解き訴求点を明らかにしたところで、初めて「お客様の心に響く言葉」を考えます。

ターゲットとするお客様がなぜこのような悩みを抱えてしまったのかという背景を理解すると、どういった訴求が心に響きやすいか見えてきます。

コピーライターはクリエイティブ職というイメージがあったのですが、データに基づいてかなり緻密な戦略を練っているんですね。

クリエイティブな発想も必要ですが、ほとんどはデータに基づいた分析の方が大事ですね。

お客様の分析が終わったら、次に販売する商品やサービスの魅力を考えていきます。

トゥエンティーフォーセブンでは多種多様なダイエットサプリやパーソナルトレーニングのコースを販売していますが、商品名や商品の内容・成分を見ただけではお客様の中にはそれぞれの違いがあまり判らないという方もいらっしゃいます。

そのため、トゥエンティーフォーセブンではまず各商品の有用性を説明するようにしています。その上で他社との差別化を図っています。

たとえば

・高級感があるorお手頃
・含まれている栄養素が多いor栄養素を厳選している
・ボディコンテストを目指している人向けorダイエットをしたい人向け

など、特徴を明確化することで商品やサービス独自の魅力が見つかっていきます。

ですが、時にどうしても他社と比べると劣ってしまう特徴も出てきます。そういった場合は、ネガティブと思われる要素をすべてポジティブな言葉に変換して表現するようにしています

たとえば、「サプリに含まれている栄養素が少ない」商品があったとします。

この場合、少ないってネガティブな特徴ですよね。
でも、実際は必要な栄養素だけに絞ることで価格を安く提供することができるメリットがあるんです。

そこで見方を変えて、「含まれている栄養素が少ない→必要な栄養素だけを厳選している」とポジティブな言葉に言い換えるようにしています。

ネガティブな言葉が一気にポジティブな言葉に置き換えられましたね!
さすがコピーライターさんだなって思いました。

こういった発想はこの仕事をしてから身に付けましたね。実際どのような表現にすればいいかは、今パッと出てこなくてもキャッチコピーを作り続けていければ自然とできるようになると思います。

本題に戻りますが、最後に分析したお客様と商品やサービスの情報を元にキャッチコピーで伝えるべき要素を絞ります。

お客様にとって有益な情報や刺さりやすい要素はすべて入れたくなりますが、そのようにキャッチを作るライターはあまりいないと思います。
なぜなら、一般的にキャッチは15文字以内が良いと言われています。

そのため1つ、2つの要素を入れるのが精いっぱいです。

商品の強みを出しつつ、お客様が「これなら私の悩みを解決できるかも!」と思うような要素を選び、それらすべてを網羅するフレーズや表現をライターが生み出すことで魅力的なコピーが生まれるので、そういったことも書いてあげた方が魅力が伝わるかと思います。
ここがライターの腕の見せ所でまた楽しいところですね。

分析と戦略、そして想像力を集結させて魅力的なキャッチコピーを作っているんですね。貴重なお話ありがとうございました。

現役マーケターが解説!
上手いと思ったキャッチコピー事例5選

先ほどはキャッチコピーを作る上での考え方を紹介しました。ここからは、当社のマーケターに上手いと思ったキャッチコピーの紹介とマーケター視点での解説をしてもらいます。他社のキャッチコピーを考察することで、自身のキャッチコピー作りの参考にもなっていきます。

上手いキャッチコピー事例①ワタナベ タロウ

業務内容を簡単に教えてください。

ワークアウト、PBF、食品事業に入会されたお客様に対するLINE、メルマガ、などのクリエイティブ作成や、キャンペーンなどの施策立案を行っています。

上手いと思った広告のキャッチコピーを教えてください。

「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」ルミネ


そのキャッチコピーの上手いと思ったポイントをマーケター視点で教えてください。

ターゲットの女性に刺さる「買い物の先にある感情」に寄り添ったコピーだと感じています。

コピーを作る際、まず最初に目線を向けるべきなのは商品ではなく、読み手となるお客様です。たとえば、人が一枚の洋服を買う際、その背後にはさまざまな想いがあります。自然体で自分らしい服が着たい、手持ちの服に合う服を選びたい、学校の友達から良く見られたい、会社で浮かない服を着たい、気になっている男性に可愛いと褒めて欲しいetc……

もちろん、商品やサービスの特徴を訴求するのも重要ですが、それ以上に大事なのはお客様の心に寄り添うこと。お客様は商品がほしいのではなく、その先にある「何か」がほしい。

消費者の背景にある感情にフォーカスした名作だと思います。

ついついサービスのことを言いたくなりますが、商品を購入した後にどんなベネフィットがあるかを考えるのは大事ですよね。でも、この言い回しを思いつくのは本当にすごいですね。

上手いキャッチコピー事例②生田 さや

業務内容を簡単に教えてください。

主にWO・食品のCRM戦略の分析企画実装を行っています。

上手いと思った広告のキャッチコピーを教えてください。

「一瞬も一生も美しく」資生堂


そのキャッチコピーの上手いと思ったポイントをマーケター視点で教えてください。

速攻力と将来性の両方を伝えられていて、メイクアップもスキンケアも強みになる会社だからこそ解決できるテーマだなと思ったからです。

とくに特に日本人は他人と比べてしまい見た目にコンプレックスを持つ人が多いですが、年齢を重ねても美しくいたい、元気でいたいという気持ちを持っている人はたくさんいらっしゃるので、すごく響くなと思いました。

この即効力のあるメイクアップを「一瞬」、将来性のあるスキンケアを「一生」と表現しているのはとても印象的ですね。企業の強みをここまで短くキャッチーに伝えられるのは流石ですね。ご紹介ありがとうございました!

上手いキャッチコピー事例③堀 啓将

業務内容を簡単に教えてください。

全事業の広告に関わるクリエイティブの製作ディレクションを行っています。主にLPの構成作成、制作工程のスケジュール管理、クオリティ管理を行っています。

上手いと思った広告のキャッチコピーを教えてください。

「うまい、やすい、はやい」吉野家


そのキャッチコピーの上手いと思ったポイントをマーケター視点で教えてください。

企業理念、サービスの特徴が小学生でもわかる簡単な3つの単語で表現されていて、誰でもサービスの良さがイメージできるなと思いました。

しかも、メインターゲットであるビジネスマンのニーズ(手っ取り早くランチを済ませたい、お小遣い制でランチ代は節約しないといけない、でも美味しいものを食べたい)に対する解決策となる内容になっているので、ターゲットが自分事化しやすく、お店選びのときの候補にパッと思い浮かぶように感じます。

さらに韻を踏んでいるのでリズミカルで頭に残りやすいのも素晴らしいなと思います。

誰もが知ってるコピーですが改めて見るとサービスの良さが凝縮されていて、ターゲットのニーズもしっかり捉えている。とてもキャッチーで秀逸なコピーですよね。

上手いキャッチコピー事例④佐藤 瑞紀

業務内容を簡単に教えてください。

主に低糖質スイーツやスープなどの食品の商品企画を行っています。

市場調査~商品企画、新規製造先の開拓を行い、商品をリリースしています。

また楽天店舗の運営やセール、キャンペーンなどの施策の立案・実施も担当しています。

上手いと思った広告のキャッチコピーを教えてください。

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」ゼクシィ


そのキャッチコピーの上手いと思ったポイントをマーケター視点で教えてください。

ウェディング関連のコピーにも関わらず、最初の一文で結婚=幸せという定義を壊している点が印象的です。

ややネガティブな文言で始まりつつも、後半にはしっかりと女性の背中を後押しするような文で締めくくられており、文字通り時代に合わせて結婚する人もしない人も傷つけないコピーだったので上手いと思っていました。結婚を迷っている、という人を結婚する、に変化させる心の動く広告だと思います。

ウェディング関連の企業が「結婚しなくても幸せになれる」というワードを使ってくるのは惹きつけられますね。その後のギャップもよく考えられていますね。とても参考になりました。ご紹介ありがとうございました。

上手いキャッチコピー事例⑤平島 かなこ

業務内容を簡単に教えてください。

パーソナルジムや食品事業の広告におけるクリエイティブ作成や改修を行い、新規顧客の獲得を行っています。

上手いと思った広告のキャッチコピーを教えてください。

「運勢は生まれた日より選んだ服で変わると思う。」ルミネ


そのキャッチコピーの上手いと思ったポイントをマーケター視点で教えてください。

ルミネの広告のキャッチコピーです。ルミネのメインターゲットである「女性」は占い好きの傾向にあり、「運勢」というワードでうまく関心を惹いていると思います。その運勢を決める要素が、自分の努力ではどうしようもない「誕生日」ではなく、自分自身で選び抜いた「洋服(ファッション)」というのが前向き且つ、運勢という概念を逆手に取っていておもしろいです。

この広告をルミネのエスカレーターで目に留めたら、「今から大切に洋服を選ぼう」「今日はお気に入りの一着を見つけよう」と気分がアガります。

さらには「予算オーバーをしている商品でも奮発しようかな」と購買意欲の向上も助けてくれると思います。また、言い回しの気が利いていてオシャレで、20~30代の女性をターゲットにしている企業イメージにもぴったりです。

「生まれた日」と「選んだ服」の比較はそういう意味が込められているんですね。ターゲットに合わせて選ぶワードのセンスは参考にしたくなりますね。

まとめ

いかがだったでしょうか?
商品やサービスを宣伝する上ではキャッチコピーはとても重要な要素です。

良いキャッチコピーを作るためには、ターゲットとなるユーザーの悩みを徹底的に考え、そこに自社商品の強みを掛け合わせることが大切です。

今回紹介した当社のコピーライターによるキャッチコピーの作り方、考え方や他社事例の考察はとても役立つはずです。ぜひ参考にしてみてください。