得意を活かせず、社会人になって初めてぶつかったコミュニケーションの壁
MANGOに新卒採用で2019年に入社した内野宮と、2020年に入社した木下。2023年3月現在は同じチームで、広告運用や広告施策の提案・実行を行うコンサルタントとして活躍しています。
先輩社員が新入社員に伴走し、成長をサポートする「トレーナー制度」の取り組みの中で、2020年の春にトレーナー・トレーニーとしてコンビを組んだ二人。お互いの第一印象は、現在とはギャップがあったと言います。
内野宮 「ひと言で表すと『堅物だな!』と思ったのが最初の印象です。とにかく何を言っても曲がらない。自分で決めたことは納得するまで貫く。ただ、それはポジティブに捉えればしっかりとした芯のあるモチベーションがあるということ。でもやっぱり堅い後輩でした(笑)」
木下 「僕は、『先輩と言っても、ほとんど変わらないな』って見ていたと思います(笑)。そんな気持ちで接していたから、なおさら『堅物』に見えていたのかもしれません。当時は、社会人としてのコミュニケーションの取り方に、かなり苦労していました」
社会人として踏み出す新しい場所、新しく関わる人たち。何もかもが初めての環境で「本来の自分」を出せないことは、よくあることかもしれません。その上、木下が入社した2020年は新型コロナウイルス感染症のパンデミックが影響し、入社から数日でリモートワークを余儀なくされました。
内野宮 「これまでは、雑談したり仕事帰りに飲みに行ったりと、先輩との関係性を仕事以外でも築けていましたが、その機会が減ってしまって。だからこそ、メンバーへのコミュニケーションの仕方も、従来のスタイルから変えないといけないと痛感したのを今でも覚えています」
そんな内野宮も、入社1年目はコミュニケーションに苦戦していたと言います。
内野宮 「もともとコミュニケーションは得意で、誰とでも仲良くできるタイプでした。でも仕事となると、そのスタイルが常に通用するわけではないと思い知らされたんです。
業務ではテキストコミュニケーションがメインになり、そこに苦戦する新入社員も少なくありません。僕もその一人で、情報量が多く伝わりづらい文章になったり、読み手のことを意識した気遣いができていなかったり。
当時は、メールやチャットを送る前に、必ず自分の文章をトレーナーに見てもらい、文章構成やテキストでやりとりする際のコツまで指導してもらいました」
先輩としてのプライドより優先した、後輩を育てるための覚悟
現在は、コンサルティング課内の責任者と育成トレーナーを兼任している内野宮。自身のトレーニー時代を「厳しい中にも愛がある指導をしてもらった1年だった」と振り返ります。
内野宮 「仕事上のスキルだけでなく、社会人としてのスタンス、MANGOでしっかり成果を出していくために必要な姿勢をトレーナーから学びました。それが今の僕の基盤になっています」
そして2年目を迎え、木下のトレーナーとなった内野宮は、自身がそうしてもらったように、通常業務と並行して、育成業務にも精一杯取り組みました。
内野宮 「トレーナーとしての最初の半年間は、バランスを取るのがかなり難しかったです。でも、僕にとっては通常の業務も、トレーナーとしての仕事も、どちらも本業なんです。
メンバーを育てることが、次に新しく入ってくるメンバーにもつながっていく。それは僕自身もトレーニー時代の実体験として理解していたので、トレーナーの仕事も絶対に手を抜きたくないと思っています。
そのために、自分の業務に充てていた時間を効率化し、残りの時間をトレーニングに回そうという思考回路に徐々に変わっていきました。僕自身も『トレーナー制度』を通して成長できたと感じています」
内野宮は、指導に加え、自身が経験した失敗や1年目に抱いたモヤモヤとした感情などを積極的に伝えるようにしていたと言います。
内野宮 「同じ失敗を繰り返して自己嫌悪に陥る瞬間は、誰でも一度は経験すると思います。僕もそんな日々が続いて、仕事に前向きになれなくなることがありました。
でもそんなエピソードもありのままに話すことで、後輩には同じような経験をしたときに必要以上に落ち込んだり苦しんだりしてほしくなかったんです。先輩としてのプライドは一旦置いておいて、後輩の成長につながるのなら、自分の失敗も包み隠さず伝えようというのが僕のトレーナーとしての覚悟でした」
木下 「僕はカッコつけたいタイプというか、失敗を見せたくないタイプの人間なので、城さんが話してくれるエピソードは『城さんでもそんなことがあったんだ』と、背中を押してもらえる大きな要素になっていました」
本気で向き合い続け、二人で勝ち取った「合格」という成功体験
内野宮に対して「ほぼ同期」と思いながら接していた木下でしたが、入社して2カ月経ったころ、内野宮との間には大きな差があると気づかされる出来事が訪れました。それが研修の過程で実施するコミュニケーションテストでした。
コミュニケーションテストは、会話形式で試験官を営業メンバーに見立ててコミュニケーションをとりながら、コンサルタントに必要な知識を養う実践試験で、ほとんどの新入社員がぶつかる最初の壁です。木下も緊張のあまりうまく話せず、練習の成果を発揮できずにいました。
木下 「試験官の顔を見ると、余計なことを言ってしまうんじゃないか、指摘されたらどうしようと考えてしまい、コミュニケーションを取ること自体が辛かったです。
1回目はもちろん不合格。2回目もうまくいきませんでした。その間、城さんにずっと支えてもらって。具体的なアドバイスはもちろんですが、何より精神面で支えられたのが大きかったです。城さんはどんなときも、僕から逃げずに向き合ってくださいました」
木下は、内野宮からのアドバイスを自身の中に落とし込み、ただ模範回答を丸暗記するのではなく、「自分の言葉」で回答することを常に模索し続けました。そして何度も練習を重ねた結果、3回目で合格を勝ち取りました。内野宮も木下の合格がまるで自分のことのように嬉しく、涙が止まらなかったと言います。
木下 「テストに合格すると、実際に営業担当とのやり取りがはじまり、そこでもコミュニケーションの壁には何度もぶつかりました。そのときも城さんが根気強く指導してくれたおかげで、少しずつ自信をつけていくことができました」
二人の絆を確たるものにするきっかけとなった「50問ノック」。木下を隣で支え続けた内野宮は、トレーナーとして「雰囲気づくり」を一番に大切にしていました。
内野宮 「とにかく『いつでも声をかけやすい先輩でいよう』と常々思っています。だからこそ、自分からも積極的に声をかけて、コミュニケーションを取りやすい空気は自分からつくるように心がけているんです。
それから、トレーナーになったばかりのころは、指導する中で教えすぎてしまい、自ら考え、気づきや経験を得る機会を奪ってしまうことが何度もありました。その苦い経験から、『後輩の成長のために、どう導けば良いか』を第一に考えるようにしています」
木下 「一人ひとりに合わせた伝え方って難しいですよね。とくに指摘をしないといけない場面では、相手に嫌な気持ちだけが残ってしまい、本来伝えたいことが伝わらないことも多くて……」
内野宮 「広告運用もメンバー育成も『正解がない』のは同じで、正解がないからこそ、メンバー一人ひとりに本気で向き合って、やり方を模索していく。そして、うまくいったときの喜びを分かち合えるのも醍醐味の一つかなと思います」
強く、しなやかな組織をめざして。先輩から後輩へ、受け継がれていく意志
これまで何事にも本気で向き合いながら、数々の壁を乗り越えてきた二人。正解がないメンバー育成という仕事の中で、トレーナーとして伴走してきた内野宮は、木下の成長を次のように語ります。
内野宮 「木下くんは、入社当時から本当に大きく成長したと思います。一番苦戦していたコミュニケーションも、今では苦労していた姿が想像できないほどです。相変わらず固い信念はありつつも、柔軟性やしなやかさが出てきている。当初の『堅物』というイメージはもうありません。
それから先日、嬉しい出来事がありました。セプテーニの営業メンバーに、担当コンサルタントに木下くんをアサインする旨を伝えたところ、『木下さんなら心強いです!ありがとうございます!』というメッセージが返ってきたんです。日ごろの丁寧な運用とコミュニケーションが、営業メンバーからの信頼を得ている証だと思います」
木下 「そう言ってもらえると嬉しいです。僕自身、入社当時は『より多くの広告費を運用することが会社への一番の価値提供』という考えに固執していました。でも、城さんから指導を受けて、同期がトレーナーに抜擢される姿を見る中で、実はそれだけがすべてじゃないことに気づけたんです。
たとえばチームにプラスになることをやったり、他者へ良い影響を与えられるような行動を取ることだったり……。だからこそ、2年目には大学生向けのインターンシップの講師に自ら手を挙げて、『デジタル広告の基礎』の講義を担当しました。こうしたチャンスを活かしながら、自分の幅を広げることにもどんどん挑戦していきたいです」
内野宮 「木下くんの今の言葉に、彼の成長のすべてが詰まっていると思います。価値提供の方法はいろいろあって、会社の業績に貢献することも、チームや組織にプラスαの貢献をすることも、どちらもできたらいいですよね」
また春が訪れ、来月には新しいメンバーが仲間として加わります。二人が今後めざしていきたい先輩像とは──。
木下 「これまでを振り返ると、いつも僕のそばには城さんがいてくれました。城さんが1年目の僕の成長を後押ししてくれたように、後輩に寄り添い、伴走したいと思っています。目の前の課題から逃げ出さずに向き合っていける先輩でいたいです」
内野宮 「すごく頼もしいですね!僕も、これまでのスタンスは変えず、業務面だけでなくメンタル面もサポートできる先輩でありたいです。仕事のことで頭がいっぱいになっていた1年目の僕みたいにならないように、まずはメンバーから頼ってもらえるよう、これからも環境づくりに取り組んでいきます」
先輩からもらった時間は後輩に還元し、互いの成長のために切磋琢磨するMANGOの育成文化。奮闘しながらも、強く、しなやかな組織をめざして、これからも自分たちの手で企業文化を築いていきます。