宮崎駅からまっすぐ伸びる「高千穂通り」。その通り沿いにある興亜宮崎ビルをオフィスとしている当社は、2020年10月、事業拡大に伴い同ビルの1階に新たなワークスペースを増床しました。
今回は、そのプロジェクトのオーナーである代表取締役の高橋 勇太と、プロジェクトマネージャーを担った総務室マネージャーの柴田 圭一が、オフィス増床の背景やプロジェクトへの想いを語ります。
コロナ禍で見つめ直した「オフィスのあり方」とは
ー 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け、多くの企業でオフィスの縮小や解約の動きがある中でのオフィス増床でした。まずは、その背景からお聞かせください。
高橋 「新型コロナウイルス感染症が拡大する以前から、増床の考えはありました。というのも、事業規模の拡大とともにメンバーも増加し、オフィス自体が手狭になっていたんです。ですが、新たなスペースは確保できていても、増床した場所のコンセプトや利用方法を決めかねていました。そこで、『オフィスのあり方』について改めて考え直してみることにしました」
柴田 「プロジェクトが発足した当初、私は東京でセプテーニ・ホールディングスの総務として各地の拠点づくりを担当していたため、高橋から増床計画について話を聞いていました。2020年4月にMANGOで働き始めてから、高橋とは何度も『オフィスとはどのような場所であるべきだろう』という対話を重ねてきました」
—「オフィスのあり方とは」という問いは、そう簡単に答えが出ることではないと思います。コロナ禍を受けて、新たな気づきもあったのではないでしょうか。
高橋 「コロナ禍以前は、『人員が増える=その分のデスクとスペースが必要』という前提がありましたが、まずコロナ禍でリモートワークが始まったことで『リモートワークとの掛け合わせで、有限と思っていたスペースをもっと有効に活用できる可能性があるのでは』という発見がありましたね」
柴田 「MANGOも2020年2月から在宅勤務を取り入れていますし、間違いなく働き方の選択肢が増えたと思います」
高橋 「しかし、在宅勤務が100%有効な手段ではありませんでした。在宅勤務によって、『メンバーを新型コロナウイルス感染症から守る』という物理的安全性は担保されましたが、リモートワークに移行して少し時間が経過すると『いつでもそばに相談できる仲間がいる』という心理的安全性が担保されづらいという課題が出てきました」
柴田 「リモートワークは、一人でパソコンと向き合って仕事をすることになります。普段は困っていることがあれば隣のメンバーに声をかけるなど、安心して相談できる環境が当たり前だった以前と比べ、不安を抱いたメンバーも多くいたと思います。とくに入社したばかりのメンバーは悩んだことも少なくなかったはずです」
高橋 「大切なのは、出社とリモートワークのバランス。『オフィス』という場所は、心理的安全性を保つという大きな役割を果たしていました。こうした気づきが、増床スペースのコンセプトのベースになり、改めて『オフィスで働く意義』を浮き彫りにさせるきっかけにもなりました」
地方からキャリアを離陸させる場所に
— 今回増床した1階のコンセプトは「空港」。こちらはどのような着想があったのでしょう?
柴田 「コミュニケーションのキースポットにしたい、という想いはありましたので、当初はメンバーがワイワイと賑やかにできる場所にしたいと『グランピング』をコンセプトに進めていました。しかし、これがなかなかしっくりこなかったのです」
高橋 「『空港』というコンセプトを思いついたきっかけは、私が以前から感じていた、首都圏と地方の間にある『働くこと』へのギャップの存在でした。
私は東京で働いていた期間も長いのですが、仕事内容は近しいのに、企業文化、評価制度、育成の仕組みなど、数々の首都圏で働く上での“アタリマエ”が、地方ではまだ持ち込まれていないものがある。まず、このギャップを解消したいと思っていたのです。
では、そのギャップを解消し、『ヒト・モノ・カネ』といった首都圏に集まりがちなデジタルマーケティングの資産を、宮崎という地方でも十分に活かすことができると体現するにはどうすれば良いか?それには、メンバーの市場価値あるデジタルマーケティングのキャリアが『出発する=“離陸”できる』ような場にしたいと思ったのです」
— なるほど。「キャリアの離陸」がキーワードになったのですね。
高橋 「加えて、県外からの学生やキャリアを積んだ人の“着陸”地点として、これから出会うメンバーとの『つながりの場』にしたいという想いもあり、『空港』というコンセプトに着地しました。
また、せっかくガラス張りの1階を活用できるのであれば、メンバーがこの環境を誇ってもらえるよう、地域の中で私たちのスタンスも含めて応援していただけるよう、現在地点のわれわれから多少背伸びだったとしても、独自性のある都会的な空間に徹底してこだわることも同時に心に決めました」
ユニークなオフィスがメンバーのコミュニケーションを生む
— 今回の増床プロジェクトで、お二方はそれぞれどのような役割を担われていたのでしょうか。
高橋 「私がオーナー、柴田がマネージャーとしてプロジェクトを進行させていました。スケジュールや予算管理、パートナー企業との話し合いなどの調整ごとはすべて柴田に一任していました」
柴田 「私は当初、それまでの経験からオフィス作りは『1階ではないこと』、『内観が外から見えないようにすること』、『おしゃれさよりも整然とした空間を重視すること』という、『オフィスはこうあるべきだ』という考えにとらわれていたのですが、高橋はその定石を破るように、『1階でガラス張りのおしゃれなオフィス』を提案してきたんです。驚きました」
高橋 「いろいろと意見は言わせてもらいました!」
柴田 「私は今まで各事業所のオフィス移転・増床プロジェクトに参加してきましたが、高橋ほどプロジェクトに熱心に関与したオーナーはいなかったかもしれません。壁のデザインから家具までとにかく注文が多かった(笑)。それだけこの1階のスペースに思い入れがあったということだと思いますし、私自身も共に作っている感覚がとても楽しかったです」
高橋 「メンバーが気軽に集いやすい仕掛けとして卓球台を置いてみたり、空港さながらの搭乗ゲートのような入り口を設置してみたり、独自性のある都会的なオフィスを作りたいと思っていました。また、『人に優しいオフィス作り』も目指していたので、バリアフリーも施しました」
柴田 「正直なところ、初めは定石破りのオフィス作りに反対していたのですが、完成するとすごく評判が良かったです。今までの『オフィスとはこういうものだ』という考えが覆されましたし、それが自身の新たな発見につながりました」
— 好評だというコミュニケーションスペースを、社員の皆さんはどのように活用されているのでしょうか。
柴田 「ワークスペースとして利用する人や、チームのキックオフミーティングや勉強会などの中規模なイベントを開催する人など、人によって用途はさまざまです。一緒に卓球で体を動かしたり、食事をしたりして、メンバー同士で仲を深めるきっかけとしても活用されています」
高橋 「今までよりもオフィス内での人の動きが活発になった感覚はありますね」
柴田 「はい。特に卓球は先輩後輩関係なく、コミュニケーションのきっかけとして機能していると思います。また、県内のコロナ感染状況によりますが、メンバーおすすめのお店からお取り寄せしたお弁当やお菓子をみんなで囲むイベントを実施しています。チームの垣根を超えたコミュニケーションが生まれると、メンバーからも好評です」
高橋 「ガラス張りの外観を活用して、地元の製菓店『菓te-ri』様の商品の応援ディスプレイを設置するなど、社外との取り組みも行いました」
地域に根ざした活動で「MANGOだから働きたい」と思われる会社に
— コミュニケーションの醸成の場として、機能しはじめている増床スペース。今後、この空間を活用することで目指していきたい目標はありますか?
高橋 「先ほどお伝えした、『首都圏と地方のギャップを解消する』というねらいはもちろんですが、市場価値の高いデジタルマーケティングのキャリアが離陸できる滑走路的な存在を目指していきたいと思います。
宮崎のメインストリート沿いにあるビルの1階に新しい空間を作ったことで、地域の方々にMANGOという会社を認知していただく機会が増えてきたように感じます。今後は、社内、社外双方の取組みを通じて、『宮崎にあるデジタル広告の会社』という、エリアでフィルタリングした上で選ばれる企業ではなく、『MANGOだから働きたい』と思ってもらえるような会社になっていきたいですね」
柴田 「それと同時に、やはり働くメンバーの心理的安全性の維持・向上に一役買ってもらいたいとも思っています。この空間を活用して、メンバー同士が交流する企画を立てていくことで、意図的、また偶発的にメンバー同士がつながれる機会を作っていきたいです」
高橋 「そうですね。社内だけではなく、『菓te-ri』様との取り組みのように、地域とのつながりも大切にしていきたいです。
リアルに集うことが許される世の中になった際に個人的に行ってみたいのは、子ども食堂やメンバーの家族をオフィスに招待する『ファミリー感謝デー』。
社内に向けた活動だけではなく、地域に根差し盛り上げていけるような取り組みも継続して行うことで、MANGOという存在が、地域の方々にとってもポジティブなものとして捉えていただければ嬉しく思います」