マイペースのバランサー──現在の性格にもつながる家族の環境
歳の離れた姉と4歳差の兄を持つ神田。きょうだいが思春期や反抗期の姿を間近で、とても客観視していたと話します。
神田 「小さいころから、とてもマイペースでした(笑)。上に2人きょうだいがいるのでふたりがさまざまな時期に差し掛かるのを近くで見ていて、自分だったらどう感じるかな……。ということを小さいころから無意識のうちに考えていましたね。
年も離れているので、きょうだい全員で学校が同じになるタイミングはなく、特別仲が良いというわけでもありませんでしたが、家に遊びに来た姉の友達と一緒に遊んだり、兄と一緒にゲームをしたりしていました。
同年代の友達と遊ぶことも多かったですが、友達と一緒にいてもバランスをとる役割のような感じで遊ぶことが多かったすね。足りないところを見てその場で解決していく、という感じでした。当時から物事を客観的に捉える癖がついていたのかもしれません」
周りのバランスを考えながら過ごしていた神田が、のめり込んだのは食でした。
神田 「両親はお酒が好きで、食卓には一汁三菜のイメージで、いつもさまざまな食事が食卓に並んでいました。食への興味の原点かもしれません」
そんな神田は、大学時代の先輩に声をかけられたことで、飲食店を運営する団体と出会います。
神田 「大学1年から4年生までの10名くらいでシフトを作って運営しているカフェアンドバーでした。学生のお客様はもちろん、お店の近くに住む方々も来て、カクテルやワインコーヒー、料理などを提供していました。0から10まで企画から開発や仕入れ、売上計算など一貫して学生たちが運営しているお店で、毎日やりがいを感じていました」
店舗は、友人の音楽サークルに場所を提供し、音楽のイベントを企画したり、街のイベントに一緒に参加したり、飲食店以外にもさまざまな用途で使ってもらっていたと話します。
神田 「その団体での活動が、直接今の仕事ともつながっていると思います。自分が“良い”と思ったものをお客様に自分の言葉で提案して、ダイレクトにリアクションが返ってきて嬉しかったり、おもしろいと思えたり」
飲食店で働き続けたい、より“街づくり”に心動かされて
就職活動(以下、就活)のタイミングがやってきた神田は、最初はなかなか動けなかったと言います。
神田 「その団体で飲食店を運営して、楽しいとは感じていたものの、社会人になってからも飲食店で働きたい!と強く思っていたわけではありませんでした。世の中に、ほかにどんな仕事があるのかも知らなかったですし、昔からある程度自分のやりたいことに自分で納得できないと行動に移せないタイプだったんです」
就活をする際に振り返って考えたのは、学生時代自分が興味を持ったこと。そこで出てきたことが“街づくり”でした。
神田 「商店街の飲食店だったので、徐々に街の近くの飲食店の方々との交流も深まってきたころ、商店街組合の会合に学生の自分たちが参加する機会が何度かあったんです。周りは自分の祖父と同い年くらいの方もいたり。とても不思議な空間でしたが、そこで“街に自分たちができること”ってなんだろう、と考える瞬間が何度かありました。街の中で何を果たせるか、場づくり、街づくりにマインドが向くようになりました」
自身を振り返り、やるべきことが明確になった神田は、先輩のつてを頼りに企業でインターンを始めました。
神田 「さまざまな事業を行っている企業でしたが、そのうちの一つにレンタルスペースの運営がありました。問い合わせや内見・予算のヒアリングをメールや電話で対応していました。
あるイベントで実際に打ち合わせをして、施工から撤収まで見たときのことです。クライアントがいて、制作会社がいて、施工担当がいて、一つのイベントが行われるまでに裏側ではこんなしくみになって動いているんだなと感動したんです。インターン先は新卒採用を行っていなかったので、いろいろな企業を紹介してもらいました。その一つがウェルカムだったんです」
ウェルカムの説明会に参加した神田は、「間違いない」と確信したと当時を振り返りました。
約6年で6店舗を経験──学生時代の強みを活かした、たくさんの挑戦
2016年当時は、対面開催されていたウェルカムグループの説明会に足を運んだ神田。ほかにもさまざまな企業を見ていましたが、早い段階で入社したいと感じたと話します。
神田 「ウェルカムの紹介をされたときに、ほかにもいくつか企業を紹介してもらったので、さまざまな企業の説明会を受けていたんです。ただ、当時ウェルカムの説明会がTODAY’S SPECIAL KITCHEN(現在はGOOD CHEESE GOOD PIZZAへ業態変更)で行われており、場所にもときめいていましたし、説明会が始まると祥太さん(人事企画 統括:鈴木 祥太)、横川さん(代表取締役社長:横川 正紀)が話し始め、間違いないと感じました。
気を張っていないような雰囲気で、良い意味で力が抜けてリラックスしているイメージというか。参加している就活生の人柄をそのまま否定しないようなムードで会が進んでいると感じて、自分に合っているな、と。ほかの企業の説明会にも複数参加していたからこそ、違いを感じ取ることができました」
選考はスムーズに進み、無事にウェルカムへの内定を受け取った神田。2017年の4月に入社し、自分の経験分野と好きを活かし、外食部門への配属が決まりました。
神田 「当時、30名以上の同期の中で、ARHグループへの配属は私だけでした。自分のやっていきたいことを発信しやすい環境だったので、とても楽しく働けていましたね」
入社直後から2023年3月現在に至るまで、さまざまな経験を積んでいる神田は自身の経歴を次のように語ります。
神田 「入社直後はask a giraffeでサービススタッフとして働いていました(現在のGOODCHEESE GOOD PIZZA)。ここで飲食店の流れをつかんで、2年目にTODAY’S SPECIAL KITCHENへ。説明会で心ときめいた場所で働けたときはとても嬉しかったですね。
3年目はRIVIVE KITCHENでプラントベースの料理を扱い、4年目に酒食堂虎ノ門蒸留所の立ち上げに携わりました。5年目に本部に異動し後藤さん(ARHグループ長 執行役員:後藤 順)のもとで資料作成やBtoB案件の商品開発、店舗ヘルプなど、近くで仕事していたときに、GOOD CHEESE GOOD PIZZA 渋谷店がオープンすることになったんです。
立ち上げに関わり、マネージャーとしてチャレンジしたいと声を上げて、オープンから年末まで任せてもらった後、現在のTWELVE GARDENSでサービススタッフとして、大型の店舗におけるサービスやオペレーションを学んでいます」
その中でも印象に残っている出来事を話してもらいました。
神田 「酒食堂 虎ノ門蒸留所は、店舗内にジンの蒸留所も併設されています。虎ノ門ヒルズの横丁内にほかの企業の飲食店と隣同士でお店があります。横丁のイベントもありますし、新しいジンをリリースする際の企画など、イベント担当として動いている部分もあったので、大学時代の団体での経験を活かせた機会でしたし、店舗同士の“横のつながり”など街づくりを感じられる時間でした。
それから2022年に、マネージャーとして一店舗を任せてもらう経験ができたことは思い出深いです。新型コロナウイルス感染症の流行も重なり、利益を残していくことが厳しい状況でしたが、最繁忙期の12月に利益を残すことができ、お店づくりの体感と、お客様にも喜んでもらえた経験は大きいです」
お客様は“大切なヒト”──現場目線を大切にし、続けられるヒトでありたい
2017年4月にウェルカムグループへ入社し、もうすぐ丸6年、7年目を迎える神田。さまざまな場所からARHグループを見てきた彼の大切にしている価値観や今後持っているビジョンについて尋ねました。
神田 「現在はサービススタッフとして、お店全体のサービス強化に努めています。どんなふうに伝えたら一緒に働く仲間たちに一番伝わりやすいかと考えたときに、『今いるお客様や、これからご来店してくださるお客様を自分の家族や、大切なヒトだと思いながら接客してみて』と話します。
自分がお客様だったとき、とても緊張している人から接客されるよりも良い距離感で、話ができる気がしませんか?大切なヒトの前だと、すこしカッコつけてサービスしたり、本当にその人に合ったお料理やドリンクをおすすめしたり。自分たちも仕事を楽しむ秘訣が、ここに詰まっていると思っています。
そして、すすめるときには自分が“良いと思うもの”をお客様に伝えて共感してもらうことを大切にしています。新しさもトッピングして、お料理も、ドリンクも、それ以外のサービス面でも、それぞれにストーリーが紐付いていて、良さの理由を伝えられることも大切に、日々商品知識をつけるようにしています」
いつまでもお客様目線で捉え続ける彼が、今後思い描く未来はどのようなものなのでしょうか。
神田 「今までの経験を活かして企画のようなポジションでお店づくり、街づくりに関わっていけたら良いなと思っています。そのためには、現場で経験を積み、お店で何が起きているかを知ることが一番重要だと感じているので、今目の前にある仕事にしっかりと向き合っていきたいですね。最終的に、“現場目線を持った企画ができ、お店づくりに関わる”というところまで成長したいです」
一つの場所にとらわれず、自分が必要とされている場所で働き、そこで仕事の楽しさを毎回見つけてきたと言います。そんな風にポジティブに、健やかに働ける彼のエネルギーの源はどこから湧いてくるのでしょうか。
神田 「お店で扱っている商品はすべて、メンバー間で提案し吟味し納得したものです。自分たちが良いと思っているものをお客様に提案しています。私個人に影響力はないけれど、良いものを扱う飲食店を楽しんでくれるお客様が増えてくれたら、結果的に飲食店で働く私たちの環境ももっと良くなっていく。
このサイクルに乗っていけるようにお客様目線で、いつも良いパフォーマンスをしていきたいと思いますし、共感できる人が増えて行けば増えていくほど、自分も働くことがもっと楽しくなると考えながら働くと、一つひとつの仕事が線につながっていくようで未来が明るくなるようで、活力になります」
ウェルカムグループの新卒二期生が、2017年の神田たちの代からのスタートでした。6年が経とうとしている今も、こんな風に考えられる彼の可能性は満ち溢れています。