プロセス設計のエキスパートが集う部署。非EPC型事業の創出をミッションに掲げる

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東洋エンジニアリング(以下、TOYO)は世界各国でプラント建設を行っている会社で、基本的なビジネスプロセスはE(設計)・P(調達)・C(建設)です。そのような企業体の中にあって、私が所属する先進技術ビジネス推進部では、研究開発をともなう新規事業を創出しています。そこからさらに、事業化を果たしてから収益を出すプロセスにまで携わるのが特徴です。

ゼロからテーマを考えてビジネス化を目指し、その後も自分たちの手で運営していくという、非常に広い領域に携わる部署です。部内メンバーは約10人で、いずれも化学工学が専門。誰もがプロセス設計を強みとしており、事業開発が得意なメンバーや、事業化後にも生かせる技術や知識を持つメンバーなど、各領域におけるプロフェッショナルが集結しています。

この部署での私の主な業務は、実験室での作業も含めて研究開発段階にある事業を前に進めること。しかも、同時に複数のテーマを担当しています。いわゆる「省エネ」や「創エネ」の分野でビジネス化を図り、過去には水素や蓄エネについて考える機会もありました。

こうした仕事には、自分の考えに基づいて取り組めています。毎回のように「これでいいですか?」とこまごまと確認することなく、一度方向性を決めたらどんどん進めていく、裁量を持たせてもらえる環境ですね。仕事の特性上、わからない道を進んでいくものの、部のミッションとして「非EPC型の新規事業を創出する」と掲げられているため、ゴールを見失うことはありません。

私自身、ゴールを常に意識することは、仕事で大切にしている考え方のひとつ。開発業務では社内の人間と組むことが多く、判断を誤ると「社内のための研究」になる可能性もあるため、社内ではなく、社会課題解決に貢献するという最終的な目的を見据えることにしています。

そのためには、常に事業化を意識し、「誰と組み、いつまでにどの段階まで形にするのか。その後はどこに話を持っていくのか」などと具体的に考えなければなりません。上司も、そうした意識となるよう促してくれているので、外の世界に目を向けながら仕事に臨めています。 

原子力の分野で培った専門性。経験と博士号を活かすため、TOYOへ

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大学では化学工学を専攻し、研究室には原子力分野を選びました。当時、興味を持っていた持続可能なエネルギーのうち、原子力は重要なキーになると考えていました。

初めて教授から研究の説明を受けたのが2011年2月のことで、当時の内容は「原子力の未来」。話を聞いて、放射性廃棄物処分をはじめとする、原子力が抱える問題に携われることに興味を持ちました。

ところが、翌月に東日本大震災が発生。2回目の説明を受けたときには、福島の原発事故に関連するテーマに切り替わりました。正直、向かい風となったことから、このままこの分野に進むべきか悩みました。しかし、原子力への興味を捨てきれず、最終的に、この分野での研究を決意しました。

修士課程まで原子力分野での研究を続け、大学院卒業後は、原子力の廃棄物処理などを手掛ける会社に入社しました。主に上流の設計業務を担当し、原子力関連施設における安全設計の指針を決めるためのシミュレーション業務などに従事。また、実際に原子力関連施設内の現地のメーカー事務所に駐在していた時期もありました。

また、入社4年後には、働きながら、かつて所属した研究室で博士号を取るべく、社会人学生として大学に入学しました。

実は、学生時代に「原発事故を経て原子力分野が過渡期に位置するからこそ、早く社会に身を置きたい」という気持ちと、「博士課程に進み、あと3年さらに学びたい」という気持ちの葛藤を経て就職したので、博士号を取りたいとの想いをずっと抱き続けていたのです。そのため、大学と会社の了承を得て社会人学生になり、博士号を取得しました。

充実した毎日でしたが、やがて異動で原子力の業務から離れることになり、転職活動を開始。せっかく博士号も取得したので、化学工学や安全設計の業務経験を活かしつつ、研究開発に関わる仕事に興味を持ちました。

複数の企業の話を聞く中、TOYOに入社を決めた理由は、やはり先進技術ビジネス推進部の仕事内容。研究開発から事業化まで携われることに心を掴まれました。事業担当者は事業のみ、研究担当者は研究のみ担当するのが一般的なのに対し、どちらもできるという業務領域の広さが魅力でした。

入社後のフォローから、新たな環境にもスムーズに適応。裁量を持って仕事に取り組む

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2022年にTOYOに入社しましたが、新しい環境に適応するのはスムーズでした。入社後は上司のみならず人事部門とのオンボーディング面談もあり、キャリア採用者のフォロー体制が整っていました。人事との面談は、まず入社1~2週間後、そこから1カ月後、3カ月後、半年後……と入社後1年間は続きます。「入社後の困りごと、部門メンバーとの関係性はどう?」という内容が中心でした。

正直、私自身は大きな悩みはなかったものの、ほかのキャリア採用者が入社後、どのタイミングでどんな壁にぶつかるのかというアドバイスも受けられたので、面談はありがたく思っていました。「悩みが生じるのは自然な流れ。自分だけじゃなく、周りのみんなも葛藤することがある」とわかり、安心できましたから。

また、キャリア採用者向けの対面ランチ会もありますし、社内のコミュニケーションツールにはキャリア採用社員専用のグループも設けられ、仕事上の質問を投げ掛ける人もいます。上司との交流も日常的で、評価面談も四半期ごとに実施されるため、方針や自分の目的を細かく確認し合うことができる環境です。

社内環境や仕事面でのサポート体制がある一方、スキルアップの面でも仕組みが整っていると感じます。その象徴とも言えるのが、社内に「TOYO Academy」と呼ばれる研修制度があること。専門性の高いカリキュラムも用意されていて、私も通常業務のかたわら、プロセス設計やユーティリティ設計の基礎をはじめ部内の業務に関する必須の知識を学びました。

さらには、入社してすぐに大きな裁量を与えられ、開発の方針や実験に必要な装置などを自分で決められることも驚いたところ。先進技術ビジネス推進部としてのミッションの下、会社の期待も受け、多くを任せてもらえることがモチベーションを高めてくれます。

TOYOという会社自体が、環境やエネルギーを重点領域とする新技術・事業開拓戦略(グリーン戦略)に注力すると掲げているので、同じベクトルで奮闘できるのが醍醐味ですね。

新規事業の大半はうまくいかない。その理解がある環境だから失敗を恐れず進んでいける

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入社後の環境への適応面では苦労しなかった一方、新規テーマを求めて勢いよく前進する雰囲気に慣れるのは、正直なところ大変でした。

新規事業の特徴として、周囲に歓迎されることもあれば、その逆も然り。ときに苦しさを覚えるのも事実です。それでも、仕事におもしろさも感じています。それは、いまの仕事が私にとって「やりたいことそのもの」だから。

私は、将来的には、新規事業の創出を推し進めることのできる知見や経験のある人材を目指しています。そうなるための当面の目標は、やはり自ら提案したテーマの事業化。希望する仕事に向き合えているいまは、苦労の反面、充実感があります。

そもそも新規事業は、大半がうまくいかないもの。完璧なテーマよりも、まずは芽になる種を見つけて提案することが重要です。上司はもちろんそのことを理解していますから、アイデア段階での提案も認めてくれます。新規事業創出は多くの失敗の上にあるということが前提にあるので、ひとつがうまく行かなくても、前向きに取り組めます。

入社してから感じているのは、TOYOの社員が、それぞれが非常に高い専門性を持っていること。さらに、自分と異なる分野のノウハウが必要になれば、関連部署にコンタクトを取り、いつでも意見を聞けるカルチャーがあります。互いに信頼関係があり、その上で気軽にアドバイスをもらえる風土は非常に魅力的です。

また、社内ではリモートワークが浸透しています。研究所での実験を行う期間は毎日のように出社しますが、それ以外は、通常週の約半分は自宅で仕事します。わが家は共働きなので、未就学児の子どもが発熱などで保育園を休む場合は、私が面倒を見る日もあります。こうした際にリモートワークは効果的です。さらに、上司と相談をして自宅作業の割合を増やすことも可能だと思います。

化学工学の基礎を持ち、研究に加えていつか新しい事業を興そうと考えている方、しかもその後のビジネスまで視野に入れている方にとって、私がいる先進技術ビジネス推進部での仕事は非常にマッチするはず。エンジニアリング会社の新しい取り組みに興味のある方は、数多くの活躍のチャンスに出会えますから、ぜひチャレンジしていただきたいですね。