上京しエンタメ業界に関わりたい──自分の気持ちに気がついた

立命館大学・産業社会学部を卒業した三枝。新卒で入社したのは、Webマーケティング事業を展開する広告代理店でした。

三枝 「就職活動では自分が何をやりたいかわからなかったので、華やかそうなIT業界で、事業内容を聞いたことがある広告代理店を選びました。Webマーケティングってどんなことをやるんだろうと、ワクワクして入社したのを覚えています。

配属されたのは関西支社で、研修を終えるとFacebookの広告運用を担当することになりました。支社は人数も少なかったので、大きな案件もいくつか任せてもらえました」

入社して1年が経ち、社会人生活にも慣れて来たころ、三枝の気持ちに変化が訪れます。

三枝 「働き始めて1年間は、失敗と成功を繰り返しながらがむしゃらに頑張っていた時期で、あまり自分のキャリアについて考える余裕はありませんでした。

そして少し落ち着いてきたころ、ふと自分を振り返る瞬間がありました。すると『自分ってこの仕事やりたいのかな?』という疑問が出てきて……。

というのも、広告の効果が上がったり、顧客獲得単価の額を低くできたり、そのような成果が出ると自分も嬉しいし、お客様にも喜んでもらえてはいたんですが、その課題はずっと継続して解決していかないといけないものだと気が付いたとき、自分にそこまでの熱量はないと感じてしまったんです」

三枝は自分の今後のキャリアと向き合い、転職を決意します。その希望は意外な形で実現されました。

三枝 「どんな仕事なら情熱を注げるだろうと考えたときに、昔からアイドルなどエンターテイメントが好きだったことを思い出しました。

また大学卒業まで関西で育ってきて、東京への憧れもあったので、新卒入社の配属で東京を希望していましたが叶わなかったんです。だからこの際、一気に両方を叶えられる東京のエンタメ業界で働きたいなと思っていました。

そんな矢先、東京に支社を持つ鉄鋼商社に勤めていた大学時代の友人から『新規事業でアイドルに特化したクラウドファンディングサービスを始めるから、一緒にやらない?』と連絡が来ました。私がアイドルを好きなのを知っていたので、声をかけてくれたんです」

三枝は即決し、その勢いで上京も果たしました。

「Fanicon」は自分のやりたいことそのものだった

アイドルに特化したクラウドファンディングの運営担当として、鉄鋼商社に入社した三枝。当時のことを振り返ります。

三枝 「本業の鉄鋼以外に、IoT事業、アクセサリー事業なども展開しているユニークな会社でした。アイドルのクラウドファンディングも、本業がしっかり確立されているからこそ挑戦できる新規事業でした。

サービスは簡単にいうと、お客様がチケット購入という形でクラウドファンディングに参加すると、リターンとしてアイドルのグッズがもらえたりチェキを撮れたりするものでした。

チームは私と友人と、外注のエンジニアが1人という少数精鋭だったので、アイドルのキャスティング、イベント会社との打ち合わせなど必要なことは全てやっていました。忙しいながらも仕事はすごく楽しく、やりがいを感じていました」

しかし入社して1年半後、サービスは閉鎖され、終わりを迎えます。

三枝 「残念ではありましたが、この事業での経験を通して、私はこれからもエンタメ業界で働いていたいという確信が持てました。

それからは別部門に異動して働きながら、転職活動を始めました」

三枝は2度目の転職活動を通して、THECOOと出会います。

三枝 「THECOOからは、転職サイト経由でスカウトメールをいただきました。業務内容はインフルエンサー事業と書かれていて、当時はYoutuberやインスタグラマーが世に出てきたタイミングだったので、興味を持って話を聞きに行ったんです。

そして何人かと面接をし、CEOの平良 真人から当時まだリリースされていなかった『Fanicon』の話を聞き、携わりたいと思って入社を決めました」

三枝がTHECOOへの入社を決めたのには、3つの理由がありました。

三枝 「1つ目は『エンタメ × BtoC × アプリ』みたいなものがやれたらいいなと漠然と思っていたところ、『Fanicon』はドンピシャだったからです。

2つ目は、自社に開発組織があることでした。前職は外部プロダクトを運用していたので、改善や運用のアイデアをフィードバックしても、反映されるのに時間もコストも大きくかかっていました。自社サービスを持っていれば、もっとスピーディーにお客様の声を反映できるのに、とモヤモヤしたこともありました」

3つ目は、THECOOの面接で接した社員の人柄でした。

三枝 「シンプルに人がいいなって思ったんです。面接はカジュアルで、話しやすい雰囲気でした。その中で、私の性格や挑戦したいことを真摯に聞いてくれている印象があり、ちゃんと評価しようとしてくれているのが伝わりました。

実は面接に来る前、すでに3社から内定をもらっていたのですが、一番ピンときたTHECOOに入社を決めました」

「Fanicon」黎明期の苦労と、サービスの価値を確信した瞬間

2017年6月、THECOOに入社した三枝。インフルエンサーセールス事業部に配属されたのち、10月にFanicon事業部に異動し、12月には「Fanicon」がリリースされました。

三枝は、THECOOの基幹事業である「Fanicon」についてこう語ります。

三枝 「Faniconはアイコン(アーティスト、アイドル、俳優、芸人など芸能活動をされている方)と、ファンを繋ぐファンコミュニティです。

従来のファンクラブは、事務所に所属していてもファンの人数がかなり増えないと作ってもらえないものでした。事務所からしても、サイトの制作やファンクラブの運営にはコストがかかります。

一方、『Fanicon』は誰でも無料で作れます。まだ世に出ていない人や、舞台やライブハウスを中心に活動している人でも、自分のファンとコミュニケーションを取ることができます」

さらに「Fanicon」には、従来のファンクラブにはない特徴があると語ります。

三枝 「従来のファンクラブは、会報誌や会員限定のブログなど、一方通行のコミュニケーションが多いですよね。

『Fanicon』は、アイコン*がファンに発信する場所であると同時に、ファンからコメントができたり、ファン同士で会話ができるなど、コミュニティとしての機能を充実させています。同じアイコンを好きな人同士が集まることで熱量は上がるし、その熱量をアイコン本人に届けられる場所です」

三枝がFanicon事業部に異動したとき、ビジネスサイドは三枝を入れて3人でした。そのとき取り組んだのは、既に「Fanicon」を使っていたアイコンのサポートと、新規利用の開拓を目指したセールスへの同行でした。

三枝 「いきなり縁のない芸能事務所に営業に行くのはハードルが高いので、もともとインフルエンサー事業部でツテがある事務所のほか、繋がりを辿って提案に行っていました。また大きなアイドルのフェスに協賛する代わりに、本人と繋げてもらい、時間をいただいて『Fanicon』について説明していました。

しかし当時は知名度も低く、機能も少なかったので、利用していただきたいタレントさんへアタックしても全く相手にされませんでした。何にも爪痕を残せなかった提案も多々あります。

サポート業務でも、初めの頃はシステム上のトラブルなどが多かったので、都度謝罪と対応に追われていました。とにかく目まぐるしく働いていたなと思います」

そんな中、三枝は転機になるような成果をあげます。

三枝 「リリース間もないタイミングで、2.5次元で活躍する俳優さんのコミュニティを開設し、サポートを担当することになりました。その方は自分の活動のコアなファンを持っている方だったので、売上にも繋げることができたし、ファンの満足度も高かったんです。

いい形でコミュニティが運用できた事例を目の当たりにして『これだ!』と手応えを感じました。社内で『Fanicon』の価値を確信できた瞬間でしたね。

それまで私はサポート主体の業務に従事していましたが、これを機にカスタマーサクセスが部署として立ち上がりました」

それから2022年現在に至る4年半の間、三枝はカスタマーサクセスの業務に携わってきました。

*「Fanicon」を利用するアーティスト

アイコンとファンのより良い関係を構築していくために

三枝1人から始まったカスタマーサクセスは、2022年4月現在、約20名が在籍するチームになり、彼女はその中の1チームのキャプテン*に指名されました。
(*THECOOではチームの責任者のことをキャプテンと呼んでいます)

三枝は「Fanicon」の利用者が増え、機能が拡大し、ファンコミュニティが盛り上がる過程をこれまでいくつも見てきました。

その中で、カスタマーサクセスの役割が変わってきたと言います。

三枝 「もともとはファン数を指標の1つに定め、その数が増えるような施策を打つこともあったのですが、私たちの立場では影響力を与えるのは難しいと気がついたんです。

というのも、私たちはマネージャーではないので、アイコンの活動にまでは口を出せませんし、舞台やステージの企画もできません。アイコンが新しいファンを獲得するために、運営サイドとしてできることは正直少ないと思っています。

それより今は、普段の活動を聞いてそれに紐づいた運用を提案したり、こういう運用をすると『Fanicon』内で盛り上がりますよと似た事例を紹介したり、アイコンと既存のファンがより良い関係を構築していくことに力を注いでいます」

もちろんビジネスなので、収益のことも考えないといけません。

三枝 「売上をあげることは、カスタマーサクセスの発足当初から指標になっています。『Fanicon』は、ファンの方々からの月額課金によって成り立っていますが、そこにはアイコンとファン、双方にメリットがあります。

アイコンにとっては、もちろん売上は活動を続けるための資金にもなります。でもそれだけでなく、例えば『Fanicon』のなかでは、SNSで見せるよりもっと素に近い姿を見せられたり、時には本音や弱音を口にできたり、そんな安心の空間があることは心の支えにもなります。

ファンとしても、アイコンが思いがけないことで炎上して叩かれてしまったりする姿を見ずに済みます。また、掲示板でファン同士で喋れたり、ライブ配信のアーカイブが見られたり、本人がいないところでもアイコンの存在に長く触れることができます」

三枝は前職、前々職でもBtoBの業務を担当していたことがありますが、「Fanicon」のカスタマーサクセスは以前の経験とは違う部分があると言います。

三枝 「具体的な案件をいくつも見てきた中で思うのは、アイコンがファンコミュニティで実現したいことや、描いているファンコミュニティ像は、それぞれ違うということです。

ビジネスマン同士だと『これは費用対効果が少ないのでやめましょう』などと、業務についてロジックで考えますが、人気商売やアーティスティックな活動をしている方はそうじゃない部分があります。たとえ利益に繋がらなくても、やる意味だったり、感情で動くことも多い。

そういった考えを少しでも理解できるように、カスタマーサクセスとしても“ファンファースト”の意識を持つようにしています」

最後に三枝が、これからの目標を語ります。

三枝 「今はまだチームのキャプテンとして足りないことばかりなので、たくさんのことを学びながら、自分なりのキャプテン像を追求したいと思っています。

一緒に働くメンバーには、安心感と信頼を感じてもらえるようなマネジメントができるようになりたいですね」

「上京してエンタメ業界に携わる」という夢を叶えて、「Fanicon」の成長に貢献してきた三枝。彼女は“ファンファースト”のカスタマーサクセスとして、エンタメ業界で活躍しています。