コミュニケーションを大切に、オフィスコーディネーターとして活躍する日々

ホームケア土屋・松山事業所のオフィスコーディネーターとして、管理者兼サービス提供責任者という立場を務める近藤 優美。

新規のクライアントを訪問して、インテークと呼ばれる、クライアントやそのご家族との面談を行い、計画書を作成するほか、契約後のサービスなどの調整を行っています。アテンダント(介護スタッフ)のシフト調整や教育を行い、アテンダントからの相談に乗るのも近藤の役割です。

松山事業所は近藤を含めて常勤職員8名、非常勤職員4名という構成。中には、家庭の事情を抱えるスタッフや未経験からスタートするアテンダントもいます。

近藤 「重度訪問介護は直行直帰になることが多く、現場を日々担うアテンダントと常に顔を合わせるわけではないので、こちらからなるべく声をかけるようにするなど、気軽にコミュニケーションをとれるように配慮しています。上司と部下という感じではなく、お互いに何でも言い合えて、悩みなどを共有できる関係性でありたいですね」

さらに近藤は、事業所の垣根を超えた取り組みとして、全国リスクマネジメント推進チームに所属。ヒヤリハットの事例を集約して啓蒙する活動などを行っています。

また、社内SNS(RECOG)の四国エリア担当として、ツールを活用したコミュニケーションの浸透に注力。スタッフ間の称賛を促す取り組みを展開してきました。

近藤は仕事に励む一方で、プライベートでは子育て中。仕事と家庭の両立で悩むこともある、と語ります。

近藤 「8時から始まって17時に終わるという仕事ではないので、勤務時間が不規則ですし、いつ休みをとるのか迷うときも正直なところあります。気持ちの面でオン・オフを切り替えることの難しさもあるので、模索中です」

人と向き合う仕事であるからこそ、悩みは尽きないもの。しかし、そうした思いにただ蓋をする必要はないと近藤は考えています。クライアントと長期的かつ良好な関係を築くためにも、現場ではネガティブと受け止められがちなことをあえて共有しよう、と近藤は意識しています。

近藤 「私は、疲れていると顔に出てしまいやすいタイプなんです。介護の現場に入ると、長い時間滞在することが多いので、そうした気持ちを隠しているつもりでも知らず知らずのうちに出てしまうことは、人間ですからあると思います。たとえば、疲れているときは、『体調があまりよくなくて、ご迷惑をおかけすることもあるかもしれないです』と正直にいえるような信頼関係を作ることが大切ですね」

さまざまな介護の仕事の経験を経て、重度訪問介護の世界に飛び込む

近藤は、福祉系の大学へ進学して社会福祉を専攻しました。その背景には、小学生のときに祖父が脳梗塞で倒れたことが影響しているといいます。

近藤 「私が小学校の高学年のときに祖父が脳梗塞で倒れまして。命に別状はありませんでしたが、右半身に麻痺が残ってしまったんです。

祖母はそれまでとても元気で、自分のことは全部自分でできていたのに、脳梗塞の影響で自分のことすらままならなくなってしまった。そんな祖母が生きていくために助けが必要になったことが、子どもながらに衝撃的で、親や自分もいつそうなるかわからないという危機感を覚えました。

それが心の中に残っていて、高校生のときに進路を考えた際に、困っている方の手助けができる仕事に就きたいと考えたんです」

近藤は大学を卒業後、入所者が100名を超える大規模な介護老人保健施設に就職。介護職としてのキャリアをスタートしました。

近藤 「最初に就職したのはすごく大きな施設で、非常に忙しかったので、自分に合っているかどうかを考える余裕はありませんでしたね。100名もの入居者がいるので覚えることも多く、目の前の仕事を必死にこなすという状態が2年近く続きました。介護のスキルは上がったと思いますが、入居者の方一人ひとりと向き合う時間はなかなか取れなかったのが現実でした」

その後、グループホームや特別養護老人ホーム、デイサービスなど、さまざまな施設での介護を経験。2015年度には介護福祉士の資格を取得しました。

近藤 「2016年度から介護福祉士の国家試験の受験資格が変わり、実務経験のほかに実務者研修の受講が要件に加わったんです。同じく福祉の仕事に就いている妹が、改正前に取得したほうがいいよ、と勧めてくれました。資格の取得を通じて、それまで感覚的に行動に移していたことを理論から学べたので、資格を取得してよかったですね」

土屋で重度訪問介護に携わるようになったのは、近藤が障害分野に興味を持っていたことと、以前の同僚が前職の重度訪問介護事業所で働いていたことがきっかけでした。

近藤 「高齢者介護をしてきた中で、障害分野というものに興味が出てきたんです。いずれそちらの仕事をできる機会があったらな、と漠然と考えていました。

そんな中、以前に特別養護老人ホームで一緒に働いていたことがある方が、その会社の四国ブロックマネージャーになっていたんです。2019年にデイサービスのパートをしていたときに、『週1回でいいから夜勤を手伝ってもらいたい』と声をかけられました。週1回なら、と軽い気持ちで始めたところ徐々にその機会が増えていきました」

ダブルワークを続けることの難しさを考え、近藤は2020年、土屋の正職員となりました。

感謝の声、仕事上の葛藤、酸いも甘いも共有してこそ築ける信頼関係

重度訪問介護は、一対一でクライアントと向き合えるという魅力がある一方で、大変な部分もあると近藤は語ります。

近藤 「最近、ショックを受けた出来事があります。

あるクライアントが看取り介護に移行されました。ご家族も覚悟されていたとは思いますが不安や混乱から、アテンダントに対して攻撃的な発言をする状態になっていたんです。

その結果、ご家族から、今までメインで担当していたアテンダントに対して、担当を外して欲しいと電話がかかってきました。そのアテンダントは10年以上、ずっとそのクライアントに関わってきていたアテンダントで、大変な時期も一緒に乗り越えてきていたんです。ですが、ご家族のお気持ちが変わってしまうという現実がありました。

そのアテンダント自身は、『誰が悪いわけでもないから仕方ない』と話してくれたんですが、私のほうが、心が折れそうになった経験です。たしかに誰が悪いわけでもありません。そのことは頭ではわかるんですが、なかなか消化しきれていない部分があるのもたしかです」

近藤は、この経験を松山事業所のスタッフに共有しました。

近藤 「このクライアントの支援に関わっていないアテンダントにも、一生懸命にやっていても、このようにいわれることがあるかもしれない、という現実を伝えました。

重度訪問介護というサービスを受けられるということは、その時点で、病気を抱えたクライアント本人はもちろん、ご家族含めて肉体的に精神的に、既に大きなストレスがかかっている状態だ。という現実も含めて、それらを大きく受け止め、受け入れながら、支援しなくてはいけないと思いますから」

一方で、近藤などホームケア土屋スタッフの大きなやりがいに繋がっているのは、クライアントや家族からの感謝の声です。

近藤 「『ホームケア土屋があって助かっています』と感謝の言葉を掛けていただけると、やっていることに意義があると実感できます。『助けて』という声がどこかにあるなら、やり続けるべきだと思いますね」

信頼関係を築くとともに、ビジネスとして成立させる視点も

松山事業所のオフィスコーディネーターとして、近藤は、同業他社の事業所との関係性の構築も重要だと考えています。

近藤 「事業所の連携を作っておくことの必要性を痛感しています。ホームケア土屋だけではシフトが回らないときに、ほかの事業所とのつながりがあると、助けてもらえたり、反対に助けたりできるので、持ちつ持たれつの関係を築いておくことが非常に重要なんです。同業者同士で単に競争する感じにならないのはこの業界のおもしろいところです。

そして、シフト面だけではなく、管理者ならではの悩みなども事業所の枠を超えて話せる関係性を作りたいですね」

また、アテンダント間での連帯感を重要視するのとともに、ビジネスとして成立させることも意識しています。

近藤 「松山事業所ではアテンダント同士も良い関係でお仕事ができているのですが、さらに連帯感が生まれるよう、私がどのようにみなさんと関わっていくか、考えていかなければならないと考えています。

ただし、ボランティアでありませんから、ソーシャルビジネスとしてのバランスを踏まえて、事業所の収益をあげることも私に課せられているミッション。単に仲良くやればいいというわけではありません。ビジネス面での感覚ももっともっと磨いていかなければなりません。

私が所属するリスクマネジメント委員会でのヒヤリハット共有は、全国規模で“誰かの気づきやつまづき”を共有する場とだと考えていて、新人はもちろん、ベテランアテンダントのスキルアップや、支援サービスの質向上に役立っていると思います。働く上で起こりうるリスクを全国規模で共有できていることは土屋の強みだと思います」

そんな近藤が、アテンダント間でも、クライアントとアテンダントの関係でも、大切だと考えているのは信頼関係です。

近藤 「アテンダントのみんなが私の心の支えになってくれていますし、私もみんなの心の支えになれればいいな、と思っています。お互い支え合っているということは、クライアントとアテンダントの関係も同じ。信頼関係を築いていくことが何よりも大切です」

重度訪問介護という社会的な必要性のある仕事に強い責任感を持って真摯に向き合う近藤。人が相手だからこそ、信頼関係を大切に。その信念を貫き、土屋全体を巻き込んで今後も邁進していきます。