耳にする機会が増えた「D&I(ダイバシティ&インクルージョン)」という言葉。最近は、エクイティ(公平性)を加えて「DE&I」と表現されることも増えました。

D&Iはすでに働いている人々はもちろん、企業への就職や転職を考える人々にとっても重要なポイントとなっています。本記事では、2024年3月に大学・大学院を卒業する世代のD&Iに対する意識を紐解き、さらに実際の企業の取り組みについてもご紹介していきます。

膨大な情報の中で生まれ育ったからこそ。Z世代のD&Iに対する意識

Z世代は幼いころから複数のSNSを使いこなし、膨大な情報にアクセスできる環境で育ってきました。そのため、「多様性を重視する」「他者を尊重する」「自分らしさを大切にする」といった特徴があると言われています。

そこで株式会社学情(本社:東京都千代田区)は、2024年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に、「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」(以下、D&I)に関しての調査を実施。

本調査では、Z世代にあたる2024年卒の学生は、「D&I」についてどのような考えを持っているのかが明らかになりました。

D&Iを推進する企業への好感度

「D&I」を推進する企業について、「好感が持てる」と回答した学生が、47.2%に上りました。「どちらかと言えば好感が持てる」35.5%を合わせると、8割以上の学生が「D&I」を推進する企業に、好感を持っていることが分かります。

また、同調査の結果からは、4割超の学生が「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」の取り組みを意識していることも明らかになっています。

回答者からは、次のようなコメントが寄せられています。

・多様性を重視している企業は、イノベーションも起こりやすいと思う
・D&Iを推進している企業は、長く働けると思う
・LGBTの友人と交流し、どんな人も生きやすい社会をつくることに貢献したいと思うようになった。

Z世代の価値観と合致?就活生の注目ポイント

また、企業のD&Iに関する取り組みを知るために注目しているポイントとしては、「働き方の制度・柔軟性」が72.6%で最多。次いで、「男女比率」55.3%、「女性管理職比率」49.5%、「従業員の満足度」48.9%が続きました。

最後に、D&Iの取り組みは企業への志望度にどれほど影響を与えているのでしょうか?

「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」に関する企業の取り組みを知ると、「志望度が上がる」と回答した学生が21.3%に上りました。「どちらかと言えば志望度が上がる」41.9%を合わせると、「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」に関する企業の取り組みで志望度が上がると回答した学生は6割超となっています。

この設問に対して、回答者からは次のようなコメントが寄せられていると言います。

・多様な人材が活躍できる企業のほうが、成長力が高そうだと思う
・ダイバシティを重視している企業のほうが、社会に貢献できると思う
・個性を活かして働けそう
・私たちの世代の価値観とも合致していると思う
・社会の変化や要請に応えることができる企業が、成長し、生き残っていくと思う

■調査概要
・調査期間:2022年8月26日~9月22日
・調査機関:株式会社学情
・調査対象:「あさがくナビ2024(ダイレクトリクルーティングサイト会員数No.1)」へのサイト来訪者
・有効回答数:422件
・調査方法:Web上でのアンケート調査
※各項目の数値は小数点第二位を四捨五入し小数点第一位までを表記しているため、択一式回答の合計が100.0%にならない場合があります。

D&I実現のために取り組む企業の事例

就活生だけでなく、その企業で働いている人々にも密接に関連するDE&Iの取り組み。企業や団体はD&I実現に向けて、どのような想いを掲げ、どのような取り組みをしているのでしょうか?talentbookに掲載されているコンテンツから一部の取り組みをご紹介します。

▶︎株式会社エスプール

・取り組み:

エスプールの中に設置しているD&I推進グループは、社会で浸透している一般的なD&Iに対する考え方とは少し違っている。障がいのある方や女性の活躍、LGBTといった一般的にD&Iとして取り上げられるマイノリティのみへフォーカスをするのではなく、全従業員を対象として社員一人ひとりにフォーカスして、多様性をサポートしている。

毎年、全従業員に向けたアンケートを実施し、悩みや相談したいことがないかを確認して個々に合わせた対応を行っている。今回は、そのD&I推進の取り組みの中のひとつ「障がい者雇用率の改善」について取り上げる。

→ストーリー:エスプールグループにおける障がい者雇用とは

▶︎株式会社エフアイシーシー / ブランドマーケティング

・取り組み:

FICCのバリュー(行動指針)には「互いの存在に感謝し、関わる全ての人の想いや学びをクロスさせ 、未来に繋げるイノベーションを起こす」という言葉があります。一人ひとりが見る世界が異なるからこそ価値が生まれる、という考え方を実際の行動につなげるには、「多様性」について全員が共に考えを深めることが不可欠です。

自らの中にあるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を認識し、対話力を高めるための取り組みとして始まった「マイノリティ・マジョリティ研修」。その第二回目は、まさに「多様性との向き合い方」をテーマに行われました。

この記事では、前回ご紹介したMM研修の第二回目について内容や学びを振り返り、FICCの今後にどのような可能性をもたらしたかを報告します。

→ノウハウ:「多様性との向き合い方」を考える──組織の対話力向上を目指す取り組み

▶︎サノフィ株式会社

・取り組み:

サノフィでは、D&Iの取り組みをグローバル規模で推進しています。全社員が参加するという意味を込め、掲げたスローガンは、“all in.”。D&Iの活動を通じて目指すのは、会社組織に地域社会の多様性を反映し、社員がベストのパフォーマンスを発揮できる職場環境を整えること。そして、患者さんの治療に変革をもたらすこと。

2021年秋には、包括的に取り組んでいくために、次の5つのチームが立ち上がりました。

1 D&I アウェアネス  2 日々の行動変容  3 新しい働き方&アクセシビリティーの向上  4 社員のウェルビーイング  5 CSR(企業の社会的責任)

各プロジェクトのメンバーたちは、通常業務のかたわら、さまざまなアイデアを出し合いながら主体的に活動を展開しています。

→ストーリー:全社員を「傍観者」から「評論家」、「当事者」へ。サノフィ流・D&I実現へのアプローチ

▶︎シナネンホールディングス株式会社

・取り組み:

風土改革を進めるうえでは、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の視点も欠かせません。性別や年齢、社歴や中途/プロパーに関係なく、やる気のある人を積極的に登用することにしています。たとえば、新規事業としてシェアオフィスを始めた際は、若手の女性社員ふたりを責任者に抜擢しました。

中途採用も積極的に行っています。持株会社であるシナネンHDでは、部長やチーム長といったマネジメント職も含め、全事業会社を引っ張っていけるようなスペシャリストを外部から招き入れ、主要なポジションに配置しています。

→ストーリー:社員の成長こそが組織成長の糧。最前線で風土改革に取り組むトップが描く「勝ち筋」

▶︎清水建設株式会社

・取り組み:

2021年11月5日、本社シミズホールにて、ダイバーシティ推進施策の一環として「ダイバーシティフォーラム2021」が開催されました。今回はオンライン配信も行い、多くの従業員が参加しました。

当フォーラムのテーマは、「シミズパーソンの活躍推進についての課題と展望」。

ダイバーシティ&インクルージョンをさらに進化させることにより、誰もがいきいきと働ける環境をつくるためのマインドセットの機会とする内容が盛り込まれました。

→ノウハウ:性別やライフステージに関わらず、誰もがいきいきと働ける会社を目指して。ダイバーシティフォーラムを開催

▶︎株式会社ゼネラルパートナーズ

・取り組み:

佐々木さんが最も力を入れて実現したのは、コアタイムなしの完全フルフレックス制。1日あたり5~7.5時間の時短勤務を誰でも選択できるようにし、たとえばその月の営業日が20日であったとしたら「5時間×20日」つまり100時間をどんな形であれ働けばいいことにしたのです。

佐々木さん 「たとえば、月に100時間働くとした場合、週に3日だけ働く(1日8時間超の労働)ことも可能。決まった時間帯の拘束ではなく、あくまで労働時間とパフォーマンスで見るのです。子育てや介護、その他さまざまな事情で働く時間を微調整したいというニーズにも対応して、時短勤務を1日あたり30分刻みで選択できるようにもしました。

さらに、フルリモートを可能とすると同時に副業も解禁したことで、制度改革がぐっと前進したと感じています」

→ストーリー:自分らしく働くことを可能にしたGPの働き方改革──仕事も人生も尊重できるしくみを

▶︎株式会社デンソー

・取り組み:

デンソーは2022年4月、社員一人ひとりの個性を尊重するために「同性パートナーシップ制度」を導入。婚姻が前提となっている社内制度を、同性カップルでも利用できるようになりました。

同年6月には、性的少数者の権利を啓発する「プライド月間」に合わせ、社内食堂で6色のレインボーメニューを提供するなど、理解促進のための取り組みを積極的に行っています。

→ストーリー:いろんな色があっていい。 葛藤の先に見えた「自分を認めてあげること」の大切さ

▶︎日本電気株式会社(NEC)

・取り組み:

2022年11月現在所属しているI&Dチームは、国籍や年齢、宗教、性別、性的指向・性自認、障がいの有無に関わらず、その人の持てる力を最大限に発揮できる職場環境を築くためのサポートを行っています。

女性4名、男性2名で構成されており、私は障がい者雇用と女性活躍推進のために、社内の女性比率の推移を定期的にモニタリングするレポーティング業務を中心に担当。計画立案や外部報告に必要なデータを収集・最新化し、必要なフォーマットに整理して提供しています。

→ストーリー:多様な人々が共生するNECを、 広く世の中に発信していきたい

▶︎ボッシュ株式会社

・取り組み:

ボッシュではグローバルで毎年6月、「ボッシュ・ダイバーシティ・ウィーク」を実施しています。従業員向けに、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(以下、DEI*)への理解・参画を促進する目的で実施するもので、日本でも6月20日から5日間にわたり開催しました。

→ノウハウ:DEIが生産性と働き方を変える、ボッシュ・ダイバーシティ・ウィーク2022を実施

▶︎株式会社みずほフィナンシャルグループ

・取り組み:

〈みずほ〉では、2016年からLGBTの社員が安心して働ける職場環境づくりに向けて、人事制度や福利厚生制度の見直しや社内研修を実施し、社内の意識改革に取り組んでいます。その取り組みの一つが、「東京レインボープライド(TRP)」への協賛です。

→ストーリー:「その人の“ありのまま”を受け入れる」──LGBTアライとしての思い

▶︎株式会社 明治

・取り組み:

株式会社 明治は、従業員によるネットワーク活動であるERG※(Employee Resource Group)の1つである、育児ERG“めいじのいくじ”に所属するメンバーが企画・運営をする「男性育休取得者のリアルを聞く!」をテーマとした社内イベントのランチケーションをオンラインにて開催しました。

勤務地や業務内容の異なる4名の育休取得経験者が、「上司に育休を相談した時期」「育休取得期間の決め方」「復職後の様子」「育休を取得して良かったこと」「これから育休を取得する方へのアドバイス」等を話しました。

→ノウハウ:「男性育休取得者のリアルを聞く!」をテーマとしたランチケーションを実施!

▶︎流通経済大学 ダイバーシティ共創センター

・取り組み:

2022年4月、多様性をもつ一人ひとりが、伸び伸びとその個性と能力を発揮できるキャンパスづくりのため、流通経済大学ダイバーシティ共創センターが開設されました。(中略)

センターでは、多様な学生・教職員、地域の人たちなど、立場や視点が異なる参加者が集い、意見を交わし未来にむけてアクションを起こす「共創セッション」を開催しています。私がラグビーW杯の日本開催に向けた準備に携わっていた際に出会い、知ることとなった「フューチャーセッション」という手法を採用しています。

→ストーリー:「ダイバーシティ」だけでなく、その先にある「共創」までを大切にしたい


人に多様性があるように、企業にもそれぞれの特色があります。そのため、取り組みと行っても形や手法はさまざまなのです。就職活動における情報収集に限らず、D&Iが当たり前になった未来を作るべく、企業や団体の事例を通して学んでみてはいかがでしょうか?

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