モノづくりの基盤となる、学問や知識・知見に心惹かれる

▲インナーウエアメーカー研究職時代

私は大学時代、人の動きをデータとして捉え、反応や変化を追う分野に興味を持ち研究に取り組んできました。

「バイオメカニクス」という言葉が一番近いかと思いますが、この分野を学んでいく中で人の体のメカニズムが複雑で、非常にうまくできているということを知りました。そのメカニズムのどこかひとつでも崩れると全体がうまく作用しなくなるわけですが、その仕組みを解明し、把握・理解することによってそれを改善できるということがとても面白いと感じました。

大学卒業後は、大学で学んできた「バイオメカニクス」を活かしたいと考え、インナーウエアのメーカーに入社しました。

その会社はヒトの体の感覚・生理・動態・形状に関する研究に注力しいて、それらの研究が会社のコアコンピタンスと位置付けられている点にとても惹かれました。

入社後は研究所に所属し、約6年間、研究開発や様々な評価・検証の仕事をしていました。研究所では仮説を立ててそれを検証していくことの繰り返しでしたが、研究計画を立てて実行する流れと、外部の大学や研究機関、有識者の方々と連携し様々な知識や知見を吸収するという経験を得ることができました。

実際の研究では、仮説どおりにいかないことがほとんどでした。作っているものに問題がある場合もあれば、評価の手法や条件設定が不十分なケースもありました。「原因がどこにあるのか突き止めながらもう一度前の工程に戻る」といったことの繰り返しです。そうした地道な作業の繰り返しと積み重ねは、現在の仕事への取り組み方にも生かされていると思います。

インナーウエアの会社が関西にあったことから、その後、関東に引っ越しをすることを機にインナーウエアのメーカーを退職したのですが、次の会社でも引き続き「人に関わる」「人に作用する」ことをテーマにしている仕事に就きたいと考えていました。

そこで出会ったのが、日本シグマックス株式会社(以下、シグマックス)です。

シグマックスは前職と似たスポーツ分野との関わりがあることに加え、もともと医療向けの製品開発を長年行ってきた医療ベースの会社で、メーカーとしてのものづくりに対する真摯な姿勢にも惹かれました。

ドクターの知見や監修をいただきながら、エビデンスをもとにものづくりができるのは大きな魅力だと感じ、入社を決めました。

ものづくりのメンバーを支える、縁の下の力持ち

▲インソールの開発プロジェクトで年間表彰を受ける

現在私が所属している開発1課は、医療・スポーツ・ウェルネス事業向けの製品、たとえばサポーターや機能性ソックス・機能性インソールといった、人が身につけて使うアイテムを開発しています。

その中での私の仕事は、主に様々な情報を得るための調査です。基礎的な部分で言えば、どのようなものを作ればどんな効果が得られるかを調べています。メンバーが設計して作ったものに対して、想定していた効果が出ているのか?という検証も行っています。

評価の方法や、多様な視点から計画を立案するノウハウなど、前職での経験を活かしながら取り組んでいます。

また、特許など知的財産に関連した業務も担当しています。新しい製品を作る上で、他社の特許の出願状況などは非常に重要な情報です。これらを調べ、開発メンバーにフィードバックすることで開発業務をサポートしています。

さらに当社では製品をつくるにあたって、専門家やドクター、様々な分野の研究者の方々に協力いただくことも多いのですが、そうした方々を訪問しヒアリングしたり意見交換をしたり開発協力や研究協力を相談するといった業務も担当しています。
こうした有識者の方々との交流は単に情報をいただくだけでなく、メーカーとしての有益情報の提供も行い、共通するテーマに一緒に取り組ませていただいているチームのような感覚があります。

メーカーの立場から外部の有識者とは異なる独自領域での経験や知見をもとに、情報提供やご提案させていただき、時には業界では”レジェンド”と呼ばれるような先生方にも話を聞いていただくこともできたりします。このような経緯から外部との信頼関係を築くことができるのは、この仕事ならではだと感じています。

その他にも仕事をする中で、やりがいを感じるシーンはたくさんあります。チームメンバーのサポートができたときや、自分の成長を実感できたとき。あとは研究で新しい発見があったときなど、自分の知的好奇心が満たされる瞬間にもやりがいを感じます。

基本的にはモノづくりを担当する開発担当者が主役だと考えているので、自分のサポートによって開発担当者が力を発揮できるように、よりハイレベルな開発ができるようにと考えながら、働いています。

お客様からいただく「製品を通してこんないいことがあった」というお手紙や、SNSに投稿していただいた様々なコメントを拝見すると、自分のチームが作ったものでお客様に喜んでいただけているという実感が湧いて、とても嬉しく思います。

使用感やモノの良さを言語化・可視化するという飽くなきテーマ

▲開発担当者とともに製品評価に取り組む

これまで携わった仕事の中で印象的なのは、インソール(靴の中敷き)開発の評価業務です。
当時、スポーツ事業はサポーター製品がメインで、インソールのものづくりについては知識もノウハウも不足していました。開発担当者も未経験の領域に非常に苦労して開発に取り組んでいました。

製品を世の中に出していくときに、その製品にどんな機能を備えさせるかを開発メンバー、製品企画メンバーとも検討し、外部有識者からの助言・協力も得なが進めていきますが、このインソールの開発プロジェクトはまさに“みんなで一丸となって進めていった”ことがとても思い出深いです。
現在ではラインアップも拡充し、スポーツ事業の中核カテゴリに成長しているインソールですが、こうした新しい主力製品の誕生に関われたことは、私自身とても恵まれていたと思います。

一般的にモノづくりに関わる方々は「イチから自分が作った」という点にやりがいを感じたり、企画スタッフも「自分の企画が当たった」という、結構わかりやすい“やりがいのイメージ”があるかもしれません。

それに対して、評価という仕事の面白さや醍醐味はちょっとわかりづらいというか、もう少し別のところにあると思っています。

評価は、その製品の良さを「なんとなく」ではなく、データなどをもとにしっかりと言語化・可視化する方法を探り、プロモーションにつながるような形で提示するまでが仕事です。

使用感やモノの良さを何らかの形にして見せられるようにすることは非常に骨の折れる大変な作業ですが、この流れを最後まできれいにつなぐことができたとき、大きなやりがいを感じます。実際にやってみるとうまくいかないことも多いですから、壁にぶち当たりながら模索する、という毎日ですけれど。

壁にぶつかると、落ち込むこともあるのですが、どのようにすればうまくいくのか試行錯誤しながら取り組むプロセス自体が「楽しい」と感じられる側面もありますね。

今の仕事では、決まった工程を繰り返すというよりも変化に対応する、その時々にどのようにすべきかを判断しながら動くことがほとんどなので、あまり飽きることがありません。

マイナスをゼロに。さらにプラスに。

▲当社と関係の深い選手チームのユニフォームが並ぶギャラリー(社内)にて

シグマックスは、自分が興味を持っていることを深く調べる、実際に手を動かして実験する、ものを作るといったさまざまなチャレンジがしやすい環境だ、と感じています。ざっくばらんにさまざまな意見をいい合える雰囲気で、周りの社員から意見をもらいながら仕事ができると思います。

私の仕事は外部の先生方と関わる機会が多いからこそ、ヒントをいただいたり、具体的な進め方を提案していただくこともあるため、そうした専門家との会話から生まれたアイデアを社内に還元しようと積極的に動いています。

新たな知見を得ながら、大学の先生方が進めておられる研究の要素などを、実際に製品に落とし込んでいくところで、今後もっと役に立ちたいと考えています。

元来、サポーターといった製品はケガを予防したり、本来の動きができるようにサポートしたりするもの。いわばマイナスをゼロにするためのものです。人体の複雑な仕組みが崩れる要素は残念ながらたくさんありますし、マイナスをゼロに戻すことはいうほど簡単なことではありません。このため、外部の研究者や専門家の先生方の考えやアイディア、を取り入れることでより良い製品を生み出す余地はまだまだあると思います。

一方今後はマイナスを戻すだけでなく、身に着けることによってパフォーマンスが向上したり、コンディショニングが整うような製品についても取り組んでいけたらと考えています。