あふれる好奇心を糧にして、挑戦を続ける中で見つけた「本当にやりたいこと」
福岡県で生まれ、島根県で育った松本。その幼少時代は、何にでも興味を持つ、好奇心が旺盛な子どもでした。
「小さいころの口癖は『なんで?』。父親に『なんで空は青いの?』なんて質問をよくしていました。父は『空気があるからだよ』と答えてくれたのですが、それでも納得せずに『じゃあ、なんで空気があるの?』と、延々と質問攻め。『なんで生き物の目って2つなの?』『じゃあ、鼻がひとつなのはなんで?』とたずね続けていました。ちょっと変わった子どもだったと、よく言われますね(笑)」
幼少期にとくに興味を持ったのは、空や星、生き物など身の回りの自然に関する不思議。小学生になるころには、その対象は「お菓子作り」に移り、友だちと一緒に熱中していたと言います。そのきっかけも「なんで?」からでした。
「初めて作ったスポンジケーキがうまくふくらまなくて……。『レシピ本の通りに作ったのに、なんでふくらまないの?』と不思議で仕方なくて、何回も挑戦するうちにお菓子作りが好きになっていきました。結局、ケーキの型を買い替えたことで解決したのですが、いろいろと試すのも楽しみのひとつだったことを覚えています」
疑問に感じたことを試行錯誤して、問題を解決していく。まるで科学者のような考え方のサイクルを子ども時代から育んでいた松本。そして、後の人生に関わる「大きな転機」は福岡での大学生活のときに訪れます。
「大学時代、人間関係をきっかけに『私なんか』と自信喪失する状態に陥ってしまい、毎日母親に『島根に帰りたい』と電話をしていました。そんなある日、母から『愚痴ならいくらでも聞くけど、その想いをノートに書いてみたら?』と提案されて始めたのが、今も続いている『ノート習慣』です。
自分の中にモヤモヤとした感情が生まれたとき、頭の中に留めておかないで紙の上に書き出すことで、自分は将来どうなりたいのか、客観的に思考を整理して分析できるようになりました」
ノート習慣を続けていくうちに、「夢や目標のなかった自分にも、本当にやりたいことが見えてきた」と言う松本。一時は空間デザイナーをめざして、デザイン事務所でのインターンシップに参加したこともありました。
「福岡に『大名』という場所があるのですが、そこには個人オーナーがやっているすてきなお店がたくさん並んでいて、大好きな場所でした。しかし、そこは激戦区でもあり、店は3年続けばよい方だと言われていて……。そこで思ったのが『なくならない場所を作りたい』という想い。
最初はデザインで『なくならない場所』を作ろうと、空間デザインを学びました。一年間、本気で取り組む中でわかったのは、『デザインでなくならない場所を作るのは、私には難しい』ということ。そして、『場所や組織というのは、すべて人の心から生まれている』ということ。そこで『人の心に携わる仕事がしたい』という想いが芽生えてきました」
自分の給料は自分で生み出す。スタートアップで培った対応力
就職活動をしていく中で、松本が選んだ会社は当時スタートアップ企業だったクリアビジョン株式会社。人材育成に特化したコンサルティング会社であり、企業の社員研修や接客・営業トレーニングなどを提案して手掛けていく、まさに「人の心に携わる仕事」でした。
「クリアビジョンの代表である上野さんが理念やビジョンを語っている動画を見て、『この人と一緒に働きたい』と思ったのがきっかけでした。その当時、クリアビジョンが掲げていたのは、『世界で一番働きたくなる会社になる』というもの。私自身もその考え方に共感して、世の中の人たち一人ひとりが、『自分の会社こそが世界一だ』と思えるようになる手助けをしていきたいと思うようになりました」
しかし、当時の社員はたったの5人だけ。松本はありとあらゆる業務に携わり、会社と共に成長していくことになります。
「クリアビジョンでは、本当に一からすべての仕事を学んでいきました。社員が5名で売り上げも安定せず、自分の給料は自分で作っていくという状態。当初は営業からスタートして、毎日の営業電話もしつつ、提案書の作成やお客様とのすり合わせをし、研修カリキュラムの構築から当日の運営まで、ひと通りの流れを担当していました。
中でもクライアント企業の『組織力向上研修』に携わったことは、とてもよい経験でした。3年以上かけて、組織を変革するための研修を行うプロジェクトでしたが、『若い人たちにとって、会社をより良い環境にしていこう』という熱い想いを持っている人がいる一方で、『現状維持の方が大切なのでは?』と考える人もいたり。振り返れば、組織を動かしていくことの難しさに悩んだ時期でもありました」
入社して5年ほど経ち、さまざまな業務に充実感を感じる中で、松本の心にひとつの焦燥が生まれます。それは「このまま上野代表の船に乗っているだけでなく、自分自身の力を試してみたい」という想いでした。
「仕事は楽しくやりがいも感じていたからこそ、『この場所で、代表に守られながら仕事をしていくだけでよいのだろうか』と思うように。このまま上野さんの船に乗っているよりも、自分の船で航海したい。船の進路を自分で決めて、事業によって入ってくる『お金の流れ』を自ら体験したいという気持ちが強くなっていったんです」
ひとりで挑戦を続ける中で得た反響と自信。しかし、気づいてしまった“大きな壁”
2018年1月、クリアビジョンを退職し、身一つで自分の船を漕ぎ出した松本。ここから個人事業主として、新しいビジネスへと舵を切っていきます。
「最初はどういう事業をやるかを決めていたわけではなく『私という人間が、今あるスキルで何ができるのか』を探している状態からのスタートでした。その中で事業としてまとまっていったのが『副業のサポート』。
副業を始めたい方にスクールに入っていただき、得意なもの・好きなものを、お金と交換していくための流れを作っていく。それから販売戦略の策定など、マーケティングのサポートをしていきました」
徐々に軌道に乗っていく新事業。クライアントからの言葉に、大きなやりがいを感じ、心を突き動かされることもありました。とくにオーストラリアへの取材の際には、クライアントから大きな反響があったと言います。
「当時、オーストラリアは一人当たりのGDPがとても高く、賃金も良く、その上で余暇時間も十分に保てているという、日本に比べてとても豊かな点が多い国でした。『なんでオーストラリアはそんなに豊かなんだろう?』と興味を持ち、“お金”と“時間”と“働くこと”への価値観について、現地へ取材に向かいました。
私にとっても体当たりな挑戦でしたが、結果的にクライアントから『松本さんも頑張っているから、自分ももっと頑張るよ』と言ってもらえ、本当に忘れられない出来事になりました」
しかし、事業をスタートして2年、3年と経過し、売り上げが増えていく中で、松本は“大きな壁”を感じることになります。
「自分ひとりで事業をしていく中で、どうしても私自身の成長が止まっているような感覚がありました。やはり、もっとほかの人と共同して何かを創っていく方が、得られる経験が大きいのではないか。
自分ひとりでは、世の中にシェアできるものの価値をなかなか高められず、もっと広く、大きな場所で世の中に貢献していきたいと感じるようになっていきました」
自分が“さらに成長できる場所”を求めて、再び就職活動を始め、出会ったのがPR Table。松本は直感的に「ここなら、おもしろい仕事ができそうだと感じた」と話します。
“白血球のように”一丸となって、PR Tableが取り組む事業を広めていきたい
入社から間もない松本ですが、PR Tableでの仕事は、自身の直感どおり、刺激的で楽しさに満ちていると話します。
「PR Tableに入社して、皆さんと働けて本当によかったと、日々感じています。PR Tableが提供している先進的なサービスを、『みんなで広めていこう』という一体感があり、『私たち、白血球みたいだ』と感じることも。体内に細菌が入ると白血球がワーッと集まってくるように、何か問題が発生したときに、みんなで一丸となって各々の役割を果たして解決に向かっていくような。
それを“ポップ”に“楽しそう”にやっている皆さんを見て、自分とフィーリングが合う場所だなと思っています」
松本がPR Tableで担当しているのは、「イベントディレクター」という新設されたポジション。「talentbook」など、PR Tableが手掛けているサービスをまだ知らない非認知層に向けて、セミナーやカンファレンスなどを企画しています。
自分のリソースが何もない状況から、少しずつできることを整理して、個人事業の売り上げを重ねていった経験は「私にとっての宝物」だと話す松本。その大きな経験を必ずPR Tableでも活かせるはずだと熱く語ります。
「PR Tableが提供しているサービスは、まだまだ世の中に浸透しきっていないので、これからさらに多くの人に知ってもらうフェーズにあります。世の中が新陳代謝を繰り返し、常に環境が変わっていく中で、マーケティングに関わる者として状況を整理していかなければなりません。
私がノート習慣で培った、客観的に物事を把握しようとする思考は大いに役に立つのではないでしょうか。日々変化していく状況を整理して、優先順位を付けてゴールに向けて実行していけるところが自分の“強み”だと思っています。
私たちがシェアしているサービスは、“人の幸せ”や“人生の豊かさ”に必ずつながるものです。今までPR Tableが行ってきた『re:Culture』のイベントも、『企業と個人が笑顔でいられるために』という強い想いを持って育まれてきたのだろうと感じています。
これから私も『誰もが生き生きと働いていくために』という想いを具現化したサービスであるtalentbookや、PR Tableが手がけるサービスの認知向上に貢献していきたいです」
自分の“居場所”が見つかり、PR Tableでの新たな挑戦へと進んで行く中で、仕事とは別の興味も頭に浮かんでいると言う松本。
「最近感じたのは『音階』について。自然の中に音はたくさんあるのに、『ドレミファソラシド』の音階が選ばれたのは『なんで?』と不思議に思っています」
いまだ尽きない好奇心とチャレンジ精神、ノート習慣で培った情報整理能力を武器にして、松本はさらなる一歩を踏み出していきます。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです