やりたいことには一直線。憧れから、行動力と熱意で人事にキャリアチェンジ
中学・高校は、鎌倉のお寺の中にある中高一貫の男子校に通っていた小磯。自身が掲げる「自分のために、自分の判断軸のもと、自分で決断する」というモットーを体現するような学生時代を送ってきました。
「授業を抜け出して由比ヶ浜に行ったり、座禅の時間は警策で叩かれるのが嫌で逃げ回ったり。このころから、怒られることも覚悟した上で、やりたくないことはやらない性格でした。一方で、熱中できること、やりたいことには真っ直ぐなタイプでもあります。部活動として始めたバスケには一生懸命に打ち込んでいました」
実はそのバスケ部で小磯が出会ったのが、PR Tableの共同代表取締役、大堀 海。当時12歳だった2人はこのとき、約20年後に一緒に仕事をする未来が訪れるとは思いもしませんでした──。
大学生活を経て、新卒ではIT企業に就職した小磯。入社数日で富士通に出向が決まり、インフラエンジニアとして働き始めました。そして約4年後に、エンターテインメント業界大手のエイベックスへと転職を果たします。
「社内SEとして入社したものの、初日から『人事に行きたい』との意志をアピールし続けてきました。
人事になりたかったのは、スーツを着て飛行機や新幹線に乗るのに憧れていたからという、今振り返るとしょうもない理由です。1社目では出向先でプロジェクトに関わる方としか接することがない環境だったため、物理的にいろんな場所で仕事をして、多様な人と会える仕事に惹かれていたのかもしれません」
自ら積極的に人事部門と関わる仕事を社内で取りに行き、半年後、異動を果たした小磯。
人事に舵を切ってからは、主に採用業務を担当し、予実管理を始め、新卒採用市場の早期化の波が押し寄せる中での採用戦略の再構築、採用ブランディング施策など、未経験の立場からは予想もしなかった幅でのミッションを任されることに。
ところが、人事になって3~4カ月が経ち「1人でもある程度できる」という感覚を持ち始めたころ、転換点となる出来事が起こります。
とある新卒採用のイベント終了後、他の企業では登壇者のもとに質問をしようと学生が集まる中、小磯のもとには誰1人として集まらなかったのです……。
痛感した人事としての自分の弱さ。悔しさを糧に、HR領域で幅広いキャリアを切り開く
エンタメ業界で上場する大手企業というブランドがあるにも関わらず、会社の魅力づけができなかったために、自ら質問をしたいという学生が1人も集まらない。運営スタッフが呼びかけて初めて学生が集まるという状況。
こんなこと起きるんだ。何が悪かった?どうすれば良かった?
小磯にとって、それは衝撃的な光景でした。
「人事としての力量が足りなかったことを、学生に見抜かれたんだと思います。だから、誰1人自分のもとに来なかった。力のない自分自身が許せなかったし、会社のネームバリューに頼りきっていた自分を反省しました。
かっこいいという漠然とした気持ちで選んだ人事は、憧れだけでできる仕事ではない。人の人生を左右する仕事であり、人事として人と向き合えるようにならなければ、と気持ちを新たにしたのは、このときからです」
以来、外部で人事コミュニティの運営に携わったり、勉強会に参加したり。人事としての実力を身につけるための機会に積極的に飛び込んでいきました。
一方で、社外の人事と交流するうちに、人事としてキャリアを歩むなら、領域を広げないと自らの価値も上がらないとも感じるように。そこで次のキャリアを考え始めます。
「人事未経験だったにも関わらず、大手上場企業で裁量権を持って仕事を任せてもらえましたし、一緒に働いた仲間や採用させてもらった方、同業界の他社の人事仲間を含め、周りには本当に恵まれていたと思います。そして、すごく居心地も良かったです。
しかし、人事で2年働いたころには、『このままだと、この会社の中でしか活躍できない人材になる』という漠然とした不安も感じていました。そうして転職を考えた折に見つけたのが、当時の株式会社パソナグループの系列会社(現:サークレイス)でした。
ちょうど社名が変わるタイミングでイチからブランドを築くフェーズだった上、任されたのは初めてのマネジメントロールです。人事としての領域を広げるのに、ぴったりの場所でした」
ここで苦戦しつつも、IPOの準備や、採用・労務・総務、広報の管轄に加え、一人ひとりのメンバーの適性や感情を見ながらのマネジメントも経験した小磯。
他方で、経験を重ねるうちに「人事として経験の浅い領域にチャレンジしたい」という気持ちを抱くように。さらなる成長を求めて、4社目の経営コンサルティングファームへと転職を果たします。
「私の入社時点ではエンジニア職はおらず、SaaS事業の立ち上げフェーズからHRBPとしての経験を積むことができました。自身の立てた戦略に協力して付き合ってくれたCTOにはとても感謝しています。
エンジニアの組織づくりや評価などの制度設計などに携わり、成功だけでなく失敗もありましたが、ある意味欲張ってチャレンジしたことで、自分なりの引き出しを多く作ることができたと感じています。
また、上司であるCHROは名だたる企業で人事責任者を歴任されてきた方だったので、日々の業務で鍛えられましたね。背中を押してチャレンジさせてくれたことで人事としての在り方や考え方を見つめ直すきっかけにもなりましたし、今でも心強い存在です」
こうした3社での計5年ほどの人事の経験を経て、小磯がたどり着いたのがPR Tableでした。
talentbookの導入で成果を出した過去。サービスの可能性に惹かれ、PR Tableへ
小磯がPR Tableに転職するきっかけとなったのは、共同代表取締役であり、中学・高校時代の同級生でもある大堀 海でした。
「実は、今回の転職活動では、『人事として腰を据えて働きたい』との想いから、エンタメ業界に戻ろうと考えていたんですよね。今まさに世界中でヒットを生み続けている外資系エンタメ企業から内定をいただき、承諾の意向もほぼ固まっていました。
そんな折に転職の進捗連絡がてら、海に連絡したんです。『新しい会社に行くつもりだから、また採用ブランディングで力を貸してね』と。そしたら、『うちのポジションどう?』と誘ってくれたんですよ」
海の言葉をきっかけに、小磯は進む未来を考え直すことに。
「海と話したあと、一晩でtalentbookのいろんな会社のストーリーを100本近く読みこんだんです。そして気づいたのが、今の自分は大手やエンタメ軸という、自分が経験、コミットしたいことの幅でキャリアを考えてしまっていること。
それでは、“人事として何を経験すべきなのか、それが経験できる企業なのか”で選んできたこれまでのキャリア選択と変わらないな、と。もっと自力をつけるためには、これまであまり興味がなかった“会社のビジネスやサービスに興味や愛着が持てる環境”にちゃんと行く必要があるんじゃないかと、考え始めました。
そしてその場所として一番に心惹かれ、サービス、会社と共に自分も一緒に上がっていこうと覚悟を持てたのが、PR Tableだったんです」
その覚悟の背景には、エイベックスに在籍時、talentbookをユーザーとして利用した過去が関係しています。
「当時、talentbookを導入したのは、バックオフィス系で活躍する社員など、業界や会社としてスポットライトが当たりにくい人たちにも光を当てられる点が魅力的だったからでした。そしてサービス導入後は、イメージが先行しがちの仕事内容のリアルな面を伝えることで、採用における母集団の構成や、数字面にも大きな変化があったんです」
大手企業であれば、採用エントリー層は数万人という規模感。それに変化を及ぼすことは、決して容易ではありません。だからこそ、効果が出たときは驚いたと振り返ります。
「その変化ぶりは、導入の翌年に同業界の人から『競合しなくなったね』と言われたほど。talentbookを組み込んだサイトリニューアルをしたことで、オウンドメディアリクルーティングのアワードにもお声がけいただきました。こうした大きな機会につながっていたことも、talentbookに対して自分自身の愛着がある理由のひとつです。
また、大手企業のユーザーとして成果を出せた経験があるからこそ、今のtalentbookが大手企業様にどんどん導入いただけているのも納得できていますし、その可能性は計り知れないと思えています。ここでなら、会社にも人にも愛着が持てる、共に成長できると確信できました」
2022年11月。サービスの可能性を信じて一緒に作り上げていく仲間として、小磯の新たな冒険が始まりました。
PR Tableが採用のお手本、働く人の笑顔の起点であるように。人事部長としての覚悟
現在、人事部長として、採用に加えて、人事制度の見直し、人材開発などの仕事を担う小磯。PR Tableでめざすビジョンがあります。
「1つめは、自分自身がひとりの人間として、PR Tableが掲げるビジョンを体現し、『笑顔で働き、仕事を一番に楽しむこと』。
2つめは、バックオフィスの要所や人事査定のしくみを最適化すること。そのために、変化にポジティブに対応できるような人事戦略を描いて動かしてを繰り返していければと思います。
3つめは、裏方としてビジネスサイドが成果を出せて、経営陣が思い描くビジョンを支えられる土台を作ること。実は、僕は元々目立ちたがり屋なので、これはPR Tableで初めて抱いた気持ちなんです。泥にまみれる立ち位置だとしても、今は全然いいなと思っています」
前向きな展望を描く小磯。一方で、その未来を見据える背景にはPR Tableの人事としての責任と矜持があります。
「当社は、HRサービスを提供している会社です。自社の人事戦略や採用がうまく進まない事態は避けたいですよね。
いや、そんなことは許されないと思っています。さまざまなお客様がサービスを導入してくださっていますし、PR Table自身がお手本になること、つまりはMVVとサービスのコンセプトを体現し、笑顔の連鎖の“起点”となっている状態でなければいけないと、胸に刻んでいます」
小磯は一緒に働きたい人物像として、2つの観点を挙げています。1つは、キャリア採用で入社してもらう以上、プロフェッショナルとして数字で成果をあげるマインドを持っていること。
もう1つは、自分の意志や考えを持っているかどうか。
「与えられた仕事をただやるのでは、本人もおもしろさを感じにくいはず。アウトプットに自分なりのカラーやプラスアルファの価値をつけられるかどうかは、大切だと考えています。
それに、個人を大事にするのは、私のこだわりでもあります。『自分のために自分の判断軸のもと自分で決断をする』が自分のモットー。周りのことがどうでもいいと考えているわけではありませんが、自分を、個人をないがしろに後回しにしないでほしいなと思っています。
自分のストーリーを描くことができるのは自分だけです」
初めてサービスに可能性を感じて転職したPR Tableが、働く人の笑顔が“連鎖する”世界をつくる起点でいられるように──。
今日も小磯は、自分、共に働くメンバー、採用候補者と、ステークホルダーが笑っている未来を考えていきます。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです