できるだけ早く海外に行きたい──その想いが導いた就職先

やりたいことができる仕事に就きたい。その願いは、柔軟に捉えれば多くの選択肢に結びつくものなのかもしれません。例えば岡田 聡一郎をOKIの経理という職に導いたのは、“海外を経験したい”という意外な条件でした。

岡田 「大学三年生の頃、視野を広げるために海外に行こうと思い立ったんです。特に中国での2週間の滞在は衝撃的でした。異文化に触れられたことも、そこから日本を客観視できたことも、私にとって良い経験になりました。もっと海外に行きたい。その目標を達成するために、海外駐在がある企業への就職を考えるようになりました。

就職先として調べたのは主にメーカー系です。人の暮らしや文化をアップデートしていくモノづくりに、間接的にでも関わりたかったから」

もともと理系に興味があり、進路選択でも物理学部か経済学部か悩んだという岡田。最終的に文系の学部を選んだものの、在学中は数字と向き合える資格として日商簿記二級を取得しました。もしも理系を選んでいたら、メーカーのエンジニアになったかもしれない。選ばなかった道にも想いを馳せられるメーカーの経理は、岡田にとって自然な選択だったのかもしれません。

岡田 「その中でもOKIに惹かれたのは、トレーニー制度を活かして海外駐在できるチャンスがあると聞いたからです。若いうちに経理の人間が海外で働ける企業は、当時は珍しかったです。OKIなら現地に対応できる責任者育成の一環として、入社から数年で海外に行ける可能性が高いと知って、入社を決めました」

就職して間もなく、岡田は希望通り経理担当として海外とのコミュニケーションが多いプリンタ事業部に配属。メールのやりとりやTOEIC受験を通じて英語を学び、3年目には海外駐在を視野に入れた研修を受けることになりました。

岡田 「週1回ネイティブの方と英語でセッションし、ミーティングの練習を重ねました。カジュアルな英会話には自信がありましたが、ビジネス英語を学ぶ経験ができてありがたかったです」

こうした下積みを経て入社4年目、岡田は海外駐在のチャンスを手に入れました。

異文化の中でコミュニケーションを重ね、培ったマネジメントの力

岡田は中国にある子会社の部長補佐として、経理の実務全般のとりまとめを担当することに。入社4年目で一任されたマネジメントの経験は、岡田にとって刺激的なものでした。

岡田 「人をまとめる立場になるだけでなく、相手は言葉も文化も違う中国人です。自分の伝えたいことが伝わらない苦労をしながら、とにかく相手と向き合って、粘り強くコミュニケーションを重ねました。

私が抱いていた海外で働くイメージは、もっとスマートなものだったんです。スーツケース片手に空港を颯爽と移動し、欧米人と英語で談笑しているような……。でも実際に経験した海外駐在はもっと泥臭くて、大変でした。でも私はその経験ができて心から満足しています。中国での2年間は実りのあるものでした」

帰国後、岡田は国内サービス事業経理を担当しつつ、インドの子会社を間接的にマネジメントする役割に抜擢されます。海外と関わる仕事を続けたいと希望を出していた岡田にとって、第二の挑戦の始まりでした。

岡田 「インドは中国とはまた異なる文化がある国です。仕事のやり方などの違いにカルチャーショックを受けつつ、中国のときと同様、現地の人とコミュニケーションを取ることに注力しました。ちなみにインドの英語は訛りが強いので、はじめは言葉を聞き取るのも一苦労です……。

経理の仕事は、一つ解釈を間違えると一大事につながってしまいます。互いの認識が合っているかどうか確認が取れるまで、時間を惜しまずに言葉を交わし合うことが何より大切です」

岡田はこうして国内外で経理の経験を重ねていき、文化や国境を越えたチームワークを育んでいきました。入社から4回目のジョブローテーションで、ついに本社での連結決算を担当することになったのです。

連結決算に関わることで知った、全てが線でつながる経理の面白さ

連結決算とは、国内外の子会社や関連会社の決算をまとめる決算方法です。連結決算はグループ全体の経営状況を報せるものとして公開されるため、非常に重要な役割を担います。

岡田 「連結決算の醍醐味は、なんといってもそのスケールの大きさです。今まで断片的に関わってきた数字を俯瞰することで、点が線でつながるような発見があります。もちろん業務量はスケールに比例して増えるので大変ですが、個社の決算をすべて合わせて大きなものを作るという達成感は、やりがいにつながっています」

岡田は連結決算チームの一員として国内外70社程度の子会社の経営状況を把握し、それぞれの決算に異常がないか確認します。最終的にまとめることが仕事であるものの、数字を通じて各企業の経営状況を管理している立場ともいえるでしょう。

岡田 「経理として大切なのは、絶対に間違えないというマインドです。そのマインドを貫くために、盤石なチェック体制につながるチームワークや、各社とのコミュニケーションは必要不可欠になります。特に各所とのコミュニケーションは、自分の仕事への理解度を深めるためにも効果的です。

OKIの経理職は2~3年でジョブローテーションをすることが多いですが、3年間という短い期間で任された仕事を自分の中に落とし込むためにも、積極的にやり取りしていく姿勢が必要です」

連結決算を担当するチームの中で、海外駐在の経験があるのは岡田のみ。かつて文化の違いや背景を学んだ経験は、本社で連結決算を担当する今もメンバーに共有することで活きています。

岡田 「経理というとPCを前に黙々と事務作業をしているイメージがあるかもしれませんが、仕事を円滑に進めるのに重要なのはコミュニケーションですし、私のように国外と接点を持つのが楽しくて働いている人もいます。経理と一言で言っても、楽しみ方や働き方は人それぞれですね」

やりたいことに耳を傾け、見つけた自分らしい目標

岡田 「私は海外で働きたいという自分の意思を貫いてきました。結果として、経理でありながら25歳で海外駐在を経験でき、今も国外と深く関わりながら働けています。そういう経験をしたからこそ、これから就職活動をする方々には、自分のやりたいことにフォーカスして仕事を選んでいい、と伝えたいです。

私と同じように海外で働きたい人は、英語に自信がないからなどの理由をつけて断念してしまうのはもったいないと思います。全てが叶うとは言いませんが、OKIのように個々の希望に沿った働き方や学びを考えてくれる企業もありますから」

そんな岡田が掲げる目標は、“ワールドワイドに活躍する経理マン”。連結決算を通じて企業全体の状況を把握することにやりがいを感じたように、まるごと世界を体験することもまた、岡田のモチベーションにつながっているのかもしれません。

岡田 「機会があればまた海外で仕事をしたいと思っています。海外ならどこでもいいのですが、次はできればヨーロッパがいいかな。アジアと異なる文化に触れてみたいという想いがあります。役職よりもあらゆる国で働くことが夢です」

常識や周囲の声に惑わされず、自分のやりたいことに耳を傾けることで拓けるキャリアがある。岡田は自らがOKIで経験した学びやキャリアから、そう確信しています。そしてその心は次の国を思い描きながら、“ワールドワイドに活躍する経理マン”へのステップを上り続けるのでしょう。