文化を、言葉をもっと知りたくて──。好奇心に突き動かされ、日本へ

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 トバ・ナタリア

ロシアの小さな町で生まれ育ったトバ・ナタリア。初めて「海外」を意識したのは高校生のときでした。

ナタリア 「身近には外国人もいませんでしたし、海外について知る機会はほとんどありませんでした。高校生のときに海外の文化を学ぶサークルに入り、そこで初めて日本文化に触れて、雑誌で見た京都の庭園や、お寺がとても印象的だったんです。ロシアのキリル文字やアルファベットとはまったく違う漢字にも興味を持ちました」

その国の文化を理解するためには、まずその国の言語を理解することから。そう考えたナタリアは、大学で日本語を本格的に学び始めます。

さらに、読み書きだけでなく日本語を話せるようになりたいと、ロシアの大学を卒業後に来日。日本語学校に通い、そのまま日本の大学院に進学します。

ナタリア 「大学院では英語でグローバルMBA(企業の国際的活動に対応したマネジメント教育を行うプログラム)を専攻し、日本語能力試験のN1認定(※5段階の認定基準のうち最難度)も取得しました。ロシア語に加え、英語、日本語と、語学力が身につきましたね」

大学院在学中から、日本で働くことを希望しており、就職活動中にさまざまな企業の説明会やセミナーに参加する中で、IT企業を志望するように。

ナタリア 「ITは、あらゆる分野のすべての企業にとって欠かせないものですし、人の暮らしや社会にとって大切なもの。だから私は、ITに携わる仕事がしたいと考えました」

ITに引かれた理由は、実はもうひとつあります。

ナタリア 「子ども時代は海外のことをほとんど何も知らずに育ちましたが、ITを使えば世界中の国々の子どもたちが互いにコミュニケーションをとり、異文化に触れることができます。そんな風に世界がつながれば、国どうしの争いやさまざまな格差の解消につながるのでは、と考えたからです」

そのような想いで就職活動をする中、NTTデータと出会います。

ビジネス以外のフィールドでも広がる可能性に引かれ、志したIT業界

▲生まれ育ったロシアにて

異なる文化を持つ国の人々にITで“つながり”をもたらし、より良い世界を──。

そんな大きな理想を胸に、ナタリアはNTTデータへ入社します。数あるIT企業の中でNTTデータを選ぶ決め手となったのは、やはり「文化」だったと言います。

ナタリア 「バチカン教皇庁図書館の蔵書をデジタルアーカイブするプロジェクトをITで推進しているのがNTTデータだと知りました。文化を守り、次の世代につないでいくプロジェクトです。ITが、“利益”以外の面で生み出すことができる価値の大きさを再認識するきっかけになりました」

2016年の入社後、最初に配属されたのは、本社直轄でグローバルのプロジェクト管理を担う部署。この年、NTTデータは、向こう2年間をグローバルのデジタル戦略の第一ステージと位置づけ、全社の売上高に占めるグローバルビジネスの割合を拡大させる方針を明確に打ち出していました。

お客様がグローバル企業である場合、NTTデータも各国でプロジェクトを立ち上げてお客様のビジネスに伴走します。ナタリアの業務は、世界中で進行中しているグローバルプロジェクトに関する予算やリソースの管理を行うこと。

ナタリア 「担当するグローバル企業にひもづく、すべてのプロジェクトの数字を集約する役目を担っていました。リポートした結果は、その後の投資戦略の判断材料として用いられます。重要な数字を扱う責任の重さを感じていました」

そのほか、お客様の世界各国の拠点からメンバーが集まる際の受け入れ支援も担当。学生時代に培った語学力を存分に発揮することとなりました。

そして、入社4年目の2019年。製造業のお客様を担当する部署へ異動します。

ナタリアが担当することになったお客様は、世界中に拠点を持つグローバル大企業。そんなお客様の日本本社に、単身で常駐することになったのです。しかも、最初の半年ほどは、これまでのマネジメント業務ではなく、チャットボット型のデジタルマーケティングツールの開発に携わることに。入社して初めての開発業務でした。

ナタリア 「お客様の業務のことも開発のことも、ゼロからの勉強で難しくはありましたが、実際に経験することで得たものはとても大きかったです」

お国柄が違えば企業文化も違う。そのギャップを埋め、つなぐ役割に奮闘

半年間の開発業務が一段落した後、ナタリアにはエンゲージメントマネージャーとしてのポジションが与えられました。具体的な役割は、お客様の日本拠点のデジタルマーケティングを支援する立場として、お客様の海外拠点やNTTデータのグローバル担当部署との間をつなぐパイプ役となって、プロジェクトの進捗を管理することです。

ナタリア 「お客様の日本本社は歴史が長く、新しいプロセスを導入しようと思ってもスムーズにいかないケースもあります。でも、グローバル担当部門にいた最初の3年間で、さまざまなバックグラウンドを持った人たちの価値観の違いを知り、尊重することの大切さを学んできたので、その経験が今の業務にも生かせていると思います」

海外拠点での先行事例を紹介しながら、導入のプロセスとそのメリットについて、時間をかけて丁寧に説明。そうすることで、日本でも徐々に理解が得られるようになり、アプローチから短期間で改善の成果が現れているテーマもあるといいます。

そんなナタリアが、仕事をする上で意識していることはふたつ。

ひとつは、「わからないこと」にぶつかったとき、まず自分で徹底的に調べること。

ナタリア 「わからないことをそのままにしていると、仕事上のコミュニケーションについていくことができなくなります。分からなければ自分で調べた上で、相手とコミュニケーションを図ることを大切にしています」

もうひとつは、誰かの意見を判断する際は、その人物の考えを尊重するとともに、その人を取り巻くさまざまな事情も考慮すること。

ナタリア 「相手を尊敬して、まず相手の考えをきちんと知ろうとすることが大切です。その上で、本人の考えとは別の事情が影響している場合も考えられるので、複数の視点で検討するようにします。そういった視点がなければ、エンゲージメントマネージャーとして調整役を果たすことはできません」

コミュニケーションの窓口として、お客様の日本拠点とその他の関係者との間に立つことが多いからこそ、両者が互いの意向を正しく理解し、納得感を持ってプロジェクトを前進させることができるように、双方の真意を“翻訳”することを心がけているのです。

困難な状況も捉え方次第。“理想的な仕事”に向けてステップアップ!

▲2020年度新入社員の受け入れの様子。笑顔で積極的にコミュニケーションを図り、プロジェクトを前進させる。

2020年現在、充実した毎日を送っているというナタリア。

ナタリア 「今の部署に入ってすぐのころと現在とでは、担当している業務はずいぶん変わりました。それは私自身が、『こんなこともできます』ということをお客様に見ていただけるように意識して行動し、それをお客様にも評価していただくことができたから。その積み重ねの中で、『私はできる』という自信を以前よりも持てるようになったし、より高い目標に挑戦したいと思うようになりました」

日本語に習熟しているし、上司のフォローもあったとは言え、たったひとりでお客様先にデスクを構え仕事をするということ。並々ならぬプレッシャーがかかりそうなシチュエーションですが、ナタリアが自らの状況にプレッシャーを感じることはありませんでした。

ナタリア 「プレッシャーかどうかを判断するのは、自分自身です。もちろん、難しい状況だと感じる場面はありますが、そんな時でも私はプレッシャーと捉えません。プレッシャーを感じると、それがストレスになって心身の健康にも良くありませんし、ストレスがない状態の方が、考えがクリアになって、何をするにもスムーズに対応できるようになります」

そんなナタリアには、次なる目標があります。それは、お客様への提案から導入・運用に至る一連の流れをチームで成し遂げること。

ナタリア 「お客様が実現したい将来像に近づくために、今何が必要なのかを考え、アイデアをまとめて提案する。さらに、導入して思い描いた通りの成果を達成するところまで携わってみたいです。一人称ではなくチームで仕事を進める経験ができたらなと思っています」

そんな自身の描く“理想的な仕事”のために、新たな学びへの意欲も十分です。

ナタリア 「カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客の期待通りの、または期待を超える顧客対応を提供することにより、顧客満足度を向上させる取り組み)に興味があります。プロフェッショナリティを高めるための知識ももっとつけたいと考えています」

また、IT業界で4年余りを過ごした今も、入社当初に描いていた、あらゆる国の人々をITによって“つなぐ”ことができる未来への想いは、変わらず持ち続けているといいます。

未知だからこそ、楽しい、知りたい。その一心で、母国を離れ、日本で働くことを選んだナタリア。旺盛な好奇心と勤勉さで、さまざまな人々や企業、そして国と国の間に、相互理解の橋を架けていってくれるはずです。