ウェブディレクターなのに、ウェブ制作の工程がわからない

UXデザイナーからデジタル&フィジカルデザイナーへ、新領域に挑んでいる仙崎 萌絵(せんざき もえ)は、2020年現在入社3年目。大学卒業後、インターネットサービス関連会社などを経て、2018年にネットイヤーグループに入社しました。

就職氷河期をくぐり抜け、新卒で入社した企業では、レンタルサーバーのカスタマーサービスを担当した後、社内公募でECショッピングモールのディレクターに。そこで痛感したのが、ウェブについての知識不足でした。

仙崎 「新しい機能を追加する、特集ページを作成する……となっても、そのための工程さえわかりませんでした。それぞれの作業時間が見えないから、見積もりもあやふや。実際に手を動かして制作に携わり、その過程を知らなければ、ディレクションはできません。自分の実力のなさを痛感して行き詰まり、このままここにいるよりも、他の会社で経験を積んだほうがいいのではと考えました」

ウェブデザインやコーディングを身につけ、制作の工程を理解したいと考え転職を決めた仙崎ですが、ウェブデザイナー未経験でも入社できる企業が見つからず、派遣会社に登録します。派遣先となったのがポータルサイトの運営会社。職種は、企画進行ディレクター兼ウェブデザイナーでした。

仙崎 「小さなバナーのデザインやコーディングを担当しました。実際にやってみると、ちょっとしたデザイン修正にも時間がかかるんです。コーディングも、コーダーに見てもらうと、完璧ではないと言われ、デザインもコーディングもこんなに手がかかるんだと実感しました。

人によってデザインテイストのとらえ方が違うのにも苦労しましたね。デザインの前には、ポジショニングマップやイメージマップをつくって周囲に確認し、試行錯誤を重ねながら、なんとかカタチにしていきました」

ウェブディレクター兼デザイナーとして、ゆっくりながらも着実に前進していた仙崎でしたが、尊敬していた上司が語った“UX”という言葉が方向性を変えるきっかけとなります。

本格的にUXデザインを学びたい。社会人向けのUXスクールへ

「これからは、よりユーザーの体験を重視するUXの時代になるから、勉強しておいたほうがいいよ」

転職を決めた上司は、仙崎にこんな助言をし、会社を去っていきました。

仙崎 「尊敬していた上司からのアドバイスだったので、とても気になり、UXについての書籍を数冊読みました。UXデザイナーという仕事があることも、このとき知りました。

そのころの私は、目の前のビジュアルをつくるのに精一杯。派遣社員という立場だったので提案しても裁量を持たせてもらえず、尊敬していた上司も会社を去り、少し気落ちしていました。でもそれと同時に、『UXデザインっておもしろそう、UXデザインに携われる仕事がしたい』という想いがふくらんでいきました」

再び転職活動を始めた仙崎が見つけたのは、あるベンチャー企業のUI/UXデザイナー募集。入社試験を通過しましたが、念願のUXデザイナーになれた喜びもつかの間。仕事に対するマインドや業務の進め方に共感できないという状況が続きました。

UXデザインに強い想いを持って転職した仙崎は少しの時間も惜しいと感じ、試用期間での退職を決意し、エージェントを介した転職活動を始めます。

仙崎 「短期間で辞めたことが影響しているのか、なかなか転職先は見つかりませんでした。そんなときにエージェントに紹介されたのが、IT系のアウトソーシング企業。ある化粧品会社に常駐してEC部門のウェブデザインを担当することになりました」

もちろん、UXデザイナーになりたいという想いを捨てたわけではありません。そこで、本格的にUXデザインを学ぶため、ネットイヤーグループで開催されていた社会人向けのUXスクールに通い始めました。

仙崎 「それまでにもUXの書籍はたくさん読み、ノウハウは知っているつもりでした。でもワークショップで実践してみると、ユーザーインタビューで想定外の回答が出てきたり、想像通りのカスタマージャーニーが描けなかったり……。

実践は難しかったけど、講師には『失敗を恐れてはいけない』と励まされました。失敗したからこそ、次にこうしようというのが見えてくる。また、ユーザー目線でサービスを改善するには、すべての関係者を巻き込み、認識を共有しながら突き進むことも学びました。このUXスクールでの実践が、私のUXデザインのベースになっていると思います」

先輩の意向が理解できず、たった1カ月で外された大規模プロジェクト

全11回のUXスクールでUXデザインを学んだ仙崎。学んだことを実務に生かしたいと、常駐していた化粧品会社にUXでのアプローチを提案しますが、業務範囲外となる作業のため、自社内での承認が得られません。このまま学んだことを生かせないのかとがっかりしていたときに知ったのが、ネットイヤーグループのUXデザイナー採用でした。

仙崎 「UXデザインのプロセスをここまで解き明かしている会社は他にないと思い、なんとしても入社したいと思いました。でも私には、UXデザインの実務経験がありません。そこで、UXスクールの講師だった社員に相談してみたところ、『受講生だった仙崎さんなら人柄もわかっているし、受けてみたら?』と背中を押してくれたので、応募を決めました」

無事、採用試験を通過し、ネットイヤーグループに入社。アシスタントとはいえ、やっと念願のUXデザイナーになりました。入社から約2カ月は小規模プロジェクトのヒューリスティック調査などをサポートし、その後、大規模プロジェクトのUXデザインのアシスタントとなります。

ところが、メイン担当のUXデザイナーの意向が理解できず、期待されるようなアシスタントとしての働きができなかったため、1カ月ほどでそのプロジェクトを外されます。

仙崎 「ここに至るまでいろいろあった私ですが、さすがにこのときはかなり落ち込みました……」

とはいえ、落ち込んだままでいるわけにもいきません。コンペ案件のユーザー調査、サイトリニューアルに向けてのヒューリスティック調査など、小さな案件であっても、UXスクールで学んだことを生かしながら、真摯に取り組んでいきました。

仙崎 「まずは、社内で認められないと先には進めません。プロジェクトメンバーを第一クライアントだと思い、ユーザーの定義、シナリオ作成など、詳細に丁寧に手厚く資料を作成するようにしました」

決められたフォーマットそのままでなく、どうドキュメンテーションしたら伝わるか真剣に取り組んだ仙崎。そのうち、「最近、仙崎さんいいね。ドキュメンテーション得意なんじゃない?」という声が社内から聞こえてくるようになります。

ついにメインのUXデザイナーへ。新領域にもチャレンジ

▲カスタマーエクスペリエンス事業部 デジタル&フィジカルデザイナー 仙崎 萌絵

入社当初に大きくつまずいた仙崎でしたが、徐々にできることを増やしていき、入社2年目についにメインのUXデザイナーを任されます。メインになると責任も重大になりました。

仙崎 「クライアントより社内のプロジェクトメンバーのほうがずっと厳しくて、彼らを納得させるのが大変でした。社内ミーティングでつくったものを見せると、いつも厳しい意見が飛んできます。次に、その意見をすべて反映して修正すると、今度は『それでいいの? 仙崎さんの意見はどこにあるの?』と言われるんです。

そのときは、自分でもどう納得してもらえればいいのかわからず悩みました。でも、言われたことをなんでもかんでも鵜のみにしていてはダメ、確固たる意見があるときは、しっかりこの人たちを説得できるくらいの裏付けが必要なんだと気づかされました。

みんなプロフェッショナルなんですよね。クライアントのビジネスの目的を見据え、最善のアウトプットを求めるのは当然のことです。だから、時に厳しい意見も飛んでくる。社内プロジェクトメンバーの承認をとるのは苦労しましたが、そのかいあってクライアントの承認はすんなり得られました」

そして2020年夏、新組織体制で仙崎が新たに取り組むことになったのが、デジタル&フィジカルデザインです。名刺には、UXデザイナーに加えてデジタル&フィジカルデザイナーという肩書が加わりました。

仙崎 「“デジタル&フィジカルデザイン”は、リアルとデジタルを融合し、ユーザーが望むシームレスで違和感のない体験を実現するための概念です。スマホが当たり前になった現在ですが、リアルな場でのデジタル活用には、まだまだ多くの課題があります。

たとえば、リテール業界。新型コロナウイルスによって、対面での接客が難しくなっている状況で、新しい購買体験を見いだす必要があります。いかにリアルとデジタルを融合させ、誰もがワクワクできる購買体験を提供できるかがカギになります。

デジタルが先行しすぎたり、デジタルに詳しい人しか楽しめなかったりするサービスではダメ。人間的なあたたかさをどう表現するかが、私の役割だと思います」

NTTデータのソリューションを活用した、デジタル&フィジカルな実証実験もスタートしました。「世の中に“デジタル&フィジカルデザイン”を認知させて、成功例をどんどんつくりたい」と目を輝かせる仙崎。何度もつまずき、その度に立ち上がった仙崎の新たな挑戦は、始まったばかりです。


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