常に仕事の根底にある、「人の役に立ちたい」という想い

「直接会ったことはないですが、谷口課長のことは知っています。勉強会やコミュニティで営業活動のコツを伝えてくれるおかげで、業務に活かすことができて、お客さまにもより良いご提案ができるようになりました」

他支店で働く社員から寄せられる感謝の声。

みずほ銀行福岡支店の谷口は、自身の営業ノウハウを部下だけでなく社内に幅広く共有し、共に営業で働く仲間の営業力向上を通じて〈みずほ〉の成長に貢献しています。SNSを駆使した情報発信は社内にとどまらず社外へも扉を開いており、その精力的な活動は、多くの営業人材の助けとなっています。

谷口 「福岡支店では、個人のお客さまへ資産のコンサルティングを行う個人営業課の課長を務めています。入社以降、個人営業を中心とした業務に携わってきました。その途中で約2年半、みずほ証券への出向も経験し、高度な資産運用コンサルティングを学び、銀行へ戻ってから現在は管理職としてマネジメント業務を担っています」

一貫して個人のお客さまと向き合ってきた谷口。常に「お客さまに対して自分がどのような価値を提供できるか」という軸を大切にしてきました。

谷口 「資産が増え豊かになることや、築き上げた資産を円滑に承継していくことは、誰にとっても理想の状態だと思います。ただ日本では、お金の知識を学ぶ機会は少なく、自分で調べたり聞いたりしないと、知らないままだったりします。

お金は誰もが持ち、使うものなのに詳しい人は少ない。そこに対し、私たちが提供した情報がお客さまのお役に立ち、『谷口さんからこの話を聞いておいてよかった』『谷口さんが担当で良かった』と思っていただけるような提案活動を心掛けています」

そんな谷口にとって、忘れられない出来事があります。

谷口 「入社2年目の時、一人暮らしをされている高齢のお客さまが、『私が亡くなった後の資産と自宅の土地・建物をどうしようかとね……』と私にお話しされたことがありました。ご意向を伺いながら、自宅をどのようにするのか、それに伴いご息女2人への資産配分をどうするべきか等をアドバイス。結果的に非課税制度があり、資産をスムーズに承継できる保険商品をご契約いただきました。しかし、しばらくして残念ながら亡くなられたと、お客さまのご相続人となったご息女から伺いました。

そして、『生前、父にこう言われたのです。谷口さんという方はとてもお世話になった人なので、自分がいなくなったら訪ねてほしいと……』と、私の名刺を手にしながら、そうおっしゃってくださったのです。

さらに『母が亡くなってから父は口数が減りましたが、ある時から明るく口数も増えてきたのです。良い最期を迎えられたのも谷口さんのおかげだと思っています』と。ご本人だけでなくご家族からも感謝されたとき、『自分は人の役に立てているのだ、そういう仕事をしているのだ』と実感し、やりがいを見つけることができました」 

多忙な課長業務と並行して社内外への情報発信を始めたのも、「人の役に立ちたい」という一心から。そのひとつが、社内システムのグループ機能を利用したコミュニティです。全国の支店から参加している約750名の〈みずほ〉社員に向けて、営業活動に役立つ情報やノウハウを発信しています。

750名が参加するコミュニティが生まれたきっかけは、一通のメール

▲オンラインで情報発信を実施

谷口が情報発信を始めたのは、2019年のこと。みずほ証券に出向した経験を経て、「銀行員である自分が証券営業で得たノウハウを、銀行員である部下たちに伝えることで、会社にもっと貢献できるのではないか」と考えたのです。

その手始めに行ったのが、“谷口メモ”という件名が入った社内メール。セールスに使えそうな情報や共有したいノウハウだけでなく、部下の営業活動を観察して気づいたポイント、自分自身がお客さまへ提案する際に感じたポイントなどを、メールで部下に送り始めました。

谷口 「あるとき、私の部下が他の支店で働く同期に、『うちの課長は、課員にこんなメールを送っているのですよ』とメールのことを話したようで、そこから徐々に口コミで広がり、『自分にも送ってほしい』という要望が各所から寄せられるようになりました。

“発信”する情報を作成する労力は、1人に対して送るのも、他部署の社員含め複数に送るのも、変わりません。宛先は増えますけど、グループ連絡先を作っておけば宛先もワンクリック。労力は変わらずに、受取人が増えれば増えるほど影響度も大きくなる。それならどんどん大勢に発信していこうと。今は、社内で新システムが導入されたことで、SNSのような活用ができ、そのコミュニティの場でノウハウを共有する形になりました」

その動きが本部の目に留まり、大手町本社の会議室にて複数支店のメンバーを集めての勉強会を開催するなど、谷口は活動の幅を広げていきます。さらに、コロナ禍も情報発信の加速を後押ししました。感染拡大防止の目的で、出社と自宅待機を織り交ぜる交代勤務制が取り入れられたからです。

谷口 「それまで、私たちはお客さまとお会いしてこその仕事でしたし、当時はリモート勤務体制があまり整っておらず、自宅待機となると思うような動きができません。その中で、『今、この状況で自分にできることはなんだろう』と考えました。たくさんの金融商品があり、株式市場が荒れる中、お客さまが不安を覚えたり迷ったりしている。

さらに、営業員自身までもが先行きへの不安に尻込みしているようでは、さらにお客さまは不安になられ、これまでの信頼関係が揺らぐ状態に陥ってしまう。このような状況を解消するためにも、営業員に向けてマーケットやセールスのノウハウを発信することには意義があると。さらに、文章よりも“動画”がより多くの情報量を分かりやすく提供できるだろうと、自宅待機という時間を動画作成に使い展開するようになりました」

社内の多くのメンバーから信望を集める一方、課長として担うマネジメント業務については、まだまだ課題だらけだと谷口は言います。特に意識しているのが、“メンバーが能動的に動ける組織づくり”です。

谷口 「現在私の課のメンバーは、ほとんどが先輩方で、入社時から営業の方もいれば、当初は窓口・テラー、別会社出身など、多様なメンバーで構成されています。これまでの経歴がそれぞれ違いますので、通り一辺倒の指示を出すようなマネジメントではうまくいきません。

私の考える管理職としてあるべき姿とは、部下に自ら動いてもらうためにはどうしたらよいのかをよく考えて組織を導くことだと思っています。成功体験を積んで『自分でもできるのだ』『自分の仕事はお客さまの役に立っているのだ』と実感できることを増やし、自分の営業活動に自信を持てたなら、自ら積極的に動けるようになり、好循環となるはずです。そのための仕組みを考えることが私の仕事だと思っています」

谷口が発信するノウハウを参考に営業活動を行った部下が、目標を大きく超える営業成績をあげ、成功体験を得ることもあるかもしれません。いつ、どんな形で、自身が周囲にきっかけを与えられるのかはわからない。だからこそ、普段のコミュニケーションはもちろん、情報発信もまた広い意味でマネジメントの一部だと、谷口は捉えています。

情報発信と課長業務の両立。仲間の声が支えに

▲YouTubeで発信を行う谷口

社内のガイドラインに則りながらSNSを活用し、社外への発信にも積極的に取り組んできた谷口。それが自身の成長につながり、幅広い知見やネットワークを手に入れることにもなったと振り返ります。

谷口 「社内でもそうですが、SNSなどで情報を発信する際は特に、間違ったことは伝えられません。そのため市場環境をよく調べたり、自分の知識が合っているかを再確認したりすることで、より正しい知識が身につきました。社内への発信では見かけませんが、社外の方が見ることができるSNSへの投稿に対してはときどき自分と違う意見や、厳しい指摘コメントが寄せられることもありました。

しかし、それも一つの意見として尊重しつつ吸収し、自分なりの考えや知識、伝え方のブラッシュアップにつなげています。同業者やアナリストへコメントし、共感の意見やリアクションをもらうことで、自信にもつながりました。

SNSを通じて出会った同業界のメンバーとは、オフ会も開催しました。もちろん、情報の取り扱いにはしっかり留意しながらですが、個々の持つ考えや営業ノウハウ等について意見交換を行い、大いに刺激を受けました。社外に飛び出して新しい人や情報に接しては、そこで得た知見を社内に持ち帰って“発信情報”のネタにしています」

〈みずほ〉で働く仲間の知識や提案力が向上することで、より良いサービスを提供し、それがより多くのお客さまの幸せにつながってほしい。そして会社の利益と社員一人ひとりの生活の豊かさにもつながってほしい。谷口の活動の根底にはそのような想いがあります。

とはいえ、時間は有限です。また、同じような取り組みをしている社員が自身の周りにあまりいないこともあって、そこには不安と葛藤があるといいます。

谷口 「行動経済学で『ハーディング効果(少数派の不安)』という言葉があるように、誰もやっていないこと、自分だけ違うことをやり続けている、という状況には不安を感じたり、悪目立ちしているのではないか思ったりと、正直心地よいというわけではありません。社内発信は、通常業務をこなしながら取り組んでおり、マネジメントとして部下への情報提供や営業ノウハウの伝播の延長線上にあると言いながらも、全く支店業務に支障がないのか?と問われると自信はありません。

しかし、その中で現在の上司にあたる支店長席、及び本部の計らいにより西日本エリア全体に独自発信できる場を提供してもらいました。オンラインや社内システムを活用し営業ノウハウ伝播や商品提案の勉強会を企画・開催しています。私はこの情報発信によって組織貢献できていると、信念を持って行動しています」

谷口は管理職となってから、“自分が成果を挙げること”よりも“組織全体で成果を上げること”の重要性をより実感するようになりました。自分が知識を伝播させ、誰かの役に立つことで、将来的には会社全体の利益が向上すると信じています。

谷口 「コミュニティ発足から1年を記念して実施したアンケートでは、105名の回答が集まり、80名以上のメンバーから『コミュニティに参加したことで、知識が身につき、営業成績の向上につながった』という声をもらいました。仲間の役に立てていることを実感できた嬉しい瞬間でしたし、その仲間がさらに同じ支店や同期と共有しているとすれば、間違いなく〈みずほ〉の個人営業力の底上げになっていると実感しています」

プロフェッショナルな“仲間”が、「それでもここで働きたい」と思える組織を目指して

▲オフィスにて

「やってみたい」と思うだけでなく、小さくても一歩を踏み出すことの大切さを知る谷口。やりたいことに二の足を踏む仲間たちに、伝えたいことがあります。

谷口 「興味のあるテーマ、やりたいことが既にあるなら、私のようにSNSの活用を試して欲しいなと。似た興味を持つユーザーをフォローして閲覧するだけでなく、自分から発信してみるんです。私自身、担当者時代は営業表彰を何度も受賞しているような人材ではありませんでしたし、自分より優秀な人は社内にたくさんいます。その中でこういった行動ができるようになったのも、発信に対してリアクション、コメントなどをもらうことで自信を持てるようになったからです。

『対価も評価もいらないから、これをしたい!』、『報酬がないとしても労力を割いてもいい』と思えるものこそが、本当のやりがいだと思います。そうしたものを見つけられたら、強いですよね。他人の目や評価のような、目に見えないものに依存しなくなり、自分自身の成長のために突き進めますから。私にとってはそれが『人の役に立ちたい』『教えたい』という“思い”であり、それが組織への貢献につながっているのならなおさらです」

社外に発信を続け、社外とのネットワークを築きながらも、〈みずほ〉へのロイヤリティを持ち続けている谷口。そこには理想としている組織像があります。

谷口 「トヨタ自動車の豊田 章男社長が、あるスピーチで、次のように語られていました。『皆さんは、自分のために、自分を磨き続けてください。トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指して下さい。私たちマネジメントは、プロになりどこでも闘える実力を付けた皆さんが、それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作りあげていくために、努力してまいります』いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だと。

今はひとつの会社に勤めあげる時代ではなくなりました。しかし、個々が自己研鑽をしつつ、それでも〈みずほ〉で働きたいと思えるような組織は、とても強いし理想的だと思います。公募や兼業など〈みずほ〉にはチャレンジしたい人の背中を押すための社内制度も整ってきているし、グループ横断的な人事制度があるので、意欲と努力があればグループ会社、新しい業務への挑戦がしやすい。そういった面でも、いろいろな人がやりたいことを見つけやすい会社だと思います」

そんな強い組織を支える一員であり続けるために、谷口は自身のキャリアビジョンも明確に描いています。

谷口 「家族のことやライフイベントのことを考えると、これからも地元である九州で働き続けることを希望していきたいと思っています。たとえば、福岡を拠点とし個人営業分野で九州エリアの各支店をまわりながら個人営業のスキルと業績の向上に貢献できることに加え、引続きオンラインや社内システムを通じて全国の個人営業担当者に貢献できる業務ができれば理想ですね。九州では地銀が強いですが、当行は良い武器(商品やサービス)やスキルがあるため、まだまだシェアを獲得できると思っています。

その中で、今後メタバース(インターネット上で提供される仮想空間)やNFT(所有者情報等を保証するデジタル資産)、デジタルツイン(仮想空間に現実空間の環境を再現することで、シミュレーションや将来予測に役立つ技術)など、デジタル技術の発展により、遠隔地からアバターでの勉強会開催や営業に関する相談に乗ったり、さらにはお客さまへ提案したりなど。情報発信の形も変わるとともに、地元九州という地から〈みずほ〉全体の発展に貢献できる範囲は今後ますます広がると思っています。

その中で必要とされる人材であり続け、あらゆる人のお役に立てられるよう、さらに自分自身を成長させて行きたいと思っています」 

まずは行動すること、それを地道に継続すること。その繰り返しで、自分も周りも少しずつ変化し、進化する。

「人の役に立ちたい」──その一心で “〈みずほ〉のインフルエンサー” として社内外に情報発信する谷口のストーリーは、これからも続いていきます。