積極的な社内人材登用で優秀な人材の定着を促進

アドビは事業の成長を支える優秀な人材の採用だけでなく、社内人材の育成にも力を入れています。しかし「社内での仕事の機会に限界を感じて転職してしまう人材が相次いだ時期もあった」と人事部 採用チームでシニアマネージャーを務める杉本は話します。

杉本 「苦労して採用し、さらに時間をかけて育成した人材が離れてしまうことは、会社にとって大きな痛手です。そこで、改めて社内人材に目を向けて新たなチャンスを与える社内人材登用の促進を始めました。インターナルモビリティ(社内異動)はそのひとつです」

こうした考え方を社内に浸透させることで、社員がアドビから離れずとも希望どおりのキャリアを歩めるようになりました。特定の職種を一定期間経験してから同職種で昇格する王道のケース以外にも、他職種に異動してカバー範囲を広げるケースなど、多様なキャリアパスが用意されています。

杉本 「また、特定のポジションで人材が必要になった場合は、外部の人材を採用する前にまず社内に最適候補者がいないか確認するカルチャーを根付かせようとしています。

実際に採用部門では採用チャネル割合を計画するとき、一定割合を社内人材で充当するために明確な指標を設けることにしました」

こうした社内人材登用の促進によって、社員がアドビで多種多様なキャリアを積み重ねることができ、人材の流出防止につながっています。

そして、社内人材登用を積極的に行っていくことを社内にも広くプロモーションすることで、社員の学習意欲や成長意欲が高まっています。アドビの人事施策には、社員の成長意欲を確認し奨励するあらゆる制度がありますが、それぞれが社員に広く浸透しているのです。

実際にインターナルモビリティを活用して他職種に異動し、順調にキャリアを積む社員が増えています。そのうちのひとりが、プリセールスを担当している山本 雄大です。

ポストセールスからプリセールスへ──キャリアチェンジのための社内異動

山本は2016年11月にアドビへ入社し、テクニカルアカウントマネージャーとしてポストセールスを担当していました。入社後数年は製品を導入したお客様を主に技術面から支え、利活用を推進していくことが仕事でした。

アドビへ入社する前はSIerとしてポストセールスを行っていましたが、マーケティングに興味を持ったことがきっかけで転職を決意します。そしてマーケティングスキルを身につけながら自身の経験が生かせる会社を探し、アドビへ入社することになりました。

転職前は、外資系企業であることからアドビにドライな印象を抱いていましたが、入社後はアドビ全体から伝わってくる温かさに驚いたと話します。

山本 「日本法人だけでなく、グローバルでも人を大事にするカルチャーがあると感じます。

同じ部署の社員はもちろん互いを伸ばしあいフォローできる関係ですし、会ったこともない他国の社員に質問をしても、親身になって答えてくれるんですよね。プロフェッショナルだけど温い会社だと思います」

そんなアドビでは、部署をまたいだコミュニケーションも活発に行われています。実際に山本はポストセールスを担当しながら、プリセールス担当の社員と仕事をする機会が増えました。その中で山本は、プリセールスを経験したいと思うようになったのです。

山本 「お客様にはさまざまなバックグランドがあると思います。その中でプリセールスの方がどうコミュニケーションを取って、われわれの製品・サービスを購入いただいているのか、自分で経験することで理解したいと思うようになりました。

この経験は今後どのようなキャリアを進んでいく上でも重要だと考えています。だから直属のマネージャーに、いずれプリセールスをやってみたいと話していたんです。

通常の1on1で目先の仕事の相談をしながら、Check-Inという四半期ごとに行なわれる深めの1on1で中長期のキャリア相談をしていました。仕事が忙しくてもきちんと未来のプランを共有できる場を持てるのは、とても良いことだと思いますね」

そして入社から3年ほど経過したころ、山本はプリセールスの部署へ異動することになりました。

自身の経験とマネージャーのサポートが、社内異動を成功に導いた

2019年3月ごろに異動が決まりましたが、山本は転職前からずっとポストセールスを担当していたので、プリセールスをうまくやっていけるか不安に思っていました。しかし、ポストセールスの経験を生かしながらプリセールスを行うことで、確実に成果を上げていったのです。

山本 「製品の導入だけでなく導入後も見越した話をすることで、お客様からも評価していただけています。たとえば、今後のデータ活用について構想を立てているお客様がいらっしゃったときに、製品の細かい話や運用視点の話しも交えながらどう利活用を推進していくかという提案を行いました。

お客様はすごく理解できたと喜んでくれましたし、私もプリセールスの考え方を身につけながらポストセールスで得た知識や経験を生かせている実感があるので、異動して良かったと思います」

結果的に山本の異動は大成功でしたが、その背景には環境を整えてくれたマネージャーの存在がありました。異動前後のマネージャー陣は、山本が最適なタイミングで異動できるようサポートしてくれたのです。

山本 「前部署の業務を継続したり丁寧に引き継ぎをしたりするため、正式に異動が決まってから約半年は、ふたつの部署の仕事を並行していました。

本来そこまで長い並行期間は必要ありませんが、切りの良いところまで前部署の業務をやりたいという私のわがままを、マネージャー陣が受け入れてフォローしてくれました。だからこそ、お客様にご迷惑をお掛けすることなく異動できたと思っています」

無事に社内異動を終えた山本ですが、もちろんここで成長を止めるつもりはありません。今後はしばらくプリセールスを続けながら、さらに営業力を磨きたいと考えています。

山本 「今は技術をベースに営業していますが、技術を抜きにした営業力も今後のキャリアで必要になってくると思うので、身につけたいですね。

お客様のバックグラウンドを理解して相手の立場になって考えながら、最適な提案をすることが重要だと思うので、今後も意識していきたいです。その一方で、マーケティングと技術は自分の強みだと自信を持って言えるように、これからも経験を積んでいきたいと思います」

社内異動で社員の成長を促すとともに、組織力の向上にもつなげる

多くの外資系企業では、社員は特定の部署で役割を果たすために入社しパフォーマンスを発揮します。そのため社員はキャリアアップを考えるとき、転職するのが自然です。

しかし、アドビにはキャリアプランをマネージャーと話し合うCheck-Inも、部署異動を促すインターナルモビリティもあります。ポジション変更のカルチャーがあるので、ひとつの会社で特定のロールに縛られないキャリアを積むことができるのです。

山本の異動をサポートしたマネージャーの小栗 順平は、インターナルモビリティは2タイプの社員の助けになると考えています。

小栗 「まず、優秀な社員は転職しなくても社内で新たなキャリアを積むことができます。たとえ今の部署で活躍できなかったとしても、他の部署で活躍できる可能性を探せるんです。

山本の場合は前者だったので、受け入れる部署の心配はほとんどしていませんでした。どちらかというと、優秀なプレイヤーが抜ける前部署のフォローを重視していましたね」

支えとなる人が異動することで残った社員の業務負荷が上がったり、部署内に不安が蔓延したりしてしまうものです。だからこそ小栗は送り出す側のケアを徹底し、山本がスムーズに異動できるようサポートしたのです。

小栗 「異動までに十分な並行期間を設けて、山本がいなくてもなんとかなると他の社員に思ってもらえるようにしました。

後は、アドビとしてはキャリアアップを推奨しているので、異動する社員のキャリアを応援してあげる雰囲気づくりを心がけていましたね。山本が別の部署に異動して成長することで、アドビという組織全体が強くなる。それを周りの社員にも理解してもらえるように動いていました」

インターナルモビリティは、異動する社員にとってもアドビという組織にとっても大きなアドバンテージになると小栗は考えています。

小栗 「コンサルティングを経験した社員が営業を経験することは、非常に強いキャリアだと思っているんです。社内異動をすることで、その部署で働く人たちのマインドセットが理解できるようになり、業務がコラボレーティブになってスムーズに進むようになります。

異なるKPIを持っているような部署で仕事をすることで、キャリアアップにつながることは間違いありません。だからこそアドビでは、インターナルモビリティを奨励しているんだと思います」

社員の成長を促し組織力を強くする、インターナルモビリティ。アドビはこれからも社内人材登用を促進し、社員のキャリアアップを促す組織であり続けます。