立ち止まって考えた存在意義。経営判断の軸となるパーパスの策定を決意

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2022年10月、ライフワークスでは、これまでの企業ミッションとビジョンに替わる新しいパーパスを掲げることになりました。

同社の代表を務める梅本が、パーパスの必要性を感じるようになったきっかけは、2年半前にさかのぼります。

梅本 「2020年の春先、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当社の主要事業である企業研修がほぼすべてストップしてしまいました。3カ月ほどそうした時期が続く中、『ライフワークスは、世の中から必要とされていないのではないか』という不安に襲われてしまって。当社がなんのために存在しているのかを、問われている気がしたんです」

次第に企業研修が再開し始めて事業活動は元通りとなったものの、梅本は“経営判断の拠り所”を探していたと言います。

梅本 「困難な状況下で経営の判断や選択を迫られることは、今後もきっとあると思います。そうしたときに、しっかりとした経営判断の軸を持っておきたいと考えるようになりました」

こうしてパーパス策定に向けて動き出した梅本ですが、経営判断の軸をつくる目的以外にも、もうひとつ期待したことがあったと振り返ります。

梅本 「パーパスとして明確に言葉にして発信することで、仲間と同じ想いを持って仕事ができたり、パーパスに共感してくれる仲間やお客様が増えたりすれば……。という期待を持っていました。『私たちが描こうとする世界』を表す言葉がビジョンだとしたら、ミッションは『使命』のようなもの。パーパスはそれらとはまた違って、『常にこんな状態でありたい』と宣言する類のものだと捉えています」

過去と未来に向き合い、半年間じっくりと時間をかけて策定

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▲創業メンバーとの写真

2022年5月、外部コンサルタントと共にパーパス策定に取りかかった梅本。まずは、自分自身のキャリアを振り返りつつ、ライフワークス設立の背景や20年以上に渡る会社の歴史をていねいに辿りながら、転機やその分岐点で大事にしてきた判断基準、転機がのちにどう活かされたのかなどを紐解いていきました。

梅本 「研修を受けた方たちが明るくいきいきとした表情になって、『明日から、また頑張ろう』と声をかけ合いながら研修会場を後にする姿を見て、手ごたえを感じたことを思い出しました。それに、組織が良くならないことには、個人がいくらキャリア自律をしたいと思っていても実現が難しいですよね。だからこそ、組織が抱えるキャリア課題もなんとか解決したいとの想いでお客様に向き合ってきました」

20年以上、一貫して大事にしてきたこだわりを注ぎ込みつつ、社員や一緒に研修をつくっているビジネスパートナーにも共感してもらえるようなパーパスにしたい──そんな想いで策定を進めた梅本。完成まで、トータルで約半年の歳月を要したと言います。

梅本 「最適な言葉選びが一番難しかったですね。『この言葉がいい』と思っても、『よく考えるとこちらのほうがいいな』と、行きつ戻りつしてしまって。ストンと腑に落ちるまで言葉を探し磨き上げていく作業にはかなり苦戦しました」

一方、時間をかけ苦労して策定したからこそ、再発見したライフワークスの魅力もありました。20数年間、コツコツと目の前のお客様に向き合って、最適な解決策を一緒に考えてきた姿勢こそ、自分たちの良さであり強みだとあらためて実感することができたのです。

もちろん、パーパスを策定する上では、過去だけでなく未来にも目を向けました。

梅本 「“キャリア自律”という言葉が世の中にもっと広まり、当たり前になってほしいんです。そのためには、まだまだやるべきことがあります。ライフワークスとしては、現在の大手企業を中心とした支援以外にも、たとえば対象を中小企業にも広げたい。

将来的には、学生向けのキャリア教育にも携わるなど、キャリア自律を実現するためにできることを模索していけたらと思っています。私個人としては、生涯キャリア支援に携わる一人でありたいと考えています」

梅本がそう思うのは、企業研修の受講者から「これまでキャリアについて考えてこなかった」「キャリアを会社に任せきりだった」「もっと早く考えていれば……」という感想を聞くことが度々あるためでした。

梅本 「自分自身のキャリアに向き合えていれば、もっと早いうちからいきいきとキャリアを歩めていた方がいるかもしれません。だからこそ、キャリア自律に早くから触れられるような社会になればと思うのです」

パーパスについて社員と話し合う。1on1の機会をこれからも

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熟考の末に策定されたパーパスは、“個人のキャリア自律と組織の変革を支援し、自分らしく人生を歩む人であふれる社会をつくる”。

梅本 「まず、個人と組織のキャリア課題、どちらの解決も支援するという気持ちを込めました。さらに、キャリア自律して自分自身が納得できる人生を歩む人が一人でも増えてほしいとの想いを“自分らしく人生を歩む”と表現し、“あふれる”という言葉選びにもこだわりました」

策定後、社員にパーパスを伝えるプロセスにも工夫を凝らしたと話す梅本。全員の前で発表するだけでなく、パーパスについて感想を聞く1on1の機会を13名のメンバー全員に対して設定したと言います。

梅本 「大勢の前でひとりずつ感想を聞いても、なかなか意見や本音が出づらいもの。パーパスを見て率直にどう思ったのかをざっくばらんに話してほしかったので、心理的安全性を確保した気軽に話せる場をつくりました。皆、率直に感想を話してくれたのを感じて嬉しかったですね」

皆、パーパスに共感を示してくれました。ただ、共感の度合いやどの部分に共感するかは人それぞれ。個人のキャリア自律を支援したくて入社したメンバーもいれば、組織のキャリア課題解決に役立てたときに喜びを感じるメンバーもいる。だからこそ、パーパスを共有する際に意識したことがあります。

梅本 「会社のパーパスの押しつけにならないように配慮しました。『これをあなたのパーパスにしてください』というのはあまりに傲慢だと私は考えています。だから『共感する部分や自身の想いとの重なりを見つけてもらえたら嬉しい』と伝えました」

1on1の場で社員の声を直接聞いて、あらためて「この仲間たちとパーパス実現に向けて歩んでいける」と、手ごたえを感じたという梅本。ただ、一度話して終わりではなく、これからのプロセスにこそ重きを置いているといいます。

梅本 「1on1は今後も継続する予定です。『あなたはどんな想いを持って仕事をしているの?』『何を成し遂げたいと思っているの?』といった、一人ひとりのパーパスも聞いていけたらと。

私自身が社員の強みや持ち味をもっと知ることを通して、多様な力を発揮してもらえる環境を創っていけたらと思っています。そうするなかでお互いを今よりも深く理解し合い、目指す社会づくりに向けて力をかけあわせていけると信じています」

パーパスと共に策定したコアバリューが、これからの行動の指針に

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パーパスと同じタイミングで、ライフワークスでは5つのコアバリューも策定しました。コアバリューは、パーパスを実現するための軸となる考え方と定義。理想とする組織づくりのために、このコアバリューについても1on1で社員と共有し、相互理解に努めたと言います。

コアバリューの一つ目、“キャリア自律を体現する”には、お客様のキャリア自律やキャリア課題の解決を支援する自分たちこそ、キャリア自律を考えて行動しようという想いが込められています。

梅本 「このコアバリューに対して、『実現できているか不安になりました』という社員もいました。キャリア自律とは完成された状態ではなく、主体的に考えて行動する意識を持ち続ける状態のことを指すと私は思っています。『あまり肩に力を入れすぎず、必要なタイミングで行動できるように、まずは常に意識していることが大事』と声をかけました」

コアバリューの二つ目、“キャリアの課題に伴走する”には、個人や組織のあらゆるキャリア課題に寄り添って、価値を提供してきたライフワークスのこだわりが込められています。

梅本 「対峙するのではなく、お客様である企業や受講者の方々と同じ側に立ち同じ視界を見ようとする、“共感”の目線を忘れずにいてほしいと思います。また、三つ目のコアバリュー、“変わり続ける”にも通じますが、キャリアの課題は時代や社会の移り変わりと共に変わり続けるもの。その変化を捉えて、自らも変わっていく力も備えていてほしいですね

四つ目のコアバリューは、“多様性を活かして創造する”。一緒に仕事をする社員同士や多くのビジネスパートナーの知見や専門性、経験を最大限に活かし合い、価値を創造・提供していこうという想いを込めました」

そして、最後のコアバリューは、“対等な関係性を築く”。

梅本 「企業と社員やビジネスパートナーは『選び、選ばれる』対等な関係であることが重要。当社が選ばれる会社であり続けるためには、より良い組織であり続ける必要があります。そのためにも、『キャリア支援の仕事に携わり貢献したい』という想いでつながってくれた社員やパートナーたちに、自分らしさを活かしながら挑戦できる場としていきたいんです。そんな想いを“対等な関係性”という言葉に込めています」

2022年11月現在、大企業を中心に年間200社ほどの企業のキャリア支援を手がけるライフワークス。パーパスとコアバリューを軸に、事業を展開して成長を目指す上で鍵となるのが、“協働”だと梅本は語ります。

梅本 「ライフワークスは、研修やキャリアコンサルティング領域でサービスを提供していますが、キャリアに特化している一方で、自社だけでできることは限定的。たとえば『キャリアを考える』ことと接続することができるビジネスを展開している企業とパートナーシップを組んだり、コラボレーションしたりしながら、個人や企業への支援の範囲を拡大もしくは深めていけたらと考えています。

パーパスという形で決意を言葉にしたからには、本気でチャレンジしていく覚悟。キャリア支援に携わる想いに共感していただける方々と、ぜひ一緒に取り組んでいきたいですね」

パーパスというかたちで想いを言語化し、個人のキャリア自律と組織の変革を支援する決意を新たにしたライフワークス。パーパスに共感してくれる仲間やサポーターを集めながら、これからも目指す社会の実現に向けて歩みを進めます。