今までできなかったことを実現したい──ITにかかわる想い

私がコンピューターと出会ったのは1996年。インターネットが普及し始め、どんどん新しいものが出てくる時代でした。その中でも、インフラ部分のテクノロジーにおもしろさを感じ、中学時代から独学で、さまざまなテクノロジーを触り始めました。

自宅で検証を行いながら知識・経験を身につけ、主にMicrosoft Technologyの専門家として技術コミュニティなどで活動していました。そんな中、偶然「慶應義塾大学のSFCを受けてみたらどうか」と言われ、試しに受けてみることに。その結果、ペーパーテストのないAO入試だったこともあり、これまでの経験を評価していただいてSFCで学ぶこととなりました。

入学後も変わらずコミュニティの活動を続けていました。技術系はすでに知識を持っていたので、大学では、技術系の講義に限らずよりマーケティングや組織運営など他分野の講義もたくさん学んでいました。

というのも同時期に今までオンライン上でのみ、つながっていた方々とのオフラインでの活動も増え、コミュニティの勉強会を開催するなどが増えていました。イベントを行う上で、どうしたらスタッフの方に気持ち良く働いてもらえるか、組織運営の課題をどのように解決していくか、大学の講義で学びながらリアルタイムで応用していました。

大学卒業後は、新生銀行に入行しました。新生銀行には外国籍や海外勤務・外資系勤務経験がある方がたくさん在籍していました。一般の金融機関・事業会社とはカルチャー自体がだいぶ変わっていたと思います。私自身、特殊な経歴であったので、その部分を採用の際に評価していただいて入社につながったのかなと感じます。

そんななか、これまでITが必ずしも活用されていない分野で、ITを活用して社会課題を解決していこうという取り組みに誘われ、慶應義塾大学SFC研究所などで農業分野や介護分野の研究・実証実験を行う世界に転身しました。

農業分野においては、後継者不足や熟練者の高齢化という課題を抱えています。新規参入を推進したとしても一人前の技術を習得するには10年かかる、というような話もよくなされています。

そこでITを活用することによって熟練者の技術をより効果的に伝え、5年で一人前の農業従事者に育成していく、といった取り組みを行っていました。農業分野に限らず、人材育成に課題を抱える分野、たとえば介護分野などでも同じようにITを活用した取り組みに、現場の従事者の方々と共にチャレンジしていました。

そんな取り組みを続けていましたが、当社の楠がCTOとしてジョインしたことをFacebookのタイムラインで知りました。楠とはわたしが大学時代のときからの知り合いで、当時イノベーションをいかに組織として生んでいくかという研究会の参加メンバーと、楠のCTOの就任祝いを開催したとき、その場で楠からJDDに誘われました。わたしは個人事業主としても活動していて、そのときは偶然余裕があったのでJDDを手伝うこととになり、週4日勤務で入社することとなりました。

正しいことを正しく実行する。インフラ全般を統括する今

2020年現在は、JDDにてインフラ全般の統括を行っています。私がジョインした直後のメンバーは、銀行からの出向者数名と楠のみでした。その中でITに詳しいのは楠だけだったので、会社設立当初はまさにゼロからPCの配布やID作成、社内インフラ全般の整理や構築を行いました。採用プロセスも整備され、ある程度メンバーが増え、モノをつくるという段階に備えて、それを支えるインフラの準備も進めていました。

現在のインフラチームは、副業の方を含めて10名ほどです。メンバーは複数プロジェクトに参加して、サービスの企画段階からプロダクトオーナーやデベロッパーとともに、インフラチームとしてのスペシャリティをもって業務にあたっています。

プロダクトサービスインフラとは別に、従業員向けの社内インフラは、プロダクトサービスのインフラ技術と異なるスペシャリティである部分も多いので、まだ私が自ら管理しているケースも多いです。

全体を統括しつつ安全なインフラを提供することは、自分自身のスペシャリティとして経験してきたことなので、これまでの経験を活かせていると感じます。

私は自分の軸として、「正しいことを正しく実行する」ことを意識しています。本当はあまり良くないと思っているけど、とりあえずといってやってしまうことは、ありがちです。とくに正しい方法だとコストがかかり、難しいと思われることも多いです。

しかし、その選択はコストを将来に押し付けているだけ、負債を残しているだけのことが多いと考えています。いかにいま受け入れられるコストの中で、正しい選択を実行できるか、それを考えていくことがプロフェッショナルとして必要な姿勢だと考えています。

インフラチームとして、継続性のあるインフラ提供のため、正解のない世界で自分たちの軸を定め、その軸に沿った正しいと考える方法を実行していく、そのようなことを目指しています。

印象に残っているプロジェクトは、M-AISの立ち上げです。三菱UFJ銀行とともに、取引履歴情報を使った新しいサービスをリリースするため、AWS上にお客様の情報を保管し、安全かつフレキシブルに利用できる分析プラットフォームを構築する必要がありました。

WBS(作業分解構成図)を自ら作成し3カ月でプラットフォームを構築するべく、アーキテクチャの策定からシステム構築、ステークホルダーである銀行等と調整など、さまざまな課題に対応し、データをセキュアに活用できるプラットフォームをつくりました。そのシステムは今、会社の基盤のひとつにもなっています。そういった面でも、印象深いプロジェクトと感じています。

このようなパブリッククラウドを活用した取り組みなど、金融業界でなかなか実現できなかった、インフラ運用における”新しいあたりまえ”を実現していけるチームになっていきたいと考えています。

プロフェッショナル集団のメンバーとして活躍していく

JDDでは、CTOの楠とエンジニアが2人だけだった時代から、エンジニアの採用を進め組織として短期間に成長する過程を体験しました。実現しなければならない事業上の課題に取り組んでいくだけではなく、会社内にメンバーが増えていくにあたって、目指していくゴールの共有、コミュニケーションを円滑に進めていくこと、それぞれのスペシャリティを生かすためのアサインなど、組織を運営するため必要な課題にも短期間で乗り越えていく必要がありました。

とくに最近ではリモート勤務の中で、メンバーがやりたいことや改善案を意見してもらえるような環境づくりを心がけています。「こうしてくれ」と指示だけをするのではなく、「どっちがより良いか?」と聞いて進められるようにしたいと思っています。正解が一つだけではない、又はその時点では正解がない分野でもあるので、自分の意見の重要性をより感じてもらえるような職場にしていきたいです。

理想は、リーダーというよりチームメンバーとして、一緒に取り組んでいける状態です。会社全体の目標などの整理は行いますが、最後は一人ひとりがモノを作っていかなければ進まないので、メンバー各自が自分のスペシャリティに自信を持ってもらえるようサポートしていきたいです。

また、相互に教え合える環境づくりも目指しています。たとえば、一度つくったシステムは、直接携わっていなくても、システムがどのような構想の下で現在の形になっているのか、「仕組みを作る」というエンジニアリングに必要な知識とそこに埋め込まれたノウハウを、メンバーの間で共有できるようにしていきたいと思っています。

"できないこと"をできるように、新しいあたりまえをつくっていく

今後は、会社のミッションでもある「金融の新しいあたりまえを創造し、人々の成長に貢献する」ことをさらに進めていきたいです。金融業界に限らず世の中には、IT環境に制約をたくさんつくれば安全だという思い込みがあります。

制約を増やしたところで安全になるとは限りません。もっと安全で、もっと自由な環境を、技術を使って実現できる、そういう「あたりまえ」を実現していきたいです。

さまざまな分野でITを活用できず、手作業や非効率なシステムや仕組みのために業務効率が悪くなり、本来挑戦したい取り組みができなくなっているケースがあります。技術を持ったプロフェッショナルとして、人々の可能性をITによって拡張する、これまでできなかったこと、新しく挑戦していきたいと思っていることを、ITで手助けしていくことができたらと考えています。

JDDの取り組みを通じて、金融業界でも新しい考え方で効率的なITインフラを提供できる、ということをもっと発信していきたいです。日々の業務を「新しいあたりまえ」として変えられることを知ってもらいたいと思っています。

よく”それはできない”ということで新しい仕組みを取り入れられないという悩みを聞きます。しかし、その"できないこと"は、それまでの歴史や判断の積み重ねで”やらない”と、誰かが判断し仕組みが積み上がっただけであったりします。"やらない"を"できない"にせず、どうしたらやることができるのかを考えていきたいと思っています。

個人としても、会社としても、今までできないと言われていたことをできるようにしていきたいです。