仕事も人生もゆたかに生きるキャリア女性にインタビューする本企画。空間設計事務所でデザイナーとして活躍した後、ライフスタイルに合わせて仕事を自由に組み込める会社を探して入社、共働き家庭のママでもある猪野に9つの質問をしました。

本記事が働き方・やりたいことを見つめ直す機会になれば幸いです。

質問1. イグニション・ポイントへの転職の経緯は?

当社に入社する前は、空間設計事務所でショールームの空間デザインやグラフィックデザインの仕事をしていました。設計の仕事が好きでしたので息子を出産する前まで転職するつもりはありませんでした。転職を考え出したのは約3年前に息子を出産し、母という立場になってからです。

母になって一番に感じたことは、思っていたよりも自分でコントロールできる時間が少ないこと。子育てでどうしても仕事をする時間が削られますし、小さな子どもは当然こちらの思うように動いてくれない──それが繰り返される毎日です。

人生を自分でコントロールしている感覚が以前よりもなくなってしまった気がしました。「私はお母さんだから……」と、妥協することもできましたが、それとは反対に「もっと自分の好きなことをやっていきたい」と強く感じるようになりました。

心境の変化を機に「転職して、仕事でもっと人生のコントロール感を得よう」と決意しました。設計の仕事は好きでしたが、自分が最も好きなイラストを活かせる仕事を探し、意外にもどうやらコンサルティング業界のクリエイティブ職でイラストを活かせそうだと思い、転職を決めました。

当社のホームページのイラストも丸々担当しました

質問2.入社後にギャップはありましたか?

イグニション・ポイントに入社した後は嬉しい誤算の連続でした。一番の驚きは、イグニション・ポイントがどんなライフステージでも自己実現しやすい会社だと感じたことです。

入社前に、今の上司から「一人ひとりの人生のゆたかさを実現するために、みんなで一緒になって1人のやりたいことを考えるような会社だ」と聞いていましたが、まさにその通りだと思います。

当社は「ゆたかな人生のきっかけを」という理念を掲げていますが、「どんな人生を送りたいか」を軸に、そこに近づけるように上司からアドバイスを受けたり、プロジェクトへのアサインを考えてもらったりなど、さまざまなサポートがあります。

「コンサルティング業界の中で、クリエイターとしてうまく順応できるか?どんな仕事をやっていけば良いのか?」という漠然とした不安はありましたが、その不安は入社2日目に綺麗に消え去りました。

入社した最初の2on1のときに、私がイグニション・ポイントで活躍できる道を、とことん上司と話し合う時間が設けられ、積極的に提案してもらえました。1人の不安を自分ごとのように一緒に考える文化がある会社だと思いました。

豊富な経験を持つ人たちが新天地として選んだ会社だからこそ、個人の属性に縛られることなく、やりたいことを実現できる土壌がイグニション・ポイントにはあるのだと実感しました。

 ▲提案書作成の際に描いたイラスト。業務でイラストを描き下ろす機会が多くなりました

質問3.現在の仕事・私生活で大切にしていることは?

仕事で大切にしていることは、「自分を成長させる選択を、人生であと何回できるだろうか」と自分に問いながら物事を考えることです。

これはプライベートでも共通して言えることですね。自分の成長を伸ばすのも止めてしまうのも自分自身。新たな挑戦の前で悩んでいるときは、いかに自身をうまく鼓舞できるかが成功の鍵だと思っています。

仕事においては職種柄、新しいスキルを身につけなければならず、リスキリング(学び直し)が当たり前になってくるので、悩める場面が多々あります。悩んだときには、「ただいま成長中!」と自分に言い聞かせて、悩みも糧にしてやるという意気込みで心のエンジンを吹かします。

私生活で大切なのは、自分の機嫌をとる方法をたくさん知っていることだと思います。子育てをしているので、自分の思うようにいかないことやうまくいかないことが毎日繰り返されます。

日々の暮らしの中で自分にとっての非地位財をたくさん持っていると、うまくいかないことに対しても「こんなもんか」という具合に、大らかな気持ちで受け止められることが多くなったと実感しています。

質問4.リスキリング(学び直し)が当たり前とのことですが、「学び直し」でどのような自己実現がかなうと思いますか?

学び直しによって好きなことを仕事に組み込めるようになります。「好きなことで生きていく」とは、よくSNS上で見かけるフレーズですが、フリーランスで働く人のための言葉だと思っていたので、私にとっては諦めていた言葉でした。イグニション・ポイントに転職して学び直しをする中で、私は間違いなく「好きなことで生きている」実感があります。

入社当時、上司に勧められて未経験のグラフィックレコーディングを独学で学習しました。今ではワークショップ中にグラフィックレコーディングをする機会が多々あります。社内からも高頻度でコラボの依頼を受けているのはありがたいことですし、大好きなイラストをビジネスの現場で活かす仕事ができ、充実感を持って仕事に取り組めています。  

▲収集しているマスキングテープやシールなどの文房具たちと、趣味の旅ノート。すべての家事を終えて、手帳作りをするのが至福の時間です!

質問5. 20代、30代にとってリスキリングすべき必須スキルとは?

スキルではないですが、「食わず嫌いはやめよう」の精神です!他ユニットの人と一緒に、新規事業立ち上げ支援のプロジェクトを半年間行ってきたのですが、楽しく取り組めており、毎日がとても充実しています。

これは自分にとっても新しい発見でした。イグニション・ポイントに入社して1年半、コンサルティング業界未経験の私でしたが周りの人たちの支えにより「コンサルティングの仕事っておもしろい!」と強く感じるようになりました。

もっとコンサルティング領域の経験を積みたいと思い、その中でも最もやりがいを感じたのが事業戦略コンサルティングでした。

質問6.行動の第一歩としては、何から始めれば良いですか?

自分自身のケイパビリティをよく理解し、自分のできることの中でどの領域でなら他社員と差別化したバリューを出せるかを徹底的に模索することだと思います。それができたら次のアクションとして、自己ブランディングのための活動を社内に向けてひたすら行っていきます。

前職ではデザイン系の仕事をしていたので、コンサルティング業界はまったくの未知な世界。コンサルタントの方々と同じアプローチの仕方ではすぐにバリューは出せないと思ったので、自分がここの業界で活かせる武器は何か、上司と相談しながらひたすら考えました。

私の場合、前職では博物館やショールームなどに掲載する情報の調査と構成の作成・図解イラストの作成パネルデザインの経験が豊富にありましたので、複雑な情報を簡単にわかりやすくまとめることが得意でした。

入社直後、最初にアサインされた案件で、事業のコンセプトとステークホルダーとの関係性を図解したイラストを作成したところ、社内外でとても喜んでいただけたときに、「あ、この業界で私の生きていく道はここにあるかもしれない!」と感じました。

質問7.1日の過ごし方を教えてください。

夫の仕事が忙しいため、平日は保育園の送りとたまのお風呂以外は家事育児がワンオペのことが多く、仕事と家事育児、さらには学び直しを両立させるための工夫が盛りだくさんです!

6:30 起床
息子が起きるまでに朝食の準備と身だしなみを整え、掃除と洗濯を済ませます。わが家は家にあるすべての物の定位置を決めていて、掃除も最短時間で済ませられるようにミニマルな暮らしを心がけています。

どんなに散らかっていても15分で掃除が終わるような部屋になっています。ワンオペでも15分くらいの家事時間は捻出できるため、家事分担で夫と揉めることはほとんどなくなりました。

朝起きてベッドの目の前のこの場所ですべての身支度を終えられるように必要なものを収納しています。1つの場所に自分のものを保管しているので、最短距離で身支度や家事が終わるように物の配置には気をつけています。

8:30 仕事開始
夕方はお迎えや育児があるため、基本的にこの時間から仕事を始めます。頭が本格始動するまでは1日のスケジュールの確認、作業時間をスケジュールに入れることから始めます。ここから集中してお昼まで休みなく一気に仕事を片づけます!

12:00 昼食・自由時間
昼食を食べると集中力が切れることがあるのでプロテインなどで済ませることも多々あります。

13:00 仕事再開
ここから17時半まで一気に仕事をやります。休もうと思っても休む気になれないので、お茶を飲むほか、お気に入りのリラックスできるキャンドルをたく、アロマオイルをつけるなど、自分を機嫌良くするグッズを仕事スペースの周りに置いて、リラックスしながら仕事をしています。

▲仕事スペースに控えているリラックスグッズ達

17:30 夕食準備
18時のお迎えまでに30分で夕食を作ります。週の初めのうちに1週間のメニューを決めていて、必要なものはすべてネットスーパーで調達し、朝のうちに夕食に必要な材料をまとめて出して保存しているので、仕事が終わったらすぐ夕食の準備ができます。

タブレットで大好きな海外ドラマを見ながら料理します。この時間が1日の幸せ時間です!仕事で疲れていて夕食の準備ができないときのために、子どもの食事は栄養士監修の無添加冷凍食品のサブスクリプションで対応することもあります。

18:00 お迎え
この時間帯に保育園にお迎えに行きます。

18:30~21:00 食事・子どもとの遊び・お風呂など
育児集中タイムです!子どもとは毎日最低1時間ほど、スマホなどを見ずに集中して遊びます。そうすると子どもも満足して、寝かしつけがスムーズになります。

22:00~22:30 子ども就寝→残りの家事
子どもが眠ってから残りの家事を済ませます。こちらの家事については過去に夫とも分担で揉めたりもしましたが、夫婦で検討に検討を重ね、揉める時間がもったいないと悟り、今はすべて私が行うことにしています。

こちらの家事時間はタブレットで動画や海外ドラマを見ながら、のんびり瞑想気分で家事を済ませます。ここの時間の家事が体力的に難しい日は、自分を許す気持ちで次の朝に家事を持ち越します。

22:30~ 自由時間or仕事の残り
温かい飲み物を飲みながら就寝まで読書をしたりドラマを見たり、元気なときは趣味の文房具整理や旅行手帳作りなどをして自由な時間を過ごします。この時間が1日の満足感を高めてくれる時間で、「満足したな」と感じたらすぐに就寝します。

24:00 就寝 
就寝時間が日によってバラバラですが、だいたい次の日の体調を考えて遅くとも25時までには眠るようにしています。

質問8.リスキリングする上で難しいと思ったことは?また、ワーママ・ワーパパといった学習時間をとることが難しい方が実践できるリスキリング手法とは?

入社して最初に経験したリスキリングは、グラフィックレコーディングの習得です。グラフィックレコーディングのスキルアップのため、1カ月間は毎朝決まった時間を1時間つくりました。

ある程度人に見せられる程度のスキルになったところで、社内SNSを活用して、作品を投稿し、ワークショップにスポットアサインしてもらえるように社内に呼びかけました。新しく習得したスキルを磨き、使えるものにしていくためにはやはり実践経験を多く積むことだと思います。

社内のネットワークを活かして自分のスキルを高める場所を自分でつくり出すこと、もしくはそのような場所があったら思い切って飛び込むことがリスキリングにおける最強の方法だと思います。

とても単純な答えになってしまいましたが、「うまくいかなかったらどうしよう」という気持ちは捨て、まずは行動を起こすことが何よりも効果的な手法だと感じています。

質問9.今後チャレンジしたいことは何ですか?

私のコンサルティングワークにおけるテーマとして、コスメやビューティー業界の新規事業立ち上げ支援や事業戦略系案件の経験をたくさん積んでいきたいと思っています。

なぜコスメやビューティー業界なのかというと、いつの時代も形を変えて必要とされ、人の人生をゆたかにする分野だからです。加えて、私自身が16歳で初めてコスメを手にしたときから現在進行形で、コスメ・ビューティー製品オタク歴16年とその分野に詳しいためです。

新しい商品が出たらまずチェックしますし、どんなブランドイメージを打ち出しているかなどのイメージ戦略から、どんな特許技術のもと開発された製品なのかなどの成分解析まで、幅広く調べることが趣味で、長年培ってきた知識が役に立つと感じています。

今までは消費者として関わってきた分野も、コンサルティング業界で日々リスキリングを重ねることで、サービス提供側として携われる領域が増えたと感じています。

私の上司が、「自分の前に小さな階段をつくっていくような決意で、仕事に取り組んでみてください」と過去にアドバイスをくれたことがあります。

今これが私の目の前の小さな階段だと思って、新しいことに挑戦する心を持ち続けていきたいと思います。

(記事の内容は2022年12月執筆当時のものです)