侍魂風土に憧れ、出光の門を叩いた

大学入学のため地元大阪から上京し、引っ越したばかりでカーテンすらついていない部屋にひとり。そんな下が突如感じた、大きな揺れ。それは、2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。実は、これが下をインフラ業界へと進ませるきっかけとなったのです。

下 「電気やガス、石油などのインフラは、有事の際にこそ注目されるものの普段は目立たつことがない縁の下の力持ちの役割だと痛感しました。当時はまだ大学生で世の中のこと、社会のことなどのほとんどを知りませんでしたが、就職活動に臨むに当たり愚直且つ堅実に社会を下支えするインフラ事業に侍魂のようなものを感じ、そういった仕事に漠然と憧れを抱く様になりました」

晴れて憧れの道へ進むことができ、下は新卒で出光興産株式会社へ入社しました。2020年現在は入社6年目となり、入社から一貫して潤滑油事業部門に所属しています。

下 「潤滑油事業部門は潤滑油一部と潤滑油二部に分かれていて、私が所属する潤滑油一部は原材料添加剤やベースオイルの調達、さらに品質保証から事業企画、収支管理といった、主に営業のバックアップをする部署です。

そのなかで私は、販売セールス支援やシステム関係のCRMなど、顧客との関係構築から事業の落とし込みまでを行なっています。入社時から潤滑油部門への配属希望があったわけではなく、配属時にこんな部署があると知った形でしたね」

さらに下は、2019年に経営統合し新たなスタートを切った出光が全社員で取り組む業務フロー・働き方改革を目的として始動した「だったらこうしよう(DTK)プロジェクト」のメンバーとしても活動しています。

下 「社員の業務負荷軽減を考えるなど、社内の橋渡し役を担うと共にその実現に向け動いています。生来、幅広い人とコミュニケーションを取ることが好きということもあり、多くの事業部・関係者と接点を持つことができるDTK活動はやっていて楽しいですね(勿論毎日楽しいわけじゃないですが(笑))」

失敗経験を活かし、バランスを意識しながら日々明るく前向きに行動

DTK推進室を新設し変革に取り組む会社の姿勢に、高い本気度を感じた下。一方で、潤滑油事業部門でもDTK活動でも、最初は雑務が多いと感じていました。しかし、雑務と捉えるか縁の下の力持ちとしてポジティブに捉えるかで、取り組み姿勢然りその結果も大きく変わると思っています。

また、青臭い表現ですが、「ありがとう」の声を直接聞けるのは、雑用ならではなんじゃないかなと思います。

下 「DTK活動は、つい後回しになりがちな(なってきた)泥臭い業務が多い反面、多岐に渡る業務があり、事業部の下支えを担っているものと考えています。せっかくDTK活動に加わったなら、とことん自分色を出しつつ、結果にもコミットしたいと思いました。

仕事は主体性を持たないと、長続きしないと思います。どうせやるのであれば、徹底的にやりたい。DTKでいえば会社の業務効率を改善し、そこから会社の組織風土をさらにポジティブな方向にするまで、徹底的にやろうと考えました」

潤滑油事業部門の仕事と並行し、DTK活動もしっかりやろうと決意した下は、2019年12月に行なわれた初会合に参加しました。しかし、集まったメンバーもまだDTK活動の趣旨をよく知らず、遠慮し合っているように見えました。そこで、

下 「当事業部のDTK担当の中で私が最も若かったこともあり、明るく振る舞うことを心掛けました。率先して手を挙げたり、意見を述べたりしました。新型コロナウイルス感染症の流行で活動全体の雰囲気や流れが鈍重に感じられた今年5月頃には、敢えてリモート飲み会を提案し、大部分のメンバーが役職を問わず参加してくれました。

無論、ただ明るくやっているだけではアウトプットが出ないので、率先して部内活動の取り纏め役を担いました。誰かに指示されるのではなく、上述の様に『自ら主体的に』を実践しました。独り善がりな意見とならない様、初日の会合ではDTK推進室のみなさんのリードも頂き、コミュニケーションのバランスは意識しました」

初めて参加する場でも、臆せず行動する。

下 「活動は大きく9つの分科会に分かれ、当初スタートしました。会議の効率化や業務の自動化(RPA)といったある程度コアとなる単位活動毎にリーダーがいて、私は業務自動化(RPA化)分科会のリーダーとなりました。RPA化に向けて部内各所の実態を掴もうと動いていましたが、途中で軌道修正の必要性(=分科会活動のストップルック)を感じました。

その理由は、RPA化はある業務の負担を低減させるという一手段であるにも関わらず、目的化してしまっていたからでした。結果、この分科会は途中で尻切れトンボとなりましたが、このとき“たとえ上手くいかなかった経験であっても、その経験を前向きに捉え、経験から学び、自身の血肉とする“ことでまた新たなチャレンジに挑む覚悟ができると感じました。

それは、DTK活動は勿論通常業務の中でも大いに活かされていると思いますし、今後のキャリアの中でも活かしていきたいですね」

空気を敏感に察知できるが故の悩みと、意識している心理的安全性の確保

これまで下は、公私に於いて自然に明るく振る舞うことをしてきました。しかし、会社員としてあらゆるシチュエーションで明るく振る舞うのは正しいのだろうかと悩んだこともありました。

下 「もちろん、状況に応じた調整は大切ですしこれまでの経験でもそれで火傷を負ったことも多々ありました(笑)。失敗も重ねながらゆっくりと相手の立場を考えて話す力も身についてきたのではないかと感じます」

下が意識するようにしていることの一つに、心理的安全性の確保があります。

下 「心理的安全性が確保されていないと、物事への取り組み及びその継続は難しいと感じます。その安全性が確保されてはじめて、個の集まりである集団としての力が結集し、力が発揮されると考えます。(心理的安全性という言葉は今年知ったので、若干受け売りもありますが(笑))。

DTK活動では自分は比較的キャリアも浅く多分に遠慮しつつも、ディスカッションの際は自分が主体となってファシリテートするようにこれからも心がけていきたいですね。ファシリテートする役割の重要性は仕事に限ったことではありませんし、プライベートでも、グループや組織を円滑にしていく上で、この経験が活きてくると思います。

また、ファシリテートすることは、即ち『自分はこう思うんだ』という意思表示を伴った上での行動なので、自身の考えや想いを常に持つ・考えるという観点からもこうしたメンタリティを持ち続け、積極性と柔軟性を兼ね備えながら、物事を進めていきたいですね」

さらに下は、出光という会社は若手が率先してムーブメントの波を生み出していく、うねりをつくっていく必要があるとも考えています。

下 「今の社内はベテランの皆さんから中堅の皆さん、そして若手の皆さんと幅広い方々がいらっしゃいますが、若手の力・知恵・アイデアなども活かしていける風土作りが大切になってくると思っています。

奇しくも新型コロナウイルスという難敵に相対する今、またVUCAの時代を迎えるに当たって、若手の突飛な・斬新なアイデアなどを『どうせできない』ではなく、『どうすればできるか』という視点で考えていく、この軸は持ち続けたいですね。そのためのインプットも欠かさず継続していきたいです。そして微力ながらも若者のエネルギー・活力を出していきます。

ただ実際は、無難にやっていきたい・波風を立てたくないと考える若者も少なくありませんし、その気持ちは私もよく分かります(笑)。しかし、無難に教科書通りにやっていては何も変わらないことは、失われた30年と呼ばれる平成の期間を振り返っても当てはまっているんじゃないかと思います。

だからこそ感謝と尊敬、謙虚な気持ちを忘れることなく活力溢れる仕事を周りを巻き込みながらしていきたいですね。これからも会社の進むべきベクトルとと私自身のモチベーションが、うまく組み合わさっていければいいですね」

DTK活動を事業部内に根付かせ、会社を変えたい

昔から読書やウェブなどの多様なソースを活用し、さまざまなジャンルに精通している(インプット)下。それらから学んだことを仕事に活かせれば(アウトプット)という想いはありつつも、今はDTK活動の未来を冷静に見据えています。

下 「これからは、DTK活動をそれぞれの事業部内にどう根付かせるかが課題だと思います。5年後10年後も各事業部で自然と『仕事、組織をより良くしていきたい、そのためにどうするか』を自発的に考えていく、こうした風土として根付かせていきたいですね。

そのために自分は何をするべきかという問いの答えは、まだ確たるものは見つかっていません。しかし、まずは全9分科会の大まかな進み具合やそのプロセスを見つめ直し、自分と異なる考え方、ものの見つめ方を吸収したいと思います。部内全体に影響がある分科会から、限定的な分科会まで、その毛色は様々です。

各分科会リーダーがどういう視点で捉えているのか、また、何がネックなのかなどをキャッチアップして、自分だったらどうするのかを脳内シミュレーションし、多様な考え方に触れると同時に、そこに自身のアイデアや着想をベストミックスさせたいですね。こうしたトレーニングが柔軟な思考を巡らせ、VUCAの時代を生き抜く糧となるのではないでしょうか」

また、若手が会社を盛り上げるため、社内にボトムアップの組織文化を根付かせることも下が掲げる目標です。

下 「ひとりでやっていくのではなく、志を同じくする人と共に、活動範囲を徐々に広げていくことで、DTK活動のその先にあるスコープや、経営ビジョン(D&I)にも合致してくると思っています」

そして今後のDTK活動における活動としては、

下 「まずは、手を挙げること、発信すること。決して間違いを恐れることなく、まず声を挙げていくことが、スタートで、なにを言っても良いんだという空気を醸成することで、ひいては心理的安全性の確保に繋がってくると思います」

潤滑油事業部門の仕事とDTK活動に尽力し、どんどん挑戦しようという勢いを見せる下。自身が組織の潤滑油となり、性別年齢を問わず周りを巻き込んで会社に変化を起こすため、さらなるチャレンジを続けていきます。