幼少期の忘れられない体験。「街づくり」との出会い

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▲2023年1月現在の様子

2013年富士通に入社後、配属された静岡支社にて自治体営業としてのキャリアを歩みはじめた丹上。

丹上 「静岡にいたころは、県内のいくつかの自治体様を担当し、自治体業務システムのリプレース商談に携わってきました。入社から5年ほど在籍していたのですが、ビジネスにおいて意思決定はどのようにされるのか、ビジネスを進めるうえでのコミュニケーションとは何か、を学ぶとても貴重な期間だったと思います。

その後、国や自治体などを相手に行う新規ビジネスの商談支援部門へと異動。そこでは、主にスマートシティビジネスの企画立案や、現場部門の商談サポートなどを担当していました。現在の部署に異動してきてからは、国内外の公共領域のお客様が抱える社会課題に関して、グローバル共通のオファリングメニューを考えるメンバーとして活動しています」

入社からずっと公共領域のお客様を担当し、現在は「街づくり」に関わる丹上ですが、「街」には特別な想いがあると言います。

丹上 「私は田舎の生まれで、いわゆる『見渡せば全て田園風景』といった環境で育ちました。ただ、親の仕事に付き添ったり、親戚に会いに行ったりなどで、東京へ行くことはよくありまして。幼心に『街(東京)ってすごくかっこいいな』と感じた記憶があります。

日常生活でみる景色と東京でみる景色との違い。最初は、ぼんやりと『かっこいいな』とだけ感じていたのですが、それはいつしか『街への憧れ』のようなものへと変化。東京に行く度に『街』に対する興味、関心が増幅していきました」

さらに就職活動を通して、今度は「街づくり」を意識するようになっていったと言います。

丹上 「さまざまな業種、業界を調べる中で『街づくり』という仕事があることを知り、『あ、これだ』と。自分は街づくりに興味があるということを自覚した瞬間でした。あのとき感じたワクワク感は、今でもはっきりと覚えています」

そんな丹上が就職先として選んだのはICT企業である富士通。

丹上 「富士通に強く惹かれたのは、選考過程のひとつとして用意されていたグループディスカッションでのあるお題です。それは、『ICTサービスを街にどう実装していくか』というものだったと記憶しています。それまで街づくりと言えばディベロッパーや建設業をイメージしていましたが、そういった街づくりへのかかわり方があるのかと。

また、それを採用の場で出すということは、会社としても街づくりに関わっていく方針なのだと受け取りました。最終的には縁あってとなりますが、富士通への入社を決めました」

綺麗ごとばかりではない。ビジネスとしての「街づくり」の難しさと向き合う

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▲現在の部署では、海外メンバーとの会議もよくあると言う

現在、丹上が所属するUvance本部Trusted Society Lean Development Officeでは、環境、交通、パブリックサービス、ガバメントDXサービスの4つのテーマで活動。その中で丹上が担当しているのはパブリックサービスです。

丹上 「パブリックサービスとは、その名の通り、国や自治体が住民向けに行う行政サービス。私たちは『行政サービスに住民の声をもっと反映させるには?』という軸でオファリングを検討しています。

具体的には、現在の行政が抱える課題とは何か、それを解決する行政サービスの価値とは何かをグローバル視点で定義するところから始めます。次に、必要最小限の機能を備えた製品やサービスを企画開発し、実証をまわしていく。その結果をもとにブラッシュアップし、徐々にオファリングとして育てていく。そういったサイクルで、行政が抱える課題へのアプローチ方法を日々考え、整理しています」

しかし、物事はそんな綺麗には進まないのが常。丹上も「正解のない答えを探して思考錯誤する日々だ」と語ります。

丹上 「正直、グローバル共通のオファリングを作るというのはとても難しく、一朝一夕にはできないです。現状をたとえると、すごく高い山が目標なのに、今はまだとても低い位置にいる感じ。そのギャップに押しつぶされそうになるときもあります。

また、海外と国内を比較すると住民のニーズ一つとっても違います。たとえば、国内では子育てへの関心や要望が高く、社内でも子育てに絞ったサービスを作ってみようという意見が出てきます。では海外はどうかと言うと、そういう声はあまり聞きません。そうなると『領域を絞るとグローバルで共通化できないのでは』という話や、『そうは言っても事例を作るには領域を絞った方がいい』という意見が出てきて、ジレンマを感じることがありますね」

海外と国内の違いだけでなく、街づくりには別の難しさがあると言います。

丹上 「街づくりはステークホルダーが多く、その分調整が必要になります。自治体やディベロッパー、小売り、学校、病院、鉄道会社、住民などさまざま。さらに富士通は、街づくりに関していえば後発組。その状態で多くのステークホルダーの中に入っていき、富士通の立場や想いを主張し、合意形成を図るのはなかなか難しいですね」

それでも、街づくりにはその困難を超えたいと思わせる魅力があると言います。

だから、街づくりはおもしろい。とことん考え抜く姿勢がお客様の心を動かす

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▲「街づくりは、とかく難しい話になりがち。そんなときこそ『自分はどうしたいか』に立ち戻る」と語る丹上

多くの人が関わり、多くの人の暮らしに影響を与える「街づくり」という仕事。それは困難なことばかりだと言う丹上ですが、街づくりに携わり続けたいと語ります。

丹上 「私がなんでこの仕事を続けているかと言われると、単純に『街づくりに興味があり、好きだから』ですね。『好き』の延長線上でやっていけば大変なことがあってもそれなりに乗り越えていけるものです。

街づくりの一番の醍醐味は、街の色合いやその街で生活する人々の営みを大きく変えられる可能性があるというところでしょうか。新しい建物や道路などができると、ガラッと景色が変わりますよね。ただ、そういったハード面じゃなくても、街は変わると思っています。

たとえば、あるスマートフォンアプリを導入し、そのアプリが普及していくと、人々が日常的に見たり使ったりしていく。それは、人々の生活の所作、習慣を変えていくことになるわけです。そういった暮らしの変化は、やがて街自体の変化にもつながると思っています」

これまで熱く「街づくり」について話してきた丹上ですが、自身のことを「決して熱い人間ではない」と言います。

丹上 「少なくとも『信念に向かって突き進む人間』ではないですね(笑)。むしろ、淡々と仕事するタイプ。『少しぐらい失敗してもいいや』と心のどこかでは思いながら、日々仕事しています。もちろん、想いがないってことではないです。

ただ過度に気負いすぎたり、失敗を恐れすぎたりしてしまうと、困難なことに出くわすたびにひどく消耗してしまうと思うんです。高い山に登るためにも、コツコツ、淡々と、くらいがちょうどいいんです」

熱い想いは持ちつつも、一歩引いた冷静さもあわせ持つ丹上。そんな彼が、仕事を進めるうえで最も意識していることとは。

丹上 「何事も『曖昧』にしないことですね。自分が腹落ちするまでは話を先に進めず、とことん考え抜くことを大事にしています。日々仕事に追われていると、ついつい誤魔化したくなりますが、そこは一度立ち止まって、価値定義はされているか』、『ちゃんと売り物になるのか』、『この構想で先に進めそうか』と自身に問いかける。そういうことを常に意識しています」

その仕事に対する姿勢がお客様の心を動かした過去もあったと続けます。

丹上 「以前、ある商談でお客様から『富士通が本質的なところを一緒に探ろうとしてくれた』という評価をいただいたことがあります。かっこいい言葉ばかりを並べたセールストークではなく、お客様やその先のユーザーにどういった価値があるかを共に模索しようとする姿勢が伝わったのだと思います」

理想は「らしさ」を活かした街づくり

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▲自身の想いを大切に、これからも「街づくり」に挑み続ける丹上

富士通だからできる街づくりについて、自身の体験をもとに語る丹上。

丹上 「私は結構保守的で、新しいものに飛びつくタイプではありません。たとえば、キャッシュレス。クレジットカードは社会人になるまで1枚も持っていなかったくらいです。理由は、なんとなく手続きが面倒とか、実体がないものは怖いとか。でも、いざ使ってみると便利だと気づく。これって、街づくりにも通じるところがあると思うんですね。

何か新しい取り組みをやろうとすると、反対される方は結構いらっしゃるんです。でも多くの場合、なんとなく嫌だから、なんか怖いから反対。まるでキャッシュレス反対派だった頃の私です(笑)。

でも、そんな私もいまや推進派。まず考えるべきは『説得』ではなく『ハードルを下げる』ことだと思います。 少しでも心理的ハードルがあると、一歩を踏み出しにくくなると思うんです。そのハードルをいかに下げられるか、ハードルそのものをなくせるか。そこはICTが得意にするところだと思うので、富士通がやれることはいっぱいあると思います」

これまでビジネスとして国内外のさまざまな「街」に触れてきた丹上。そんな彼が考える「理想の街づくり」とは。

丹上 「ありきたりに聞こえてしまうかもしれませんが、その街が持つポテンシャルを理解し、しっかりと『その街らしさ』がでている街をつくっていきたいです。そして、その街の名前を聞いたときにみんなの頭に具体的なイメージがパッと思い浮かぶ。そんな街がつくれると理想的だと思います。

街づくりはある種『未来』を創る仕事。周りにはかっこいい資料や謳い文句、素敵な物語があふれています。でもそれらをすべて真に受けたり、鵜呑みにしたりしてはいけないですし、私自身の仕事がそうなってはいけないと思っています。大切なことは、常に『自分の目で現場を見て、自分なりに考えて、自分が正しいと思った方向に進むこと』ですね」

「このインタビュー記事だって読者の方は疑ったほうがいいかもしれない(笑)」と、笑顔でインタビューを締めた丹上。内に秘めた「情熱」と「冷静」をもって、丹上は今日も街づくりに向き合い続けます。