周囲に興味を持ってもらえるような新しい取り組みづくりを目指して

FUJITSU ACCELERATOR 菅 かほり

私は富士通のグループ会社である株式会社富士通マーケティング(以降、FJM)を中心に、スタートアップとの協業推進担当としてFUJITSU ACCELERATOR事務局(以下、事務局)に参画しています。事務局はスタートアップとの協業成立を目指している富士通グループを含めた、多様性に富んだチームとなっています。

日々の具体的な業務として、スタートアップと富士通グループの事業部門間の協業検討がスムーズに進むように、事業部門の方針の確認から、エントリー要項の集約、そして実際に協業検討がスタートしたらスタートアップと富士通グループの事業部門間の調整を行っています。その中で私は、スタートアップと事業部門間のギャップを埋めることにとくに注力していますね。

私自身、事務局に参画するまでスタートアップとの協業の経験もなかったのですが、周りの事務局メンバーに助けられながら、スタートアップの考え方や協業モデルについて学んでいきました。

2017年ころからオープンイノベーションが叫ばれ、スタートアップ協業に関して、世の中的な盛り上がった環境であったことは、私にとってプラスでした。当時はMBAを取得するために学んでいたので、経営視点でどういったことをスタートアップが考えているか、両輪で考えるようになっていきました。

現在の業務を通して、スタートアップの方からも取り組みを評価されたときや良い関係性を築けているときは「やっていて良かった」と感じる瞬間です。また、社内で「この取り組み、良いね」と言ってもらえることや、新しいことを始めることに対して興味を持ってもらえることが嬉しいですね。

導入SE、拡販業務を経て、スタートアップ協業に興味を持った理由

私は、2007年に新卒でFJM(当時の社名:富士通ビジネスシステム)に入社しました。大学で学んでいたことはITとは無縁だったのですが、自分のキャリアを迷っている中でIT業界に行き着きました。

それは、とある会社からITを通して社会の課題解決をしている話を聞いた際に、世の中に対して貢献できる可能性を感じたからでした。また、ITに対してさまざまな可能性や広がりのある領域だと感じたこともIT業界を選んだ理由です。

当時は、その中でもヘルスケアに関心があったのですが、そういった領域へも関わっている富士通グループに引かれました。

私は文系でしたが、SEとして採用されました。SEの業務は技術的なものだけでなく、お客様と対峙しての難しいコミュニケーションが求められることもあり、文系出身者も必要とされていました。会社に入社して実際に配属されたのは、富士通製のERP製品を扱っている部門で導入SEとして約3年ほど担当してきました。

その後、2010年に富士通グループ内の再編成で「富士通マーケティング」に社名も切り替わるタイミングで、製品の開発元部門が当社へ移ることになり、私もその部門に移りました。もともとある製品を導入していく部門から、新しく製品を出していく部門に変わったのは大きな変化のひとつでした。

その部門では主に製品の拡販を担当していたのですが、商談でお客様と話していく中で、製品の提供価値や新しい価値を世の中に出すにはどうすれば良いのか、あるときから悩むようになりました。

そんなとき、富士通グループ以外の方々ともっと積極的に関わることで、自分の視野を広げたら新しい価値を生み出せるようになるのではないか、という考えが自分の中に生まれます。これが「スタートアップとの協業」という新たな挑戦に興味を持つきっかけとなります。

そうして2017年ころに、「スタートアップとの協業」という自分の知らない世界を実現させようとしていたFUJITSU ACCELERATORの存在を知りました。とても強く感銘を受け、自分から希望を出して翌年の2017年に事務局参画することになりました。

富士通グループはこれまでスタートアップと協業するイメージを持っていなかったので、新しい領域を広げていこうとしていることは刺激的でした。

スタートアップと接する中で感じた違いと向き合い方

私が担当をしていたERPの製品はSaaSで提供していたのですが、当時、スタートアップであるマネーフォワードやfreeeが創業して急成長されていました。そのころに、「私たちのビジネスのやり方はこのままで良いのか」「他にもできることがあるんじゃないか」と課題感をおぼえていました。

課題を解決するために手探りではあったのですが、MBA取得の勉強を始めるなど自分なりに取り組んでいくようにしました。進学を後押ししてくれた上司にも恵まれたと感じていますね。会社の中だけにとどまっていることで視野が狭くなってしまうことに危機感をおぼえることが多かったので、広げながら動きながら考えるようにしています。

私がスタートアップとの協業で関わった案件の中では、調剤薬局向けクラウドサービスを展開する、スタートアップとのビジネス協業を検討していたことが印象に残っています。

それまでにスタートアップと協業することの体験がなかったので、意思決定のスピードの早さの違いや、社会に対してどのように貢献していこうと考えているかなどの意思の明確さを感じました。そういった企業と密に連携を取りながらビジネスの話をできたことは貴重な経験だと思っています。

一方で、社内に目を向けると決裁者や間に入る人の多さから、なかなか物事が決まらないことや、スタートアップとの連携がほとんどない社内では既存のやり方が重要視されてしまうこともまだまだ多く、マインドの違いを感じてしまうシーンはよくあります。ただ、私としては協業する相手が「スタートアップだからどうこう」 といったことではなく、誰と何をすべきかフラットに考える必要があると感じています。

ただ、そういった壁がある中でも一件ずつ向き合っていくしかなく、個別の問題に対してじっくり考えていく必要があると思っています。そういった場面で手助けしてくれて一緒に考えてくれるFUJITSU ACCELERATOR事務局のチームは本当にありがたいです。

もっと新しいビジネスを作り出せる風土を目指して

F1鈴鹿サーキットでの写真。旅行が好きなので国内外問わずいろいろなところにいきたいと思っています

スタートアップと協業する場合、事業部側のマインドが非常に重要だと感じています。

どういったものを社会に出したいからこの人たちと一緒に組みたいという「なぜ」を起点にはじめることが非常に大切です。その目線をそろえるための調整が私たち事務局メンバーには求められています。その視点で考えることができれば、さまざまな選択肢を広げることができると思っています。

これまでに導入SE、モノを販売していく事業部、そして現在の協業検討推進者として、さまざまな立場を経験しているので、それぞれの視点を生かして今につなげられている実感があります。また、大学院で勉強したことも現在に生きている感覚がありますね。導入SEをしていた際のお客様からの用件に応えることからの経験や、事業部に属していたことによる商品化のプロセスからの視点でスタートアップとの協業を検討できることなど、現在の業務で複数の部門間の調整を行う際に生かせています。

これから挑戦していきたいことですが、自分の中ではまだまだ会社の中に新しいビジネスを作り出せる風土が、でき上がっているとまでは言い切れず、やり切っている感がまだないので引き続き取り組み続けていきたいです。

また、富士通はこれまでスタートアップに対する投資が活発になっていなかったのですが、現在の立場では協業をメインにしながらも、投資という視点で盛り上げていくこともできるので新しくチャレンジしていきたいと考えています。