800名の新入社員を始めとした若手社員の教育を手掛ける

▲新入社員研修担当の熊本 美幸

およそ8,000名規模の社員を抱える富士ソフトで、各々の職位やポジションに応じた社員教育を企画・運営する教育企画室の主任を務める熊本 美幸。

中でも、新入社員研修から半年後のフォローアップ研修までを中心とした若手社員向け教育を担当している。

熊本 「富士ソフトでは毎年数百名規模の新入社員を採用しており、来年度は800名の採用を予定しています。そのため研修も大規模です」

新入社員研修では、入社直後から約2カ月にわたり、ビジネスマナーやIT基礎(営業職は営業基礎)を学習する。また、富士ソフトでは「BS(ブラザー&シスター)制度」を導入しており、配属後はBS役の先輩社員が新入社員一人ひとりに寄り添い、いつでも気軽に相談できるようサポートする。

熊本 「社内勤務やお客様先への常駐、在宅勤務など、社員の働き方やチームでの仕事の進め方はさまざまです。そのため、新入社員一人ひとりにBS員を割り当て、安心して業務に取り組めるようにしています。

また、BS員に対する教育も展開しています。BS員としても後輩をどのように導いていけばよいのか、役割から具体的な指導方法まで研修で学んでもらいます」

新入社員一人ひとりが安心して配属できる環境づくりを目指している。

技術職から管理系部門に異動。庶務、CSR、採用担当を渡り歩く

熊本は富士ソフト内では珍しいキャリアをたどってきた。2002年、IT未経験ながら技術職として新卒入社し、携帯電話メーカーの開発チームに従事した後、2006年に管理系部門に異動した。

熊本 「組織再編が行われた際、管理系部門のスタッフ増強が必要となり異動になりました。『創りあげる技術部門』から『支える管理系部門』への異動は大きな転換期でした」

庶務の経験を積んだ後、2008年からは業務効率化を推進する部所にて勤怠や帳票回付などの社内システム刷新業務に取り組み、2009年からは総務部でISO14001推進、CSR報告書発行業務に従事。その間、社会保険労務士試験のチャレンジを続け、やっとの思いで合格し、2014年にはシニアマスターに認定された。

熊本 「先輩社員が労働基準法のテキストを参照しながらきちんとチェックした上で対処しているのを見て、自己啓発に励んで専門性を身に付ける姿に刺激を受けたんです。『社員が怪我や病気になった際に支給される傷病手当金のような制度や、社員を守る労働法がどういう風に構築されているのか』ということに興味を持ち、社会保険労務士の資格を持つことが強みになるのではないかと考えました。

社会保険労務士は合格率が10%を切るという狭き門。5回目の受験でやっと合格しました。法律の勉強は大変でしたが、家族・先輩社員の激励や、上司の理解・サポートがあったおかげで5年間諦めずに続けられたと思っています」

2014年11月には採用活動強化のため人事部門へ移動。キャリア採用を5年間担当し、マネジメントが評価され、2019年4月に主任職に昇格した。同年、部内のジョブローテーションが行われ、教育企画室に異動、現在に至る。

土壇場で取り入れたオンライン手法。初めてづくしの新入社員研修を乗り切る

異動後、最初に手掛けた2020年4月の新入社員研修は、富士ソフト初のオンライン手法だ。新入社員研修の準備を進めている時に、コロナが発生。2月から3月にかけてみるみるうちに感染者が増え、4月7日には初めて国内で緊急事態宣言が発令された。

熊本 「当初、集合研修を想定し準備を進めていたのですが、コロナが発生したことでオンライン研修導入の話が浮上しました。せいぜい半分在宅でeラーニングを受けてもらうことしかできないと思っていましたが、コロナの勢いは増すばかり。経営層の『新入社員の安全を徹底したい』という思いから全面オンラインという判断になりました。

限られた時間の中、全面オンライン研修に向けて運営を検討・準備していくのはなかなか大変でした。入社式で新入社員にパソコンを持ち帰ってセットアップしてもらい、講師にもオンライン上で講義してもらいました。システムにうまく入れないなどトラブルが発生したときには、問い合わせが殺到して戦場のようでした」

試行錯誤を重ね、コロナ禍に在宅で安心して新入社員研修を受けられる環境をつくることができた。富士ソフトでは2020年に引き続き、2021年度も全面オンラインによる新入社員研修を実現させている。

オンラインでの研修は、良い面もあり課題点もあった。

熊本「オンラインでの研修は自宅から講義を受けられるという効率化が図れたり、デジタル教材で復習できたり、自分のペースで学習しやすい環境が築けました。実際に、新入社員からは『チームでゲームをプログラミングする研修で、オンラインでも楽しみながら、達成感を味わえた』といった声が上がりました。受講者アンケートでも新入社員の9割が『学びやすかった』と回答しています」

一方、オンラインだからこその課題も指摘する。

熊本「オンラインだとどうしても『自分ひとり』という感覚や状況になりがちです。そこで、研修期間中、現場勤務の社員を育成責任者に任命し、週に1回は新入社員と面談して心的な部分のフォローをするようにしました。また、あらかじめまとまったFAQを公開したり、マニュアルをわかりやすくしたりするなど、問い合わせ対応も工夫しました。受講者アンケートでは99%の割合で『育成責任者がよくフォローしてくれた』との回答が寄せられました」

今後の新入社員研修の中でさらに発展させたい点は、伸び悩む新入社員へのフォロー体制や交流活性化のしくみづくりだという。

熊本 「研修を進めると、どうしても成績に差が出てきます。伸び悩むと新入社員も余裕がなくなるので心的にサポートしつつ、早期にキャッチアップできるカリキュラムをこれまで以上に整えていきたいです。

また、オンラインは集合研修と比べて『気軽なコミュニケーション』が難しいと感じています。オフィスで行われていた『ちょっとした相談』や『雑談』、『声掛け』がオンラインではしづらく、一緒に働いているという『一体感』も感じにくいようです。今後は、当社が開発したシステムである仮想オフィス空間『FAMoffice』を活用して、新入社員同士のコミュニケーションの機会を増やしていきたいと考えています」

常に新しい工夫を重ね、新入社員をフォローしていきたいと語る。

目の前の仕事に一生懸命取り組み、ジェネラリストとして会社に貢献したい

教育企画室のメンバーと熊本。仮想オフィスFAMofficeで毎朝ミーティングを行っている

「企業は人なり」。富士ソフトの精神として掲げられているこの言葉通り、企業を形作る人材を育成するために尽力する熊本。新入社員には特に「自走力」を身に付けてほしいという。

熊本 「知識を習得することももちろん大切ですが、若手社員には自走力というか、自分で考えて行動する力を磨いてほしいです。現場で経験値を重ね成長するためには『自走力』が必要となります。

新入社員研修はその力を養う場としています。一方的な講義ではなく、3人くらいのグループ活動を積極的に取り入れたり、発表を毎回違う人が行うようにしたりするなど、自走力が身につくやり方を心掛けています。研修の参加人数が多くても一人ひとりが当事者意識を持つような、より自走力を養えるような研修を目指しています」

その一方で富士ソフトでの熊本自身のキャリア変遷について、「ご縁」を重ねてきたと振り返る。仕事の役割を認識して付加価値をつける勢いで一生懸命取り組めば、次の道が開かれる、と語る。

熊本 「上司あるいは異動先の方から『新しいことに挑戦してみないか』と、声をかけられるシチュエーションが幾度とありました。現在は人材教育に専念していますが、今後もさまざまなことに挑戦し、ジェネラリストの形で会社に貢献したいです。取得した資格もどんどん仕事に活かしていきたいと思っています」

コロナ禍の影響もあり、今後もビジネスに新しい取り組みが導入されると予測される中、初のオンライン新人研修など貴重な実績を積んできた熊本。あらゆる現場でイノベーションを支える存在として、仕事に取り組み続ける。