別の仕事をしていた私たちが、FICCの広報に就いた理由

▲左:深澤 枝里子/右:黒田 洋味

FICCの広報は現在2名。東京オフィスの深澤 枝里子と京都オフィスの黒田 洋味が、リモート勤務かつ遠距離ながらも、密にやりとりしながら仕事を進めています。

実は広報チーム自体、FICCではまだ立ち上げ間もない部門。しかも二人ともこれまで別の仕事をしており、広報に就くのはこれが初めてです。そんな二人が広報に就いたきっかけは何だったのでしょうか?

黒田 「私が入社したのは2014年で、最初はディレクターとしてウェブサイトの企画や制作に携わっていました。FICC初の育休取得者でもあったのですが、2度目の育休復帰後に『新しいチームができるから行ってみない?』と誘われたのが広報だったんです。

広報の仕事をするのは初めてだったので、最初は『自分に務まるのかな』と不安でした。会社を背負って多くの方に向けて発信したことなどなかったので、自分の表現ひとつで会社のイメージが変わる大変な仕事だと感じていたんです。

ただプライベートで子育てをするうちに、『何かを新しく作り出す』ことよりも『あるものを豊かに育てていく』ことに興味が湧くようになっていて。それで『せっかく与えられた機会なのだから挑戦してみよう』と思い広報チームに異動しました。

深澤 「私が入社したのは2020年の6月です。前職では照明メーカーでアートディレクションを行っていたのですが、そこで一気にメンバーが退職してしまった時期があって。それを機に組織づくりやインナーブランディングに興味を持つようになりました。

そんな時、FICC代表の森 啓子の『学際的リベラルアーツ』を活かした経営・組織づくりのあり方を知って衝撃を受けたんです。その考え方に共感し、FICCへの入社を考えるようになったのですが、その時求人募集が出ていたのが広報職で。ずっとクリエイティブ畑にいたので、最初は応募するのを少し悩みましたね。

ただ自分の仕事を振り返ると、抽象的な概念をどう具体的な形に落とし込むか、作り手と受け手をどう繋げるかということをずっとやっていたので、これは広報にも応用できるのでは、と思ったんです。結果的にジョブチェンジしたわけですが、自分ではこれまでと今が繋がっていると思っています」

「広く報じる」のではなくて「届くべき人に届ける」

▲FICCメンバーの想いを伝えるインタビュー記事

それぞれのストーリーからFICCの広報に辿り着いた黒田と深澤。広報チームにジョインしてからは、具体的にどんな仕事を行ってきたのでしょうか?まずは黒田が広報1年目から今までを振り返ります。

黒田 「最初の1年は『採用』がミッションでした。どんな人がどんな想いで働いているのかを記事化して発信するのが仕事だったのですが、実は私は文章を書くのが苦手で……。だから最初は執筆を外部のライターさんに任せて、自分は企画・ディレクションに専念していたんです。

ただインタビューに同席するうち、単に話を聞くだけではなく、深ぼって新たな気づきを発見することっておもしろいなと興味が湧いてきて。また、記事を自分の言葉でSNSで紹介したらいろんな人から反応をもらえて、『伝わっている!』と成功体験を味わうことができたんです。その2つは、新しい喜びでしたね。

そこから少しずつ、苦手だった文章に対して『自分も書いてみたい』と思うようになりました。プライベートでも我が子が成長する姿を見ていたのもあり、自分もまだまだ成長できるかもと思って。それで、2年目からはインタビューや執筆にも挑戦し始めました(メンバーのインタビュー記事はこちらからご覧いただけます)。

広報として「伝わる」ことの喜びを実感し始め、聞くこと・書くことに挑戦し始めた黒田。そこから少しずつ「広報」に対する考え方も変わってきたと言います。

黒田 「最初はその名の通り『広く報じる』ことが広報の仕事だと思っていました。だから、企業を背負って大多数の方へ発信することにプレッシャーを感じていて、書くことに対してますます苦手意識を覚えていたのだと思います。

だけど最初の1年でいろんな方から反応をいただくうちに、『広く報じる』のではなくて『届くべき人に届ける』のが広報の仕事なのではないかと思うようになりました。似た境遇の方にコンテンツが届くと、『自分もそうだよ』とか『自分はこう思う』という共感やリアクションが生まれます。特にそんな反応をいただけたのが、自分の言葉で書いた時だったんです。

これまでは『FICCらしい言葉で書かないと』と肩肘張っていたけれど、実は自分の言葉で書いた方が届くべき層に届くのではないかと思うようになりました。またそれが難しいのですが(笑)。

それと同時に、広報として打ち出したいことだけじゃなく、現場に意見を聞くことも大切にしています。現場の温度や感覚を大事にしないときれいごとになってしまうから、できるだけ広報の内容を現場のリアルに近づけたい。そうできるよう、これからも頑張って書いていきたいなと思っています」

「FICCの今」を社外だけではなく社内に伝えていく

▲Web社内報「FICC SSP(エフアイシーシー・シーサイドパーク)」のメインビジュアル

一方で深澤は、自身がコロナ禍によるリモート勤務体制下での入社だったこともあり、最初の頃から課題をいろいろ感じていたと当時を振り返ります。

深澤 「私自身リモート下の入社だったので、誰が何をしているのか一切わからない状態でした。一部のメンバー宛に『社内のメンバーをどれだけ知っていますか?』という質問をしたのですが、『雑談が減って互いが見えなくなってきた』という意見が多く、まずは自分を含めたメンバーの関係性の構築を重点的に行うことにしたんです。

そうして作ったのが社内報です。どんなメンバーが何をやっているかが見えにくいリモート下で、接点を作って互いを『見える化』するプロジェクト。『FICC SSP(エフアイシーシー・シーサイドパーク)』というタイトルで、公園をモチーフにサイトを立ち上げました。

一人ひとりがどんなことを考え、どんなことに興味があるかを共有し、ゆくゆくは対話へと繋げていきたい。そう考え、まずは部署間で円滑に協業するためのインフラを整えた1年だったように思います」

もともと東京・京都のオフィス間での親睦を深めるため「社員図鑑を作りたい」と思っていた黒田のアイデアも、この社内報のコンテンツのひとつとして実現したもの。社外だけではなく、社内に「FICCの今」を伝えることも広報の仕事のひとつなのだと深澤は語ります。

深澤 「それと同時に、広報チームのインフラ整備も行いました。まだ立ち上がったばかりの部署なので他部署との接点がなく、知識やルールが属人化していることが課題だと感じていたので、広報スタッフの持つ知識などを整備して、社内資源として使えるガイドラインにまでブラッシュアップしました。

少しずつ基盤が整って、広報チーム内での信頼関係の構築もできてきたのではないかと思っています。また、これから他部署との連携も大切になっていくので、信頼される広報になるために、パッションだけではなくロジックも大切にしながら、地道に良いコンテンツを積み上げていきたいなと思います。FICCは、まだ作っていくフェーズにある会社だと思うので、広報としてコミットしていきたいですね」

人を深く理解し、人に深く届けていきたい

最後に、二人にとって今改めて「広報」とは何か、今後どんな広報チームでありたいかを、自分が大事にしているテーマとともに語ってもらいました。

黒田 「まずは自分たちの周りから共感を獲得して、興味を持ってもらえるような繋がりを作っていきたいですね。そのためには『会社として』というより、自分の想いやそこから生まれる言葉を大切にしながら発信していきたいと思っています。

そう思えるようになったのは、FICCにある『対話』文化のおかげでもあるかな、と。FICCでは自分のスパークジョイ(“興味や関心ごと”の意味で使用している社内用語)を持ち寄り対話する『クロスシンク』という時間があるのですが、そこで自分の視点で語る経験を積むうち、『仕事とプライベートを分ける必要ってあるのかな?』と思うようになったんです。

以前までは広報という立場と、普段の私のキャラクターを一緒にしてはいけないと思い込んでいましたが、別に分けなくてもいいのではないか、むしろ分けないで自分の言葉で語った方が、確実に共感を呼ぶのではないかと思うようになりました。私のスパークジョイは『映画』なのですが、ストーリーが伝わった時にとても喜びを感じるんです。それを広報の仕事でも活かしていけたらいいのではないか、と。

広報とは『届くべきところに届ける』ことだと先ほど話しましたが、つまりは『人と人をつなぐ』役割だと今は感じています。ひとりの人にいかに深くストーリーを届けるか。そんな仕事ができたらいいなと思っています。

深澤 「私のスパークジョイは『キュレーション』なんです。アート鑑賞などによく使う言葉ですが、作品の内容をどう人に伝えるか、作り手と受け手をどうつなげて対話を発生させるか。その能力に昔から興味があり、学生時代は学芸員資格を取得したりと、仕事にも活かしたいと思っていました。

それなので『広報を通してFICCをキュレーションしていきたい』というのが、私の目標です。FICCらしさをブラさずに『FICCの今』を伝えていく。それができたら『FICCのこれから』を伝えて未来への種まきをしていく。その先でFICCの仲間を増やしていきたいなと思っています。

黒田の言う通り、私も広報の仕事は『人と人をつなぐ』ことだと思っているので、どうつなげてどう対話を生み出すかを突き詰めて考えていきたいですね。そのためには、人に寄り添って理解しなくてはいけないと思っています。作り手、受け手、どちらも深く理解できて、初めて人と人をつなぐことができる。難しいことではありますが、チャレンジしていきたいと思っています」

それぞれのストーリーやスパークジョイを起点に、広報の仕事に向き合っている二人。各々その過程で様々な発見、思考の変化を経験しながらも、辿り着いた「広報とは何か?」の答えは同じものでした。これからその答えは、どのようにアップデートされていくのでしょうか。彼女たちの広報としてのストーリーもまた、FICCの文化を作っていきます。

Text by 土門 蘭