人々の生活基盤となるシステム。だから、ユーザーの声に全力で耳を傾ける

川上が部長を務めるシステム開発部は、自治体に向けてさまざまなシステムを提供しています。中でも最もシェアが高いのは「戸籍総合システム」というサービス。各自治体が戸籍データを電子で管理するためのシステムで、2021年10月現在、全国約7割の自治体で導入されています。

川上 「各地の自治体様から集めた情報をもとに、自治体様の業務改善はもちろん、住民の皆様にもご満足いただけるサービスを目指し、日々開発しています。東京23区のような大きな役所から、小さな町村まで、多様な環境の自治体様が当社のシステムを導入してくださっています」

現在、開発チームに所属しているのは26名。チームは大きく2つに分かれていて、一つのグループはリリース済みのシステムの開発を行い、もう一つのグループは新たな案件に関わる開発を行っています。

川上 「開発部としてこのような分業をしていますが、より俯瞰してみると、当社はバリューチェーンが自社で完結しています。営業のプロセス、運用のプロセス、コールセンターなど、全体の大きな業務の流れの中に開発部が位置しているわけです。そのため、ユーザーである自治体様からのフィードバックがいろいろなチャネルから開発部に頻繁に伝わってきます。これは、自社で一連の事業を全て行なっていることの強みだと思います」

ユーザーの声がよく聞こえるからこそ、自治体や、その先にいる住民の方々に寄り添う仕事をしようという雰囲気が、強くあるといいます。

川上 「もしSEの視点だけであれば、技術論に偏った設計になりかねません。しかし当社は、ユーザーの声を踏まえた感情的な判断も大事にしていて、できることは何だろうと考えて動く人が多いんです。たとえば『これは必ずしも合理的な判断ではないかもしれないけれど、作ることでお客様に安心を提供できるのであればやろう』という話はよくあります」

こう話す川上には、お客様に寄り添うことの重要性を感じたある経験がありました。それは、とある東北地方のお客様で当社戸籍総合システムの障害があり、システムがストップしてしまったときのこと。営業の責任者と共に現地に向かった川上は、市長と話をすることになります。

川上 「そのときお話されたのは、東日本大震災のことでした。あの日、多くの方が被害にあわれた津波、その要因の一つに防災システムの故障があったそうです。いかなるシステムでも人々の生活や暮らしを支える基盤となっていることを痛感しました。システム障害は単なる“システムのダウン”ではなく、市民の皆さんの生活に直結する影響の大きい事象であると改めて感じました」

この経験を胸に、川上は今も、ユーザー目線に立ち、思いをこめて開発にあたっています。

全国の数多くの自治体との折衝。業務の全体像を描くスキルが身についた

現在システム開発部では、3つのソリューションを開発しています。

川上 「一つ目は『戸籍ソリューション』。冒頭でも紹介した全国シェア7割を占めているサービスで、婚姻届や出生届などの戸籍情報をデータとして安全に管理することができます。

二つ目の『住民情報ソリューション』は、戸籍ソリューションの住民票版ですね。戸籍ソリューションのノウハウを用いる形で、住所の管理をしています。

三つ目『証明ソリューション』は、戸籍や住民票などの窓口業務の部分に特化したものです。コンビニエンスストアや自動交付機などで証明書を発行するほか、その情報を一元で管理できるようなソリューションになっています」

川上が入社した2001年は、住民情報ソリューションの開発を始めたタイミングでした。エンジニアとしてその業務に参画した川上は、その後、証明ソリューションの立ち上げにも携わっていきます。

川上 「当時、お客様と常に近い立場で業務をしていました。提案をして、お客様からフィードバックを受けて、最終的に認められて形になっていく。そんな流れの中に立つのはとてもやりがいがありましたね。ただ一方で、パッケージで開発をしているので、お客様の細かい要望ごとにカスタマイズすることができないのは難しいところでした」

しかし、このような環境だからこそ鍛えられたスキルがあると言う川上。

川上 「それは、全体最適のスキルです。自治体様の業務は本来どの地域でも同じ内容なのですが、お客様によって少しずつやり方が異なっています。各自治体様に合わせてオーダーメイドで対応をした場合、それぞれの場所で満足していただくことはできても、業務における最適な形を見失ってしまうんです。

だからこそ、すべてをお客様から言われた通りにやるのではなく、要望を集めてもう一歩上流の視点に立ち、アナロジー的な観点で全自治体様にとってベストな選択ができるようなシステムを作っていきました」

全体を描くスキルのほかに、ビジネスサイドの感覚も身につけていくことができたといいます。

川上 「どのくらいのコストで提供して、どのくらいのシェアを獲得することができたら、利益がうまれるのか、そのためにどんな作戦をとるか。そんな、ビジネスサイドの感覚が身についたのも、事業会社であるからこそかもしれません」

「お客様のため」その共通の思いで、メンバーがひとつになる

現在川上が率いるチームのメンバーは、中途採用で入社したメンバーと新卒採用で入社したメンバーが半々くらい。その中の多くの社員は、公共という市場でSEになりたいというモチベーションで入社してきたといいます。

川上 「社会貢献をしたいと思って入ってくれる人が多いと感じています。その中でも、公共事業の安定した基盤を支えていきたいタイプ、その基盤をもとにスタートアップのようにチャレンジしていきたいタイプなど、キャラクターはさまざまです」

そんな開発部の特長は、風通しがいいこと。開発を進める中、チームの皆で話し合って物事を解決していると川上はいいます。さらに、時には開発部だけでなく、営業部などの他の部署も加わり一丸となって動くこともあります。

川上 「9月に施行された大がかりな法改正によって、各自治体様に新しい業務が発生しています。法改正などのタイミングでは、自治体の方々が何をすればいいのかを皆で議論し、マニュアルを作ったり、トラブルの対処法などを整理したりと様々な対応が求められます」

営業部と開発部はもちろん立場は違いますが、同じ方向を向いて協働しています。

川上 「意見が分かれることもありますが、最後は『お客様のために最適なことをしよう』と方針が決まり、折り合いがつくんですよね」

何かを始めるときにも、それが本当にお客様のためになるのか、全体で議論することは多いといいます。

川上 「今はコロナで難しいのですが、月に一回、全国からマネージャーレベルの社員が集まって、議論するという場が設けられています。課題出しやその解決法、お客様のために何をやるべきかなどを、かなりオープンに議論するのです」

さまざまな立場の社員たちが、「お客様のため」という一つの強い共通目標のもとでひとつになっているのです。

新しい時代を生き抜くために。ユーザーストーリーまでをも見つめて

9月に施行された法改正もあり、今、戸籍業務には大きな環境変化が訪れようとしています。国が推進するこの目まぐるしい変化を前に、川上はさらなる未来を見つめています。

川上 「公共事業領域の中で大きなシェアとノウハウを持っているからこそ、今後に向けてどう対応するべきかを考えています。次の時代で、今まで以上にお客様に必要とされる存在になるためにはどうすればいいか、日々可能性に目を光らせています」

これからの挑戦について、川上はこう語ります。

川上 「必ずしも今のシステムやサービスの形態にこだわる必要はないと思っています。業務自体がなくなるということはないと思うので、さらに範囲を広げていけるようにしたいと思っています。そのために重要だと思っているのは、システムやプログラムではなく、『サービス』という目線で考えることです」

届出を受けて入力するだけが戸籍業務ではないと、川上は強調します。国民側の目線で考えたときに、「もっと提供できるものがあるのではないか」と考えているのです。

川上 「たとえば、日本人が海外で結婚や出産をするケースでは、現状大変煩雑な手続きが必要になっています。これをどうにかできないかを考える。そんなふうに戸籍をサービスという目線で考えれば、もっと幅広い業務があるはずなのです。戸籍の入力だけでなく、そこにあるユーザーストーリーもしっかり見つめていきたい。そうすれば、ナレッジとして提供できるものが、もたくさん見つかると思うんです」

最後に川上に、どんな人にチームに加わってもらいたいかを聞きました。

川上 「変化を楽しめる人材がきてくれるとすごく嬉しいなと思いますね。好奇心があって、新しいことが好きで、人とコミュニケーションを取ることを嫌がらない人がいいと思います」

多くの社内メンバーとコミュニケーションをとりながら、ユーザーに寄り添うサービスを作っていく富士フイルムシステムサービス。目まぐるしく変わる時代の中、国民の生活基盤ともいえる重要なサービスをこれからも提供し続けていきます。