選りすぐりのメンバーで生み出す、新たな価値

▲経営統括本部 デジタル戦略推進部 テクニカルプラットフォームサービスグループ グループ長 小嶋 裕之

小嶋は2021年8月現在、防災・減災DXプロジェクトにおいて、8人のメンバーで構成されるエンジニアチームを率いています。2021年の4月に発足したこのチームには、全社から集められた選りすぐりのメンバーがそろっています。

小嶋 「チームは業務内容によって2つに分かれています。1つ目のチームは、防災・減災DXプロジェクトにて実際に導入される商用製品の開発を行っています。一方、2つ目のチームは富士フイルムシステムサービス全社に対してより汎用性の高い業務を行なっています。本プロジェクトに限らず、社内で広く使用できる全社技術の基盤を、整備・改善しているのです」

防災・減災DXプロジェクトの商用製品開発チームが行っているのは、決められた期間内で、どのような製品を世に出すことができるのかを日々検討すること。コスト面やセキュリティ面といった制約をクリアすべく製品開発を行っています。また、もうひとつのチームでは、アプリケーションフレームワークの整備やクラウド基盤の技術標準化を行っています。

この2種類の業務をマネジメントしている小嶋。彼が重要視しているのは、アイデアが出てからそれを実現するまでのプロセスを、いかにスピーディに行えるかという点です。

小嶋 「現在抱えている短期的なミッションとしては、秋に予定されている防災訓練で使用する罹災証明書発行迅速化に向けたシステムの開発が挙げられます。自治体さまにご協力をいただいて、開発中のシステムをより付加価値の高いシステムへと仕上げていきます」

この訓練を経て、より精度の高いシステムの商用化を目指している小嶋。彼の中には商用化した後の、その先のビジョンもあります。

小嶋 「災害は地震だけではありません。風害・水害など様々な事象があります。現状は地震災害向けの機能しかないので、他の災害にも対応できるようにしていきたいと考えています。さらに、発災時にどう避難を行うかというシミュレーションの部分の機能も充実させていきたいです」

自社が持つ技術や資産は、積極活用。短納期でどれだけのものを作れるか

小嶋は入社当初から、新規ビジネスの立ち上げに携わってきました。そこでは、新しいアイデアをクラウドネイティブで実現するための仕事を経験。その関連で防災・減災DXプロジェクトに関する相談を受け、自身のアイデアや設計を話したところ、チームにジョインすることになったのです。

小嶋 「当初、近くの部署で防災・減災DXプロジェクトが立ち上がりつつあるところは目に入っていて、いつか私にも声がかかるのかなと思っていました。これほどの壮大なスケールのある新規事業はなかなかないので、ここに関われるのは光栄なことだと思っています」

現在は、クラウドを最大限有効活用するための新たな技術の開発に取り組んでいます。

小嶋 「商用化するにあたってはできるだけコストを抑え、短納期で開発することが重要です。そのため、これまで自社で積み上げてきた資産を積極的に活用しています。本来なら100階建てのビルを1階から登らなくてはならないところを、いきなり30階からからスタートできるようなイメージです。

開発開始3ヶ月というかなり早い段階で、すでに本格的に動くようになっているシステムもあります。当社の標準化された技術資産を活用することで、スピード感を持って進められているのです」

スピード感のほかにも、小嶋がこだわっていることがあります。それは、商品のコスト設定です。今回開発しているシステムは、発災時にパフォーマンスを最大限発揮するもの。そのため、平時には使われません。

小嶋 「使わない期間が長いと想定される分、使用していない間のコストについては丁寧に考えています。例えば通常のクラウド(EaaS)では、使用頻度に関わらずサーバーの稼働時間に応じた課金が発生します。今回我々が作ったシステムは、システムが利用された時間に応じた課金だけで良いという仕組みを採用しています。

これは、当社が公共向けにサービスを数多く提供してきた経験が活きています。公共サービスは日中に使われることが多く、夜中はほとんど使われることはありませんからね」

平時は数千円・数万円という安価なコストで運用でき、万一のときにはしっかり性能を発揮できる。そんな防災に適したシステム作りに取り組んでいるのです。

大事なのはとにかく実践。失敗経験を積むメンバーを側で見守る。

小嶋が、マネージャーとして大切にしているのは、実践を通じてメンバーを育成することです。

小嶋 「私もたくさんの経験を積んでいるので、正直、何かを作るとなった場合は自分で作るのが一番早く出来上がることもあります。しかし、自分ではあまり手を出さないようにしているんです。またメンバーの仕事にすぐ口を出さないようにもしています。メンバーには、自分で作業する中での失敗体験を含め、実践の機会を提供したいからです」

小嶋は安易に手を貸すのではなく、失敗を含めて許容することで、メンバーがたっぷりと実践を積める環境を確保しているのです。

小嶋 「勉強会なども行いますが、より実践を通じて得られる部分を重視しています。ですから新しいことに対し、恐れずに挑戦できる心持ちが重要ですね」

小嶋は、もしミッションを達成するために、実績がある方法と、新しくて可能性がある方法の二つの選択肢があるならば、多少のリスクがあっても後者を選択してみるよう背中を押すと言います。しかし、実際にものづくりをしていると、上手くいかずに止まってしまう場面も多々あります。

小嶋 「その際は、私が助ける前にメンバー間で協力して切り抜けようとしていることが多いんです。常日頃から、もし10分悩んでわからなかったら、誰かしらに相談して欲しいと伝えています。一度スタックするとあっという間に時間が経ってしまいますから」

ハイレベルな環境で協力しあうメンバーたち。彼らは、製品仕様の定義から、それを実現するプログラム作成まで、一通りをこなせるフルスタックエンジニアになることを目指しています。とはいえ、チームに入ってくる段階では、そのようなハイレベルな開発ができる人はほとんどいないと小嶋は言います。

小嶋 「最初からできる社員はなかなかいません。できるようになりたいと思っている人たちが集まってきた結果、みんなで切磋琢磨しているという状況です。このチームではお互いに高め合い、成長し合える環境があるのです」

「できません」とは言いたくない。だからこそ日頃から技術を蓄積する

今後のビジョンについて小嶋は、「新しいビジネスをどんどん開拓していける組織になること」を掲げています。

小嶋 「新しいビジネスを開拓していくことは企業戦略の一つでもあり、この組織に課せられた重要なミッションです。アイデアは続々と出てきますが、その中で実を結ぶものは1,000個ある中で3つ、5つあるかどうか。だからこそ沢山のアイデアを出していかなくてはいけません。そして、都度実現に向けて着手し、だめなら捨てる、よければ伸ばすという取捨選択をしていく必要があります」

その取捨選択を効率よく行うためにも、描いたアイデアをもとに、どうやったら商品としてマッチするか、コストや納期、セキュリティ面などの折り合いをつけながら実現していける人材を求めていると言います。

小嶋 「途中で無理だと思ったら切り替えて、どんどん新しいアイデアを走らせていく。そうやって新しい仕事を作っていこうと思うタイプの方には、絶好の環境なのではないかと思います。

これからどんなアイデアが出てくるのか私も読めませんが、やってほしいと言われたときに『できません』とならないことが重要です。そのために、日頃から技術を蓄積していきたいと思っています。難しい仕事ですが、そこに楽しさがあると感じています」

生き生きと話す小嶋。今回のシステム開発は、規模が大きい分リリースまでのタイムラインも長いのが特徴です。長期間モチベーションを保つのに、どのような心がけをしているのでしょうか。

小嶋 「正直私はまだ、モチベーションの低下という壁にはぶち当たっていません。プロジェクトを進める中で次々とアイデアが出てくるので、飽きることがないのだと思います。新しい難題と向き合い続ける日々なので、考えることが尽きないのです。だからずっと新鮮な気持ちで取り組んでいられます」

小嶋が挑戦しているのは、たくさんのアイデアを試しては、失敗して、そしてまた挑戦してというサイクルを繰り返す仕事。道のりは長く険しいですが、失敗した分成長を見せてくれるメンバーと共に走り抜ける日々は、やりがいに満ちています。