企業が求める理想の人材像を具体化する「人材ポリシー」。就職活動や転職活動中はさまざまな企業の人材ポリシーを目にするのではないでしょうか? 

飾らずにまっすぐ。職場で普段耳にするような言葉で語られる「CEREBRIX PRIDE」(セレブリックスプライド)は、思わず自問自答してしまうようなメッセージ性があります。

「CEREBRIX PRIDE」はなぜ誕生したのか。採用候補者やメンバーに伝えたい想いとは。生みの親的存在である、セールスカンパニー長の北川 和毅から「CEREBRIX PRIDE」のお話を伺いました。

急速な事業拡大で「セレブリックスの血が薄まっていく」危機感

──「CEREBRIX PRIDE」は2020年7月4日に全社員へ発表されたそうですが、策定に至った経緯を教えてください。

僕が営業代行事業のマネージャーに着任した2011年ごろは、メンバー数が20名ほどの規模でした。ここから10年かけて現在は450名ほどの規模に拡大しています。拡大の転換点は2016年。マーケットから注目を集め始めて、さらに既存のお客さまからもリピートをいただけるようになり、急速にニーズが増えたんですね。

営業代行という事業柄、代行する人員に対してクライアントから予算を投資いただくわけですから、事業拡大には人材調達が必須になります。2018年度のセレブリックス年間中途採用者数が147名だったことからも、当社の勢いを感じていただけるのではないでしょうか。

急速な事業拡大により、当社はさまざまな変化がありました。良い変化としては、短期間で活躍する人材を数多く輩出できたことです。入社1~2年後にはチーフ・リーダーへステップアップする人材も多く出てきましたね。

そうした流れの中で、組織や人間関係について相談を受けることが増えたんです。「昔はこんなことなかったよね」「人材が増えたから起きるのか?」と、他の部門長とも話し合うようになりました。

──何か印象的な出来事はありますか?

特に僕がショックだったのは、マネジメント層からの相談ですね。「メンバーのためになぜ自分が苦悩しなければならないのか」と。

どうしてショックだったかといえば、スキル不足ではなく「マインド」の状態に課題を感じたからです。スキルを発揮できないという問題であれば、それは個人差があって仕方ないことですし、努力とサポートで改善できる余地があります。しかし、スキル以前に「チームの中で人と一緒に働くためのマインド」に課題があったと、このときに気付いたわけです。

組織規模が小さかったときに当たり前として共有し合っていたはずの「セレブリックスの血」、つまり、セレブリックスが大切にしてきた価値観が薄まっている。何もしなければ同じ事が起こり続けるだろう、と危機感を持ちました。

そこで「セレブリックスの血」を言語化して、社員やこれから仲間になる方に提示しようと。これが策定に至ったきっかけでしたね。全社へ発表する際には「この会社にはいたくない」という人が出ても仕方ない。それくらいの覚悟で臨みました。

正義を振りかざさない。背伸びしない言葉で伝える

──策定のプロセスを伺えますか?

動き出したのは2018年の夏ごろからです。当時の管理職、マネージャー職以上のメンバーと「俺たちが大事にしていることってなんだっけ?」とグループワークを重ねてつくっていきました。

インスパイアされたのはNetflix社の「カルチャーデック」ですね。こういう世の中に大きな影響を与えている企業も、社員一人ひとりに求めることを分かりやすい言葉で展開している。これは大事なことなのだな、と影響を受けました。

──「CEREBRIX PRIDE」策定の中で、特にどのような点を重視しましたか?

何より意識したのは言葉の選び方です。僕は「言葉が文化をつくる」と考えているので、「CEREBRIX PRIDE」を一緒に策定したメンバーにも最初にこのことを伝えました。僕たちが普段からメンバーに伝えているような、等身大の言葉で形にした方が想いは伝わるはずだと。

組織規模が小さいころは、僕たち管理職が社員全員を直接フォローできる余裕がありました。直接話せば熱量も伝わりやすいですし、会社の想いを理解してもらうことができていた。つまり、人的な魅力を生かしてチームづくりができたんです。

ですが今は組織拡大によって、僕たち経営層が社員一人ひとりに会社の想いを直接伝えられるほどの規模ではなくなりました。セレブリックスらしさをこれからも大切にしていきたいからこそ、このタイミングできちんと言語化したいと考えました。

もうひとつ意識したのは、具体的になりすぎない表現。どんな組織やプロジェクト、チームでも応用が利かせられるように心がけました。一方で抽象的過ぎて曖昧にならないよう、バランスも意識した内容になっています。

構想8ヶ月。胃が痛い日もあった。ついに誕生した「CEREBRIX PRIDE」

──着手から発表までは8ヶ月ほどかかっていますが、ブラッシュアップをかなり重ねられたのではないですか?

「CEREBRIX PRIDE」はマンダラート(※)のマスの中に、中心には「私の意志」、周りの8マスに大事にしてほしい8つの言葉を並べています。完成するまでにはグループワークを何度も重ねました。グループワークのたびに胃が痛くなっていたのは、今だから言える話です(笑)。

(※)9つのマス目を作り、そのマス目一つひとつにアイデアを書き込むことで、アイデアの整理や拡大などを図り、思考を深めるもの。仏教に登場する曼荼羅(マンダラ)模様に由来するもの。

というのも、8つの言葉は策定メンバー全員で意見を出して決めましたが、補足部分の文章は僕主導で考えて、みんなに提案するという形で進めていたんです。

▲8つの言葉それぞれに具体的な内容が書かれている(例:01 GRIT)

提案に対してはダメ出しもありました。内心傷つくし、ショックも受けるんですよ。だけど乗り越えないとな、と。グループワークでは僕が一番高い職位だったこともあるし、僕がワガママな態度を出せば、今度は周りが遠慮して意見を出しにくくなってしまうから。落ち込みながらもみんなには「もっと意見を言ってくれ」と。社員みんなに伝わるようなものをつくるためにも、フラットに話せる環境づくりを意識しましたね。

──「CEREBRIX PRIDE」が熱意と苦労の末に誕生したことがひしひしと感じられました! 具体的な構成についてもお聞かせください。

僕たちとしては、「CEREBRIX PRIDE」が「会社から提示したものを守りなさい」という主従関係をつくるようなものにはしたくなかったんです。社員が自立しているのがあるべき姿だと。

そこで9マスの中心に「私の意志」を据えることにしました。8つの言葉を単に体現するよりも、まずは個人が「これをやり遂げたい」という意志を持つこと、その意志を仲間で理解し合うことが大切なんです。「やりたいことをやったらいい。でもセレブリックスパーソンとして守って欲しいことがある」そうしたメッセージが伝わるように、マンダラートにしました。

人を動かす原動力は「Why思考」と「他者への想像性」

──北川さんが特にお気に入りのポイントはありますか?

まずは「Whyから始める」ですね。

僕たちの行う営業代行事業は「コミュニケーションビジネス」です。対人関係で成り立つものだから、正しいことを言うだけでは伝わらないことが山ほどあるんだとカンパニー内でもよく伝えています。

どうしたら人の心が動くかというと「What」ではなく「Why」なんですよね。相手に何か行動してほしいときは「どうしてほしいのか」「どうしてそう思うのか」を伝える。これが人を動かす原動力になると考えています。

忙しく働いているとついやりがちなのが「これやっといて」「方針はこう決まりました」と「What」だけを伝えてしまうこと。この伝え方だと相手は発言の意図を理解できません。上司は、後輩やメンバーに何かを依頼するときは意味付けをしてあげよう。クライアントに対しても同じ。提案の意味や意義といった「Why」の中に、相手が見えていないことがある。人のモチベーションのベースになり、行動変容を促すのは「Why」なんだということですね。

コミュニケーションビジネスを掲げる僕たちが会話に気遣えなかったら、これは当社的にはダサいんです。そう思って「Why思考」を取り入れました。

もうひとつは「他者への想像性」です。


例えば先輩から研修用資料の印刷を頼まれた場合。配りやすいようにクリアファイルに入れてあげたら、先輩は「おっ、気が利くな、ありがとう!」と感動してくれるはずです。

自分が何をやるか、ではなく相手が何を求めているか(顧客起点)を想像する。「101%の感動を体現しよう」とよく発信しているのですが、感動を与え続けることで信用と信頼が生まれていく。人に選び続けられるために必要なことです。

最近でいうと、リモートワークが増えたのでテキストメッセージにも想像力を発揮してほしいですね。例えば、相手に今いる場所を聞くときに、「いまどこ」と送るとどう感じられるでしょうか。「?」も「。」も付けずに送ると、相手はこちらの感情がわからず不安になるかもしれない。でも「心配です」とひとこと付け加えたら、こちらが心配していることが相手に伝わりますよね。

メッセージを送る前に「相手にどんな感情になって欲しいか」を想像することはとても大事だということです。用件だけを事務的に送信したら相手へ意図しない伝わり方になってしまうし、結果的に相手の行動変容につながりませんから。

──「CEREBRIX PRIDE」には、北川さんや他の管理職、マネジメント層の経験に基づいたメッセージが込められているのですね。セレブリックスには社歴の浅い社員も多いですが、「CEREBRIX PRIDE」を体現するために必要なことは何だと思いますか?

たくさんの経験や失敗がないことには、「CEREBRIX PRIDE」が腑に落ちた状態にはならないでしょう。僕は20代のころ、自分のことしか考えていなかったですね、「出世したい」「モテたい」とかね。それが30代で部門長を任されて、ひとりでできることの限界を知り、チームや組織のことを考えるようになったんです。

セレブリックスのみんなには「CEREBRIX PRIDE」をヒントにして、自分の意思を大切にしてもらいたいですね。僕は自分の考えや行動が変わったと自覚できるまで10年ほどかかってしまったけど、みんなにはもっと短い期間で成長を実感できるようになってほしい。

「CEREBRIX PRIDE」を体現できなかったら絶対ダメということではないんです。これはセレブリックスが大切にしていることを明文化したものであって、ルールではないからです。さまざまな経験を通して、「CEREBRIX PRIDE」を理解してもらえればいいと思いますし、もし失敗したとしても、ミスしないとわからないことは世の中にたくさんありますからね。

「CEREBRIX PRIDE」を体現したら評価に反映してほしい、という声もありましたが、あえて評価対象にしなかったのはこうした想いからです。仕事の成果に加えて、行動にまで規制を設けたら息苦しいですし、イノベーションの妨げになってしまいます。

また、「8つの言葉のうち、どれから目指せばいいのか」とよく聞かれますが、「自信があるものでも、興味のあるものでも、どれでもいいからひとつを極めよう」と答えています。例えば「Why思考と言えば〇〇さん」と周囲から認めてもらえるようになれば、セレブリックスで働くことへの自信につながって、次の一歩を踏みだす勇気になるかもしれない。

──「CEREBRIX PRIDE」発表後、社内の変化はありましたか?

「CEREBRIX PRIDE」が浸透しているか、といえばまだまだ課題を感じますが、浸透に向けて有志の仲間が仕組みづくりやアイデアを出してくれているので、見守りたいところですね。

関西オフィスでは独自で「CEREBRIX PRIDE AWARD」というイベントを立ち上げ、毎月開催しています。「CEREBRIX PRIDE」を体現している人に社員が投票するというもので、結果を全社で広報して、みんなでお祝いしています。

近い将来、8つの言葉が社内で飛び交うことが当たり前になったらうれしいです。つまずいたときに「CEREBRIX PRIDE」を思い出せば、原点に立ち戻れる共通言語。そんな存在になってほしいですね。

次のステップは、僕たちがどこを目指すのかを明確にすること。2022年4月には「CEREBRIX PRIDE」を踏まえ、当社のビジョンを形にして発表する予定です。今後2030年、2040年、2050年とセレブリックスは高みを目指します。その中で「CEREBRIX PRIDE」はますます重要なものになると確信しています。

<編集後記>

セレブリックスの事業拡大と共に覚えた危機感から生まれた「CEREBRIX PRIDE」。言葉を丁寧に紡ぎながらつくり上げたというエピソードに思わず胸が熱くなりました。「CEREBRIX PRIDE」は決して仲間をがんじがらめにするものではなく、成長を促すヒントであってほしい。北川さんのセレブリックスに対する愛情がひしひしと伝わってくるインタビューでした。

<この記事を書いた人>

杉野遥

求人広告業界、Webメディア業界の営業職を経て2016年にフリーランスとして独立。HR、テクノロジー等、ビジネス系を中心としたインタビュー取材・執筆、ブックライティングのほか、企業の広報支援も手掛ける。