製品群ごとに最適化されたブランド戦略をつくる

吉野 「Ankerグループは、創業以来ずっと『Anker』というブランドを軸にファンを増やしてきました。そして2018年からマルチブランド戦略を推進し、現在は戦略的に4つのブランドを展開しています。Ankerが培ってきた実績と信頼というアセットをいかし、それぞれのブランドを育成することが私のミッションです」

“充電”のグローバル・リーディングブランド「Anker」、オーディオブランド「Soundcore」、スマートホームブランド「Eufy」、スマートプロジェクターブランド「Nebula」、これら4つのブランドの成長を更に促進すべく、2020年6月に吉野を中心にブランド戦略チームが新設されました。

2021年初めにはマーケティング本部が発足し、同年8月からは吉野がその統括に就任しました。吉野がブランド戦略チームの立ち上げと同時に取り組みはじめたのが、各ブランドの再定義です。

吉野 「そもそも4つのブランドが誰をターゲットとしたブランドなのかという定義を、日本の市場環境と照らし合わせて明確にするところから着手しました。そこでコアユーザーを見定め、そのインサイトを探求していくことがブランド戦略全体を検討するうえでも欠かせないと考えたのです」

定量調査と定性調査を組み合わせてブランドごとのユーザーの使用実態を調べていくと、見えてきたのは顧客層が当初ターゲットとしていた層以上に広がってきているという事実でした。

吉野 「たとえばEufyだと弊社の他ブランドよりも女性ユーザーも多いということが分かっています。また最近では、コロナ禍でのおうち時間の充実というニーズを受けて、Nebula製品の興味関心層にガジェットにそこまで明るくないライト層が増えているということも分かってきており、『Ankerグループの製品ユーザー=テック・ガジェット好き』というイメージは変わりつつあります」

従来、製品単位でのセールスプロモーションに力を注いできたAnkerグループにとって、こうしたユーザー情報はブランドごとのイメージをどう醸成していくかの鍵になると話します。

吉野 「ブランドプロモーションは新しいチャレンジになるだけに、やりがいを感じました」

また、ブランドの構築に力を注ぎつつも、足元でユーザーとのタッチポイントを増やすため、さまざまな製品をサブスクリプションでレンタルできる「Rentio(レンティオ)」と提携するなど、より多くの人にAnkerグループの製品を使ってもらえるような取り組みも始めました。

大手消費財メーカーと海外経験で育んだマーケターとしての力

吉野は、新卒入社した大手日用消費財メーカーでマーケティングの基礎を学びました。最初の3年間は法人営業に携わっていましたが、社内公募で自ら手を挙げ、マーケティング部門へ異動したといいます。

吉野 「メーカーにいるからには製品開発に携わりたいという思いがありました。自分が関わった製品を世に出したい』というのがそもそもメーカーに入った一番の理由でした。セールスとして『Price』や『Promotion』を決めるだけでなく、『Product』や『Place』を含めて戦略策定に携わりたいという思いがありました」

マーケティング部門では、紙おむつや掃除用品のアシスタントブランドマネージャーを歴任。消費者のインサイト調査から製品のコンセプト固め・開発・販売と、マーケティングの川上から川下まで幅広い経験を積みました。そうして順調にキャリアを伸ばしていた吉野ですが、入社7年目で会社をやめて海外へ行くことを決意します。

吉野 「ベビーおむつのブランドマーケターをしていたからか、国内市場の行き詰まりを肌で感じていたんです。日本の人口が減少し続けているなかで、市場の規模を大きくしていくためには英語というスキルも含め、海外経験が不可欠だと思ったんです」

そこで吉野はカナダへ語学留学し、現地企業でインターンをしたり、フリーランスのマーケターとしても活動しました。このときの経験が、吉野とAnkerをつなげるきっかけとなります。

大企業にいたからこそわかる、アンカー・ジャパンの裁量の大きさ

カナダで吉野が受け持っていたクライアントの一社にワイヤレス充電器を販売する会社がありました。マーケティング調査を依頼され、競合企業を調べるなかでAnkerを知ったと振り返ります。

吉野 「日本法人であるアンカー・ジャパンについて調べていくうちに、メンバー一人ひとりの裁量が大きな会社であることがわかりました。それに加えて、事業自体がまだまだ伸びていくフェーズにある。前職で担当していたのは既に大きく育ったブランドで、できることが限られていたので、アンカー・ジャパンならより自由に、新しいことに挑戦できるだろうと思ったんです」

裁量の大きさに強く惹かれた吉野ですが、アンカー・ジャパンの意思決定のスピードにも驚いたといいます。2019年の8月末に第一次面接を受けて、9月の1週目には内定。ちょうどその週に帰国したばかりでしたが、9月の第2週目にはアンカー・ジャパンのオフィスにいるというスピード感でした。

吉野 「スピード感のある判断ができるのは組織としてすごく強いですし、正しいことを正しいプロセスでスピーディにやっている企業だという印象を強く受けました。10年後には今と全然違うカテゴリの製品を売っているかもしれませんが、Ankerグループ自体は確実に成長していくだろうという手応えが、自身も負けずに成長し続けなくてはいけないというモチベーションになっています」

チームだからこそ、チャレンジできる環境

アンカー・ジャパンの環境に惹かれて入社を決めた吉野は、現在ではチーム作りにも力を注いでいます。

吉野 「アンカー・ジャパンは優秀な人材が本当に多い。組織を拡大していくうえで、既存の人材ではカバーできていないことを明確化し、妥協せずに最適な人を採用するからです。自分一人ではできないと思っていたことが、人が集まりチームになることによって達成できるようになっていく。この過程を実感できることは急成長を遂げるアンカー・ジャパンで働く醍醐味の一つかもしれません」

同時に複数のプロジェクトを進行できることだけでなく、各メンバーのアイデアや経験値によって施策のバリエーションが広がっていくことも、チームを作っていくことで得られる成長です。

吉野 「2020年秋にアンカー・ジャパンで初めてとなるTVCMの放映をAnkerのブランドプロモーション施策として行いました。『急速充電』の価値をバスタブに溜まる水のスピードで表現するというユニークなクリエイティブに仕上がり、ブランド認知の向上に寄与しただけでなく、定性的にも好意的な反応をいただくことができました」

SNSに関しても長らくアンカー・ジャパンとしてのアカウントしかありませんでしたが、ブランドごとにファン作りをしていくために、各ブランドのアカウントを作り、ユーザーとのタッチポイントを増やしています。

吉野 「SNSのコンサルティングをしてきた人材をチームに迎え、その人の発案でいろいろなSNSプロモーションを始めています。そういう瞬間に、やはり一人ではアイデアの幅が限られるということを痛感しますね」

チームを強くし、様々な施策を進めているブランド戦略チームですが、伸び伸びと挑戦できるのには理由があります。その理由が、アンカー・ジャパンが一つのチームとして究極の目標を達成するために導入している目標管理制度 (OKR) です。

OKRはObjective and Key Resultの略称で、組織と個人の目標を有機的に紐づけた目標管理方法です。このOKRがあるからこそ、出てきたアイデアや企画に対して合理的な議論や優先順位づけ、軌道修正ができると吉野はいいます。

吉野「マーケティングの仕事には正解がないですし、TVCMなど大きな投資をしない限り、短期的な変化が見えにくいので悩むポイントも多いんです。そんなときにOKRに立ち返ることで、アンカー・ジャパンとしてより良い選択は何かを都度、合理的に判断することができると思っています」

組織として目指す方向がはっきりしているからこそ、自分の目標だけに固執するのではなく、着実に歩みを進めることができます。アンカー・ジャパンが育ててきたカルチャーのなかで、吉野率いるマーケティング部門は、アンカー・ジャパンの更なる成長に貢献していくことでしょう。