アニメの魅力を届ける制作担当として、新たに挑む二人三脚

▲入社から10年間アニメ制作に関わってきたアニメクリエイティヴ本部AC制作1部・宮井 梨江。一児の母にはみえない!?

ポニーキャニオンのアニメクリエイティヴ本部は、テレビや劇場アニメ作品の企画や共同製作を一手に引き受けます。作品に関わるすべてのコンテンツ制作の根幹を担う業務は、多岐にわたります。

同部署で制作を担当する宮井 梨江。2011年新卒入社後、店舗に作品の魅力を伝えるプロモーション担当からアニメ制作へとキャリアチェンジを経て、これまで10年間アニメ作品を世に届けるプロセスに関わってきました。

宮井 「制作担当はアニメ作品に関わるあらゆることを業務として行います。製作費の収支についてや、諸々のスケジュール管理、細かい部分では前売り券の特典を考えたり、パッケージの仕様やデザインの決定したりします。ほかにも進行など本当にさまざまなことを担当しますね。

今は、育休明けで途中から参加した作品ばかりですが、通常は作品ができあがっていく過程に携わることができるので、自分が担当する作品はどれも本当に大好きになります。もしかしたら親心に近いものかもしれないです。キャラクターたちが本当に生きている人間のように、とても可愛くて愛おしく見えます」

作品が世に届くまでの日々は、決して平たんなものではありません。エンターテインメント業界といってイメージされる多忙さは、アニメ制作の現場で繰り広げられる日々にも重ねられるでしょう。

宮井 「一番印象に残っているのは、以前担当していたある作品のイベントです。まだあまり大きなイベントを担当したことがなかったころ、初めて1万人規模のイベントに挑戦しました。準備は何もかもが手探りで、当日までの記憶があいまいなほど大変でした。なんとか迎えた本番当日、お客さんが感動で泣いてくださっている姿や、大きな会場で揺れるサイリウムの光を見て、思わず涙があふれました。頑張ってよかったと、心から思えましたね。

このイベントだけではなく、入社してから今まで泣けたイベントは数えきれないほど、たくさんあります。大人になっても、嬉しくて(もしくは作品が終わるのが寂しくて)泣けるなんて、この仕事の素敵な魅力な気がします」

アニメ作品の魅力をあらゆる形で届ける。その仕事を楽しみながら、キャリアを重ねる宮井は、2020年現在ひとつの作品にふたりのプロデューサーが就く体制で挑んでいます。

宮井 「二人三脚で制作を担当するのは初めてのことです。上司が、子どものいる私のライフスタイルには、ふたりで担当するのがいいのではないかと言ってくれたことがきっかけでこの体制になりました」

多忙なエンターテインメント業でも女性が復帰できる環境

▲まだまだ手のかかる育休期間の子どもとのひととき。すでに懐かしい感じもあるが……
宮井 「私が産休を取得するときは、引継ぎをどういうふうに進めるべきか上司と相談しながら行いました。 アニメ制作は長期間続くプロジェクトも多く、途中で引き継ぐのが難しいものもあります。

私の場合は、しっかり上司がサポートしてくれた上で、お休みをいただくタイミング以降、3カ月分ぐらいのやることを細かくカレンダーに書いて後任に渡すなどしました。少しでも混乱がおきないように、引き継ぐ方法を考えていましたね。もちろんそれでもいろんな方にご迷惑をかけてしまったとは思いますが……。

育休をいただいている最中は正直、同じ部署への復帰は難しいかもしれないなと思っていたんです。どうしても深夜のスタジオ作業があったり、子供の突然の発熱でお休みをいただいたりすると思いますし。諸々考えた上で、アニメ制作の部署で子育てと仕事のバランスを取ろうとすると、周りにただ迷惑を掛けてしまうだけではないかと想像していました」

しかし、宮井の復帰後の配属は、アニメクリエイティヴ本部でした。産休前に手厚いサポートをした上司が、そのフレキシブルな対応で復帰後の宮井のキャリアをつないだのです。

宮井 「『月2回ぐらいは子どもが熱を出したり、きっと何かしらあるよね』これは復帰後、上司が一番最初に私に掛けてくれた言葉です。1年以上も休んで仕事も忘れていそうで、ちゃんとできるだろうか、保育園のお迎えには間に合うだろうか……といろいろな不安があったので一児のパパである上司の理解ある言葉にとても救われました。

そして『何ができて、何ができないのか』を細かくヒアリングしてくれました。たとえば、夜帯の業務が難しいことを配慮してもらった結果、私は業務時間内かつ社内で対応できるパッケージ制作を担当することにしていただいたり。

ひとつの作品に制作担当がふたりいる体制を組んでくれたのも、こうした対応を実現させるためにつくってくれた環境です。制作担当がふたりいることで、新しいメリットも生まれている気がします。作品をつくり上げてきたもともとのプロデューサーと、途中から入って客観的に作品を見ている私という、ポジションの違うふたりがそれぞれの意見を持つことで、作品がより良い方向にいくといいなと思っています」

近日公開予定の劇場作品は、そうした二本の柱に支えられ、2020年現在もその準備を進めています。

宮井 「復帰するまでは、『復帰後仕事と子育ては両立できるのか』と悩んでいました。復帰後、最初はペースもあまりつかめず、夜泣きと仕事と家事とわが子の無限の体力にへとへとなときもありましたね。

今ももちろん大変なときも多々ありますが、なんとなくやっと『意外といけるか?』と思えています。朝はもう少し寝かせてくれーとは毎日思っていますが(笑)。子どもがいることで時間的な制限ができても楽しく働けるということは、社内外に伝えたいメッセージのひとつです」

子どもがいるからできる仕事、したい仕事

▲子どもと過ごすときには母の顔になる。母親の目線を大事にしながら仕事をしたい

産休・育休からエンターテインメントコンテンツ制作現場への復帰を遂げ、今もフルタイム勤務で活躍する宮井。子どもが生まれたことで制限が増えてはいるものの、その制限は仕事の仕方の見直しにもつながっています。

宮井 「以前は今よりも時間があったため、できることはなるべく自分でやっていましたが、今は自分でやることを選別して、プロの方にお願いすることも増えました。もちろんかかるお金と時間のバランスを見てですが。

たとえば劇場用のパンフレットをつくるとき、以前ならば自分で台割や掲載するテキストを考えていましたが、今は編集プロダクションさんやプロのシナリオライターさんにイメージをお伝えしてお任せしています。

また、どこでもできる仕事が意外とたくさんあることを再確認しました。たとえば子どもが風邪を引いたときは、家でも進められる仕事を進めればいいのだ、と気がつきました。

こうした柔軟な働き方を理解していただいていることがとても大きく、それによって仕事をするときの自分ルールみたいなものは出来上がりつつあります。子どもと一緒にご飯を食べているときや寝かしつけ中に仕事はしない、とか……。会社員とお母さんのバランスを模索中です」

限られたリソースの中で仕事に向き合い、変化していったのは仕事への取り組み方だけではありません。宮井には、就職活動当時から抱いていたひそかな夢がありました。

宮井 「私がポニーキャニオンを目指したきっかけは、実は『NHKおかあさんといっしょ』のDVDを販売している会社だったからなんです。もともと子どもが大好きで、子ども向けの商品やファミリー向け作品に興味がありました。

ときを経て、当事者として何が子どもの心に刺さるか、お母さんの心に刺さるか、以前よりも意識できるようになったと思います。その価値観を生かして、今後は夢だった子ども向けの作品に何か少しでも携わりたいと考えています」

子どもがいるからこそ理解できる視点を、制作の現場に取り入れたい。その想いは、これから生まれる作品や商品に、新たな息吹を吹き込むのかもしれません。

携わった作品に愛を持ち、子育てとキャリアを両立する未来へ

▲近日公開予定の「どうにかなる日々」(原作:志村貴子 太田出版刊)を担当。忙しい毎日だが公開が近づきワクワクしている。
宮井 「最近、産休や育休を取得して復帰された方はたくさんいるのですが、アニメクリエイティヴ本部に育休明けの方が今はあまりいません。でも、復帰してみて本当に周囲の方々に恵まれているなあ、と感じています。子どもの発熱などで急きょ休まなければならない日もあったのですが、当事者に気まずさを感じさせないよう配慮していただいたり。

私の産休・育休や復帰を支えてくれた上司の存在ももちろん、あらゆる観点から見て、良い意味で産休前とそんなに変わらず働かせていただいています」

時代と共に、エンターテインメント業界の働き方や発信するメッセージは変わりつつあります。そのひとつとして、女性社員の活躍の場や選択肢が増えていることが挙げられるのかもしれません。

宮井 「私は就職する以前からアニメそのものが好きだったわけではありませんが、携わる作品には愛を持って仕事をしたいなと思っています。登場するキャラクターはひとりの人間として見えてきますし、彼らの背景を理解しながら仕事を進めると、自分もより楽しんで業務に取り組めます。これからもその意識は忘れないようにしつつ、家族との時間、仕事の時間、どちらも大切にしていきたいです」

ポニーキャニオンは人の母として、作品の母として活躍できる女性が増えるよう、これからも柔軟な対応を進めていきます。