複雑なシナリオにも対応できるように。踏み間違い防止システムで安全な未来をつくる
現在、今義は日産のAD/ADAS先行技術開発部に所属し、自動運転や運転支援技術の開発を行っています。
「所属部署には、部品開発とシステム開発の担当がおり、私はシステム開発を担当しています。具体的には、リアAEB(Autonomous Emergency Braking)という後方の自動ブレーキシステムと、踏み間違い防止システムという2つの開発を主に担当しています。
踏み間違い防止システムは、すでに国土交通省の性能認定制度にも採用されるなど標準的な機能となっています。現在の開発ではより複雑なシナリオへの対応をめざすため、ターゲットの種類や動き方のバリエーションを増やし、シーンを拡張する方向で開発を進めています」
入社6年目を迎え、チームリーダーとしての役割も担っています。
「私は約10名で構成されたチームのリーダーを任されています。システム開発やプロジェクトのマイルストーンに向けて仕事を振り分けたり、進捗を管理したりするのがリーダーである私の役割です。
また、私が担当している踏み間違い防止システムやリアAEBは将来の進化の方向性が分岐しているため、それぞれのメンバーに進化の方向に応じたタスクを振り分けて、全体のマネジメントをしています。若手メンバーが多いチームなので、日産の社内ルールや開発プロセスについて教えることも大切な仕事です。
たとえば、車1台の開発には年単位の時間がかかりますが、各フェーズで何をすべきか、どこまで進めるべきかといったことを指導しています。先行開発とはいえ最終的にはプロジェクト開発につながるので、プロジェクトの日程に沿った開発の進め方や、各マイルストーンで必要な要件などを伝えています」
先進技術に関わりたいという想いで自動車業界へ。苦労した時こそ成長のチャンス
大学院では電気エネルギーシステムを専攻していた今義。そこでプラズマに関する研究を行っていましたが、就職活動では研究内容にはこだわらず、B to C領域で働くことを軸としていました。
「気体に高電圧をかけてプラズマ化させ、その電気的性質を核融合発電の加熱源に応用する研究をしていました。ですが、3年ほど研究を続けている中で、自分は何か物をつくったり、エンドユーザーに近い仕事に携わったりする方が、自分のモチベーションを保てそうだと思ったんです」
ちょうどそのころ、自動運転技術に世間の注目が集まっていました。これに興味を持ったことがきっかけで、今義は日産へ入社します。
「自動車が好きというより、先進技術の開発に携わりたいという想いの方が強かったです。そのころは自動運転技術が大きな話題になっていて、中でも日産が早期から日本にプロパイロット(※1)を市場投入していました。ここなら自分の想いを実現できるのではないかと思ったのが入社の決め手です」
初めて触れる業界でしたが、研究で身につけたスキルと通ずるところもあったと言います。
「電気回路の技術や配線、装置の製作など研究で身につけたスキルは、現在の車両開発にも役立っています。また、研究中にデータ解析やプログラミングも学んでいたため、それらをベースにしつつOJTを通じて少しずつキャッチアップしていきました」
入社3年目に、量産開発の車両プロジェクトに今義は参加します。
「そのころ日産では、ソナーセンサーとリア方向のカメラを使った歩行者検知のリアAEBを新しく市場に出そうとしていた時期でした。途中から参加したためシステム自体はすでに完成しており、実車評価をしてソフトウェアのバグ検出とその対策を行い、市場にリリースしました。
量産開発では、試作車を作りコンセプトの検証を行った後、量産向けの試作車を生産し、そこで問題がなければ市場に投入するという流れで進めます。一通りのプロセスをここで経験できたのは良かったですね」
時には苦労する場面もあったと言います。
「ソナーセンサーのサプライヤーを変更することになり、当初はインターフェースのコンセプトは変えずに開発を行う予定でした。しかし変更前後のサプライヤー間での方針の違いから統一が難しく、最終的には当社で新たなソナーセンサーの特性に合わせたアルゴリズムを変更して対応することで落ち着きました」
困難を乗り越えることで今義は大きく成長を遂げています。
「以前のサプライヤーと同じ要求をしても、会社が変われば受け取り方も変わり、出来上がりに違いが出ます。そのため、私たちが直接関わる、センサーから物体情報が送られてきた後の技術だけでなく、ソナーセンサーがどのような原理で動いているのか、それをどのようなアプローチでつくっているのかについて、サプライヤーに話を聞きました。
そもそもセンサーの中で、どのような物理情報を使って物体情報を生成しているか、という点まで踏み込んで知ることで、技術のより深い部分まで理解できるようになりました。
また、当時はチームリーダーを任されたばかりで右も左もわからない状況。先輩は海外赴任で不在の中、上司から助言をもらいながら対応していくうちに、対外的なコミュニケーションスキルやプロジェクト管理能力が身についたと感じています」
※1 フロントカメラとフロントレーダーにより白線や前方の車両を検出し、先行車との車間距離を保ちながら、車線中央付近を走行するよう、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御する機能
認めてもらえるから頑張れる──周囲から感謝してもらえることが大きなやりがい
今義にとって印象に残っている出来事は、2022年に日産が開催した「グランド・トゥルース・パーセプション」という運転支援技術のデモンストレーションです。
「このイベントでは、私たちの部署がメインとなってライダーを使ったデモンストレーションを行いました。具体的には、日産のスカイラインを使用して、連続する危険の回避などを実演します。
私は15名ほどの若手メンバーの中心となり、現場の安全管理や機材の操作などの運営に携わりました。中でもダミーターゲットを使用した実験は、危険を伴うため安全を確保するために現場スタッフと協力し、半年ほどかけて準備をしていきました」
日産の最新技術を社内外に披露するということで、デモンストレーションには多くの関係者が参加しました。そこでメディア対応ができたことも良い経験だったと言います。
「デモンストレーションには50〜100名程度の関係者が参加し、テレビ局や新聞社、自動車関連のYouTuberを招待しました。このような経験はめったにできないので貴重でしたね。CEOや役員が参加する重要なイベントで、社内外の注目度が高く、技術力をアピールする重要な機会となりました。
また、安全面や効率性といった部分を現場の方から教わることができたのは大きいですね。臨機応変に進めていく中で柔軟性も身につきました。もともと当社はフラットな社風なのですが、相手がどんな立場であっても現場をよく知っているのは自分たちなので、きちんと意見を伝えることの重要性をあらためて感じました。
その後、部長から『今義君がいてくれて助かったよ』と言ってもらえた時は、自分が貢献できたことを実感できる瞬間でした。ちゃんと見てくれていることがわかって嬉しかったですね」
そんな今義にとって、仕事をする上でのやりがいについてこう話します。
「プロジェクトをスムーズに進めるために、システム担当はチームメンバーや他部署の方たちの橋渡し役となり、こまめな情報共有を行います。そういった部分を周りがしっかりと見てくれていて、感謝してもらえることがモチベーションにつながります。
また、技術的に難しい課題とぶつかった際、チームで協力しながら新しいソリューションを見出だせた時にやりがいを感じます。今までになかった技術をリリースでき、それが社会貢献へとつながっていけば嬉しいです」
チャレンジを後押しする環境が魅力。将来的にはグローバルな舞台での活躍をめざして
日産で働く魅力について、今義は次のように話します。
「当社はやりたいことにチャレンジできる社風です。先行開発の分野では、新しい技術の提案など自分のアイデアやチャレンジを認めてもらえる環境がある。それが日産の大きな魅力だと思っています。
他にも、希望を出せば海外赴任のチャンスがあり、グローバルな環境で働けることも魅力です。私自身もチャンスがあれば北米や欧州などの拠点に赴任し、日本以外での自動車の使われ方などについて知見を深めたいと考えています」
日産がビジョンとして掲げている「交通死亡事故ゼロ」。それに共感している今義にとって、キャリア形成の指針になっています。
「今では自信を持って運転できますが、じつは入社するまで車の運転に苦手意識があったんです。一方で、車での移動時間や空間には価値を感じていて。私が開発するシステムが世の中に普及することで、ユーザーの方が不安なく車を運転し、車で過ごす時間や空間の価値を上げることに貢献できればと思います」
自分自身の運転経験とシステム開発への意欲が、先進技術への想いを一層高めています。
「まずは予防安全技術を極めていきたいと考えています。自動運転の開発も部署では行っていますが、予防安全で衝突を防ぐという前提があってこそ、自動運転が成り立つと思っています。将来的には、私の技術が予防安全の枠を超えて、自動運転の開発にも貢献できるようになれば嬉しいです」
安全と快適を両立する自動車技術の未来を見据え、今義はこれからも邁進していきます。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
